前回、FOX小隊から護身術を教わることになったナギ。
これまでFOX小隊を散々振り回してきましたが、今度は教わる側です。
果たして、無事に訓練を終えられるのでしょうか……。
それでは、お楽しみください!
――それから、しばらくして。
「…………」
俺は、目の前の光景を見つめていた。
広々とした屋内ジム。
床には厚いマットが敷かれ、その上には様々な訓練器具が並べられている。
タイヤ。
ロープ。
低い柵。
そして、奥にはネットを低く張った障害物まで用意されていた。
…………。
(……本格的だなぁ)
ここは、トリニティの屋内訓練施設だ。
今回の訓練に備え、使用許可を取り、警備体制も整えてある。
出入口には護衛の生徒が配置され、施設の周囲も確認済みだ。
ちなみに、先生は補習授業部の様子を見に行っている。
……うん。
あの子たちのことも気になるし、先生が見てくれるなら安心だ。
俺の方は、FOX小隊との訓練。
……ただ。
「……ふふっ」
クルミが、こちらを見て笑っていた。
…………。
(……うん)
分かってるよ。
絶対、仕返しする気だろ。
さっきの交渉で、あれだけ散々振り回したんだ。
怒っていない方がおかしい。
……まあ。
(……多少の腹いせくらい、付き合ってやらないとな)
これから一緒に仕事をする仲なんだ。
いつまでも鬱憤を溜め込まれていても困るし、少しくらい発散してもらった方がいいだろう。
それに。
(……俺自身、鍛えておかなきゃいけないしな)
ミレニアムを訪れた時、スミレに筋力トレーニングを教えてもらった。
……あれは、本当にきつかった。
でも、教わった方法が意外と面白くてな。
それ以来、空いた時間を見つけては、自分でトレーニングを続けている。
おかげで、以前よりずっと筋力がついた。
階段を上っても息が切れにくくなったし、多少長く走れるようにもなった。
……ただ。
護衛の関係で、自由に屋外を走り回れるわけじゃない。
どうしても、室内でできる運動が中心になってしまうんだ。
(……持久力は、まだまだなんだよな)
それに、戦闘訓練なんて受けたこともない。
身体の動かし方も、実戦での判断も。
俺は、ほとんど素人だ。
……だからこそ。
(……しっかり鍛えてもらわないとな)
アリウス自治区では、何が起きるか分からない。
俺が足を引っ張ったせいで、FOX小隊の誰かが危険な目に遭う。
……そんなのは、御免だ。
少なくとも、逃げろと言われた時には、自分の足で逃げられるようになりたい。
(……全員で、生きて帰るためにもな)
多少の仕返しなんて、安いものだろう。
『……ナギさん』
(……ん?)
『皆さん、随分と楽しそうですね』
(……ああ。そっちも分かってる)
『……ふふっ。そうでしたね』
ナギサが、楽しそうに笑った。
『ですが、本当に大丈夫でしょうか?』
(……まあ、何とかなるだろ)
だって、FOX小隊だぞ?
精鋭なんだから、訓練の加減くらい分かっているはずだ。
……うん。
きっと大丈夫。
…………。
(……多分)
◇
「……それでは、始める前に確認します」
ユキノが、俺の前に立った。
「救護騎士団での診察は、問題なかったとのことですね」
「ええ。訓練を行っても問題ないそうです」
……そう。
先ほど、念のためセリナに診てもらったんだ。
ところが。
昨日まであれほど痛かったお腹には、怪我の痕跡すら残っていなかった。
セリナも不思議そうにしていたな。
(……本当に、どうなってるんだろうな?)
まあ、今考えても分からないか。
「では、訓練を開始します」
「……はい。よろしくお願いいたします」
「本日の目的は、ナギサ様の基礎体力と実戦に必要な動作を確認し、改善することです」
ユキノは、淡々と説明した。
「厳しい内容になりますが、よろしいでしょうか?」
「……ええ」
俺は、頷いた。
「私自身、現在の実力で十分だとは思っていません」
ユキノの目を見て、続ける。
「今回の任務では、皆さんに護衛していただくことになります。ですが、だからといって、何もかも頼りきりにはなりたくないんです」
「…………」
「少しでも皆さんの負担を減らせるよう、必要なことは身につけたいと思っています」
……ああ。
厳しいのは、最初から承知の上だ。
多少痛い思いをすることになっても、構わない。
……いや。
痛いのは嫌だけどさ。
それでも、何もしないよりはずっといい。
「ですから、遠慮なくご指導ください」
…………。
その瞬間。
「……ふふっ」
ニコが、楽しそうに笑った。
「よかったね、クルミちゃん」
「はいっ!」
クルミが、満面の笑みを浮かべる。
「遠慮しなくていいそうですよ!」
…………。
(……うん)
分かってた。
分かってたけど。
……ちょっと怖いな。
「……ただし、クルミ」
ユキノが、静かに口を開いた。
「訓練の目的を忘れないように」
「分かってますってば!」
クルミが、少し頬を膨らませた。
「ちゃんと鍛えてあげますよ!」
…………。
(……鍛えてあげる、か)
……うん。
ものすごく気合いが入っているな。
「では、まず筋力を確認します」
「……はい!」
ユキノが、マットを指し示した。
「腕立て伏せ、二十回。正しい姿勢で行ってください」
……おお。
腕立て伏せか。
それなら、普段からやっている。
俺は、マットに両手をついた。
「……始め!」
「はいっ!」
一回。
二回。
三回。
……うん。
問題ないな。
そのまま、十回。
十五回。
そして。
「……二十!」
俺は、身体を起こした。
「終わりました」
「…………」
ユキノが、少し目を細めた。
「……なるほど」
……ん?
