邂逅
入学式2時間前
入学式の会場となる講堂の前で少女は言う。
「納得できません。」
それに対し少年は
「まだ言っているのか......?」
2人は同じ新入生だがよく見ると制服が微妙に、しかし明確に異なる。
スカートとスラックスの違い、男女の違いではない。
少女の制服の胸には八枚の花弁がデザインされた第一高校のエンブレム。
しかし、少年の方にはそういった装飾は何一つなく、さらに肩にあるエンブレムには花弁の模様が無かった。
「何故お兄様が補欠なのですか?入試の成績はトップだったじゃありませんか!本来ならば私ではなく、お兄様が新入生総代を務めるべきですのに!」
「お前が何処から入試結果を手に入れたかは横に置いておくとして......魔法科高校なんだから、ペーパーテストより魔法実技が優先されるのは当然じゃないか。俺の実技能力は深雪も良く知っているだろう?自分じゃあ、ニ科生徒とはいえよくここに受かったものだと、驚いているんだけどね。」
どうやら2人は兄妹の様だ。しかし、この会話の内容から妹の方は優等生、兄の方は劣等生として入学したようだ。
だが、この様子を遠目から見ていた俊道はジンと話す。
『ねぇ。妹さんの方も凄いけど、あの兄の人のサイオン量おかしくない?』
『そうだねぇ、でも周りの人は全く気づいてないみたいだ。あれだけのサイオンの偽造、余程力を隠したい思える。俊道も気づいてることに気づかれない様に気をつけなよ。』
『分かった。でもなんか凄い巻き込まれる予感がする()』
『分かる()それはそうと俊道も視える様になったね。流石第一高校主席だ。』
『いやいや、大したことないよ。私は新入生総代として過ごせるメンタルは無いし、あの子の方が向いてるよ。』
『はぁ。変な所で弱気になっちゃって、俊道はもっと堂々した方が良い。
僕が認めてるんだ。早くシャキッとしろシャキッ!と』
精神世界でこんな会話をしてる間に兄妹は離れる。
妹の方は講堂に向かい、兄の方は入学式開始までの2時間をどう過ごすか。悩んでいるようだ。
その様子を見て俊道は、彼の方へ向かう。
「やぁさっきの様子見てたよ。兄想いの妹って良いねぇ。おっといきなり話しかけてごめんね。私も暇潰しに困っていてね、君も困ってるようだし一緒に時間を潰さないか?」
「あぁ分かった、いいぞ。」
「そっか。それじゃ私の名前は神藤 俊道。トシって呼んでくれると助かる。これから3年間よろしく!」
俊道は元気に言う。
「俺の名前は司波 達也だ。俺のことは達也って呼んでくれ。こちらこそよろしく頼む。」
兄こと司波達也(以降は達也と呼ぶ)はその名前を聞いて、思い出す。
(『神藤俊道』......あの佐渡侵攻事件を身一つで生き残り、艦隊を壊滅させたあの『剣聖』か。叔母上が昨日話していたな。)
そして、2人はベンチに座り、話し合う。
「それにしてもトシ。お前は一科生だろう。何で俺なんかを構うんだ?」
それに対して俊道は、
「別に私が誰に構おうがどうでもいいだろう?話したい相手は私が自分で決める。それとも何だ?私と話すのは嫌か?」
達也は少し困った様子で
「済まない。俺の聞き方が悪かったな。」
「いやいや。今の質問は意地悪だったな。別に達也に悪気がないのは分かってるから安心してくれ。」
そろそろ周りの視線が多くなる。その中から無邪気な悪意が零れ落ちる。
ーーーー見ろよ。『剣聖』がいるぜ。
ーーーーけどその隣にいる子、ウィードじゃない?
