いや…ほんとすんません…マジで学校のやつが立て込んでて…。
これは暫く続きそうですので、毎日投稿は出来なくなるでしょうが、ご了承ください。
…ハンドルを握り、緩やかに歩く。
定期的に手を伝わる振動が何とも心地よい。
何ともなしに、荷台に適度な重量を齎している者を見る。
「コガネちゃん、ありがとうございます~!荷台の上ってのも、意外と楽しいですね☆」
荷台の上に、力を抜いた姿勢で腰かける十六夜ノノミ。
「そうか、それなら良かった」
コガネは今、十六夜ノノミを台車に乗せ、校舎の中を歩いていた。
行先は一先ず保健室とし、皆をそちらに運んでいる最中である。
既に黒見セリカ、砂狼シロコ、先生は運び終わっており、故に十六夜ノノミが最後となる。
十六夜ノノミは何時もと変わらず、滲み出し此方に伝わらんほど嬉しそうな笑顔を浮かべている。
…皆、そうだ。普段と何も変わらない。
少なくとも表面上は、皆、そう見える。
だが、本当にそうだろうか?
ラニは…己の為とはいえ、確かに明確な敵意を持ってアビドス高等学校に攻撃を仕掛けていた。
そのような者と居て、皆、本当に何も感じていないのだろうか。
コガネは、若干聞こえてくる鼻歌の大元である十六夜ノノミに、それとなしに質問する。
「…貴公は」
「?はい、なんでしょうか?」
十六夜ノノミは、コガネの顔を見て、これが雑談に済む会話では無いことを直感したらしい。
表情を真剣なものに切り替え、荷台の上にありながら姿勢をある程度正した。
「…ラニは、可愛いか?」
「…え?」
十六夜ノノミは口をぽかんと開き、コガネも回答を待ったので、暫く静寂が漂う。
あの雰囲気の中切り出された話題がアレであったので、その反応も無理はないだろう…。
…意図は、正しく伝わっただろうか。
コガネが不安になっていると、十六夜ノノミはころりと表情を切り替えた。
「はい!!とても可愛いと思いますよ☆」
その返答とその調子から、一先ず安心する。
十六夜ノノミは少なくとも、ラニに対し悪感情を持っている訳ではないようだ。
「…そうか。ならば、良かった」
気を取り直し、手押しの再開をしようとした時、
「コガネちゃん」
…十六夜ノノミから、改めて声をかけられた。
「皆、ラ二さんの事は、悪く思ってはいないと思いますよ?」
「…」
どうやら、コガネの思惑など、簡単に見極められていたらしい。
「そんなに気にしなくても大丈夫です!皆を信じてください!」
…信じても、良いものだろうか。
十六夜ノノミの言葉を最後に、場に残ったのは、再び、台車が定期的に発生する、床の段差を乗り越える際の音だけとなった。
…保健室の扉を開き、十六夜ノノミを荷台より降ろす。
「…んしょっと…はい、ありがとうございました!」
「ああ」
十六夜ノノミは多少フラつきつつも、立ち上がった。
保健室の中には既に、コガネと十六夜ノノミ以外の皆が勢揃いしており、先程までも扉越しに雑談の気配があった。
その内の一人、ベッドに腰かけながら話していた小鳥遊ホシノが、扉の開く音とその先に立つ二人の姿を認めた。
「あ、二人とも、お帰り~。…うへへ…コガネちゅわぁ~ん」
その表情と声音より、コガネは得も言われぬ嫌な予感を感じた…。
「さっきさ~ラ二ちゃんから二人の馴れ初めみたいなの聞いてたんだけど…」
馴れ初め…ラ二の塔に出向き、主従の契約を結んだ時か。
だが、少し考え、本当の初対面はもっと以前だったことを思い出す。
しかし…コガネの記憶通りであればアレは…。
その言葉に何より早く食いついたのは、壁に手をかけながら歩いていた十六夜ノノミであった。
「わあ!お二人の馴れ初めですか!?私も気になります☆」
「…勘弁してくれ…」
「…殆ど全裸で歩いてたって、ほんと~…!?」
どうやら、嫌な予感は的中してしまったらしい。
ラ二との初対面…ゲーム開始直後、エレの教会にて”魔女レナ”という偽名での遭遇がそうであった筈だ。
そして、確か最後の周回では…”全裸縛り”を行っていた筈だ。
最後のエンドシーンのみは何時もの黒き刃装備になっていたが、それ以外は全てを全裸で攻略した…。
その際の記憶が今のラニにあるのだとしたら…。
「…ど、どうして黙り込むのよ!?」
「ま、まままさか…本当、なんですか…!?」
まずい。このままでは私に変な誤解が付与されてしまう…!
コガネは過去の己を呪いつつ、弁明した。
羞恥で震える唇を何とか開き、もたつく舌を操作し、言葉を出す。
「ち、ちちちっちちち違うのだだだっだだだだだ…!?」
「噓でしょ!?!?」
まずい。今のでは肯定してしまったのと同義だ…!
