一応学校の課題的なのは落ち着いたので、今後は前よかマシになってると思います。
というか、まだここまでしか進んでないんだな…無駄に細かいところまで描写するせい…?そうかも…。
ラ二を発端とした一連の騒動が一応の終結を見せ、皆が帰路に着いた。
現在校舎に残っているのは、コガネとラニのみである。
今後もラ二は校舎に住み込みとなるのかとコガネは思っていたのだが、依然聞いた通りラ二には一応己の企業がある。
それは、元々はコガネを探し、そして連れ戻すためのものであったが、コガネと合流した今後も続けてゆくつもりらしい。
曰く、「己の目的のために異なる地に根を張り、役割を終えたら即座に発つ…そのようでは、かの意志と同じだからな」…とのことらしい。
故に、今後も夜の校舎は、コガネの独壇場となりそうである。
…ひゅお、と、風が一筋、コガネの頬を撫でた。
現在二人は、校舎の屋上に出ていた。
日中の暑さとは真逆、冷たい風がコガネの肌を刺す。
柵に手をかけ、砂漠の地平を眺める。
今宵は月が出ていない。
故に星が良く見え、以前の月空とはまた異なる様相を見せた。
横を見れば、同じく柵に二本の手をかけ、目を細めて遠くを見るラニが居た。
…ふと思い立ち、コガネはラニに質問する。
「…そういえば、なのだが…お前の会社の名前は、何というのだ?」
ラニが起業をしたという事は聞いていたが、その名前は聞いていなかった。
今後も付き合いは当然あるであろうし、単純にラニの付ける名前に興味もあったので、聞くこととした。
「ああ…確かに、言っていなかったな」
ラ二は一時景色より目を離し、コガネに移した。
翠緑の瞳に、微かにだが、星屑たちが映る。
「私の企業、その名は、”Luna Obscura”。…安直やもしれんが、私の月たる”暗月”の意だ」
「ルーナ・オブスクーラ…」
コガネはスマートフォンを取り出し、意味を調べた。
「…成程、”暗い月”、”隠された月”、か」
「ああ。…説得力を出すため、此方の言語のひとつを用いた。他の者に聞いたのだが、これで社名としては違和感はないらしいようだからな、社名はこれで通している」
星の世紀エンドは、エルデンリングを遥か彼方の夜空に持ち出し、全てから遠く離れるという内容であった。
Luna obscuraは、天文学的に光を失って見えなくなっている状態の月…を指すらしい。
ラニがそこまで意識しているのかは分からないが、そういった意味でもピッタリな社名だと言えるだろう。
ラニは説明を続ける。
「…主に我が社では、私の狭間の地の知識を用い、兵器の開発を行っている」
「狭間の地の知識…というとやはり、魔術か?」
「ああ。勿論それだけではないが、私の持つ魔術の知識、そして技能を、此方の技術と組み合わせて開発を行う形が多い」
そこまで聞いて、コガネは思ったことがある。
「…待て、お前は確か、此方に来てからまだ半年…だったな?」
「そうだが、なんだ?」
「…半年…いや、それよりも短い期間で、此方の技術を修めたのか…?」
「ああ」
「何だと…!?」
コガネは詳しくは知らないが、兵器の開発に必要な技術を修めるのが生半可な事でないことだけは、なんとなくだが分かる。
だが、それもあくまで人間ならの話だ。
ラニは人間ではなく、神。
それも、魔術に特化している神だ。
魔術に最も必要なものは…知力。
知識を修める速度が人を超越していたとしても、何ら不思議ではないのかもしれない…。
というか、それならば知力も99である己にも同じことが出来るのではないか?
…コガネはふとした気付きを得たが、一旦そのことを置いておき、話の続きを聞くことにした。
ラニは続きを話し始めた…が、何やら表情が、先程よりも若干だが曇っている。
「…といっても、未だに実用段階には至っていないのだがな」
…そこまで聞き、コガネは、ヘルメット団の者達の武器は、別に魔術的な要素を持っている訳では無かった事を思い出した。
既に技術が確立されていた場合は、ヘルメット団にも依頼完遂のために、ある程度の支給はあっただろうと思うので、コガネの負担は以前とは比べ物にもならぬものとなっていた事だろう…。
「…ん?ならば、ヘルメット団を雇った金は何処が元手なのだ?」
「あれは…」
ラニが言いかけたところで、静かな夜を切り裂くが如く、電子音が響き渡る。
それはラニの懐より放たれていた。
ラニはあからさまに顔を顰め、大儀そうに懐に手を突っ込み、スマートフォンを取り出した。
「…すまない、社の者からだ」
一体何の用なのだろうと思いつつ、コガネは了承した。
ラニはスマートフォンを耳に当て、此方に背を向け、歩き出した。
スマホを扱うラニというのは、今更ながら己の記憶との齟齬が激しく、少し面白かった。
だが、面白く感じると同時、ラ二は本当に会社を持ったのだと感じさせ…何故だかコガネは、少し寂しく感じた。
…待つ間、コガネはスマホで、ラニの会社について調べていた。
”Luna Obscura"
検索し一番上に出て来た項目をタップしてみるが、全く関係の無いものであった。
少しスクロールすると…それらしき、項目を発見する。
”株式会社・Luna Obscura”。
タップし、ホームページへと跳ぶ。
ホームページは、暗い月を背景に、明朝体で社名が表示されており、意外にも”それっぽい”ものであった。
”銃火器に新たなる光を”
如何にもキヴォトスらしい、物騒な文言も並んでいる。
…その後、ある程度ホームページに目を通した。