「フォームも悪くありませんね」
「ありがとうございます」
「思っていたより、筋力があるようです」
……おお!
やった!
努力の成果が出たぞ!
「……ナギサ様」
ニコが、興味深そうに口を開いた。
「普段から鍛えていらっしゃるんですか?」
「ええ。以前、ミレニアムのスミレさんにトレーニングを教えていただきまして」
「……スミレさん、ですか?」
「はい。直接教わったのは一度だけですが、それ以来、自分でも続けているんです」
「……なるほど」
ニコが、納得したように頷いた。
「それなら、納得ですね」
……うん。
あの時は、まさかここまで筋トレにハマるとは思わなかったけどな。
「……では、次はスクワット三十回です」
「はい!」
俺は、言われたとおりに腰を落とした。
一回。
二回。
三回。
……うん。
こちらも問題ない。
三十回を終える頃には多少息が上がっていたが、まだ余裕があった。
「……終了です」
「はい!」
「……ふむ」
ユキノは、俺の動きを確認していた。
「筋力については、ある程度鍛えられているようですね」
「……ありがとうございます」
……よし。
これは、なかなかいい感じじゃないか?
「ですが」
…………。
(……ん?)
「筋力があることと、実戦で動けることは別です」
……あっ。
「次は持久力を確認します」
ユキノが、ジムの外周を指し示した。
「まずは十周。前半は一定の速度を維持し、後半から徐々に速度を上げていただきます」
…………。
(……十周?)
「歩かずに、最後まで走ってください」
…………。
……なるほど。
十周、か。
まあ。
前よりは長く走れるようになったし。
……何とかなるだろ。
「……では、開始!」
「はいっ!」
俺は、走り出した。
…………。
……この時の俺は。
まだ、分かっていなかった。
FOX小隊の言う『持久力』が。
俺の想像しているものと、どれほど違うのかを。
◇
「……はぁっ……はぁっ……!」
……きつい。
ものすごく、きつい。
(……まだ六周目なんだけど!?)
最初の数周は、問題なかった。
むしろ、以前の俺ならもっと早く息が上がっていただろう。
……うん。
筋トレの成果は、ちゃんと出ている。
……出ているんだけどさぁ!
「ナギサ様!」
「は、はいっ!?」
クルミの声が響く。
「速度が落ちています!」
「す、すみま……はぁっ……!」
「謝る暇があったら、呼吸を整えてください!」
「は、はいっ!」
……いや。
言ってることは正しいんだよ。
正しいんだけど。
(……言い方ぁ!!)
しかも。
「……ナギサ様」
隣を走っていたニコが、微笑んだ。
「腕の振り方は悪くありませんね」
「……あ、ありがとうございます……!」
「でも、足が止まりかけていますよ」
…………。
「もう少しだけ、頑張りましょうか」
……ああ。
優しい声だ。
優しい声なのに。
(……内容が全然優しくない!!)
「ねえ、ナギサ様」
今度は、オトギが声をかけてきた。
「……は、はい……?」
「前より長く走れるようになったんですよね?」
「……え、ええ……!」
「じゃあ、今日は新記録を目指せるね」
…………。
(……何、その前向きな解釈!?)
……いや。
間違ってはいないんだけどさ。
「……あと三周です」
ユキノが、淡々と告げた。
…………。
(……三周)
……まだ、三周。
……だが。
ここで止まるわけにはいかない。
俺が、FOX小隊に訓練をお願いしたんだからな。
(……やってやるよ!)
俺は、残っている力を振り絞った。
……そして。
「……はぁっ……はぁっ……!」
ようやく、十周。
終了。
…………。
「……お、終わりました……!」
俺は、思わず膝に手をついた。
……ああ。
しんどい。
ものすごく、しんどい。
「……ナギサ様」
「……は、はい……?」
ユキノが、俺の前に立った。
「よく走りきりました」
……おお。
褒められた。
「ですが、最後は明らかに速度が落ちていましたね」
…………。
ですよねぇ。
「現在の持久力は、一般的な運動を行う分には以前より改善されているのでしょう。しかし、長時間の任務行動には不足しています」
「……はい」
「今後は、そちらも重点的に鍛える必要があります」
……ああ。
それは、間違いないな。
筋力はある。
以前より長く走れるようにもなった。
だが。
(……これじゃ、実戦では足りない)
アリウス自治区では、いつ撤退が必要になるか分からない。
疲れたから休ませてくれ、なんて言っていられないだろう。
「……分かりました」
俺は、姿勢を正した。
「引き続き、よろしくお願いします」
「……承知しました」
ユキノが、頷く。
「では、少し休憩を取った後、疲労した状態での基本動作を確認します」
…………。
(……え?)
