黄金のアーカイブ   作:寿司神 寿司丸

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六話目です。
コガネちゃんTUEEEEEEEEEEEE回です。


『蹂躙、そして暗躍』

「歓迎してやろう」

 

コガネが言うと、当然というべきか、対策委員会の皆は目を見開き、少なからず驚いているようだった。

 

「歓迎って…まさか、あの数を一人で相手にする気ですか!?」

 

「ああ」

 

淡々とコガネが告げると、小鳥遊ホシノが立ち上がる。

 

「…流石に、コガネちゃんだけに任せるわけにはいかないよ。確かに資源はカツカツだけど、それでも…」

 

小鳥遊ホシノはショットガンを手に取った。

 

黒見セリカも、砂狼シロコも、十六夜ノノミも各々の武器を取る。

 

奥空アヤネはタブレットを持ち、支援の準備をしている。

 

「…ここのみんなは、そんなことじゃ絶対に諦めない」

 

「ん、諦めの悪さなら、多分アビドスの右に出る者はいない」

 

「か、覚悟は出来てる…!」

 

「…支援の準備、整いました!もう吹っ切れました!やってやりましょう!」

 

「…みんなで、行きましょう!」

 

…コガネは、もう驚かなかった。

 

分かっていたのだ。彼女らがこう答えることなど。

 

大切な場所と、大切な人。

 

これらを守るためならば、彼女らは決して、諦めない。

 

…だが、それでも、彼女らにここで弾丸を使い切らせるわけにはいかない。

 

まだ”先生”が来るにはどれだけかかるか分からない。

 

先生が来さえすれば、弾丸含む資源の不足もある程度は解消されるだろう。

 

…それに、このヘルメット団による大襲撃、恐らく原作の世界線では無かった出来事だろう。

 

そのような事が起きた原因は…十中八九、コガネだ。

 

コガネはそれに薄々と気が付いていた。

 

故に、コガネは…。

 

「…すまない」

 

右手に杖を生じさせたかと思うと、その体を霧のように崩れさせ、その場から消失した。

 

…”ミリアムの消失”。

 

とある魔術教授が編み出した、輝石の霧の中に自らの姿を溶かす、瞬間移動の魔術である。

 

…正確には瞬間移動ではないが、彼女らにはそう見えたであろう。

 

「コガネちゃん!?」

 

「…ッ、皆さん!コガネさんはどうやら、まだ近くにいるようです!今なら…!」

 

「…あの馬鹿っ!待ってなさい!」

 

「…みんな、追いかけよう!」

 

「ん!」

 

…対策委員会の皆が走り出す。

 

それは偏に、陳腐ではあるが…大切なものを守るため。

 

 

 

 

…コガネは走る。

 

全力で玄関まで急ぐ。

 

その間に、ついでに装備を切り替え、これから起こるであろう戦いに備えた。

 

…そして。

 

コガネは玄関からジャンプし、コンクリートの床材の上に膝から着地する。

 

…顔を上げると、校門の向こうには、ぞろぞろとこちらに進行してきている、ヘルメットの集団。

 

「…貴公ら、怪我をしたくなければ、直ちに立ち去るがいい」

 

コガネは言いつつも、その忠告が聞き届けられることが無いことは、言わずもがな悟っていた。

 

そして実際に、ヘルメット団の歩むスピードが緩む様子はない。

 

コガネの出現により少なからずの動揺はしているようだが、それだけだ。

 

…両者の距離が縮む。

 

やがて、ヘルメット団の一人が、銃口を、上げた。

 

それは波紋のように広がり…その波紋より飛沫が立つ。

 

ダダダダダダダダッ!!!

 

無数の弾丸がコガネに飛来する。

 

その時に、確かに誰かの残した、叫び。

 

「コガネちゃん!!」

 

それはコガネのすぐ後ろで響いたが、果たしてコガネ自身に届いていたのか。

 

…コガネの手には、淡く光る鈴が握られていた。

 

チリ~~~ン………

 

次の瞬間、コガネを覆うように白い靄が現れ…それは一つの形を成した。

 

それは、正に岩の如き者であった。

 

…”鍛冶ゴーレム、テウル”。

 

嘗て、最も早く生まれ、最も早くその動きを止めた、最も小さな鍛冶の守護神。

 

