この先、ネタバレがあるぞ(エルデンリングの)(言うの遅い)
ぐっ…!小説を書けば絵が描けねぇ…!絵を描いたら小説が書けねぇ…!どっちもとったらエルデンが出来ねぇ…!()どうすればいいんだ…!!
ブライヴは、重々しく口を開く。
それまでの少しの沈黙。彼女らが黙っていた僅かな時間。常となる、換気扇の音のみが空間を満たしていた。
「…俺は、もう察しているだろうが、
「俺は、狭間の地の住民だ。そして、その落葉コガネも…またそうだ」
そこまでは、黒見セリカにも予想出来た。
といっても、落葉コガネが自ら打ち明けていたので、ブライヴが言わずとも分かってはいたのだが。
黒見セリカにとって未知なのは、これからの話。
「俺はそこで…」
ブライヴは文を区切り、顎に手を当て、何やら考え始めた。
「…神…の候補のような者に仕えていた」
「神!?」
黒見セリカは黙って聞いているつもりであったが、日常とはあまりにかけ離れた単語が唐突に出て来たもので、思わず口を挟んだ。
「なんだ、そこまで驚く事か?」
「いや…えーと…狭間の地って…神とかがいる世界なの…?」
叫んだ後で冷静さを取り戻した黒見セリカは、一先ずそう問うた。
”神とか”、が表す事柄については、もはや言うまでもないだろう。
ブライヴは言われて、目を見開いて驚いた。
「…そうだが。…この世界には居ないのか?…という事は、律もか」
”律”が何を表すのか。この時の黒見セリカには分からなかった。
ブライヴは信じられぬとばかりに呆気に取られ、額に手を当てた。
そして、重々しく溜息を吐く。
「…はぁ。此方に来てから、驚いてばかりな気もするな」
それは自分にこそ当てはまると黒見セリカは思ったが、向こうは別の世界の住民であり、常識や認識が異なるのも当然。
その事に両者とも気付いていたため、その時点で深く追及はしなかった。
少なくとも今は、もっと話すべき事がある。
ブライヴが気を取り直したのを見計らい、黒見セリカは続きを促した。
「…俺が仕える主の名は、月の王女、ラニ。俺はその義弟にして、影従だった」
またもや、知らぬ単語の渋滞。
これからも続くのだろうと思うと頭が痛くなった。
「俺の他にも、三人がラニに仕えていた。軍師、イジー。魔術教授、セルブス。そして最後の一人が…落葉コガネだ」
知らぬ単語の中から、今度は知っている単語…というより名前が唐突に紛れ、黒見セリカは面食らう。
「ちょっと待って!?じゃあアンタ達って知り合いだったの!?」
「ああ」
「じゃ、じゃあなんで」
来るのを止める必要が…と黒見セリカは言いかけたが、ブライヴの顔を見て、思わず言葉を飲み込んだ。
唇に皴が寄り、外見からのみでも何かを噛み締めている…或いは、”噛み潰そうとしている”事が分かった。
「…俺は元々、”大いなる意志”と呼ばれる者…正確には、その部下である”二本指”からラニに贈られた護衛…いや、監視だった」
「監視…」
「ああ。監視だ。ラニが大いなる意志への反逆を企てた際に始末するための、な」
”始末”。それはこの世界では聞き慣れぬ、というよりは、言うも聞くもあってはならぬ単語であった。
黒見セリカが息を呑むのを感じたであろうブライヴは、また一つ、この世界と己の差異を見た。
「俺はラニを裏切るつもりなど、毛頭なかった。…だが、俺の
…話と場が着々と、不穏な空気に満ちていく。
それを黒見セリカはハッキリと感じ取り、これ以上聞きたくないとさえ思いかけた。
「…俺は、抗った。己の運命に。ラニの味方でありつづけようと、死力を尽くした筈だった」
…ブライヴは俯き気味になりながら、後悔ともつかぬ影を表情に落とした。
「…イジ爺の兜は確か、大いなる意志の干渉を跳ね退けることが出来たのだったか。意志の力を過信せず、最初からイジ爺に頼っていれば、或いは…」
ブライヴはもはや、黒見セリカのことを見てはいなかった。それはただの、独白だった。
「…あぁ、いや、駄目だったな。俺の場合は、深く根付きすぎているのだったか。…真っ向から信じられないのは、中々堪えたが」
「…悪い、古い思いに浸りすぎたな」
ブライヴは漸く黒見セリカのことを思い出したのか、自嘲するように言う。
黒見セリカは、元々知らない単語ばかりであるため、特に気にはしていなかった。
「…別に、良いわよ」
「そうか…。…ある時だ。ある時、俺の意識は、荒波の中に放り込まれた」
…ブライヴは、まるで己が大罪を自白するかのように、俯いた。
「浮き沈みを繰り返し、段々と俺の意識は曖昧なものへとなっていった。…もはや、俺は自分が何をしているのかもハッキリと知ってはいなかったんだ」
