【MMOで〇〇作り】配信で作った川に水竜が住み着いた 作:荼枳尼天
165平方メートル、50坪ほどの土地を本拠地と定めたナナイ、石鍬でセコセコと土地を均し、雑草や小石を取り除いていく。
草はそれなりに多く、ナナイも正直辟易し始めていた。
「あー…草多すぎ…何にも使えないくせにー」
独り言多めのナナイでも少しだけ口数が減ってくるほどだ。
学校の教室、3つ分ほどの土地があり、その三分の一ですら弱音が出てきそうになる。
:草が何にも使えないってまじ?
:お前はHowtubeで何を見てきたんだ?
「え?だって燃料ぐらいにしか使えなくね…?」
:乾燥させれば紐作れる
:草ぐらいいくらでもあるし、木の皮よりかは安価に作れる。
:乾燥ラックとか作って置いておけばいいと思うぞ
「…なるほど…」
早速、ナナイは作業の手を止めてから雑草をかき集める。
ナナイの背丈ほどの山になり、流石に苦笑が漏れてしまうが何も全てを紐にする必要も無い。
「…えーっと……あ、ばあ様の畑のアレを作ればいいのかな」
:ばあ様?
:どんな人?
「めっっちゃ厳しい。大地主の女主人なんだけどね?…思い出すと身体震える…ま、まあ、いいや。えーっと…木の棒なら大量にあります」
伐採した3本の樹木に歩いていき、ナナイの背丈ほどに調整して木の棒を切り出す。
片手斧で太い箇所に何回か刃を入れるが明らかに手応えが違う。
2回ほど叩きつけたところで切断できる。
「…やっぱ、完成度が高いと…切りやすい?」
:シンプルに耐久度と攻撃力が上がってる?
:なんでドワーフの癖に武器鑑定持ってないんや…!
:種族差別やめてくださーい
「え?土師族だよね?ドワーフ?」
:え?せやね
:…あ、あのな?土師族ってのはドワーフのことを言うんやで?
「ドワーフドワーフって言うけどさ?まあ、足が遅い種族なのはわかるよ?でも…ドワーフって…なに?」
その時、森に大きく風が吹く。
そして、コメントは爆発した。
:?????
:は?…は?!
:嘘でしょナナイ
:嘘だろ無職
「無職関係ねぇ!!」
この時、リスナー達は本気で困惑していた。
なぜ知らない?なんで?
そして思い至る。
ギャル、型破りのサバイバル、そして妙に回る知識。
こいつ、典型的なギャルで尚且つファンタジーゲーム初心者、なのだと。
:なるほどな
:ホンマに何も知らんのね…
:OKOK
:説明して差し上げよう
:この中の誰かがな!!
決意したのである。
ナナイが知らないと言ったなら知り得る知識で答えようと。
自分のことを父親だと勘違いした不特定多数のヤバい奴らが爆誕した瞬間であった。
:そなたら、簡単に、この子がわかるように説明せよ。
:チッ、自分でやれよ。武器防具作りが得意で小柄で力持ちの種族だ。
:↑サンキューパッパ
:草
:タグで #ドワーフ ってつけてたけど知らない言葉使うのやめようね
「土師族ってドワーフって呼ぶんだろうな、って思って。へへ」
:へへじゃないが
:かわいい
:キュートナナイ
「ありがとう!…へー!ドワーフって…職人の種族…なん、だ〜………農業に有利じゃないんだ…」
その言葉に数人のリスナーは察した。
:いや、【道具作成】はナナイのプレイング上有利だと思うぞ
:道具もなんもかんも自作してるのナナイだけだけどな
:草
:石器時代最強!石器時代最強!
