「……ねぇ、ヘラ様、レグナさん。私、今日こそはみんなで楽しく朝ごはんを食べたいって言ったでしょう?」
寸分の狂いもなく超高速再生されたゼウス・ファミリアの新築ホームの前で、メーテリアさんが優しく小首を傾げた。その濁りのない澄んだ瞳が、ヘラ・ファミリアの面々をまっすぐに見つめる。
「だから……お隣のゼウス様たちも一緒に、みんなで朝食をとりましょう?」
「「「「――なっ!?!?!?」」」」
その天使の提案が響いた瞬間、ヘラ・ファミリアの全団員の顔面が光速で引きつった。
それまで「社会的破滅を回避したわ!」と安堵していた最恐の女傑たちが、一斉に泡を食ってメーテリアさんの周りへと群がる。
「だ、駄目よメーテリア! あんな品性の欠片もないドブネズミの脳筋どもと、あなたの清らかな朝を共有するなんて、婚姻の女神の秩序が許さないわ!」
「そうよメーテリア! あいつらと食事をしたら、お皿から何から筋肉の垢で汚染されてしまうわ!」
必死になって止めるヘラ様やレグナ様たち。アルフィアに至っては「あの屑ゼウスの気配は、朝食の味覚を損なう雑音だ。今すぐ粉砕して更地に戻したほうがいい」と、再び手を構える始末である。
そんな姉や先輩たちの激しい拒絶を前に、メーテリアさんは優しく眉を下げ、おっとりとした口調でポツリと呟いた。
「そう……よね。ごめんなさい、私ったらわがままを言って。ゼウス様たちだって、急に私たちみたいな病弱な女の子が押しかけたら、迷惑に思っちゃうわよね……。お勉強の邪魔をしちゃいけないものね……」
メーテリアさんはギュッと胸元で手を握りしめ、寂しそうに視線を地面へと落とした。その儚げで、今にも消えてしまいそうなほど健気な諦めの微笑み。
ドクン……!!!
その瞬間、ヘラ・ファミリアの面々の胸に、世界を滅ぼしかねないレベルの超ド級の【罪悪感(精神攻撃)】が直撃した。
(((((メ、メーテリアを……私たちのせいで、こんなに悲しそうな顔にさせてしまうなんて、私たちはなんて残酷な悪魔の化物なのかしらァァァァッッ!!!!)))))
「――いくわよおおおッッ!! 今すぐ食堂へ突撃よ!!」
レグナ様が形振り構わず絶叫した。速攻、わずか0.1秒での全面的な意見変更である。
「メーテリア、私たちが間違っていたわ! ああ、あいつらだってきっと、あなたとの食事を魂の底から熱望しているはずよ!」
「ええ、あいつらが迷惑そうな顔を一つでもしてみろ。その瞬間に、私がその頭を磨り潰して家畜の肥料にしてあげるわ!」
アルフィアも冷酷なオッドアイをギラリと輝かせ、「妹の笑顔の邪魔をする雑音は、ゼウスごと消去する」と息巻いている。
「ラルゴ君、サイラス君。我がファミリアの至宝(メーテリア)のために、新築のホームを案内なさい。食堂へ直行します」
副団長のメディアルナさんが仮面の奥から冷徹に指示を出し、俺とサイラスさんは冷や汗を流しながら「へ、へい……」と、ヘラ・ファミリアの全軍勢を先導することになった。
「ここが玄関ホールで、あっちが書庫。で、ここが食堂です……」
ラルゴが困惑しながら、ピカピカの食堂の大扉を押し開けた。
バァァァンッッ!!!