「最後に見たのは…アイツが、落葉コガネが、俺の腹を剣で貫く場面だ」
黒見セリカは目を見開き、ブライヴの目を凝視する。
「それって…こ、ころ、された…って、こと…?」
黒見セリカは恐る恐ると言った様子で聞く。
この世界において、死は禁忌なのだ。
「…そうだな。だがあれは、仕方がなかった事だ。俺はもはや自分の行動も把握できていなかったし、いつ完全に遺志を失うか分からなかった。…いや、或いは、もう既に失っていたのかもしれないな」
…黒見セリカは暫しの間絶句する。
ブライヴの口から語られた真実は、黒見セリカの予想を遥かに超えていた。
ただ一つ、聞いておきたいことがあった。
いや…聞いておきたい、というよりも、確認したい、のほうが正確であろう。
何せ、この予想が当たった場合、少なくともそれは、彼女は悲劇と認識する事なのだから。
「…アンタと、コガネって…仲は、良かったの?」
「…そうだな。あまり多くの口を利いてくれた奴では無かったが…悪くは、無かったと思うぞ」
「…そう、なんだ。え、えーと…」
黒見セリカは、ブライヴに何かを言おうと努めたが、どうしても言葉は出てこなかった。
その様子を見計らったのか、ブライヴは
「…それで、何故俺が落葉コガネを殺そうとするのか、だったな」
と、話を本筋に引き戻した。
黒見セリカは「そ、そうよ!話が壮大すぎて忘れてたけど、元々はその話だった!」と、何故か赤面しながら言った。
それにより、緊張し切り、影さえも落ちていた雰囲気が、多少は弛緩したのを感じれた。
その様子を見てブライヴは、微笑ましいものを見るように口角を僅かに上げ、そのままの状態で話を続けた。
「フッ…ああ、そのようだな。…俺は、未だに大いなる意志の支配より逃れられていないらしい」
表情や調子と言葉の落差が激しく、黒見セリカは狼狽する。
「それって…」
「ああ。先程、俺に起きた異変…あれは恐らく、大いなる意志の干渉によるものだ」
「そして、俺が干渉を受け始めたのは”落葉コガネ”の名を聞いた時…恐らくだが、今回大いなる意志の標的となっているのは、ラニではなく…」
「コガネ…」
ああ、とブライヴは続けた。
なお、この時のブライヴは、ラ二がとうの昔にキヴォトスに到来していることなど、当然に知り得ない。
「だから…俺が落葉コガネを遠ざけるのは、つまりそういう事だ」
「…」
黒見セリカは再び黙る。
…あまりの、真実。
コガネとブライヴ、両者とも会ったばかりとはいえ、黒見セリカには、無感動でいることなど到底出来なかった。
幾度目かの、暫しの沈黙の通過。
沈黙を過ぎたものとしたのは、ブライヴの言葉。
だがそれは黒見セリカが心の何処かで求めていたものではなく、ただの願いの後付けであった。
「…あとだな、出来るなら、俺の事を伝えるのもやめてくれ。奴の事だ、どうせすぐに飛んでくるに決まっている…」
…その後、黒見セリカは結局、ブライヴの願いを承諾した。
理由の候補はいくつかあるが、最も大きなものは…コガネとブライヴに、双方に、傷ついてほしくなかったからであろう。
…だからこそ、今の彼女の絶望は計り知れない。
あれから、コガネとも、ブライヴとも交流を重ねたのだ。
事実を述べるならば、此度の事案は誰のせいでもない。
だが、そのような事実という名の”詭弁”は、黒見セリカにとっては正にそうであるとしか映らず…
故に、己に不足を求めたのだ。
刹那に流れた走馬灯。
だが、そこに打開策は無く、ただコガネを中心とする赤い染みが広がるのみであった。
「出血が止まらない…!どうにか、塞がないと…ッ!」
黒見セリカと向かい合う形でしゃがみ込む奥空アヤネが、悲鳴を抑えつつ、だが悲鳴混じりに言った。
言われてより、漸く現実に意識を引き戻した黒見セリカは、自分の上着を脱ぎつつ言う。
「こ、これ、使って。何もないよりは…ッ!コガネ!」
黒見セリカは上着を奥空アヤネに手渡しつつ、コガネが手を無理に動かそうとし呻く様を見た。
「駄目です!無理に動いては…ぇ」
奥空アヤネが言葉を切ったのは、コガネの右掌に、”緋色の輝きを纏う瓶”が握られているのを認めたため。
…コガネは、痛みが苦手である。
痛みが苦手でない人間など少数派であろうが、コガネの場合は特に。
更に、此度の傷は尋常ではなく、それこそ命に関わる程のものであり、コガネの意識は度々飛びそうになった。
だが、コガネは精神力のステータスも99である。
これは本来、魔術や戦技の使用可能回数に影響する数値だが、付随効果として発狂や睡眠への耐性、正気耐性を微増させる効果がある。
故に意識は無情にも飛ばず、コガネを苦痛に縫い付けていた。