……疲労した状態で?
…………。
いや。
今、まさに疲労してるんだけど!?
「クルミ」
「はいっ!」
「準備を」
「了解です!」
…………。
クルミが、ものすごく楽しそうにマットを指し示した。
「さあ、ナギサ様! こっちです!」
…………。
(……ああ)
……やっぱり。
これ、仕返しも兼ねてるよな。
…………。
まあ。
分かってて受け入れたんだ。
……やるしかない。
◇
「いちっ!」
「……い、いちっ……!」
「にっ!」
「……にぃっ……!」
「さんっ!」
「……さ、さんっ……!」
……腕が重い。
いや。
腕立て伏せ自体は、できるんだ。
さっきの二十回だって、問題なかった。
……でも。
(……走った後だと、全然違う!!)
「ナギサ様!」
「は、はいっ!?」
「腰が落ちています!」
「……す、すみません!」
「姿勢を直してください!」
「……はいっ!」
俺は、震える腕で身体を支え直した。
……ぐっ。
きつい。
「……今のは、数に入りませんね」
クルミが、にっこりと微笑んだ。
…………。
(……え?)
「姿勢が崩れていましたから。もう一回です!」
…………。
……おい。
待ってくれ。
(……厳しすぎない!?)
……いや。
これが正しい訓練なんだろうけどさ。
……それにしても。
「……クルミちゃん」
ニコが、横から口を開いた。
「はい?」
「ちょっと楽しみすぎじゃない?」
「そ、そんなことありません!」
クルミが、慌てて首を振った。
「ちゃんと指導してるだけです!」
「……ふふっ。そういうことにしておこうか」
…………。
(……やっぱり、分かってるんじゃないか)
……まあ。
仕方ない。
ここは、甘んじて受け入れよう。
……その後も。
スクワット。
短距離の往復走。
そして、再び腕立て伏せ。
…………。
(……何で走るのと筋トレを交互にやるんだよぉ!?)
「……ナギサ様」
ユキノが、静かに口を開いた。
「今、何が最もつらいですか?」
「……こ、呼吸です……!」
「では、呼吸を意識してください。力任せに動いても、長続きしません」
「……はいっ!」
……なるほど。
確かに、スミレから教わった筋トレでは、もっと落ち着いて動いていた。
だが、疲れてくると、どうしても呼吸が乱れる。
(……そうか)
力があるだけじゃ駄目なんだ。
その力を、長時間使えるようにしないと。
……うん。
勉強になるな。
……ものすごくきついけど。
◇
――短い休憩の後。
「……では、次は障害物訓練です」
ユキノが、コースを指し示した。
「低い柵を越え、並べられたタイヤを一つずつまたいで進みます。その後、ロープを登り、最後にネットの下を匍匐前進で移動していただきます」
「……承知しました」
……よし。
ここは、さっきまでとは少し違うな。
身体を動かす技術が重要になりそうだ。
「……では、開始!」
「はいっ!」
俺は、走り出した。
まずは低い柵。
……よし。
問題ない。
次はタイヤ。
…………。
あっ。
(……足が上がらない!?)
疲労のせいで、思ったより足が重い。
……まずい。
このままじゃ……!
「……わっ!?」
がくっ。
つま先が引っかかった。
どさっ!
「……いったぁ……!」
…………。
転んだ。
……ああ。
恥ずかしい。
「ナギサ様!」
「は、はいっ!?」
「転倒したら、まず周囲を確認してください!」
「……は、はいっ!」
「実戦なら、倒れたところを狙われますよ!」
……ああ。
確かに。
転んだことに驚いて、動きを止めてしまった。
(……こういうところも、直さないとな)
俺は、立ち上がった。
……さて。
次はロープだ。
…………。
(……よし)
ここは、筋トレの成果を見せる時だな。
俺は、ロープを握った。
腕の力で身体を持ち上げる。
「……ぐっ!」
……おお。
上がった!
疲れてはいるが、まだ腕の力は残っている。
そのまま、もう少し。
「……よしっ!」
……いけるぞ!
「……へえ」
オトギが、少し意外そうな声を上げた。
「結構登れるんだね」
「……は、はいっ!」
「でも、腕だけじゃすぐ疲れちゃうよ。足も使ってみて」
……あっ。
なるほど。
俺は、言われたとおりに足を使ってみた。
……おお!
さらに登りやすくなった!
(……すごいな!)
やっぱり、専門家は違う。
力を効率的に使う方法を知っているんだ。
……そして。
「……できました!」
俺は、無事に目標の高さまで到達した。
……やった!
