なんと、日間ランキングに入ることができました!
投稿を始めた時から日間ランキング100位以内を目標にしていたので、本当に嬉しいです!
読んでくださった皆さん、評価やお気に入りをしてくださった皆さん、本当にありがとうございます!
今回は、主人公が知る物語と、これからの作戦についてのお話です。楽しんでいただければ嬉しいです!
「……ブルーアーカイブ、というゲームです」
「……ゲーム?」
先生が、首を傾げた。
「はい。私がいた世界では、画面を通して物語を楽しむ娯楽がありまして。その一つが『ブルーアーカイブ』でした」
「その舞台が、キヴォトスなんだね?」
「ええ。プレイヤーはシャーレの先生という立場で、生徒たちと関わり、さまざまな事件を経験していくのです」
「……私が?」
先生は自分を指差した。
「……何だか、妙な気分だね」
「ふふっ。そうでしょうね」
俺も、立場が逆なら信じられないと思う。
すると、ヒナが静かに口を開いた。
「つまり、私たちはあなたの世界ではゲームの登場人物だったということ?」
「……そういう形で描かれていました。ただ、私はこの世界そのものがゲームだとは考えていません」
「……どういう意味かしら?」
「元の世界にも、パラレルワールド……並行世界という考え方があるのですが、私はこちらもその一つではないかと思っています」
俺は、少し考えながら続けた。
「簡単に言えば、私が遊んでいたゲームにとてもよく似た現実の世界です。世界線が違うだけで、一つ一つはちゃんとした現実。皆さんが誰かの操作で動いているわけではありません」
「……なるほど」
「もちろん、これも私の考えにすぎません。でも、こうしてお話ししていれば分かります。先生もヒナさんもツルギさんも、それぞれの意思で考えて行動しているんですから」
ヒナはしばらく俺を見つめ、それから小さく頷いた。
「……少なくとも、私たちを作り物だと思っているわけではないのね」
「はい。ナギサさんだって、私とは違う一人の人間です」
「……分かったわ。ただし、以前から知っているからといって、今の私たちを全部理解しているとは思わないでちょうだい」
「ええ。そこは肝に銘じています」
先生が、ふと頭上を見た。
「……それじゃあ、ナギがヘイローの形を見分けられるのも?」
「恐らく、元の世界で先生の視点からキヴォトスを見ていたからかもしれません。先生と同じように見える理由としては、一つの可能性だと思っています」
『……では、アロナの声が聞こえることもですか?』
「ええ。ただ、そこはまだ何とも言えませんね」
『むむむ……不思議です……』
(……俺だって不思議だよ)
アロナの声を聞きながら、俺は少しだけ笑った。
だが、これから話すことは、笑って済ませられる内容ではない。
「……それで、あなたは何を知っているの?」
ヒナが尋ねた。
「ゲームで描かれた、皆さんの過去と、これから起こるはずだった出来事です」
「……未来のことまで?」
「はい。もちろん、描かれていない出来事や、私が覚えていないこともあります。それでも、無視していい情報ではないと思っています」
「……その知識は、どれくらい信用できるのかしら」
「……そこについては、ある程度の裏付けがあります」
俺は、三人を順に見た。
「ナギサさんの日記や、トリニティの資料に記された歴史。セイアさんの襲撃後の状況。そうした出来事は、私の知る物語と大筋で一致していました」
「……過去については、ということね」
「はい。それに、私はこちらに来てから、補習授業部の四人全員と面談しています」
先生が頷いた。
「ヒフミ、コハル、ハナコ、アズサの四人だね」
「ええ。四人の性格や抱えている事情も、原作で知っていたものとよく重なっていました。本人たちの知られたくない事情まで含まれるので、細かくは申しませんが」
「……コハルについては、私もある程度知っている」
ツルギが、静かに口を開いた。
「……あいつのことを考えて、面談したのは見ている」
「ありがとうございます」
俺は微笑み、それから先生へ視線を向けた。
「それから先生。以前、ヒフミさんとブラックマーケットについてお話しした時のことを覚えていますか?」
「……うん?」
「ある事件について少し触れた途端、先生はお茶を噴き出してしまいましたよね」
「……っ!」
先生の肩が、ぴくりと跳ねた。
