黄金のアーカイブ   作:寿司神 寿司丸

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二話目です。
溢れ出るッ!インスピレーションがッ!止まら止まら止まらないわよ!


『夜中の暁』

…新しい名前を得た彼女は、一先ずこれからの行動を決めることとした。

 

立ち上がったばっかりではあるが、改めて腰を下ろし、地面を睨みつけた。

 

カタカタヘルメット団がアビドスに敗北していた…という事から鑑みるに、今が対策委員会編の第一章辺りの時間…

 

だと彼女は予想したが、実を言うと彼女は、この考察に関してそこまで自身が無い。

 

というのも、コガネは”ブルーアーカイブ”に関しては自分でプレイしたことが無く、故に知識が足りない。

 

コガネはただ、二次創作を見漁っていたのみである。

 

時間が合っている場合はこれからの行動を決める上で役立つであろうが、逆に間違った認識のまま行動した場合は気付かぬ間に大きな地雷を踏みぬく危険性がある。

 

それこそ、エルデンリング初見時、NPCのイベントを気付かぬ間に詰ませていた時のように。

 

コガネはそれを防ぐため、まずはこの世界の本来の時間を確認する必要があると判断した。

 

そのためにすべきは…対策委員会との接触。そう、コガネは判断した。

 

対策委員会、アビドス高等学校の廃校を食い止めるため、奮闘する委員会。

 

彼女らとの接触により、最も手早く現在の状況について把握可能だ、と意気込み、コガネは再び立ち上がった。

 

現在の時間によっては対策委員会が存在しない可能性もあるが、それはそれで現在時期を察する材料になる。

 

コガネは口に混じった砂を一息で吹き出し、影が差し始めた砂の街を歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

…数時間後。辺りはすっかり暗くなり、薄らに落ちる月光のみが、コガネの視界を明らかなものとしていた。

 

そして、コガネは闇の中を彷徨っていた。その歩みは、砂嵐にまかれていた時のようにあやふやであり…。

 

…とどのつまり…迷子である。

 

無理もない。ブルーアーカイブ本編でも、町中で遭難する危険もあると言われるほどに、アビドス自治区は広大。

 

そんな中で一つの校舎を探すのは…正に砂漠の中で米粒を探すようなもの。

 

もはや見つけたところで全員帰っているであろう時間になってしまったが、それでも止まるわけにはいかない。

 

その理由も単純に、止まったところで意味がないからである。

 

コガネは己の無計画さを呪っていた。

 

いや、対策委員会に敗れたカタカタヘルメット団が居たのだから、近くに校舎がある、と一応考えてはいたのだが。

 

…現実逃避気味に歩きながら考えていると、ふと気が付いた。

 

コガネはキヴォトスに来てから一度も栄養を補給していない。

 

にも関わらず、空腹のような虚脱感を一度も感じていない。

 

…褪せ人は、ゲーム上で一切食物を食べずとも問題は無かった。

 

その性質をそのまま受け継いでいるのだろうか…。

 

腹が減ったなら、所持している湯でエビでも食べようと考えていたが、少なくともコガネにとっては嬉しい誤算であった。

 

…もう、考える事が尽きてしまった。彼女が考え事をするのには、精神安定の意味がある。

 

不測の事態に陥った時、お先に闇が差したとき、何かを考えていることで、絶望を抑える。

 

それが彼女のやり方である。

 

この時のコガネは、冗談では済まないパニック状態であった。

 

その中でかけられたその声は、正しく鶴の一声であったろう。

 

 

 

「…ねぇ、そこの君、ちょっといいかな~」

 

 

 

…ゆっくりと振り向く。薄い桃色の長髪、右目が黄色で、左目が青い。小柄な体躯。背中には、その体躯を覆うほどの盾。そして、ショットガン。

 

…アビドス廃校対策委員会、小鳥遊ホシノ。正しく、そうであった。

 

恐らくは夜中のパトロール中であったのだろう。彼女は寝る間も惜しみ、アビドスを守るために奮闘している。

 

…小鳥遊ホシノは口調こそ朗らかだが、その声音には疑心、そして警戒が滲んでいた。

 

言うまでもなく、コガネは小鳥遊ホシノの”素”、そして過去を知っている。

 

故に自分が警戒されていることを悟るのは容易であった。

 

「こんな時間にそんな恰好で…一体何をしていたのかな?」

 

凄まじき重圧(プレッシャー)。

 

それは小鳥遊ホシノの力を知っているからこそ感じるものだった。

 

「…貴公、もしやここの住民か?であるならば、どこか留まれる場所を知らぬか?」

 

「…うへ?」

 

「いやな、信じられぬであろうが、目覚めたら砂嵐の中に居て…私にも何が何だか分からぬのだ」

 

コガネは正直に話すことにした。小鳥遊ホシノは、確かに人一倍警戒心が強いが、それでも記憶喪失の砂狼シロコを匿うなど、優しい一面もある。

 

…故に、コガネはそれに賭けることにした。

 

というのも、正直コガネは、もしも戦いになったとして、小鳥遊ホシノに勝てるかどうかはかなり怪しいと考えていた。

 

ご存じの通り、小鳥遊ホシノはキヴォトス最高の神秘にして、キヴォトスにおける最強格の一人である。

 

二次創作のみとはいえ、小鳥遊ホシノの圧倒的実力はコガネにも強く印象に残っていたのだ。

 

「目覚める以前の記憶もなく…いや、己が何者であるかは覚えておるのだが…」

 

小鳥遊ホシノは暫く黙って聞いていたが、そこで口を挟んだ。

 