「……なるほど」
ユキノが、俺を見上げていた。
「上半身の筋力は、確かに鍛えられていますね」
「……ありがとうございます!」
「ですが、最初から足を使っていれば、もっと少ない力で登れたはずです」
……あっ。
確かに。
「力があることと、その力を効率的に使えることは別です」
「……なるほど」
……うん。
勉強になるなぁ。
「……では、次です」
…………。
(……もう少し喜ばせてくれてもいいんじゃないかな!?)
◇
「…………」
俺は、目の前のネットを見つめていた。
低い。
ものすごく低い。
床には厚いマットが敷かれ、その上にネットが張られている。
……うん。
これ。
(……完全に這って進むやつだよな)
「……ナギサ様」
ユキノが、静かに口を開いた。
「ここからは、姿勢を低くしたまま前進していただきます」
「……はい」
「ネットに接触しないよう、身体を大きく持ち上げずに移動してください」
「……承知しました」
……よし。
やってやろうじゃないか。
俺は、マットに伏せた。
「……開始!」
「はいっ!」
ずりっ。
ずりっ。
腕と足を使って、前へ進む。
……うん。
思ったより……。
「ナギサ様! 頭が高いです!」
「は、はいっ!?」
「もっと低く!」
「……はいっ!」
俺は、慌てて身体を下げた。
……よし。
これなら……。
ばさっ。
「……ん?」
何かが、ネットに引っかかった。
…………。
(……あっ)
羽だ。
腰のあたりから伸びている、ナギサの羽。
それが、思いっきりネットに当たっていた。
(……そうだったぁ!!)
この身体、羽があるんだった!
「ナギサ様!」
「は、はいっ!?」
クルミが、こちらを指差した。
「羽が邪魔になっています! ちゃんと折りたたんでください!」
「……は、羽を、ですか!?」
「そうです!」
…………。
(……えっ?)
いや。
ちょっと待ってくれ。
羽を折りたたむ?
……どうやって?
「……あの、クルミさん」
「何ですか!?」
「……羽というのは、どうやって折りたためばよいのでしょうか?」
「…………」
クルミが、きょとんとした。
「……え?」
…………。
あっ。
何だろう。
すごく変なことを聞いてしまった気がする。
「……ナギサ様」
ユキノが、静かに口を開いた。
「羽を意識して動かすことは、あまり得意ではないのですか?」
「……ええ。普段は、あまり意識していませんので……」
……うん。
そもそも、前世の俺に羽なんてなかったんだぞ?
今まで、わざわざ動かそうと思ったこともなかった。
『……ナギさん』
(……ん?)
『羽を、身体に沿わせるように意識してみてください』
(……身体に沿わせる?)
『ええ。少しずつで構いませんから』
……なるほど。
俺は、腰のあたりに意識を向けた。
普段は、そこに羽があることすら忘れてしまうことがある。
……いや。
自分の身体の一部なんだから、忘れるなよって話なんだけどさ。
(……こう、か?)
ぴくっ。
…………。
おお。
動いた!
……いや。
少しだけだけど。
「……あっ!」
クルミが、声を上げた。
「そうです! そのまま、もっと小さくしてください!」
「……は、はいっ!」
俺は、さらに意識を集中させた。
……ぐっ。
すると、羽がゆっくりと身体へ寄っていく。
……おお!
(……できるじゃないか!)
……ただ。
慣れない動かし方だからか、妙に疲れるな。
腕も足も疲れているのに、今度は羽まで。
……何だ、この訓練。
「……なるほど」
ユキノが、俺の様子を確認していた。
「羽を折りたたむ動作にも、訓練が必要そうですね」
「……そうですね」
「狭い場所を移動する際、羽が障害物に接触すれば、動きが制限される可能性があります」
……ああ。
確かに。
アリウス自治区の内部には、狭い通路もあるかもしれない。
その時、羽が引っかかって動けなくなったら……。
(……まずいな)
かなり、まずいぞ。
「……では、ナギサ様」
ユキノが、静かに告げた。
「今後は、羽を折りたたんだ状態を維持する訓練も取り入れましょう」
「……承知しました」
……うん。
必要なことだ。
これも、しっかり覚えておかないとな。
「……それでは!」
クルミが、にっこりと微笑んだ。
「羽をたたんだまま、匍匐前進を続けてください!」
「……はいっ!」
俺は、再び前進を始めた。
ずりっ。
ずりっ。
……うん。
さっきより、動きやすい。
……ただ。
少し進んだところで。
ばさっ。
「……あっ」
羽が、開いた。
…………。
(……集中が切れたぁ!!)
「ナギサ様! 羽が開いてます!」
「は、はいっ!」
「折りたたんでください!」
「……はいっ!」
……ああ。
腕と足を動かすだけでも大変なのに!
(……羽まで意識しなきゃいけないのかよぉ!!)
「……ナギサ様」
横からニコの声が聞こえた。
「はいっ……!」
「羽だけに集中しすぎていますよ。腕と足の動きも忘れないでくださいね」
…………。
(……無茶言うなぁ!!)