その反応を見て、ヒナが先生へ目を向ける。
「……先生?」
「い、いや、その……あれには色々と事情が……」
(……今も分かりやすいなぁ)
俺は笑いそうになるのを堪えた。
原作で知っていた、ヒフミがアビドスの生徒たちと関わった銀行強盗の一件。
先生があそこまで慌てたのを見て、こちらでも似た出来事があったのではないかと察したのだ。もちろん、直接確認したわけではないので、まだ推測の域は出ない。
「……ふふっ。先生とヒフミさんの名誉のため、これ以上詳しくは伺いませんし、私から皆さんに内容をお話しするつもりもありません」
「……あ、ありがとう、ナギ」
先生が、ほっとしたように息を吐く。
「ただ、私が知っていたある出来事に触れた時の先生の反応は、原作で知る事情と非常によく合っていました。少なくとも、単に学園の歴史を調べただけでは分からない事柄についても、私の知識が手掛かりになると考えています」
「……なるほどね」
ヒナが先生と俺を交互に見た。
「事情は聞かないでおくけれど、先生の今の反応も含めれば、確かに無視はできないわね」
「ふふっ。そうしていただければ助かります」
ヒナは、少し考えてから頷いた。
「……なるほど。過去の歴史だけなら調べれば分かるけれど、四人の面談での一致や、先生の反応まで重なっているのね」
「はい」
「今の話だけで異世界から来たと証明されたわけではない。でも、あなたの持っている情報が偶然の思いつきだと片づけるのも不自然ね」
ヒナは、机の上の資料に目を落とした。
「私なら、現時点でも十分、調査の手掛かりとして使うわ。もちろん、重要な判断は追加で確認するけれど」
「……ありがとうございます」
(……よかった。思った以上に伝わったみたいだ)
先生も頷いた。
「私もそう思う。ナギが四人と話して、それを基に動いていたのは見てきたからね」
「……なら、その知識を生かせばいい」
ツルギが、短く続けた。
「……疑うべきことは確かめる。それだけだ」
「ええ。そうしていただけると助かります」
すべてを信じてもらう必要はない。
ただ、使える情報として受け取ってもらえる。それだけで、俺一人ではできなかったことができるようになる。
「……それで」
ヒナが、表情を引き締めた。
「あなたがそこまでして未来を変えようとしている理由を、聞かせてもらえる?」
「……はい」
俺は、一度息を整えた。
「本来のエデン条約調印式は、アリウス分校によって襲撃されるはずでした」
◇
「……アリウス?」
ツルギが低い声を漏らした。
「……トリニティの統合に反対した分派か」
「はい。今もどこかに存在していると考えられています」
ヒナも眉を寄せる。
「名前と経緯は知っているけれど、今の活動まで把握しているわけではないわ」
「……そうでしょうね」
俺は頷いた。
「原作では、調印式の会場にミサイルが撃ち込まれ、その混乱に乗じてアリウスの実行部隊が攻撃を仕掛けます。トリニティとゲヘナ、両方の生徒たちが大きな被害を受けるのです」
静寂が落ちた。
「……調印式そのものが、標的になっているのね」
「はい。両学園の代表者が集まる場所ですから」
「……先生は?」
ツルギが尋ねた。
「……先生も、襲撃に巻き込まれます」
俺は、先生を見た。
「アリウスの実行部隊を率いる錠前サオリさんに、腹部を銃で撃たれるのです。ヘイローのない先生にとっては、命に関わる重傷でした」
「…………!」
ヒナが息を呑んだ。
「……先生が、そんな……」
「原作では助かりました。でも、今回も同じように助かる保証はありません」
先生は、少しの間黙っていた。
「……教えてくれてありがとう。なら、生徒たちを危険から遠ざけられるようにしないとね」
「……先生。まずは自分の安全も考えて」
ヒナが、心配そうに言った。
「うん。もちろんだよ。ヒナたちが無事なら、私も安心できるしね」
「それと、ヒナさんも、襲撃で深刻な負傷を負います」
「……そう。私が動けなくなれば、風紀委員会の指揮にも影響が出るわね」
「……トリニティの生徒は、私が守る」
ツルギも、当然のように言い切った。
(……いや、ちょっと待て)
先生は自分のお腹を撃たれると聞いて生徒の心配。ヒナは自分が重傷を負うと聞いて指揮の心配。ツルギに至っては真っ先に自分が前に出る宣言。
(……なんだ、この自己犠牲合戦は!)