「何の用だ、ヘラの蛮族どもがァッッ!!」
「おいおい、さっきホームを爆破したばかりだろ!」
食堂の席についていたマキシム団長をはじめとするゼウス・ファミリアの団員たちが、一斉にガタガタと椅子を鳴らして身構えた。
そこへ、最恐の女帝レグナ様が、完璧な女王の微笑(ただし目の奥は殺意1000%)を浮かべて一歩前に出た。
「我がファミリアの愛しきメーテリアの慈悲により、貴方たち小汚い脳筋どもと一緒に、朝食をとってあげるわ。光栄に思いなさい」
「……はぁ?」
マキシムたちが、一斉に「この世で最も嫌そうな顔」を浮かべて硬直した。
それもそのはずである。俺は席の端っこに避難しながら、心の中で激しくツッコんだ。
(いや、そうなるに決まってるだろ!! 誰がついさっき自分の家を木っ端微塵に爆破したテロリスト連中と、笑顔で仲良く朝食を囲みたいと思うんだよ! 恐怖のバイオレンス朝食会じゃねぇか!!)
ゼウス・ファミリア全体にブーイングの嵐が巻き起こりかけた、まさにその刹那。
メディアルナさんがスッと前に進み出て、冷徹に爆弾を投下した
。
「騒がないでください、筋肉だるま。……今回は特別に、我がファミリアの女性構成員たちが、貴方たちに『手料理』を振る舞ってあげると言っているのです」
ピキィィィン……!!!
食堂の空気が、一瞬にして完全に凍りついた。
一秒、二秒。不自然な静寂。
直後――。
「「「「おおおおおおうッッッッ!!!!! 女性の手料理ィィィィアァァァッッッ(野太い咆哮)!!!!」」」」
地鳴りのような猛烈な雄たけびが食堂を震わせた。さっきまで「嫌そうな顔」をしていた世界最強の怪物たちが、一斉に目を血走らせ、ジョッキや箸を放り投げて大狂喜乱舞し始めたのだ。
「マジかよヘラ様ァッッ!!」
「女の手作りスープが食えるのか! 奇跡だ、千年に一度の神話の顕現だァァァッ!!」
「お前ら今すぐテーブルを磨け! 埃一粒でも残したら首を刎ねるぞ!!」
驚異的な手のひら返しで、嬉し涙を流しながら床や机を神速で掃除し始める先輩たち。
あまりの異常な狂乱ぶりに、ラルゴは完全に引いた目で彼らを見つめ、隣に立つサイラスさんへ恐る恐る疑問を投げかけた。
「……ねぇ、サイラスさん。大変素朴な疑問なんですけど。あの人たち、なんで女性の手料理って聞いただけで、あんなに親の敵を討ったみたいなテンションで喜んでるんですか? 強いんだから、オラリオの街を歩けば普通に女性にモテて、手料理くらい日常茶飯事で食わせてもらえるんじゃないんですか?」
すると、サイラスさんはお茶のカップをソーサーに戻し、極限まで冷めきった死んだ目で、我が団員たちの背中を一瞥した。
「……ラルゴ。貴方は、下界の現実というものを未だに分かっていないようですね」
サイラスさんは白銀の髪を軽く揺らし、脳の髄まで染み渡るような中間管理職のため息をついた。
「我がゼウス・ファミリアの団員たちの戦闘力は、確かに世界の頂点です。男の冒険者やサポーターからは、『豪快で気の良い最高の兄貴たち』として、非常にウマが合い、好感度も高い。……ですがね」
サイラスさんは一度言葉を区切り、ドスの利いた声音で冷酷な事実を告げた。
「女性からの好感度にいたっては……ダンジョンの最深層よりもさらに低い、地の底の底の、虚無の領域に叩き落とされているのが現状です。基本的には、オラリオの全女性から『歩く汚物・災害・変態不届き者』として扱われるのが基本(デフォルト)なのですよ」
「――地の底より低い!?」
ラルゴはあまりの具体的な酷評に、ごくりと喉を鳴らした。
「でも、モンスターが跋扈する世界ですよ? 圧倒的に強くて世界を救う英雄のファミリアなら、顔や性格が多少アレでも、ステータスだけで貢がれるレベルじゃないんですか?」
「ハハ、そんな甘い妄想が通用する下界なら、私の胃が毎日の様に破壊されるはずがないでしょう」
サイラスさんはハッと冷たく自嘲気味に笑うと、ラルゴの胸元を指先でトントンと小突いた。
