是非とも感想を…!感想が無いと…自己顕示欲の塊たる寿司丸は「これでお前は終わりです」になってしまうッ!
「…じゃあ、コガネちゃんは一年生って事で、いいかな?」
「ああ。それで構わない」
…あの後、結局コガネは可愛いという事となり、一年生で決まった。
起こった事柄を文字に起こしてみても、一体何が起こったのかは誰も分からないだろう…。
「…はい、では改めて、こちらは一年生のコガネです」
「よろしく頼もう。先生」
奥空アヤネは満を持してコガネの紹介をした。
それに追従したコガネが挨拶を行う。
”うん。よろしく、みんな。…じゃあ、私の方からも話していいかな?”
…そういえば、先までの雑談は先生の発言が起因であったな、と、コガネは先生に向き直った。
「…何かな、先生?」
”さっきの、コガネの戦い方…あれは…普段からあんな感じなの?”
「ふむ、確かに、聞かれるとは思っていたよ。私の戦い方は此方では特異なものらしいからな。…質問に答えるならば、普段からあの武器を使っているわけではない」
”あ、そうなの?指揮の仕方を考えてたところだったんだけど…”
…てっきりコガネは、先生は自分の戦い方に文句をつけるつもりなのではないか、少なくとも疑問を持っているのではないかと考えていた。
「…そうか。それなら、悪い知らせだ。私の戦い方は千差万別。用意された指揮の方法では扱いきれんぞ」
”…って、言うのは?”
「これだ」
コガネは右手にレディソード、左手にカーリアの騎士盾を出現させた。
”わっ!?凄い!今のどうやったの!?”
…先生はまるで新しい玩具を前にした子供のような瞳をコガネに向けた。
コガネは続いて、巨人砕きに持ち替えた。
”変わった…つまり、コガネは多くの近距離武器を操って戦う…ってこと?”
「いや、これだけではない」
コガネは、先端に青い石が埋め込まれた、木製の杖を出現させた。
”これは…?”
「”輝石の杖”。魔術の使用に必要となる触媒だ」
”ま、魔術!?コガネは魔術を使えるの!?”
「魔術!?…って、あの時使ってたアレ?あの、なんか竜の頭みたいなヤツ」
「いや、あの時のは”祈祷”。神、またはそれに近しい存在に祈り、その力の一端を行使する術だ」
”他にもあるのか…それなら、魔術はどんな…?”
「魔術は”輝石”と呼ばれる鉱物から星の琥珀…まぁ、生命の力、のようなものを引き出し、魔力として放つ術だ」
この辺りの知識も、コガネは考察などを楽しむために豊富に仕入れている。
ブルーアーカイブの事ならばあやふやであるが、エルデンリングならば語れないことは無い。
それがコガネである。
”み、見せてもらえたりとか…”
「…別に構わんが」
見せたとして悪影響が及ぼされるとは到底思えなかったので、コガネは正直に答えた。
”やったー!”
「せ、先生って意外と子供っぽいところがあるのね…」
「うへぇ、そんなこと言ってセリカちゃんも見てみたいんじゃないの~?」
「べ、別にそんなことは…!」
「ん、私は見てみたい」
「私も見てみたいです!セリカちゃんもどうですか~?」
「いや…まぁ、行くけど…」
「うんうん、それならさ~、おじさんから提案というか、練っていた計画があるんだけど…どうかな~?」
雑談が挟まりかけたところで、小鳥遊ホシノから挙手が入る。
「え!?ホシノ先輩が!?」
「うそっっ…!?」
一年生の二人は、本当に心の底から信じられないといった表情で小鳥遊ホシノを見た。
この流れのみで、小鳥遊ホシノの普段の振る舞いがある程度伺えるものだろう。
「いやぁ~その反応はいくら私でも、ちょーっと傷ついちゃうかなー。おじさんだって、たまにはやるのさ~」
「…傷ついていなそうだが…それで、どのような計画だ?」
「ヘルメット団は、数日もすればまた攻撃してくるはず。最近はコガネちゃんが撃退してくれてたけど、頻度も若干上がってた気もするしね~」
コガネからすれば、正に言われてみれば、であった。
以前の歓迎パーティーの際の襲撃は、先日に一度襲撃があったにも関わらず、それをも上回る規模でのものだった。
それ以降の襲撃はその際の襲撃に比べると規模こそ小さいが、頻度は目に見えて増えている。
…これは明らかに、己がここに来たことが起因となっている。
コガネは気が付いてしまった。だが、そのような事、言え得る筈もない。特に、コガネの場合は…。
もしくは既に気付かれている可能性もあった。特に小鳥遊ホシノなどは怪しかったが、気付かれてない事を祈るほかなかった。
コガネは暗い思考を巡らせていたが、小鳥遊ホシノがそれに気付く事は無く、続けて言った。
「だから、このタイミングでこっちから仕掛けて、奴らの前哨基地を襲撃しちゃおうかなって。今こそ奴らが一番消耗しているだろうからさー」
「い、今ですか?」
「…成程な。今なら先生もいるし、物資も潤沢。これ以上の機は無い、という事か」
コガネはこれ以上考えても利にならぬと判断し、小鳥遊ホシノの計画に耳を貸していた。
「そゆこと~。どうかな、みんな?」
「うん、良いと思う。ヘルメット団の前哨基地はここから30kmくらいだし、今から出発しよっか」
「私も良いと思います。あちらも、まさか今から反撃されるとは夢にも思っていないでしょうし」
先の一年生二人と異なり、二年生の二人は左程驚いてはいないようだ。
認識の差が表れている。…このような感想を持つコガネこそ、出会って一か月に満たないのだが。
「そ、それはそうですが…先生はどうですか?」
”うん。私は全然大丈夫だよ。それに…”
先生はそこで区切り、コガネを見る。
「あぁ、分かっている。ホシノもその意図で言ったのだろうし…魔術を見せればいいのだろう?」
”うん!いや~まさかキヴォトスで、っていうか現実で見れるとは思ってなかったよ~!”