いや。
言っていることは正しい。
……正しいんだけどさ。
「……ナギサ様」
ユキノが、静かに口を開いた。
「一度、動きを止めてください」
「……は、はい……」
「まず、羽をたたんだ状態を維持することだけに集中してみましょう」
……なるほど。
俺は、動きを止め、羽を身体へ寄せた。
「……そのままです」
「……はい」
「では、ゆっくり前進してください」
ずりっ。
ずりっ。
……おお。
今度は、何とか維持できている。
「……そうです。その感覚を覚えてください」
「……はいっ!」
……うん。
少しずつだけど、できるようになってきたぞ。
…………。
……ただ。
「……それでは、次は少し速度を上げましょう」
…………。
(……え?)
……もう?
「……ナギサ様」
ユキノが、俺を見つめた。
「続けられますか?」
…………。
俺は、少しだけ息を整えた。
正直、きつい。
腕も足も、かなり疲れている。
……でも。
(……まだ、動ける)
だったら。
「……はい。お願いします」
ユキノが、小さく頷いた。
「……分かりました」
……よし。
もう一回だ。
…………。
……まあ。
結局、途中で羽が開いて、ネットに引っかかったんだけどさ。
(……羽をたたむだけで、こんなに大変だとは思わなかったなぁ)
……ああ。
まだまだ、覚えることが山ほどあるらしい。
◇
――さらに、しばらくして。
「……はぁっ……はぁっ……!」
……もう。
身体が重い。
腕も。
足も。
肩も。
全部、疲れた。
……おまけに。
(……羽まで疲れた気がする)
……いや。
本当に疲れるものなのか?
よく分からないけど。
少なくとも、今まで意識したことのない場所を、ずっと動かしていたんだ。
何だか、妙な感覚がする。
「……ナギサ様」
ユキノが、俺の前に立った。
「……は、はい……!」
「少し休憩を取った後、近接戦闘の基礎訓練を行います」
…………。
(……え?)
近接戦闘?
つまり。
(……組み手!?)
…………。
……おい。
待て。
今の俺に!?
「……だ、大丈夫でしょうか……?」
「体調を確認したうえで行います。危険な技は使用しませんし、マットも用意しています」
……ああ。
よかった。
さすがに、そこは……。
「ただし、内容そのものを簡単にするつもりはありません」
…………。
……ですよねぇ。
「相手は、こちらの都合に合わせてくれませんから」
「……承知しました」
俺は、頷いた。
……うん。
そのとおりだ。
むしろ、これくらい厳しく教えてもらわないと困る。
……それに。
(……少し、悔しいしな)
筋力は、確かについている。
でも、肝心の身体の動かし方を知らない。
だったら。
覚えればいい。
できるようになるまで、練習すればいいんだ。
『……ナギさん』
(……ん?)
『……随分とお疲れのようですが』
(……ああ。めちゃくちゃ疲れた)
『それでも、まだ続けるのですか?』
(……もちろん)
俺は、心の中で頷いた。
(……ここで終わったら、もったいないだろ)
『……ふふっ』
(……何だよ)
『いえ。ナギさんは、本当に負けず嫌いなのですね』
…………。
……そうかなぁ。
……まあ。
否定はしないけどさ。
◇
「……では、まず基本動作を確認します」
ユキノが、説明を始めた。
「今回は、相手に腕を取られた場合の対応です」
「……はい」
「重要なのは、力任せに振りほどこうとしないこと。相手の動きと重心を見て、適切な方向に身体を動かしてください」
……なるほど。
俺は、真剣に説明を聞いた。
腕の位置。
足の運び方。
重心の移動。
……うん。
理屈は分かった。
「では、クルミ」
「はいっ!」
…………。
(……あっ)
……来た。
ついに。
クルミの出番だ。
「ナギサ様!」
「……はい?」
クルミが、満面の笑みを浮かべた。
「よろしくお願いします!」
「……ええ。こちらこそ」
…………。
ああ。
どうしよう。
この子、ものすごく楽しそうなんだけど。
「……それでは、始めます!」
「はいっ!」
俺は、構えた。
…………。
そして。
「……えっ?」
すっ。
クルミが、俺の腕を取った。
……と思った時には。
ぐるんっ!
「……わぁぁっ!?」
どさっ!
…………。
天井。
天井が見える。
…………。
(……え?)
……何が起きた?
「……ナギサ様」
クルミが、俺を見下ろしていた。
「今の動き、分かりましたか?」
…………。
「……い、いえ……」
「でしょうね!」
クルミが、にっこりと笑った。
「もう一回です!」
…………。
(……速い!!)
いや。
動きもそうだけど。
切り替えが、ものすごく速い!