「ラルゴ、逆に聞きますが、あそこにいる筋肉だるまどもが、日常において女性を気遣う、繊細で紳士的な性格をしているように見えますか?」
「え……あー、いや。覗きが伝統行事の時点で、紳士の『し』の字も、配慮の『は』の字もないですね」
「ええ。確かに彼らは強いですよ。ですがね、彼らは強さを求めるあまり、女性との誕生日や記念日といった大切な約束を、何食わぬ顔で100%すっぽかして、ダンジョン深層へ引きこもるか、他の男冒険者と酒場で泥酔することを優先する者どもなのです」
サイラスさんの口調が、徐々に熱を帯び、日頃の怨念が愚痴により溢れ出てくる。
「仮に奇跡的にデートとやらに漕ぎ着けたとしても、食事をしている酒場の近くで、男たちの些細な喧嘩や面白そうな野次馬イベントが起これば、女性をその場に完全に放置し、自分たちも『ガハハ! 面白そうじゃねぇか!』と笑顔で殴り合いに混ざりに行く。……強さだけでは決して補いきれない、致命的かつ深刻な欠点が、あの男たちには多すぎるのですよ」
「あ、終わってますね、人間性が」
「そもそも、我がファミリアの不届き者どもは、『女体(エロ)』には凄まじい執念と興味を持っていますが……人間の『女性の心』そのものに対する興味や配慮が、脳みその構造から丸ごと消滅しているのです。ですから、ヘラ・ファミリア以外の女性で、彼らとまともに会話をしてくれる人物など、酒場の肝の据わった女将か、ギルドの事務処理を淡々とこなす女性職員くらいのもの。そんな彼らにとって、『女性の作った手料理』など、天界の神々の奇跡を拝むよりも遥かに希少な、一生に一度あるかないかの特級聖遺物なのですよ」
「なるほど……。実態はただの『女性に嫌われすぎた哀れな化け物集団』だったわけか……」
ラルゴが冷や汗を流しながら納得する横で、ヘラ・ファミリアの美女団員たちが「さあ、脳筋ども。ありがたく食べなさい」と、物凄く不機嫌そうに大皿をテーブルへ叩きつけ始めた。
ヘラ・ファミリアの団員たちは、さすがにゼウス側の小汚い厨房を使うのが嫌だったらしく、わざわざ自分たちのホームから極上の食材と調理器具を神速で持ち込み、次々と豪華な手料理を完成させてテーブルへ並べていた。
食堂がゼウスの野郎どものむさくるしい歓喜の騒音で満たされる中、ラルゴは雛壇に佇むサイラスの元へと小走りで近づいた。
「あの、サイラスさん。ちょっと聞きたいんですけど、周りの音を抑えて、特定のエリアだけを静かにする結界魔法って使えたりします?」
「使えますが、それがどうかしたのですか、ラルゴ?」
サイラスが白銀の眉をひそめると、ラルゴは食堂の特等席に並んで座っている、瓜二つの双子の姉妹――アルフィアとメーテリアの方をそっと指差した。
「ほら、あそこの二人の周りに使ってほしくて。さすがに長らく病弱だったメーテリアさんと、ただでさえ騒音を嫌うアルフィアさんにあの中の爆音は、朝からきついものがあるんじゃないかなって」
「メーテリアさんは分かりますが……ラルゴ、貴方はなぜ、アルフィアが騒音を嫌うと知っているのですか?」
「いや、ほら! 初めて会った時から、あの幼女……アルフィアさん、僕のことを『雑音、五月蠅い』って連呼してたんですよ。だから、妙に耳が良くて音に敏感なのかなーって、ただの僕の直感なんですけどね!」
「……なるほど、貴方は本当によく人を見ている。その客観的な観察眼と人を思いやる心を大切にするのですよ」
サイラスは感心したように目を細めると、「いいでしょう。知性派の同志の頼みです」と、品格溢れる動作で二人の席へと近づき、流麗な一礼をキメた。
「メーテリアさん、アルフィア。周囲の品性のない脳筋どもの騒音を抑えするため、これより私の『静音結界』を展開してもよろしいでしょうか?」
「まぁ……! 私たちのためにそこまで……。もしよろしければ、お願いしてもいいでしょうか?」