その巨体は、コガネに襲い来る無数の弾丸を余すことなく受け止め、弾き飛ばした。

 

「な、なんだアレ!?」「急に出てきた…!?」

 

それは敵陣に、先とは比べ物にならぬ動揺を与えることに成功したようだ。

 

「…貴様らは、私を肯定してくれたこの場所を、彼女らを襲おうとした…決して、許さぬぞ」

 

…比類の無き、決してこれ以上無きと断言する如く憎悪、怒りを、右手に握りしめる、”光り輝く印”に乗せ、放つ。

 

”黄金樹の聖印”。信仰の補正値が最も高く、特定の種の祈禱強化は持たぬが、その分全ての祈禱との相性が良い。

 

…これより放つは、”どの区分にも属さぬ祈祷”。故に、この聖印が最も向いている。

 

コガネは祈る…。

 

「…嵐に座す竜王よ、滅びゆく古き王よ。今こそ、その威容を我に貸し与えよ。…滅びゆく、断末魔を轟かせよ!」

 

…コガネの体が浮き上がる。周囲には赤き雷が迸り、危険な雰囲気を悟ったヘルメット団の団員が銃撃するが、当然、テウルが全て受け止める。

 

「”プラキドサクスの滅び”」

 

瞬間、コガネの頭部を覆うように現れたのは、かの竜王の頭部の似姿。

 

口内より、激しい光を伴い漏れ出たそれは、竜王の滅びゆく断末魔であった。

 

ゴォオオオオオオオォオオオ…!!!

 

…黄金の熱線が、竜王より放たれた。

 

それは薙ぎ払うように放たれ、一度に大勢のヘルメット団を巻き込んだ。

 

「ぎゃあああああ!?!?」「あづいっ!あづああぁ!!」

 

それは凄まじき熱と威力をもって、大半のヘルメット団を一撃にて鎮圧した。

 

以前は、まだ子供である彼女らに傷を残すような方法は使わないようにしていたが…。

 

「…おっと、すまない。加減を誤ってしまった。…まぁ、死にはしないだろう」

 

…コガネは、心にもないことを言う。

 

実際は意図的であった。

 

真意は、その傷を、二度とアビドスに手を出さない、目に見える”戒め”にするべく。

 

コガネは再び聖印を握りしめる。

 

…その時だった。

 

「そこまでです!コガネちゃん!」

 

コガネの手を、誰かが握った。

 

その手を、視界が昇る…。

 

手首、上腕、肩、首…悲しそうな、十六夜ノノミの顔。

 

ハッと、弾かれたようにその背後に視線を上げた。

 

…対策委員会の、皆が、各々の表情で立っていた。

 

小鳥遊ホシノは、苦笑い。黒見セリカは、怒りに顔を歪ませていた。

 

砂狼シロコは、一見冷静のように見えたが、不満が募っていることは容易に見て取れた。

 

奥空アヤネは、十六夜ノノミと同様に…悲しげな表情だった。

 

「…貴公ら…」

 

「…うん、言いたいことは色々あるけど…取り敢えず。…何も言わずに一人突っ走るのは、やめよっか。そういうのは、”私”みたいな、年長者の仕事だからね」

 

小鳥遊ホシノは苦笑いしつつ、己の一人称が元に戻っているのにも気が付いていない様子だった。

 

「…私は、貴公らと違い、戦闘に弾丸を消費する必要が無い。それに貴公らは…既に資源が底を突きかけている。…故に、私が一人で向かうのが、最良だと判断した」

 

コガネは、自分でも良い訳のようだと思いつつ、己が向かうべきだった理由を説いた。

 

「うん、そうかもしれないね…。…でも、私達、心配性だからさ。せめてそれを最初に聞かせてくれたら嬉しかったかなー?」

 

…小鳥遊ホシノはどこまでも理性的に、コガネが間違っている理由を説いた。

 

…それを、貴方が言うのか。

 

この後、対策委員会編が始まり、その終盤にて、誰にも頼らずにただ一人で苦難を背負わんとする、貴方が。

 

「…貴公、その言葉、決して忘れるなよ。己が説いた戒律を…己が侵すことのないように」

 

コガネは気が付いたら言っていた。

 

もう既に、コガネは、己を受け入れてくれた対策委員会の皆を、創作物として見ることは出来なくなっていた。

 

