捕獲した女の子(?)を調べる為に、僕たちはテントにではなく学校に向かった。他のみんなには式を飛ばし、先に学校に行ってると伝えたので大丈夫だろう……多分。
「さてと、この子はいったい何者なにかしらね?」
「目を覚まさないと何とも言えないでしょうが、あの場所にいたのです。普通の女の子だとは思えませんね」
「確かにそうですけど、見た目は普通の女の子ですよ?」
さすがに裸のままでは可哀想なので、魔法で生成したガウンを羽織らせている。だって裸の女の子を直視するなんて、恥ずかしいし相手に失礼だと思ったからだ。
「一応魔力の反応を調べてみようかしらね。おそらくは想像通りの結果になると思うけど」
そう言って恵理さんは魔力検知機を女の子の身体に装着した。別に痛みは無いんだけども、検知される時には若干身体に電流が流れる。本当に微弱な電流なので、鈍い人には気づかれずに終わる検査だけども、魔力が強ければ強いほど、その電流を感じる可能性は高いのだ。
ちなみに、僕はこの検査をされた時、未知の感覚に恐怖し逃げ出したくなったのだが……
「ッ!? ………」
「一瞬だけ反応を見せましたね。つまりかなりの魔力を有しているという事になりますね」
「そうね。魔力だけ見れば元希君と大差ないわ」
「僕は自分の魔力がどれくらいなのか教えてもらって無いんですけど……」
調べられるだけ調べられて、その結果は僕本人には伝わっていない。学校側が把握してればいいんだけども、せめて自分の結果くらいは知りたかったな……
「細かい事は兎も角、ものすごい魔力保有量ね」
「この子が例の次元の切れ目の原因なのでしょうか?」
細かく無いと思うけど、ここで追及しても教えてはくれないだろと判断して話を進める。
「あの場所にいた、という事はそうなんでしょうね。でも、この子の状態を見る限り、自分の意思で発生させたとは考えにくいわね。食事をしてる感じも無いし」
「必要最低限の栄養以外は摂取してない感じですよね。生き物というよりも、芸術品の様な感じを受けますし」
「でも、この子は息をしてるし、魔力を有している。紛れもなく生き物だと言いきれます」
僕たちが横で色々と言っているのにも拘わらず、女の子はビクともしない。もし呼吸も無かったら死んでいるのではないか、と思うほどに動かないのだ。
「元希君、ちょっと寮に戻ってご飯作ってきて」
「良いですけど……何故です?」
「この子が起きた時に食べさせるためよ」
「分かりました」
「ついでに、私たちの分もね」
「……そっちが本音ですよね?」
恵理さんの本音が出たところで、僕は寮に戻って簡単な食事を作る事にした。いくら建前とはいえ、あの子にご飯を食べさせなきゃ拙いってのは本当だろうしね。
簡単に朝食を作って、僕はそれを理事長室まで運んだ。ちなみに、移動魔法を併用して運んでいるので、僕が直接持たなくても運ばれてくれるのだ。
「お待たせしました。恵理さんと涼子さんは先に食べちゃってください」
「元希君は?」
「僕はもう少し、この子の様子を見てますよ」
「そう? じゃあお願いしますね」
恵理さんと涼子さんと交代して、僕は女の子の様子を見る為に目の前に座った。
「………」
「やっぱり動かないか」
微動だにせず既に一時間以上。呼吸音がしなかったら確実に死んでいると判断されるだろう時間だ。
「食べ物でも前に置いてみるか」
口元に食べ物を置き、動くかどうか確かめる。まるで動物実験のようだな、と思った瞬間、置いた食べ物が一瞬にして消えてしまった。
「……君が食べたの?」
一瞬だったので見間違いかと思ったけど、女の子の口がもぞもぞと動いているのを見て、間違いではないと判断出来た。今、この子は食べ物を口に含んだのだ。
「ん……」
「起きるかな?」
おそらくまだ眠いのだろう。気だるそうに手を動かして目を擦っている。こういった仕草は普通の人間らしいものがある。
「……だれ?」
「えっと、僕は東海林元希だけど……君は?」
「………? わたしは……誰だっけ? 何でこんな場所にいるの?」
「それは僕たちが知りたいんだけど……」
寝ぼけてるのか、それとも記憶があやふやになっているのか判断しにくいが、おそらくは後者だろう。異次元から飛ばされて来て記憶もあやふやになってしまってるのだろうな。
「……ところで、何でわたしは裸なの? もしかして貴方が脱がせたの?」
「ち、違うよ! 君はとある雑木林にいきなり現れて来たんだよ、裸で」
「雑木林? 裸で? ……何も思い出せない」
一生懸命思い出そうとしてくれているけど、彼女は何も思い出せなかった。その姿を見た恵理さんと涼子さんが少し咽ていたけど、なにがあったのかは僕には分からない。
「着替える……」
「えっ? 着替えなんて何処に……」
次の瞬間、女の子の手には着替えらしきものが握られていた。おそらく今のは生成魔法だろう。
「………? どうやって着る?」
「……恵理さん、涼子さん、手伝ってあげてください」
同性の方が安心するだろうと思ったのだが、女の子は僕の後に隠れてしまった。
「どうしたの?」
「あの二人は信用できない。元希が手伝う」
「えぇ!? ……僕、男なんだけど?」
「気にしない。それとも元希は、こんな子供の裸に興奮するのか?」
「そんな事は無いけど……」
「じゃあ問題無い」
そういって結局手伝う事になってしまった……僕って本当に断れないんだな……
彼女は何者なのか、暫くしたら説明出来るかな?