メーテリアさんが遠慮がちに、しかし嬉しそうに微笑む。その横で、アルフィアは酷く不快そうにフンと鼻を鳴らした。
「……ゼウスの副団長に借りを作るのは不愉快だ。だが……せっかくのメーテリアとの朝食を、あの屑どもの雑音で汚されるのはさらに耐え難い。勝手にしろ」
ツンと横を向くアルフィアだったが、本心では「これで妹と静かに食事ができる」と、そのオッドアイの瞳の奥を満足げに揺らしている。サイラスがエルフ由来の魔法を展開すると、二人の周囲だけが、まるで別世界のように雑御音が抑えられ極上の静寂へと塗り替えられた。
その様子を遠くから見つめ、「本当に楽しそうだな」とラルゴが微笑んでいた、まさにその瞬間。
気配も、音も、大気の揺らぎすら一切存在しないまま。
ラルゴのすぐ背後に、世界のすべてを吸い込むかのような漆黒の覇気が厳然と立ち現れた。
「ひゃいっっ――!?!?(声にならない悲鳴)」
ラルゴは心臓が口から飛び出るかと思うほどの恐怖に、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で光速で振り返った。そこには、ヘラ・ファミリア団長、レベル8の女帝レグナ様が、完璧な品格の笑みを浮かべて静かに佇んでいた。
(し、死ぬ死ぬ死ぬ!! この人、なんで毎回『キング・クリムゾン』を発動されたみたいな演出で背後に立ってんだよ怖すぎるだろ!!)
ラルゴが涙目でガタガタと震える中、レグナ様はその漆黒の瞳をフッと柔らかく細め、実におっとりとした、しかし威厳のある声で囁いた。
「……ラルゴ。先ほどの、メーテリアとアルフィアに対する細かい気配り……。素直に感謝するわ」
「……え?」
ラルゴは呆然と目を丸くした。
(嘘だろ……。この、出会い頭にオラリオの地形を変えて男の頭を踏み抜く暴君の権化が、今、僕みたいな下っ端に、普通に『感謝』の言葉を口にしたのか……!?)
下界の天変地異を見るような衝撃。だが、レグナ様の纏う聖母モード(ただし隠しきれない王の覇気)は、さらに思いがけない判決をのたまった。
「我がファミリアの至宝(メーテリア)を救ってくれたことに加え、その素晴らしい配慮を考慮して、あなたが昨日私たちを『洗脳(浄化)』した無礼については、今回の件でチャラにしてあげる。……ほら、これはそれとは別よ。受け取りなさい」
レグナ様はそう言って、自身が盛り付けた特製の極上スープ大皿をラルゴの手元へと優しく差し出してきた。
(お、おおお……!!! とりあえず、ひとまず、今日ここで磨り潰される未来(デッドライン)だけは、完全に回避できたってことかぁぁぁ!! 万歳ハッピーエンド!!)
ラルゴは魂の底から安堵の胸を撫で下ろし、涙目で「あ、ありがとうございます……!」と深々と一礼。お土産のスープを落とさないように必死に抱えながら、そそくさとゼウス側の空いている席へと着いた。
「よーし、生き延びた記念に、僕も奇跡の味覚を堪能させてもらいますか!」
ラルゴがスプーンを手に取り、食事を取ろうとした、まさにその時だった。
斜め向かいの席で、ヘラ側の肉料理を貪り食っていたゼウスの一人の団員が、口の周りを油まみれにしながら、実におかしそうにゲラゲラと笑って声を上げた。
「ガハハハ! いやー、美味い美味い! このヘラ側の肉スープ、うちのザルドが作る飯の、次くらいにめちゃくちゃ美味えわ!!」
ピキィィィン……!!!
次の瞬間、食堂の全宇宙からすべての音が光速で消失した。
料理の配膳をしていたヘラ・ファミリアの美女団員たちの手が、一斉に、彫刻のように完全に静止したのだ。
しかし、空気を全く読まない世界最強の脳筋先輩たちは、さらに嬉しそうに言葉を重ねていく。
「おう、本当にそうだな! 確かに美味いが、ザルドの次くらいだな!」
「だなだな! ザルドの『特製スープ』の隠し味に比べりゃあ、ちょっとだけコクが足りねぇが、女の手料理にしちゃあ上出来だぜ、ガハハ!」
(おいテメェら今すぐその汚い口を閉じろォォォォッッ!!!!)