「……ナギサ様!」
「……は、はいっ!」
「さっき、私たちに何て言いました!?」
「……え?」
「自分で考えて判断しろって、言いましたよね!?」
…………。
(……あっ)
……言ったな。
うん。
確かに言った。
「だったら、ちゃんと考えてください!」
「……はいっ!」
「相手の動きを見て、自分で判断するんです!」
「……承知しました!」
……くそっ。
完全に、さっきの仕返しじゃないか。
……まあ。
間違ったことは言ってないんだけどさ。
「……では、もう一度!」
「……はい!」
俺は、クルミの動きを観察した。
腕の位置。
足の向き。
重心。
……よし。
次の動きは……。
すっ。
「……あっ!?」
ぐるんっ!
どさっ!
…………。
(……また!?)
「ナギサ様!」
「……は、はいっ!」
「考えすぎです!」
「……えぇっ!?」
「相手は、考え終わるまで待ってくれません!」
…………。
……いや。
さっきは考えろって言ったじゃないか!
「……ナギサ様」
ユキノが、静かに口を開いた。
「クルミの言うことも、間違いではありません」
「……は、はい……」
「状況を判断することは重要です。しかし、実戦では考える時間が十分にあるとは限りません」
……なるほど。
「だからこそ、基本動作を繰り返し、身体に覚えさせる必要があります」
……ああ。
そういうことか。
……確かに。
頭で分かっているだけじゃ、意味がない。
実際に身体が動かなければ、何もできないんだから。
「……分かりました」
俺は、頷いた。
「では、もう一度お願いします」
……今度こそ。
少しは、まともに動いてみせよう。
「……はいっ!」
クルミが、構えた。
……よし。
相手の重心を見て……。
すっ。
クルミの腕が伸びてくる。
……今だ!
俺は、先ほど教わった動きを試した。
腕を引き、身体の向きを変える。
……そして。
「……っ!?」
クルミの身体が、わずかに揺れた。
…………。
(……おっ?)
いけた!?
「……えっ!?」
クルミが、目を丸くした。
……よし!
力の入れ方が、少し分かってきたぞ!
「……なるほど」
ユキノが、静かに呟いた。
「筋力は、確かにありますね」
……おお!
これは、もしかして……!
…………。
そう思った瞬間。
「……甘いですっ!」
クルミが、素早く足を動かした。
……えっ?
ぐらっ。
俺の重心が、大きく崩れる。
「……わぁっ!?」
どさっ!
…………。
……また。
天井が見える。
(……ああ)
……そうか。
そういうことか。
…………。
(……力じゃ、勝てないんだな)
……いや。
力だけじゃ、だ。
「……ナギサ様」
クルミが、少し驚いたようにこちらを見つめていた。
「……はい?」
「……思ったより、力がありますね」
…………。
……おっ?
「……ありがとうございます」
「でも!」
クルミが、すぐに続けた。
「力があっても、動きを読まれたら意味ないですから!」
「……ええ。勉強になりました」
「…………」
クルミが、少しだけ口を尖らせた。
……あれ?
何だろう。
素直にお礼を言ったんだけど。
「……クルミ」
ユキノが、静かに口を開いた。
「今の動きは、ナギサ様にとって良い経験になったはずです」
「……分かってます」
「それに、最初より反応が良くなっています」
…………。
(……え?)
俺は、思わずユキノを見た。
「……本当ですか?」
「ええ」
ユキノが、頷く。
「少なくとも、今の動きでは、相手に対して適切な方向へ力を使えていました」
……おお。
これは、嬉しいな。
「ただし、動作が単純すぎました。次は、相手の反撃も想定してください」
「……承知しました!」
……よし。
次こそは。
…………。
「……それじゃあ、続けますよ!」
クルミが、再び構えた。
……ああ。
何だか、さっきより気合いが入ってないか?
「……始めます!」
「はいっ!」
…………。
そして。
どさっ!
「……いったぁぁ……!」
…………。
……うん。
やっぱり、駄目だった。
まだまだ、先は長そうだな。
◇
――しばらくして。
「……はぁっ……はぁっ……!」
俺は、マットの上に座り込んでいた。
……疲れた。
本当に、疲れた。
……でも。
(……少しは、できるようになったかな)
最初は、何をされたのかさえ分からなかった。
だが、何度も教わっているうちに、相手の動きが少しずつ見えるようになってきた。
……まあ。
だからといって、クルミに勝てるようになったわけじゃないけどさ。
「……ナギサ様」
ユキノが、俺の前に立った。
「……はい?」
「本日の訓練は、ここまでとします」
…………。
(……え?)
……終わり?
本当に?
「……お、終わりですか……?」
「はい」
ユキノが、頷いた。
「現在の筋力、持久力、基本動作については、十分に確認できました」
…………。
ああ。
やった。
終わった。
ついに終わったぞ。
(……生きてる……)
いや。
死んでないけどさ。
……でも。
本当に、よく頑張ったと思う。
……自分で。
「……それにしても」
ニコが、こちらへ近づいてきた。
「ナギサ様、随分と頑張りましたね」
「……ありがとうございます……」
「途中で音を上げるかと思っていたんですけど」
…………。
……まあ。
何度か、本気で帰りたくなったけど。
「……自分からお願いしたことですので」
俺は、苦笑した。
「途中で投げ出すわけにはいきませんから」
「……ふふっ」
ニコが、柔らかく微笑んだ。
「……そうですか」
……ん?