しかも三人とも、まるで普通のことを話しているかのような顔をしている。
「……あの、皆さん。少々よろしいでしょうか?」
「……何かな?」
「まず、誰が一番無茶をするか競うのはやめませんか?」
「……競ってないよ?」
先生が不思議そうに首を傾げる。
(……無自覚か! 一番厄介なやつだ!)
「皆さんが怪我をしたら、心配する人が大勢いるんですよ。守る側の皆さんだって、誰かに頼っていいんです。どうかご自分も大切になさってください」
できる限り穏やかに伝えると、先生が少し考え込んだ。
「……そうだね。でも、ナギも診察を後回しにしてたよね?」
「……っ」
今度は俺の言葉が止まった。
「……確かに、あなたも人のことを言えないわね」
ヒナが静かに頷く。
「……まず、お前が休め」
ツルギまで追い打ちをかけてきた。
(……なんで三対一になってるんだよ!)
「……こほん。では、私も含めて、全員で無茶をしないということで」
「うん。それがいいね」
先生が微笑み、ヒナも小さく頷く。
(……結局、みんな自己犠牲が強いんだよなぁ)
まあ、俺も人のことを言えないのは、その通りなのだけれど。
だからこそ、誰か一人が無理をしなくて済む道を探したかった。
「……そのためにも、調印式を十五日間延期しようとしたのです」
「……前に説明してくれた、セイアの襲撃事件を受けた警備の見直しね」
ヒナが頷いた。
「はい。それは嘘ではありません。事件が未解決なのですから、警備を見直す必要があります」
俺は言葉を続けた。
「ですが、十五日という長さには、別の理由もあります」
「……聞かせて」
「本当は一か月ほど欲しかったんです。でも、あまり長く延期すると、アリウスに襲撃計画が漏れたと疑われるかもしれません」
原作で知っているのは、襲撃される場所と大まかな時期、それに関係者たちだ。
それが変われば、こちらの強みがなくなってしまう。
「場合によっては、調印式を待たずに襲撃したり、潜入させる人物を変えたりする可能性があります」
「……だから、短すぎず長すぎない十五日なのね」
「はい。もちろん、半月でも変更される危険はあります。ですが、時間を確保しつつ、原作の情報を生かせる可能性を残したかったのです」
「……納得したわ」
ヒナは、小さく頷いた。
「それで、その十五日間に何をするの?」
「……一番の目標は、調印式の前にアリウス自治区を見つけることです」
「……場所が分からないの?」
先生が尋ねた。
「ええ。地下に広がる複雑な区域に隠れていて、原作で見た風景だけでは、現実の経路を特定できません」
俺は、少しだけ肩を落とした。
「ですが、場所さえ分かれば、選択肢は一気に増えます」
「……選択肢?」
「まず、相手と接触して話し合うことができます。今のアリウスがどんな状況にあるのか、自分たちの目で確かめることもできるでしょう」
「……それは、いいね」
先生が微笑んだ。
「ただ、彼女たちを支配しているベアトリーチェという人物が、素直に交渉に応じるとは思えません」
「……支配?」
「はい。アリウスの生徒たちは長い間、トリニティが自分たちの苦しみの原因であり、ゲヘナとも共存できないと教え込まれてきました。ベアトリーチェの支配下では、自分たちの意思だけで自由に動ける環境ではないのです」
先生の表情が曇った。
「……それなら、なおさら助けたいね」
「ええ。交渉だけで済まないなら、別の選択肢も考えられます。例えば、生徒たちを保護する方法や、こちらから戦闘を仕掛けずに相手の動きを封じる方法」
俺は一度言葉を切った。
「……それでもどうしようもなければ、キヴォトスでは珍しくない、戦闘によって相手を止めることも選択肢には入ります」
「……ただし、戦う相手も生徒なのよね」
ヒナが静かに言った。
「はい。ですから、簡単に選ぶつもりはありません。戦闘になったとしても、目的は倒すことではなく、これ以上傷つけずに止めることです」