「…君が何者か?うへ~、良かったら教えてもらえないかな?」

 

「…狭間の地、と呼ばれる所にて、王を目指していた」

 

「なんて?」

 

「だから、狭間の地で王を目指していた」

 

「…う、うへー…そもそも狭間の地って…?」

 

小鳥遊ホシノは、流石に予想外とばかりに狼狽していた。

 

無理もない。小鳥遊ホシノにとっては到底知り得ない用語の大渋滞だ。

 

コガネは敢えてそう言った面での配慮をせず、この場での会話の主導権を握るつもりであった。

 

「あぁ、私も欠片程度にしか知らぬが、何やら生と死の狭間にあるからそう呼ばれるようになったらしい」

 

「…そ、そっかぁ…ちょっと頭痛くなってきたから、もういいよ…」

 

「そうか。…して、留まれるような場所は何処かに無いだろうか?教えて貰えると助かるのだが…」

 

コガネはここを好機と捉え、話を戻そうとした。

 

「あー、うん。留まれる所ね…。うーん…」

 

どうやらコガネの目論見は成功したようで、小鳥遊ホシノはもはや警戒する気も失せたのか、コガネの居場所を考えてくれているようだ。

 

コガネは対策委員会の事についても、当初の目的であるため聞きたかったが、一応はキヴォトスに対する知識は無いという設定なので、やめておいた。

 

…が、その後に小鳥遊ホシノから放たれた言葉は、コガネの想像を超えていた。

 

 

 

「…うへ~、それならさ。君ぃ、ウチの生徒にならない?」

 

 

 

「…ウチ、とは?」

 

彼女の背景を知った上で聞けば、『ウチ』が何処の事かは容易に想像できたし、その上で驚いていたが、表面上では冷静を保ち聞き返した。

 

「うへ、そもそもここはアビドス自治区って言うんだけどね、おじさんはそこの学校…”アビドス高等学校”に通っててね~。君が来てくれるなら、おじさんも嬉しいしさ~?」

 

「うーむ…とはいえ、何故見ず知らずの相手を誘うのだ…?」

 

「…いやねぇ、ウチの学校は正直、生徒の数が圧倒的に足りてなくてねぇ…少しでも欲しい、っていうのが半分と…」

 

「半分…」

 

「うん、半分。後は…。…実は、前に似たようなことがあってね~…記憶喪失の子を生徒として迎え入れたことがあったんだよね。今回も、それと同じ…って感じだよ~」

 

…そう、小鳥遊ホシノは、優しいのだ。

 

先も述べたが、小鳥遊ホシノは、記憶喪失の砂狼シロコを匿い…そして生徒として迎えている。

 

今回のコガネも、実質的には当時の砂狼シロコと同様の立ち位置…放っておくことが出来なかった。

 

コガネは小鳥遊ホシノの、その警戒心と疑心が大きく印象付けられていたため驚いたが、この誘いもある意味では当然であった。

 

「…本当に、良いのか?私の装いはどうやら、この地では異質なもののようだし…それに、先の貴公の反応を見るに、今の私は相当に得体が知れない…そうであろう?」

 

「…まぁ、正直に言っちゃうとそうだね~。だから、もし来てくれるってなったら…暫くは、その、警戒させてもうかもしれないけど~…ま、君が本当に何かする気でも…うへぇ、おじさんこれでも結構腕には自信があるからさ?」

 

「…そう、か…。…すまない、少し考えさせてくれ」

 

「うん。いいよ~。無理にお願いするつもりはないからね~」

 

…とてもバスジャック+拉致を提案する人物とは思えない言動だな。

 

コガネは思考に入る。

 

…この誘い、受けてもいいのではないかと思ったが、何より決定の障害となるのは『アビドス高等学校の借金』であった。

 

この先、元の世界に帰る事を考えないのならば、アビドス高等学校でこの先過ごすこととなる。

 

その間、ずっと借金返済に追われるというのは…流石に憚られる。

 

が、彼女の好意、優しさを無碍にする、というのも…それ以上に憚られた。

 

…長考、熟考の末に、コガネは答えた。

 

「…分かった。貴公の誘いに、有難く乗せてもらうこととする」

 

借金問題については、この先、或いは既に来ているであろう”先生”の助けを受けられるのならばどうとでもなるであろうし、何より、小鳥遊ホシノの優しさに感動した…というのが、主な理由である。

 

「本当!?うへぇ…やった~新しい後輩だよぉ~!」

 

小鳥遊ホシノは心の底から嬉しそうに、その場でくるりと回ると、コガネに抱き着いた。

 

「き、貴公…どうした?」

 

「うへへ、新しい後輩ができるって思ったら嬉しくてね~」

 

「そうか…所でなのだが、貴公、名は何という?」

 

そう言えば聞いていなかったなと思い、コガネは抱き着かれたまま聞いた。

 

「あ…そういえば言ってなかったね…って、君の名前も聞いてないね!?」

 

「あぁ、そうであったな…では、まずは私から…」

 

小鳥遊ホシノが一度コガネから離れると、コガネはここで新たに得た名前を、初めて人に名乗った。

 

「私の名は落葉コガネ。貴公は?」

 

「うへ、コガネちゃんかぁ~…おじさんは小鳥遊ホシノだよ~。コガネちゃん、これからよろしくねぇ~」

 

言うと、小鳥遊ホシノは再びコガネに抱き着いた。

 

「…ああ、よろしく頼もう。ホシノよ。」

 




実際にホシノがこういう事をするかとかは突っ込まないでください
…我は…エアプだ…
アッpixivはこちらになります…。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=29361089
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