何だろう。
少しだけ、雰囲気が変わったような……。
「……ねえ、ユキノ」
ニコが、ユキノへ顔を向けた。
「……何?」
「ナギサ様、思っていたよりずっと頑張り屋さんなんだね」
…………。
(……え?)
……おお。
これは、褒められてるのか?
「……そうだな」
ユキノが、静かに頷いた。
「少なくとも、訓練に取り組む姿勢は評価できる」
…………。
……おお!
やった!
あのユキノに、少し認めてもらえたぞ!
「……ただし」
…………。
(……ん?)
「実戦で通用するかは、別問題だ」
……ですよねぇ。
「……承知しています」
俺は、素直に頷いた。
……うん。
まだまだ、足りないことばかりだ。
……でも。
だからこそ、鍛える意味があるんだろう。
「……ナギサ様」
今度は、クルミが近づいてきた。
「……はい?」
「今日の訓練、どうでしたか?」
…………。
どう、か。
……うん。
正直に言おう。
「……想像以上に厳しかったです」
「……そうですか」
クルミが、少しだけ笑った。
……うん。
やっぱり、嬉しそうだな。
「ですが」
俺は、続けた。
「とても勉強になりました」
「……え?」
「筋力がついたことで、以前より身体を動かせるようになったと思っていました」
……そう。
それは、間違いじゃなかった。
実際、腕立て伏せも、ロープも登れた。
……でも。
「それだけでは、実戦で通用しないのですね」
「……はい」
クルミが、少し真面目な表情になった。
「力があっても、使い方を知らなければ意味がありません」
「……ええ」
「それに、疲れて動けなくなったら、どれだけ力があっても使えないですから」
……ああ。
ごもっともだな。
「……ですから」
俺は、微笑んだ。
「これからも、ぜひご指導いただけると嬉しいです」
「…………」
クルミが、目を丸くした。
「……え?」
「皆さんから学べることは、まだまだ多そうですから」
……それに。
「今日、改めて実感しました」
俺は、四人を見渡した。
「皆さんが、どれほど厳しい訓練を積んできたのか」
……ああ。
本当に。
すごい子たちだ。
「……尊敬します」
…………。
その瞬間。
クルミが、少しだけ目を見開いた。
「……そ、そんなこと……」
……ん?
「……当たり前ですから!」
ぷいっ。
顔を背けた。
…………。
(……あれ?)
照れてる?
……いや。
まだ怒ってるんだよな。
……うん。
そうだった。
「……ナギサ様」
ユキノが、静かに口を開いた。
「……はい?」
「今回の訓練で、一つ分かったことがあります」
「……何でしょうか?」
「ナギサ様は、少なくとも、自分の不足している部分から目を逸らす方ではないようですね」
…………。
(……あっ)
俺は、少し驚いた。
「……ありがとうございます」
「ですが」
ユキノは、続けた。
「それと、ナギサ様を信用できるかどうかは、別の話です」
…………。
……ああ。
(……そうだよな)
俺は、静かに頷いた。
「……ええ。承知しています」
「…………」
「むしろ、それで構いません」
……そう。
信頼なんて、一日で築けるものじゃない。
あれだけ怒らせたんだ。
今すぐ信用してもらおうなんて、虫が良すぎるだろう。
「……ただ」
俺は、続けた。
「これからも、皆さんに学ばせていただきたいと思っています」
ユキノは、しばらく俺を見つめていた。
そして。
「……分かりました」
小さく頷いた。
「では、今後も必要な訓練を続けていただきます」
…………。
(……え?)
「もし私たちが今回の任務で護衛を担当することになれば、ナギサ様の安全は私たちの責任でもありますから」
「……はい」
「そのために必要なことは、遠慮なく申し上げます」
……ああ。
なるほど。
……うん。
それでいい。
「……よろしくお願いいたします」
俺は、丁寧に頭を下げた。
…………。
ただ。
(……今後も、か)
……つまり。
また、今日みたいな訓練をするわけだ。
…………。
(……ああ)
……俺の平穏な日々が。
音を立てて崩れていく気がする。
◇
――訓練終了後。
「……うぅ……」
俺は、ジムの椅子に座り込んでいた。
……痛い。
全身が。
ものすごく、痛い。
……いや。
昨日までの腹部の痛みとは、また別なんだけどさ。
腕。
足。
肩。
背中。
全部、重い。
(……明日、絶対筋肉痛だろ……)
……ああ。
身体が、ばらばらになりそうだ。
『……ナギさん』
(……ん?)
ナギサが、こちらを覗き込んでいた。
『……大丈夫ですか?』
(……大丈夫じゃない)
俺は、心の中で即答した。
(……もう、動きたくない……)
『……ふふっ』
(……笑うなよぉ……)
『いえ。随分と頑張っていらっしゃいましたから』
(……ああ)
……本当に。
よく頑張ったと思うよ。
自分でも。
『……でも』
(……ん?)