その結果分かったのは、この会社は別に、魔術関連の兵器開発のみで収入を得ようとしている訳ではないという事。
どうやら通常の兵器の開発も行っているようでもあり…鑑みるに、恐らくヘルメット団を雇った資金の元手は此方だろう。
また、この会社は”株式会社”。
株式を発行さえすれば、株主より開発のための資金を集められる。
それを元手に開発を行っているのだろうが…如何せんまだ成果は出ていないらしい。
企業してからそれ程経ってもいない企業なので、株式による資金が順調に集まらない可能性もあるだろうが…
何故やら、どうにもそれだけでない気もした。
…コガネがホームページ見てから暫く経った後、ラニが溜息を吐きながら戻って来た。
「はぁ…すまない、私の王。どうやらもう帰らなければならないらしい…」
一体電話で何を話したのか、忌々し気にスマホを仕舞いながらラ二は言った。
「そうなのか…?それは、何故?」
「少々厄介ごとが社で起きたらしくてな、社長の私でないと解決出来ないらしい」
ラ二は「かの意志が何故狭間の地を捨てたのか、何故だか分かる気がするよ…」と零し、コガネに背を向ける。
コガネが寂しさを抑え、別れを告げようと思ったとき、ラ二は思い出したようにくるりと振り返り、コガネに何かを手渡した。
「…私はこういう者だ。…確か、こうだったか?」
それは、社長としてのラ二の情報が刻まれた、名刺…であった。
…コガネの脳裏に、文章が浮かぶ。
ラ二の名刺
株式会社・Luna Obscuraの社長たるラ二の名刺。
社長としてのラ二の情報が、この一枚に纏められている。
名刺には僅かに冷たさが宿り、ラ二の王ならば、握るのみで力を得られるだろう。
名刺とは本来、初対面の相手に己の情報を開示し、話を円滑に進める為のものである。
だがこの名刺にそのような意図はなく、ラ二はどうやらこれを親愛の示しとしたようだ。
だが、もはや二人の間にはそのような事すら必要はないだろう。
…脳裏に文章が浮かぶのは久しぶりであったが、以前にも同じ経験はあったので、左程驚きはしなかった。
ただ、ラ二より貰った、説明通り冷たさが残る名刺を懐に入れると、ラ二に向き直った。
「あぁ…ありがとう。ラ二。大事にさせていただく」
ラニは微笑むと、可笑しそうに言った。
「ふふっ、名刺を、か?やはりお前は奇人だな」
ラニの体が、白い粒子に溶けていく。
本編でもよく見た、魂のみが故の瞬間移動である。
完全に溶ける前に、ラニは残っている口元で呟いた。
「だが、嬉しいよ。…では、また」
冷たく淡い別れを残し、ラニの姿は夜空に溶けていった。
…朝、コガネは対策委員会の部室に居た。
黒見セリカ以外の皆も既に集まっており、概ね何時もの面子となっている。
コガネはその中、昨夜に知ったラニの企業のことを皆に共有していた。
スマホにホームページを表示し、机に置く。
また、貰った名刺も並べて置いた。
「”株式会社・Luna Obscura”。これがラニの会社だ」
皆が机に乗り出し、ホームページをまじまじと見る。
「お~、本当に社長さんだったんだ」
「そうですね。疑っていた訳ではないんですが、こうして実際に見てみると…実感するというか…」
「”銃火器に新たなる光を”…上手くいったら、私達にも譲ってもらおう」
「ああ。まぁ、ラニの事だから、私たちが最優先になるとは思うぞ」
「そうですね、コガネちゃん、愛されてますもんね☆」
皆が思い思いの感想を言い…約一名が別に対しての感想だった気がするが、一旦置いておこう。
…と、新たな会話の花が咲こうというときに、部室の扉が開かれた。
そこには、相も変わらず少し砂が付着したスーツを着た、先生が居た。
”やあみんな、おはよう。…お邪魔だったかな?”
先生は、コガネ達が会話をしていたところを見て、少し申し訳のなさそうな表情をした。
「い、いえ、そんなことは無いです。おはようございます、先生」
「おはようございます~!今日もいらしてくれて、嬉しいです!」
「うへ~、おはよう~先生。ちゃんと来れたみたいで、おじさん安心したよ~」
「おはよう、先生。昨日みたいに行き倒れてないか、不安だった」
「清々しき朝だな、先生よ。…まぁ、服の汚れを見るに、少し迷いかけてはいそうだがな」
”あはは…実際そうだから何も言い返せない…あ、そうだ”
先生は何かを思い出したようだ。
”今日、来る途中セリカに会ったよ”
…この時点で、読者の皆様は察しているだろう。
今が本筋でいう、セリカ誘拐の地点だという事を。
だが…コガネは知らなかった。
コガネは、確かに今までに関しては本筋の知識を、多少なりとも持っていた。
それはコガネが、フロムゲーの合間に、ブルーアーカイブのアニメ版を少し見ていたからだ。
だが、それでも結局は時間が取れず、コガネは、最初の一話しかまともに見れていない。
というのも、コガネはフロムゲー以外の娯楽は二の次にしており、本当に暇な時にしか見てはいなかったのだ。
…そう、コガネは一話しかまともには見ていないのだ。
続く二話目も、途中で止まってしまっている。
故にコガネは、これより起きることも、知らない。
「そうか…。セリカは、なんと?」
最後の方はちょっと無理矢理な部分もあったかと思ったけど、確認した限りでは不自然な部分は無かったからOK…の筈…。
pixivはこちらになります…。
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