ーーーーこんな早くから....補欠なのに張り切っちゃって、
ーーーー所詮、スペアなのにな
このような聞きたくもない会話が否が応でも2人に聞こえてくる。ウィードとはニ科生徒をを指す言葉であり、エンブレムの意匠から一科生徒を「ブルーム」、それを持たないニ科生徒を「ウィード」と呼んでいる。
元々魔法科高校は定員100名だったが、魔法による事故は「ちょっとしたもの」もので済まされない。そのため、事故によるショックで魔法が使えなくなった生徒たちが退学していくのだ。さらに、近年の魔法師需要の増加に煽られ、そういった生徒達の穴埋め要因として100名が「ニ科生徒」として追加した。ただし、魔法を教えれる者が圧倒的に不足しているため、ニ科生徒たちは最初から教えられないことを前提として、入学を許された。その差によって、徐々に「ウィード」と言う言葉が定着していった。
建前として、「ウィード」と言うことは原則禁止とされているが、このことは学校側も黙認している。
そんな中で、俊道はそのセリフを聞いて思うことは、
(本当にしょうもないな。たかが入試の成績なのに差がつくのはここからだろう。)
『僕もそう思うよ。こういうのは入ってからの努力で決まるんだ。』
俊道の心の声にジンはそう相槌を打った。
....そうしてなんやかんや達也と俊道は2人で仲良く魔法について語り合っていた。
そしていつのまにか、開始30分前。
1人の女性が2人に近づき、こう言う。
「新入生ですね?開場の時間ですよ。」
2人とも女性の方に顔を向ける。
まず目につくのは制服のスカート、それから、左腕に巻かれた幅広のブレスレット。これは普及されているモノよりも大幅に薄型にされ、ファッション性に優れた最新式のCADである。これには2人とも気づいた。
そして、息が合うように、
「「ありがとうございます。すぐに行きます。」」
2人とも察しているのだ。
この女性は面倒臭いと。
だが、女性に2人を逃す気がないようで、
「あらあら?2人とも仲が良いようで。あっ、申し遅れました。私は第一高校の生徒会長を務めています、七草 真由美です。七草と書いて、さえぐさと呼びます。よろしくね。」
((『数字付き《ナンバーズ》』.....しかも「七草」か))
2人とも全く同じ思考をする。
それのその筈である。魔法師の能力は遺伝しやすい。
そのため魔法に優れた者は優れた家系から産まれやすい。俊道もその1人だ。しかし、そんな優れた家の中からさらに優れた家が『数字付き《ナンバーズ》』の中でも、さらに上位に師補二十八家から選ばれる十の家系
『十師族』に属するのが「七草」なのである。
「まずは私から、私の名前は神藤 俊道と申します。こちらこそよろしくお願いいたします。」
「そう。あなたが『剣聖』ね。歴代初の2人の主席なのに新入生総代の挨拶を断ったことは私達生徒会で有名なんですよ。」
「はぁ、そうですか。」俊道はぶっきらぼうに言う。
達也もそれに続き、
「俺、いえ、自分は司波 達也です。自分の方こそよろしくお願いします。」
「司波達也くん....あなたも有名なのですよ。入試試験では、7教科の平均点が100点満点中96点。特に魔法理論と魔法工学は合格者の平均点が70点も満たないのに両方とも文句無しの満点。前代未聞の高得点だったわ。まぁ君の隣にいる彼も十分高得点ですけどね。」
「実技2位、7教科の平均点93点で2位、総合1位ですからね。」と真由美は少し意地悪そうに言う。
さらに、
「私ってばこう見えて、入試の時の成績1位なんだけど、2人が取った点数は私でも取れないだろうなぁ。」
互いにこれ以上はまずいと思い、それぞれ、
「すみません。そろそろ時間ですので、失礼いたします。」
「自分も時間ですので、失礼します。」と逃げるように講堂の中に去っていった。
2人は講堂の中に入り一緒に後ろ側の席に座った。
2人は先程の感想(愚痴)を少し言い合い、互いに共感していた。
そんな2人に声が掛かった。
「あの、お隣に座ってもよろしいでしょうか?」
2人は顔を向け、確認すると、声で分かる通り女子生徒だった。
「「どうぞ」」と2人揃って言うと、ありがとうございます、とその女子生徒は頭を下げて腰を掛けた。さらに隣にもう1人赤髪の女子生徒が腰掛ける。話しかけてきた女子生徒は「私、柴田 美月って言います。よろしくお願いします。」と言い、それに2人は、「こちらこそよろしく。私は神藤 俊道。トシって呼んでくれると嬉しい。」「俺は司波 達也だ。俺のことは達也って呼んでくれ、こちらこそよろしく。」これに続き、赤髪の女子生徒の方は「あたしは千葉 エリカ。よろしくね、達也君、トシ君。」何故か俊道のことを強く睨みながら言うが、そこは気にしないのが大人の対応。と思い、俊道はこれ以上深く考えるのをやめた。