『少し、楽しそうでもありましたね』
…………。
(……え?)
……いや。
そんなこと……。
…………。
……まあ。
(……そうかもな)
きつかった。
ものすごくきつかった。
でも。
スミレに教わった筋トレの成果を実感できた。
それに、できなかったことが少しずつできるようになるのは、確かに楽しかったんだ。
(……次は、もう少し上手くできるかな)
『……ふふっ』
(……何だよ)
『いえ。ナギさんらしいなと思いまして』
…………。
……そうかなぁ。
『……それに』
(……ん?)
『FOX小隊の皆さんも、少し楽しそうでしたね』
…………。
……ああ。
そうだったな。
特に、クルミ。
あの子、ものすごく楽しそうだった。
(……まあ、少しは怒りを発散できたならいいんだけどさ)
『……ナギさんは、最初からお気づきだったのですよね』
(……ああ)
もちろんだ。
あの子たちが、怒っていることくらい分かっていた。
……でも。
(……それでいいんだよ)
俺に怒っているなら、無理に我慢する必要なんてない。
もちろん、訓練にかこつけて何でも許されるわけじゃないけどさ。
少なくとも、今日の訓練はちゃんと俺のためになった。
……それに。
途中からは、俺自身も夢中になっていたしな。
(……結果的に、一石二鳥だったんじゃないか?)
『……ふふっ』
(……何だよ)
『いえ。ナギさんは、本当に前向きですね』
……そうかなぁ。
……まあ。
そうかもしれないな。
……と。
「……ナギサ様!」
突然、声が聞こえた。
「……はい?」
顔を上げると。
クルミが、こちらへ歩いてきていた。
「……クルミさん」
「はい!」
クルミが、にっこりと微笑んだ。
「次回の訓練についてなんですけど!」
…………。
(……え?)
次回?
……もう?
「……な、何でしょうか……?」
「今回、持久力が足りないことが分かりましたよね!」
…………。
……うん。
まあ。
そうだな。
「ですので!」
クルミが、満面の笑みを浮かべた。
「次回からは、もっと本格的に鍛えましょう!」
…………。
…………。
(……え?)
もっと?
本格的に?
…………。
「……あ、あの……」
「はいっ!」
「……ちなみに、今回の訓練は……?」
「基礎です!」
…………。
即答だった。
「まだまだ、これからですよ!」
…………。
…………。
(……ああ)
……そうか。
そうなのか。
俺は、ゆっくりと天井を見上げた。
…………。
(……俺、何であんなこと言ったんだろうな)
遠慮なくご指導ください。
……うん。
確かに、言った。
自分で。
…………。
まあ。
覚悟は決めていたんだ。
これから危険な場所へ向かう以上、必要な訓練は受けなきゃいけない。
……ただ。
それは、それとして。
(……もう少し、優しくてもいいんじゃないかなぁ!?)
『……ナギさん』
(……何だよ……)
『……ご自身でおっしゃったのでしょう?』
…………。
(……ああ)
『遠慮なく、ご指導ください、と』
…………。
(……言ったな)
『……ふふっ』
ナギサが、楽しそうに微笑んだ。
『でしたら、最後まで頑張らないといけませんね』
…………。
(……ナギサまで!?)
……ああ。
もう。
誰も味方がいない。
…………。
いや。
待てよ。
よく考えたら、全員俺のために言ってくれてるんだよな。
……うん。
ありがたい。
本当にありがたいことだ。
…………。
(……ありがたい、はずなんだけどなぁ)
俺は、椅子の背もたれへ身体を預けた。
……まったく。
つい先ほどまで、FOX小隊に厳しいことを言っていたと思ったら。
今度は、俺が厳しく指導される側か。
…………。
(……因果応報、ってやつなのかねぇ)
まあ。
仕方ない。
俺が、自分で蒔いた種なんだから。
…………。
……でも。
(……せめて、次回は手加減してくれないかなぁ……)
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
今回は、FOX小隊によるナギの訓練回でした!
前回まで散々FOX小隊を振り回していたナギですが、今回は見事に立場が逆転しましたね。
ちなみに、ナギは最初から多少の仕返しがあることには気づいていました。
それでも訓練を受けたのは、これからの任務で皆の足を引っ張りたくなかったからです。
……まあ、想像以上に厳しかったようですが。
そして、スミレに教わった筋トレの成果も、ちゃんと出ていました!
ただ、やはり特殊部隊の訓練は別物だったようですね。
それと、少しだけ作者から。
ここ最近の第37話から第40話までは、特に力を入れて執筆したお話でした!
自分なりにかなり頑張った部分でもあるので、楽しんでいただけていたら嬉しいです。
もしよろしければ、今回のお話やFOX小隊とのやり取りについて、感想や評価などをいただけると、とても励みになります!
次回も引き続きよろしくお願いします!