ラルゴはスプーンを握ったまま、顔面を真っ青にして滝のような冷や汗を流した。どんだけ地雷を踏み抜けば気が済むんだ、この筋肉だるまどもは。
ヘラ・ファミリアの全団員の瞳から、一瞬にして聖母モードが完全蒸発。オラリオの地の底の、さらに最暗黒から響くような「本物の殺意の眼光」が、一斉に一人の大柄な青年に向けて集中した。
ザルドは手にしたスプーンをメリメリと音を立てて握り潰しながら、額にこれでもかと青筋を何本も浮かべ、今しがた余計な爆弾をのたまった団員全員の顔を脳内メモに神速で記述した。
(お前ら全員、明日からのダンジョン探索で、必ず叩っ斬って殺してやるからな……ッッ!!!)
そんなザルドの血涙の誓いを他所に、女帝レグナ様が、白々しいほどに美しい満面の笑顔(ただし纏う覇気はレベル8相当の超烈火モード)を浮かべながら、コツ、コツ、とザルドの席の前へと歩み寄ってきた。
「あら……。ザルド君、だったかしら? 私たち『婚姻の女神』の最高峰の厨房で選りすぐりの食材を駆使して作ったこの至高の芸術が……あなたの料理の『次』なんですってね? 随分と、大層なお腕前をお持ちのようですこと」
「い、いや……レグナ団長。こいつらはただのバカで舌がバグっているだけでして。私などの泥臭い男飯が、貴方様方の気高き手料理に敵うはずがありません……」
ザルドは人生で一番の冷や汗を流しながら、必死の弁明を試みた。
――が。
「おいザルド!! お前、何しおらしい顔をして嘘をついておるんじゃぁぁっ!!」
突然、食堂の雛壇の隅から、情けない大声が響き渡った。
見れば、そこには我が主神ゼウスの爺さんが、ヘラ側の美女団員たちの手によって「見事な簀巻き(みのむし状態)」にされ、椅子に縛られたまま、ヘラ様により無理やりスプーンで「あーん」と食らわされている最中だった。
「ヘラァ! 儂を信じよ! ザルドの飯はな、マジで美味いんじゃよ! レグナたちの料理の三倍はコクがあるぞ! だからザルドは今、ヘラに怯えて100%『嘘』をついておるわい! ガハハ、往生際が悪いぞザルドォッ!!」
「騒がないで、ゼウス。……ええ、そうね。私も、そのザルドとかいう男が『嘘』をついていると思うわ」
ヘラ様も、ゼウスに無理やり激辛スープを流し込みながら、興味なさそうに、しかし冷徹に同意した。
(お、おのれクソジジイィィィィッッ!!!!)
ザルドは地の底から響くような怨念の覇気を静かに爆発させ、心の中で拳を強く握りしめた。
(「改宗(コンバージョン)」先を今すぐギルドで見つけてから、あの万年発情全能変態クソジジイも、影も形も残さず完璧に磨り潰して天界に送還してやる……ッッ!!!)
ゼウス・ファミリアの人間関係と威厳が、内側(主神)から完全無欠に崩壊していく。
そんな混沌のド真ん中で、レグナ様はザルドの目の前にピタリと立つと、その圧倒的な美貌に「殺意マシマシの満面の笑顔」を張り付かせ、静かに言い放った。
「話は決まりね、ザルド君。……そこまで言うなら、今すぐその『私たちの料理を超える芸術』とやらを、この場で私に見せて(作って)もらいましょうか?」
世界最強の脳筋男たちの「余計な一言」と、主神の「最悪の売国ムーブ」により、新築の朝食会は、まさかの『最恐女帝レグナ対ザルドの、命懸けの料理対決デスマッチ』へと、フルスロットルで突入していくのだった。