◇◇◇
入学式が始まり、新入生総代の挨拶に移る。どうやら達也の妹の名前は、深雪と言うみたいだ。答辞の内容には「皆等しく」や「一丸となって」とか「魔法以外にも」とか「総合的に」など結構際どいフレーズが多々盛り込まれていたが、深雪の美貌によって新入生達のほとんどが気にしていなかった。そのほとんどに入っていないのは、達也と俊道そして、ジンである。
式の終わり後クラス発表が行われる。
「私は1-Aか。皆は?」と俊道は言うと、
達也は「俺は1-Eだ。当たり前だが、離れてるな。」と答え、その答えに美月とエリカは達也と同じクラスであると返す。
つまり俊道はこのグループでボッチ()になってしまった。なので、仕方なく本当に仕方なく俊道は3人と別れた。
高校に入ってから2日目
1-Aにて、俊道はまだ履修する授業を決めていた。本来なら昨日の内に終わらすべきなのだが、
(うーん、正直言って必修科目以外取る必要が無いんだよな。例えば体術の授業と言っても、私にはジンがいるから困ることはないし、むしろ周りの人が可哀想になるぐらいだ。でも、他の授業を履修しないのもなぁ。)
この感想は至極当然である。佐渡侵攻以降、ジンを自由自在に出せるようになった俊道はジンによってとある技を学んでおり、その技のおかげで、接近戦含め、魔法力も向上していた。そのため俊道の魔法師としての強さは原作の九重八雲を遥かに凌いでいる。しかし、受けれる授業が多いため、俊道の勿体無い精神が働き、無駄に時間が掛かっているわけだ。
ここで司波 深雪が教室に入ってきた。そのことに周囲は強く反応するが、俊道は無論反応していない。実は、俊道はとある女性に既に惚れていた。その女子生徒の名前は、今右隣の席で他の女子生徒と喋っている北山 雫である。彼女とは、幼い頃から北方(本当の名は北山)潮が主催するパーティーで何度も会い、話していた。そのため、彼女と話している女子生徒の光井 ほのかとも顔馴染みである。そして、ちょうど履修登録を終えたので俊道は、「雫さん、お久しぶりです。元気にしていましたか?」と緊張を完璧に隠して話す。
「うん、久しぶり元気にしてたよ。トシさん。」と無表情を意識しながら言う。
勘の鋭い方はお察しだと思うが、実は互いに両片想いである。ただ互いに感情を隠しあって話すため、内心嫌われているのではないかと内心不安で仕方なく、自分の気持ちを前に出すことができないのである!ドン
そのことを知っている光井 ほのかは、(2人とも早く正直になれば良いのに。)と内心思っていた。
ところで、司波 深雪の席は北山 雫(以降全員深雪、雫、ほのかと言う)の後ろであるため、3人に近づいてくる。ほのかはチャンスと思い、深雪に話しかけようとするが、地面が滑って転けてしまう。これに周りがクスクスと笑うが、深雪はそんなの関係なく、ほのかの手を取ろうと、膝をつきしゃがんで手を差し出す。
「大丈夫ですか?」と言い、ほのかはその手を取って、共に立ち上がる。
「あっありがとうございます。」とほのかが言い、「どういたしまして。」と深雪は返す。「あの〜わ、私光井 ほのかって言います。よっよろしくお願いします。」とほのかはさっきの恥ずかしさもあってかかなり緊張しながら言う。それに対し深雪は、「司波 深雪です。光井さん、こちらこそよろしくお願いします。」と優しく微笑みながら返した。
すると雫は「すみません。司波さん、ほのかはおっちょこちょいで。私は北山 雫です。よろしくお願いします。」
「司波 深雪です。北山さん、こちらもよろしくお願いします。」
その後俊道は、
「司波さん、私は神藤 俊道と申します。できればトシって呼んでくださると助かります。よろしくお願い致します。」
深雪は目を少し見開いてから、
「分かりました。ではトシくんと呼びますね。こちらもよろしくお願いします。」と言った。この様子に雫は深雪に内心少しだけ嫉妬していた()
目線は変わり、同じく1-Aの森崎 駿は嫉妬深く俊道を見ていた。
(クソッ!司波さんと話せるなんて、なんて羨ましんだ。)
森崎は俊道のことを知っている。あの古式魔法の名門神藤家の次期当主にして、佐渡侵攻での活躍も有名なため、むしろ知らない方が珍しいのだ。
俊道達4人は共に食堂へと向かい、森崎達はそれに後からついていく。