…激痛の中、コガネは呻くのみしかできず、痛み以外の思考は全くできなかった。
故に気が付くのに時間がかかったが…コガネは、己には回復手段がある事を思い出した。
その名を”緋雫の聖杯瓶”。
エルデンリングにおける最もメジャーな回復手段の一つであり、生命力に満ちた瓶である。
この世界でまともにダメージを負うことが今まで無かったため使う機会が一切なかった物だが、今ほど使い時として適した時は無いだろう。
コガネは、激痛という名の茨の中をかき分けるように念じ、右手に聖杯瓶を出現させた。
周囲より制止の声が聞こえた気もしたが、コガネは止まらず、腕を死に物狂いで上げ、聖杯瓶の口を自身の口元に近づけた。
…瓶を傾けると、緋色に輝く雫が、コガネの口に流れ込む。
噎せるやに思われた量だったが、不思議とすんなり喉を通り過ぎ、飲み込めた。
…嘗て黄金樹より零れ落ちた、生命力に満ちた雫。
それはコガネの傷に、緋色の光を伴いつつ纏わりつき、染み込んだ。
その瞬間、周囲が息を呑むのが、激痛の中に居た筈のコガネにすらハッキリと分かった。
明らかに致命的なまでの大きな傷が。コガネの胸部に走った赤く太い線が。緋色の光に包まれる。
「えっ…えっ?」
奥空アヤネが、その光景を茫然と見守る。
「こ、がね…?」
黒見セリカが、何やら期待を込めたような視線を向ける。
緋色の光は、期待に応えるべくかはいざ知れず、だが輝きを増し…そして晴れた。
輝きの根底に居たコガネの傷は…綺麗に塞がっていた。
「ッ!ハァ…ハァッ…!…フゥ」
激痛より急に解放され、落差にコガネは息を切らす。
むくりと体を起こすとすぐ前に、茫然と目を見開く黒見セリカの顔があった。
「…セリカか。すまない、迷惑を…っ?」
ふとコガネは、すっかり冷え切っていた掌を包むように、湿り気と
手元を見ると、どうやら、黒見セリカがコガネの手を両の手で包んでいるらしいことが分かった。
「セリカ…?」
恐る恐る問う。
「…あっ!ち、違うわっよ今のは!?」
「落ち着け、文章がおかしくなっているぞ…」
どうやら黒見セリカ本人からしても想定外の行為だったらしく、コガネが声をかけると顔を赤くしつつ慌てて離した。
その時、今度はコガネの背後より声を掛けられる。
「こ、コガネ…さん…?」
震え混じりの、細い声。
コガネは振り向くと、目を見開く奥空アヤネの表情を視界に認めた。
まるで、死者が蘇った様を目の前に見たかの如く、驚きと困惑、だが何よりの安心が入り混じった、そんな表情。
「おお、アヤネも居たのか。すまなかった、私の不徳のせいで迷惑をかけてしまったな」
コガネは頭を下げ、奥空アヤネにも謝罪した。
奥空アヤネは一度、息を大きく吸い込むと、口角を上げて見せた。
「…言いたいことは沢山ありますが、今はやめておきましょう。それよりも…コガネさん、貴女が死なないでくれて、本当に良かったです」
言い切ってから、奥空アヤネの頬を、一筋の涙が綺麗に伝う。
その言葉と様から、どうやら己は相当に心配させてしまったようだとコガネは気が付く。
そこまで心配されるというのも、存外悪い気は左程しなかったが…
それでもコガネには、己の大切な者に心配をかけるのは看過できなかった。
故にコガネは再び謝罪に移ろうと…
「…ちょっと!…ったく、今からアンタがすることなんて私にも分かるわよ」
…した所で、黒見セリカによる制止が入る。
「謝るのは別に良いけど…今は違うでしょ?」
コガネは、黒見セリカが何を言わんとしているのか、少し考えた末に決に至る。
「…成程、謝罪など後にして、早急に収拾を付けよということか」
「は!?」
コガネが余りにも的外れな答えを述べたもので、黒見セリカは思わずと言った様子で大の疑問符を飛ばす。
コガネはその事に気付かず、回復したことを良い事に、柴関ラーメンの店内へと再び駆け込む。
その際に一度振り返り、こう言った。
「…ああ、一応、言っておくか。背中を押してくれて…それと、私を気にかけてくれて、ありがとう」
「ッ…」
…どうやら、意図こそ正しく伝わってはいなかったようだが、そもそも言う必要が無かったらしい。
以前のコガネならいざ知れず、と言ったところだが。
右手に何やら、”光を反射する鏡の兜”を顕現させ、コガネは店内へと飛び込んだ。
エルデンに装備を手元に出す機能はありませんでしたが、D(弟)とかに装備を渡せてたので、可能ではあるのかなって思いました。
ラニって入力するときにニ(カタカナ)が二(漢数字)に偶になっちゃう…
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