もちろん、口で言うほど簡単ではない。
ベアトリーチェを排除すれば、それですべてが解決するとも思えなかった。
「相手の場所が分からなければ、交渉することも、救出することも、戦闘を避けるための準備さえできません。だから、まずは所在地を突き止めたいのです」
「……うん。私も、できる限り話し合う道を探したいな」
先生が頷いた。
(……やっぱり、この人ならそう言ってくれるよな)
◇
「……それで、ナギ」
先生が、改めて尋ねた。
「さっき、万魔殿の名前を聞いて何か思いついたんだよね?」
「……はい」
俺はヒナを見た。
「ヒナさん。原作では、万魔殿の議長であるマコトさんが、アリウスと協力関係を結んでいました」
「…………」
ヒナの表情が引き締まった。
「……マコトが?」
「はい。トリニティの首脳部を排除したいという思惑から、襲撃計画に関わっていたのです」
「……はぁ……」
ヒナは深いため息をついた。
「……マコトなら、やりかねないわね」
(……驚きより呆れが先に来るのか)
「でも、今も同じことをしていると決めつけるわけにはいかないわ」
「ええ。だからこそ、いきなり問い詰めたり、疑惑を公表したりするつもりはありません」
「……それで、何を考えたの?」
「もし現在もマコトさんとアリウスの間に連絡があるのなら、その接点からアリウス自治区の場所を辿れないかと思ったのです」
ヒナが、少しだけ目を細めた。
「……直接アリウスを探すのではなく、万魔殿の接触先を調べるわけね」
「はい。ただ、成功率は高くないと思います」
「……どうして?」
「今も接触があるか分かりません。連絡方法も不明です。直接会っているとは限りませんし、仮に接触の痕跡が見つかっても、自治区まで辿れる保証はありません」
「……それに、相手に気づかれたら計画を変えられるわ」
「ええ。ですから、これはプランBです」
「……プランB?」
ツルギが首を傾げた。
「はい。実は、プランAも最終的な目的は同じなんです。調印式の前に、アリウス自治区を見つけること」
「……違うのは、探し方だけ?」
先生が尋ねた。
「その通りです」
俺は、小さく頷いた。
「プランAは、トリニティ側にある原作の手掛かりを追う方法です。アリウスと関わりのある人物や、転入してきた生徒の事情などを慎重に調べる。相手をいきなり問い詰めるのではなく、協力してもらえる道がないか探すつもりです」
頭に浮かぶのは、アズサやミカの顔だった。
だが、原作で知っていることだけを理由に、彼女たちを追い詰めたくはない。
「……つまり、トリニティから辿るのがプランAで、万魔殿から辿るのがプランBなのね」
「はい。両方の手掛かりが得られれば、互いに確認することもできます」
「……分かったわ」
ヒナは少し考え込んだ。
「私の方でも、万魔殿とアリウスの間に不審な接触がないか、確認できる範囲で調べてみる」
「……よろしいのですか?」
「本当にそんな関係があるなら、ゲヘナにとっても重大な問題よ。ただし、通常業務に支障のない範囲でね」
「……ありがとうございます」
俺は、丁寧に頭を下げた。
「もちろん、二つとも失敗する場合も考え、調印式の警備や避難の準備は進めます。自治区を見つけることが第一目標ですが、それだけに賭けるつもりはありません」
「……うん。その方が安心だね」
先生が微笑んだ。
「見つけることができれば、救える子たちも増えるかもしれないし」
「……ええ」
◇
「……それじゃあ、今からやることを整理しようか」
先生が、少し明るい声で言った。
「……はい」
「トリニティ側では、原作から分かっている手掛かりを整理して、アリウスに繋がる情報を探す」
俺は頷いた。
「ええ。関係する生徒たちを一方的に疑わず、慎重に進めます」
「……正義実現委員会でできることがあれば、言ってくれ」
ツルギが答えた。
「……勝手には動かない。相談してから動く」
「ありがとうございます、ツルギさん」