故に、守りたかった。

 

故に、犠牲になってほしくなかった。

 

小鳥遊ホシノは少し黙ると、苦笑いを深めた。

 

「…うん、勿論」

 

「…言質は取ったぞ」

 

「う、うへぇ、どうしたのぉ?おじさんの事がそんなに心配~?」

 

小鳥遊ホシノはいつの間にか、いつもの調子に戻っていた。

 

「…ちょっと!もうそんな場合じゃないっぽいわよ!」

 

黒見セリカが銃を構えつつ言った。

 

その銃口の先は、言わずもがなヘルメット団。

 

どうやら彼女らは、まだ諦めてはいないらしい。

 

未だにある数的有利を活かすべく、陣形を組み直し、特攻を仕掛けるつもりらしい。

 

「…貴公ら、先も見た通りだ。この程度の人数、人員なら、私一人でも十全に対処可能。…だから今は、下がっていてくれないか?この程度の些事で、貴公らの資源を使い切らせたくはないのだ」

 

コガネはテウルを近場に呼び戻しつつ、対策委員会の皆を守るように前に出た。

 

「…そうだね。悔しいけど、どうやらここはコガネちゃんに任せるのが最良そう…。…でも、もし危なそうだったら、いつでもおじさん達を頼ってね~?」

 

小鳥遊ホシノはどうやら、ここはコガネに任せることにしたようだ。

 

他の対策委員会のメンバーも、概ね同意見らしい。悔しさを滲ませつつも、コガネの後ろに移動した。

 

「テウル、期待しているぞ」

 

コガネは視界を覆う岩の巨体に向け、語り掛けた。

 

テウルは何も答えないが、ただ一瞬、背部の核が赤く光ったように見えた。

 

コガネは、今度こそ、聖印を握りしめる。

 

…いつの間にか、彼女の頭には”黄金の蔦が絡まったような冠”が被さっていた。

 

”光の冠”。とある幼き神の頭を飾っていた黄金の冠。とある、ただ一つの祈禱の威力を底上げする効果がある。

 

…コガネは祈る。

 

「最も恐ろしき、魅惑的なる幼き神よ。神として帰還せし其方の力、一時借り受ける。」

 

ヘルメット団の中心に、光の陣が生じる。中にはその時点で、その光が齎す破滅的な結果を予感していた者もいただろう。

 

…右腕を上に掲げ、左腕は横に下げる。独特な構えを取ったコガネは、祈りを続ける。

 

「絶対的なる光を齎し、神滅せよ。”ミケラの光”」

 

コォオオオオ…!!!

 

…それは、正しく神の怒り。天より落つ神の一撃にして、光。そして、落日。

 

光の柱は一瞬にして大半のヘルメット団を包み込み、光の中にその姿を溶かした。

 

その時点で戦意を喪失していれば良かった。いや、正確には、先の攻撃の時点で諦めておれば良かったのだ。

 

光が霧散し、そこにあったのは、意識を失い倒れたヘルメット団の山。

 

そこに、もはや半狂乱になりつつも走る残党が突っ込む。

 

…この祈祷は、未だ完了していない。

 

瞬間、降り注ぐのは”光の雨”。

 

それは一切の容赦なく、走る彼女らを打ち据える。

 

バババババババババババババッ!!

 

「あだッ!?」「ギゥッ」

 

…どうやらその一撃にて、勝敗は決したらしい。

 

眼前に広がる死屍累々に、残った僅かなヘルメット団の団員も戦意を喪失しへたり込んでいる。

 

「…終わったな。ご苦労だった、テウルよ。次も頼むぞ」

 

コガネが鈴を再び鳴らすと、テウルの巨体は、最初からそこには何もなかったかのように霧散した。

 

「さて、終わったz」

 

「コガネさん」

 

「…はい」

 

コガネが振り向いた先に居たのは、笑顔の奥空アヤネ。だが…心なしかその笑顔には、影が落ちているようにも見えた。

 

「お話…しましょうね?」

 

「はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ほう、アレを退けるか。アビドスの対策委員会とやら…存外に侮れぬな。だが…待っていろ。必ず、そこから救い出してやる。それまで辛抱してくれ…”私の王”」




まぁ俺の推しだからね…登場させるしかないよね…
アッ、pixivはこちらになります…
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=29399531
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