「…そうだよね!道具があってこその農業!!」
この時、リスナーは農業に有利な固有スキルを持つ種族を知っていたが誰も彼も言わないことを選択した。
「…脱線に脱線を繰り返しちゃった。それじゃ、乾燥ラック作っていくぞ!」
手際よく、ナナイの背丈ほどの木の棒を計12本、置かれた樹木から切り取る。
「3本ずつ縛って自立していくようにします…紐のストック全部のせだぁ!!」
作ってあった樹木繊維製の紐を全て使って縛っていく。
そして、作成したラックの支柱を自立させたあと、草を干すための横棒を2本、斧で切り出した。
ナナイの背丈よりも長めの棒を支柱に乗せ、改めて紐を縛って固定すれば、2つの乾燥ラックが完成した。
「これ、稲を干すのにも使う奴だよ。ばあ様の農業手伝ったことあるから知ってんだよねー」
自身の経験を話すナナイ。
草を干そうとするが、手が止まる。
「…どう干s……あ、草で縛ろ」
:自己完結すな
:少しはアイデア出しさせろ
:解決できてえらい
:えらい
草の束を草で縛る。
その束をいくつか作成してからラックに干す。
「よし!これで安価に紐を作れるね!……じゃ、作業に戻りまーす」
ナナイは分かりやすく気分を萎えさせながら作業に戻っていく。
配信結晶は拠点設定された地点の上空に上り、俯瞰視点からナナイを映した。
教室ひとつ分の土地を均すというのは骨が折れる作業のようで、ナナイも苦戦を強いられている。
「石、草、石、石、石石石石ばっか!そろそろ鍬も欠けそうですよ!!」
若干ささくれ立ちながらも作業を進める。
律儀に石をアイテムボックスに入れながら。
「道具の頭にできなさそうなサイズばっか…投げられたら痛そうだけどさあ…」
そのとき、あるリスナーに電流走る
:投石だ
「ん?」
ナナイもそのコメントが目に止まったのか作業を中断して聞き直す。
「投石…って、投げるの?あーしソフトボール投げ苦手よ?」
:ソフトボール投げ来た。久しぶりに聞いたわ
:懐かし
:でも戦う技術は必要でしょ?
「………」
ナナイの脳裏に過ぎるのは初日のデスペナルティ。
「確かに」
即座に同意したナナイは詳細を聞こうと姿勢を正す。
「でも…練習するの?ゲームで?」
:練習が形になる。なぜならゲームだから。
:思い出して、【伐採】スキルはどうやって生えた?
「……あ、伐採した、から。なるほど!」
またしても早く理解を示したナナイ。
「石を投げてればスキルを習得できるかもってこと?」
:Exactly
:かしこい
:賢くてえらい
:かしこくてえろい
:↑ころすぞ
:せめて通報して…
「……セクハラは許さん」
絶対零度の瞳で配信結晶を見つめたあとにわし掴み。
「………」
:ゆるして
:ごめんなさい
:ロリに首絞められてるみたいで興奮しま
:通報しました
ナナイは半目になりながらため息をつく。
「…ネットの人達って変態ばっかなの?」
:そうだよ(そうだよ)
:お、そうだな
:気付いてしまわれたか
:知ってくれてよかった
:認知してくれた
「言い方キモ」
:興奮した(した)
:ネットの民を信用してはならぬ…
そんな掛け合いをしながら、ナナイは作業に戻り石を拾っては大切そうにアイテムボックスに収めていく。
数時間後。
土地を均し終わったナナイのアイテムボックスには以下のアイテムが入れられていた。
【石】×109
【野生の種子】×10
【魔石(未鑑定)】×1
【粘土】×34
ナナイは全ての素材に目を輝かせた。
野生の種子は鑑定してみたものの、果菜と葉茎菜、いわゆる分類しかわからなかった。
魔石に関しては鑑定しなきゃならないことは確定事項として、見た目は透き通った水色の宝石だった。
粘土は、元々ナナイはただのネチャネチャした土だと考えて、回収しようとしていなかったがリスナーの助言で回収することになった。
「100個も石があるんだから練習はいくらでもできるね!」
そう言って、テントの近くで焚いた火の前でジャグリングする。
石と火の粉が宙を舞い、ナナイは目を輝かせた。
「やることがいっぱい!」
感想ありがとうございます!
誤字報告、評価、感想お待ちしております。
改めて、『土人』という表現を使ってしまい申し訳ありませんでした。
これからは言葉がどのような意味を持つか今まで以上に考えて投稿してまいります。