「ゲヘナ側の接触については私ね。マコトの周辺を、確認できる範囲で調べてみるわ」
「お願いします。くれぐれも無理はなさらないでくださいね」
「……ええ」
「私は補習授業部の子たちを見守りながら、警備や避難の準備にも協力するよ」
先生は、小さく微笑んだ。
「それからナギは、トリニティ側の調整と、延期の正式な手続きだね」
「はい。万魔殿の承認もまだ残っていますので、そちらも進めます」
「……あと、ここで話したことは、必要な人にだけ伝えることにしよう」
先生が言うと、ヒナも頷いた。
「ええ。調査を進める相手にも、必要以上の事情を知らせるべきではないわ」
「……承知しました」
「……さて、ナギ」
先生は、少しだけ表情を和らげた。
「今日はここまでにしよう。次は身体を診てもらう番だよ」
「……あっ」
(……そうだった)
俺は、思わず苦笑した。
「ふふっ。先生とのお約束でしたね」
「うん。ここは譲れないよ」
「……分かりました。救護騎士団へ向かいます」
仕事はすでに振り分けてある。
この後なら、きちんと時間を取れるはずだ。
(……それに、診察とは別の用事もあるしな)
救護騎士団の団長、蒼森ミネさんに、セイアさんの事件について手紙を届けたい。
とはいえ、無理に本人の居場所を探したり、事情を聞き出したりするつもりはない。騎士団に手紙を託して、連絡が取れた時に渡してもらえれば十分だ。
内容も、責める言葉ではない。これまでのことへの感謝と、今後の安全について相談したいというお願いだけ。
(……まずは診察。それから、手紙をお願いしよう)
『……あの、ナギさん!』
シッテムの箱から、アロナの声が聞こえた。
「……はい。何でしょうか?」
『私、まだ分からないこともたくさんありますけど……皆さんを助けようとしてくれて、ありがとうございます!』
「……こちらこそ。これからも先生のこと、よろしくお願いしますね」
『はいっ!』
俺は、思わず微笑んだ。
(……本当に、頼れる人が増えたな)
いつかナギサにも、そう伝えたい。
そう思いながら席を立ったところで、俺は大事なことを思い出した。
「……あっ。最後に、もう一つだけお願いしてもよろしいでしょうか?」
「……何かしら?」
「『ナギ』という呼び方ですが、先生と二人きりの時か、今ここにいる皆さんだけの時にしていただけると助かります」
「……ほかの人の前では?」
「これまで通り、『ナギサ』でお願いしますね。余計な混乱を招きたくありませんし、何より本来のナギサさんが戻ってきた時に困らないようにしたいのです」
ヒナが頷いた。
「……分かったわ」
「……ああ」
ツルギも短く答える。
先生は、穏やかに微笑んだ。
「うん。分かったよ、ナギ。ほかの人の前ではナギサと呼ぶね」
「ふふっ。ありがとうございます」
俺は、改めて三人に頭を下げた。
「これからも、よろしくお願いいたします」
「うん。こちらこそよろしくね」
「……ええ」
「……ああ」
三人の返事を聞いて、俺は胸の奥が温かくなるのを感じた。
今は、一緒に考えてくれる人がいる。
(……だったら、もっといい結末を目指せるよな)
俺は、そっと自分の胸に手を当てた。
(……ナギサ。君にも、必ず幸せになってもらうからな)
これからの物語は、もう画面の向こうにはない。
俺たち自身の手で、選んでいけるのだから。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
今回は、原作知識にどれだけ根拠があるのかを整理しながら、エデン条約の襲撃と、アリウス自治区を探すための二つの方法を明かすお話でした。
相手がどこにいるのかさえ分かれば、取れる選択肢も増えてきます。果たして、調印式までに手掛かりを見つけられるのでしょうか。
次回も楽しんでいただければ嬉しいです!
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