その少年全属性魔法師につき   作:猫林13世

74 / 245
でも意外と近場……


快気祝いで遠出

 快気祝い、と言う事で、僕たちは今回少し遠出をする事にした。遠出と言っても、高校生が出来る遠出なんてたかが知れいてる。それに加えて、僕とバエルさんは持ち合わせが無いので、普通の高校生以上に遠出が出来ないのだ。

 そしてもちろん、高校生のみの外泊を、寮の大家さんであり学園の理事長である恵理さんが認めてくれるはずもなく、今回の遠出は引率ありきで行われる事になったのだ。

 

「なかなか自然豊かな場所だね」

 

「……炎さん、そこまで感動する事も無いんじゃないですか?」

 

「そうね。だってすぐそこに学校が見えるものね」

 

「これって遠出なの?」

 

 

 学校の近くなのはちゃんと理由がある。まず第一に、今日が平日である事。学校終わりで遠出するのは大変だし、明日も授業があるのだ。あまり遠くに出かけると、それだけ登校するのが大変になるのだ。

 そして第二に、先に言ったように僕とバエルさんにはお金が無い事。炎さんたちが出してくれると言ってくれたけども、そんなことまでしてもらったら僕たちの間に友人関係が成り立たなくなるので辞退したのだ。

 最後に、これが一番大きいのだけども、あまり遠くに行って面倒事に巻き込まれる事態になるのを、全員が恐れたのだ。

 

「まぁまぁ。遠出したければ夏休みにでも全員で行きましょう。元希君も私も、涼子ちゃんだって転移魔法を使えるんだから」

 

「恵理さん、さすがに外国に行くのは駄目ですからね。僕や恵理さん、涼子さんなら兎も角、炎さんたちにはちゃんと国籍があるんですから……」

 

 

 無国籍である恵理さんと涼子さん、そして高校を卒業したらそうなる僕の場合は、多少の不法入国は目を瞑ってもらえる。だけど完全なる日本国籍の他の五人と、ロシア国籍を持っているバエルさんはそうはいかないのだ。

 

「大丈夫よ。最悪、私たちでその国のトップを潰すから」

 

「その思考が大丈夫じゃないですよ、姉さん!」

 

「テント張れました」

 

 

 快気祝いに野宿、ってのも如何かと思うけども、涼子さんと秋穂さんがノリノリでテントの準備を始めた時は、諦めが肝心だと思ったのだった。

 

「そういえば、水は何処に行ったのかしら?」

 

「水ならさっき『キレイな水源がありそうだから探してくるのじゃ!』って言って向こうに行きましたけど。リーナさんと一緒に」

 

「逃げたわね……」

 

 

 やっぱり恵理さんもそう思ったんだ……僕も明らかに不自然だとは思ったけども、せっかく自由に動ける事に喜んでいる水を抑えつけるのも如何だろう、って思って見逃したのだ。

 

「兎も角、ここからなら学校にも行けるし、普段では出来ない生活が楽しめるわよ。それに、ここら辺にはモンスターもいないしね」

 

「念の為結界は張ってありますけど、中級くらいなら結界に触れただけで消え去るので大丈夫だと思いますよ」

 

「快気祝いでまた疲れたくないですからね」

 

 

 この場には、この前の様に日本支部の魔法師たちがいるわけでもなく、応援が期待できる訳でもない。万が一で大型モンスターが現れたら、僕たちだけで対処しなければならないのだ。

 まぁ、Sランク魔法師の恵理さんと涼子さん、Aランク魔法師のリーナさんに、B以上が確定している僕たちに秋穂さんとバエルさんがいるんだ。最悪な事態が起こっても何とか対処出来るだろう。それに水もいるし。

 

「……そういえばさっき、テントがどうとか言ってましたけども……もちろん僕は別の場所で寝るんですよね?」

 

 

 最近やたらと恵理さんと涼子さん、リーナさんが僕の部屋に侵入してくるのだ。身の安全を確保する為にも、是が非でも別のテントで生活したい。例え一人ぼっちになるとしてもだ。

 

「ちゃんと考えてあるから大丈夫よ。それじゃあみんな、元希君と一緒のテントになれるかもしれないくじ引きを始めるわよ! 水とリーナは今この場にいないので不参加と言う事で」

 

「それってどうなんでしょう……」

 

 

 秋穂さんが精一杯のツッコミを入れたけども、恵理さんには響かなかった。

 

「いいじゃん、秋穂。ライバルが減るのは嬉しい事だよ!」

 

「そうですわね。私としても確率が上がるのは嬉しいですし」

 

「最近バエルさんばかり元希さんとくっついてる気がしますし、少しでも確率が上がるなら歓迎しますわ」

 

「ボクも」

 

「……う~ん、良いんだろうか?」

 

 

 なおも首を傾げる秋穂さんだったが、周りに説得されて反論を諦める事にしたようだ。

 

「それじゃあ、まずは元希君から引いて。番号が書いてあるから」

 

 

 ちなみに、テントは三つ用意されている。僕たちが全員で十一人だから、三人、ないしは四人で一つのテントを使うと言う事になる。

 

「えっと……僕は二番だ」

 

「二番のテントは四人使用ね。それじゃあ、当たりは三人って事になるわ」

 

「ちなみに、水様とリーナは三人用テントで決まってるので、この二人と一緒になるのは一人ですね」

 

 

 なんだかハズレみたいな扱いになってるけど、僕はみんなで一緒に寝られるならそれでいいんだけどな……もちろん、身の安全が確保されているに越した事はないけども……




気分の問題ですからね、こういうのは……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。