…この先生はどうやら、これから見れるものが本物であると、欠片も疑っていないようだ。
先もそうであったが、”生徒を信じる”という事が、無意識にできる…。
そのような人物であるらしい。
これならば、二次創作にて矢鱈と生徒から好かれているのも頷ける…。
…この人が、私の学校にもいたら、何か変わっていたのだろうか。
コガネは言葉に出すことは無く、悲しむでもなく、ただそう思った。
…数十分後。彼女らはヘルメット団の前哨基地と思われる廃墟に居た。
通信越しに奥空アヤネから報告が入る。
『カタカタヘルメット団のアジトがあるとされるエリアに入りました。
半径15km圏内に、敵のシグナルを多数検知…恐らく敵もこちらが来たことに気付いているでしょう。
ここからは実力行使です!』
通信に応えるように、コガネはUIを開き、杖を切り替える。
…コガネの手に現れたのは、”先端に砕けた球体が付いた杖”。
その名を、”ルーサットの輝石杖”。
源流の魔術師の一人、ルーサットが使用していた杖。
消費が大きくなる代わり、魔術への高い適性を持ち、全ての魔術の威力を底上げする。
そしてコガネは、左の手にも異なる杖を出現させた。
それは”持ち手から先端まで全てが輝石にて構成された杖”。
その名を、”アズールの輝石杖”。
源流の魔術師の一人、アズールが使用していた杖。
こちらも消費が大きくなるが、その代わりに魔術の詠唱速度が大幅に早くなる。
消費は元の約1.8倍と、ここまでくるとまともに魔術を扱うことも出来なくなるが…勿論、そこに関しても抜け目はない。
コガネが持つ、瓶…”霊薬の聖杯瓶”。これに配合された”青色の秘雫”により、飲んだ直後から15秒間は消費が無くなる。加えて、”魔力纏いの割れ雫”、これにより、魔術の威力の底上げを。
これらに加え、構成を変えて来たタリスマン、装備…
全てを。これより放つ”一撃”に、全てを捧ぐ。
「…それにしても、随分と奇抜な見た目になったねぇ…」
チラリとこちらを見て、小鳥遊ホシノが呟く。
…まさにその通りで、今のコガネの装いは、これ以上なく目を引くものであった。
頭には、幾重もの布を巻き、その中から一塊の輝石が飛び出した装備…”アズールの輝石頭”。
それ以外の全身は、真っ赤に染まった鎧で全身を隠している。…それ即ち、”羅刹の装備”。
無論、その全てには意味があるが、何も知らぬ者からすればただただ奇抜という感想しか残らないだろう。
「…あまり、気にするな。…そんなことよりも、来たようだぞ」
コガネの指摘した通り、前方からはヘルメットを被った集団がぞろぞろと現れていた。
「くっ…クソッ…!」「いけぇええ!!」
彼女らは、半ば狂気に陥っているようにも見えた。
「来たわね!」
「覚悟してくださいね~♧」
「ん、蹴散らす!」
「…いや、少し待て」
…コガネは、ルーサットの輝石杖を構えた。
ヘルメット団の、無数の足音。周囲の対策委員会からの、布の素れる音。己の心音。風の鳴る音。
…それら全てを搔い潜り、コガネの耳に、確かに届いたのだ。
”結晶を擦るような、或いは、砕けるような音”。
即ち…”魔術の発動音”が。
「!!!」
コガネは見た。
ヘルメット団の眼前、もとい、自分達の眼前の地面に、”淡い輝きを放つ、月の如き冷気の塊”が衝突する寸前を。
コガネは駆け、冷気の塊が地面に接触する寸前に、立ちはだかった。
コガネが杖を振るうと、コガネを中心に”青い光の渦”が出現した。
”トープスの力場”。とある鈍石が編み出した、全く新たなる光。
全ての魔術から隔離したこの魔術は、神の奇跡にすらも通用する。
その効果は”魔術”の消滅。
…冷気の塊は渦に溶け、跡形も無く消え去った。
余りの光景に、両陣から言葉が消えた。
コガネは、その静寂の中、上を見上げる。
そこには、”コガネの最上”が空に浮かび、此方を見下ろしていた。
毛皮のローブ、青白い肌、2対の腕、白い、尖り帽…。
「…何、故」
周囲では、コガネの視線を追うように空を見上げた皆が、かの存在を視界に捉えていた。
「だ、誰?」「…女の子?」「腕が…四つ!?」”あの子は…?”
それらが誰の声であったのか、コガネは聞こえてはいたが、判別は出来なかった。
…彼女が、口を開いた。
「ほう、流石だな。私の王」
「…ラ二」
居るはずのない、コガネにとっての最上が、そこに居た。