食堂についてから、達也達が席に座っており、深雪達がそこに行こうとすると、
「おい、君たちそこの席を譲ってくれないか?」と突然森崎が達也達に言い、ほのかは困惑し、俊道も驚く。そこにエリカが「はぁ?」と反応する。しかし、森崎は続けて、
「君たち二科生は僕達一科生のただの補欠だ。授業でも食堂でも僕達一科生が使いたいと譲るのが当然だろ。」と強く言い、俊道達を除く周りに居た一科生達が達也達に圧を掛ける。それに対し、達也達と座って居たもう1人のかなり大きい二科生が机を叩き威嚇し、深雪は「あのっ」と続きを言おうとするが、達也はすぐに、「わかった。俺はもう済んだから行くよ。」それにエリカ達が「達也君?!」 「おいっ達也!」と反応し、
すぐさまエリカは「アホらし、あたし達も行きましょう。」「あぁ」と席を立って、達也についていく。すると森崎は「良い心がけだな。さぁ司波さん、咳が空きましたよ。」と純粋に言う。深雪が口を挟もうとするが、
(もう限界だ。.....ジン来い‼︎)『了解』
「おい!お前めちゃくちゃ酷い事言うな。すごくウザいよ。」と力強く言い。俊道の髪が白銀へと変わり、サイオンの嵐が森崎に襲いかかる。加えて、殺気を森崎だけに当てる。森崎は息が出来なくなり、酔ったため、膝をついてその後すぐに気絶する。それを見てからジンは俊道とまた変わり、黒髪に戻る。
「司波さん、ごめんね。皆、他の所に行こう。」
そう言い、4人とも気絶した森崎を無視して外に出る。
深雪は小さく「ありがとうございます」と言った。
....外に出てから、ほのかが口ずさむ。「さっきの人二科生だったんだ。」このセリフに深雪は強く反応し、「それが何か?」しかしほのかは「いや?あの人絶対一科生だと思ったんだけど、」と言い、深雪は少し困惑をした。続けてほのかは言う。「いや実は入学試験の時、司波さんの他にもう1人気になる人がいて、普通展開した魔法式から光波のノイズが出るんだけど、あの人はそれが全く無かったの。司波さんが圧倒的な魔法力とするなら、あの人は必要最低限の魔法力しか使ってない感じですごく綺麗な魔法だったの。」「ほのかが言うなんて相当だね。」「だな。私でもそんな事はまだ出来ない」
「光波...そう言えば」と深雪が続きを言う前に、「うん、光井の家だから光振動に人より敏感なんです。それにしてもあんな綺麗な魔法を使う人が二科生だなんて変なの。」すると深雪はほのかの手を取って「ありがとうございます。光井さん!」と嬉しそうな顔で言うのだった。
俊道は知っていたが、ほのかと雫は「まさかあの人が司波さんのお兄さんだなんて。」「兄妹揃って優秀な魔法師、でも二科生だなんてどうしてだろう。」それに続いて俊道は「別に達也が二科生なのはどうでもいいだろう。私はそんな入試の成績を気にするより、高校生活をどう過ごすのか大事だと思う。」と言い、雫が「それもそうだね。」と相槌を打ち、深雪は嬉しそうにするのだった。
「ところで、」深雪が質問をする「先程でトシくんのあの状態は何でしょうか?」それに、「そういえば私もあの姿は初めて見た。」と雫は少しムッと言葉を口にした。
「あぁ〜、私は家でかなり厳しく大切に育てられてきたから、ああいう酷い言い方をあまり見た事がなくてね。その反動かは分からないけど、ついつい感情が抑えられなくなるとああやって髪が白くなって、サイオンのコントロールも効かなくなって、口も悪くなるんだ。もし不快な思いをさせてたらごめんね?」と実際は感情の我慢が抑えられなくなって、ジンを呼び出しただけなのだが、ジンのことは剛毅と将輝と俊道の3人しか知らず、神藤家の次期殿が多重人格であるというのはかなり目立ってしまうため、佐渡侵攻の功績もジンではなく、俊道のものとなっている。(ジンのことはこの3人に伝えることはできないし、ジンの存在を伝えたら、深雪から達也に情報が流され、そのまま俊道が達也の監視対象コースというかなりBADな展開になってしまうのを避けるために伝えなかったby作者)
........そして、放課後校門前にて、
「いい加減にしてください!」美月が強く言う。どうやら美月は言いたいことはきちんと言える性格のようだ。
「深雪さんはお兄様と帰ると言っているでしょう!」これに対し、気絶状態から回復していた森崎は
「一科生として話す事があるんだ。二科生は引っ込んでて貰おう。」