意図せず更に事態を悪化させてしまい、コガネが焦ったのは言うまでもないだろう。
「ん…コガネ…流石に引く…」
砂狼シロコから聞くとは思わなかった単語である。
助け舟を求めて先生を見る。
自分に視線を送られているのと、その意図を察してか、苦笑交じりに話し始めた。
”ま、まぁ…コガネは別の世界から来たらしいし、その世界じゃ別に変じゃなかったんじゃないかな…?”
ありがたい…!
「そ、その通r…」
「いや、そんなことは無いが?」
コガネが肯定しようとした時、すかさずといった調子でラニの否定が入る。
何故???
ラ二は淡々と続ける。
「一応、狭間の地にも服を着ない者は居たが、そういった者は大抵が戦士か闘士、部族か…異常者ぐらいだ」
弁護する気がまるでないな!?
何なら口角が少し上がっているし、時折息の漏れる音が聞こえる…。
間違いなく楽しんでいるであろう。
コガネは叫んだ…。
「違うが!?私は!断じて!異常者ではないが!?」
…コガネの弁明も虚しく、その後のコガネには”裸で歩き回ったことがある人”というイメージが付き纏うことになるのであった…。
数十分後。対策委員会の皆は一先ず、自分で帰路に着けるだけ回復した。
ラニの攻撃により受けた傷は生半可では無かった筈であるが、たったの数時間と数十分でここまで回復するのは通常では考えられない。
流石はキヴォトスの生徒…というものであろう。
最も、コガネがこの結論に至ったのはつい先ほどであるが、それより以前に最たる例である小鳥遊ホシノを見ていたことは言うまでもない。
皆で玄関に来て、それぞれ別れの挨拶と洒落込んだ。
”じゃあ、今日はありがとうね、皆”
先生が言った。
本筋では確か、この時点でアビドス高等学校の借金について知っていた筈である…が、それを今の先生は知らない。
であれば、もうこの学校からの依頼は終わっているので、本来ならばもうこの学校に用はなくなってしまう…。
その事に唐突に気が付き、コガネは不安になる。
先生による支援を継続的に得られなければ、この学校は再び、コガネ…今はラニを含むが…の戦闘力に依存する形態に逆戻りとなってしまう。
…そのようなことを一瞬考えはしたが、それら全ては生まれてから瞬く間に、文字通り水泡に帰した。
”そして…これからよろしく、皆”
そうであった。
コガネは思い直す…。
先生は、こういう大人であった。
そもそも先生は、コガネとラニが齎すという危機と真正面より対峙する姿勢を見せたのだ。
このような所で終わりになろうはずも無い。
…と、ここまで考えて気が付いた。
本筋ではアビドスの借金という留まる理由があったが、その枠がこの世界では”コガネとラニ”になった…恐らくだが、そういう事だろう。
バタフライエフェクト。
過去に戻り少し起きる事象を変えるだけで、その先の未来では大きな変化が齎されている…などの状況に用いられる比喩の表現だ。
信憑性が薄い上、試行回数も少ないが、それが、この世界では適応されない…という事だろうか。
これに関してはコガネの今後の生活も関わってくることではあるので、今後も検証を続ける必要がある…。
コガネは自分で、今の己の”自分らしくなさ”を自覚した。
普段の己は、決してここまで深く考える性質ではなかった。
この変化は、守るものが増えたが故だろうか。
…眼前では、対策委員会の皆と先生のやり取りが繰り広げられている。
「うへぇ、何々?これからも来てくれるの~?」
小鳥遊ホシノは、相変わらずのふにゃりとした調子で。
「いや、先生言ってたでしょ!…コガネを、守ってくれるって。…も、勿論私達も頑張るからねっ!」
黒見セリカは、何時もの雰囲気の中に決意を滲ませ。
「…はい!コガネちゃんは私たちの大切な仲間ですから!」
十六夜ノノミは、ただ仲間を想い。
「その通り。コガネは全裸で歩き回るけど、もう私たちの仲間」
砂狼シロコは、少しの揶揄いを込めて。
「そ、そろそろやめてあげて下さい…でも、そうですね。コガネさんはもう、仲間です…!」
奥空アヤネは、相応しい言葉にて対策委員会の総意を締め括り。
「…お前たちがそこまで言うというのなら、お前たちのことは信じてやってもいいだろう。
そして何より、私の王がいる…もう、あのような泣き言は言わん。信頼を裏切ってくれるなよ?」
ラ二は、対抗する意思を示した。
そして、コガネの番が回ってきたようであった。
自然と、視線はコガネに集まった。
「…ああ。皆、本当にありがとう。…私は今後、何が皆の脅威となろうと、その全てを排する。…無論、皆の手を借りながら、ではあるだろうがな。私は、皆の為に、皆と共に戦おう。」
コガネはUIを開き、レディソードを右手に顕現させた。
そして、とあるジェスチャーを選択した。
…レディソードを、胸の前で縦に構え、姿勢を正す。
「…”剣に誓って”」
そういえば、SEKIROが一応全クリまでいったので、もう一度エルデンリングを最初からやり直そうと思います!今回は魔剣師ビルドで行きますぜ。
…アッ、pixivはこちらになります…。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=29485558