「何!」達也の後ろに居た大柄な男西城 レオンハルト(以降レオと呼ぶ)は強く反応し、美月が、「〜〜何の権利があって2人の仲を引き裂こうとしているんですか」ともっと怒って言う。その後ろで達也は「引き裂くと言われてもなぁ....」と達也は何かが決定的にずれているような気がしていた。
その兄の呟きを耳にし、「み、美月は何を勘違いしているのでしょうね?」と何故か、慌てていた。「深雪?何故お前が焦る?」と目の前の言い合いを横目にこの兄妹は少しイチャつき始めていた()
すると森崎は「一科生がどれだけ優れているか見せてやる!」とCADを出して魔法を発動しようとする。しかし、俊道が既に、そのCADを地面に叩き落としていた。条件反射でほのかもそれに合わせて『閃光』を発動しようするが、
「止めなさい!自衛目的以外で使われる攻撃魔法の使用は、校則違反以前に、犯罪行為ですよ!」とほのかが起動しようとしていた魔法が、サイオンの弾丸によって砕け散り、その方向を向くと、七草 真由美がいた。
達也と俊道が目にしてる限りにおいて、にこやかだった顔はこんな時でも、厳しさを感じさせない。しかし、魔法を行使しようとしたほのかの目には、並の魔法師を大きく上回る活性化したサイオンの光が七草真由美の体を覆い、威厳を醸し出している。
「あなた達、1-Aと1-Eの生徒ね。事情を聞きます。ついて来なさい。」
このセリフを冷たく、硬質な声で言ったのは真由美の隣にいる風紀委員長こと渡辺 摩利という3年生だ。摩利のCADは既に起動しきっており、少しでも変な動きをすればすぐに捕らえられる。そのため達也を除き、誰も動かなかった。この中で唯一動いた達也は
「すみません、悪ふざけが過ぎました。」
「悪ふざけ?」達也の唐突なセリフに摩利は眉を軽く顰める。続けて、
「はい。
森崎一門のクイックドロウは有名ですから、後学のために見せてもらうだけのつもりでしたが、」達也は、俊道をチラッと見る。その意図に気づいた俊道は、「すみません。私は、森崎くんのその行動があまりにも真に迫っていたため、つい手を出してしまいました。」と答える。「では、その後に1-Aの女子が攻撃性の魔法を発動したのはどうしてだ?」「驚いたんでしょう。条件反射で起動プロセスを実行できるとは、さすが一科生ですね。」達也はこの問いにすぐさま真面目くさった表情で答える。「君の友人は魔法によって攻撃されそうになっていたが、それでも悪ふざけと言えるのか?」すると達也は「攻撃と言っても、彼女が発動しようとしていたのは、目眩し目的の閃光魔法ですし、それも、失明や視力障害を起こすレベルのものではありません。」と言い、それに対して摩利は、「ほぅ......どうやら君は、展開された起動式を読み取れるらしいな。」
ここで大事なのは、起動式には魔法を構築するために膨大なデータが入っており、簡単な単一工程の魔法ですらアルファベット2万文字以上のデータが入っている。そんな文字の羅列を見て、魔法式の内容を知るのは普通の魔法師には不可能である。
しかし、達也は淡々と「実技は苦手ですが、分析は得意です。」と言う。
「......誤魔化すのも得意なようだ。」と摩利は達也を値踏みするような、睨みつけるような、その中間の眼差しで見る。すると深雪は兄を庇うように、「兄の申した通り、本当にちょっとした行き違いだったんです。先輩方のお手を煩わせてしまい、申し訳ございませんでした。」
深雪の素直な行動に、摩利は毒気を抜かれ、最終的に真由美によってこの場は収まった。
最後に摩利が、達也と俊道に「君達の名前は?」と聞き、「一年E組司波 達也です。」「一年A組神藤 俊道です。」「覚えておこう」達也と俊道は反射的に「結構です」と答えそうになったが我慢した。森崎は、達也に「借りだなんて思わないからな。」と言い、一瞬場が物理的に凍えるが、「貸してるなんて思ってないから安心しろよ。決め手になったのは俺の言葉じゃなく、深雪の行動のおかげだからな。」達也のこの一言によって場の温度が元通りになった。こうして最初の波乱は収まった。
遂に、達也と俊道が邂逅しました。2人ともとても仲がよろしいようで、深雪に勘違いされないか心配になりますね。
今までの話より長くなりましたが、やっぱり原作にある程度沿って話を進めると、書きやすいですね(つまり言い方を変えれば手抜き(((ドゴォ)。それはそれとして、俊道も、サラッと強くなっていますね。原作ではエリカがはたき落としますが、それよりも遥かに速くはたき落としました。因みにエリカはこの様子をを睨みつけるように見ていました。タグ追加しました。ところで、BLのタグを追加ってアリだと思いますか?よければコメント下さい。