お労しいナギサ様へ   作:ムテケル

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第43話です!

今回は、補習授業部の第一次試験の結果発表です!

原作より早い段階から勉強を始めていた四人ですが、果たして結果はどうなったのでしょうか?

それでは、お楽しみください!


第一次試験の結果

 翌日――午後三時。

 

「……あっ、先生!」

 

「……ん?」

 

 廊下を歩いていると、見慣れた姿を見つけた。

 

 シャーレの先生だ。

 

「ナギサ。こんにちは」

 

「ごきげんよう、先生」

 

 俺は、軽く頭を下げた。

 

「……ところで、先生」

 

「どうしたの?」

 

「補習授業部の第一次試験ですが、結果はいかがでしたか?」

 

「ああ、ちょうどよかった」

 

 先生が、手にしていた書類を軽く持ち上げた。

 

「今から、みんなに結果を伝えに行くところなんだ」

 

「……そうなのですか?」

 

「うん」

 

 先生が、微笑んだ。

 

「それじゃあ、ナギサも一緒に聞く?」

 

 …………。

 

 それは、ありがたい。

 

「……よろしいのですか?」

 

「もちろん。ナギサもみんなのことを気にかけてくれていたしね」

 

「ありがとうございます。それでしたら、私もご一緒させていただきます」

 

「うん。行こうか」

 

 …………。

 

 俺は、先生と並んで歩き始めた。

 

(……さて、どうなったかな)

 

 …………。

 

 できれば、全員合格していてほしい。

 

 今回は、原作より早い段階から勉強が始まっている。

 

 きっと、その成果は出ているはずだ。

 

 ……ただ。

 

(……ハナコは、どうするつもりなんだろうな)

 

 …………。

 

 あの子の実力なら、元々合格するのは難しくない。

 

 問題は、本人がそれを望むかどうかだ。

 

 …………。

 

 ……まあ。

 

 考えていても仕方ないな。

 

(……まずは、結果を見てからだ)

 

 

     ◇

 

 

 ――補習授業部、教室。

 

 コンコン。

 

「はーい!」

 

 扉の向こうから、ヒフミの声が返ってきた。

 

「みんな、お疲れさま」

 

「あっ、先生!」

 

 先生が扉を開くと、ヒフミが嬉しそうに顔を上げた。

 

 そして。

 

「……えっ!?」

 

 俺の姿を見て、目を丸くした。

 

「ナ、ナギサ様!?」

 

「皆さん、ごきげんよう」

 

 俺は、微笑んだ。

 

「試験、お疲れさまでした」

 

「ご、ごきげんよう!」

 

 ヒフミが、慌てて頭を下げた。

 

「ナギサ様までいらっしゃるなんて……!」

 

「ふふっ。皆さんの結果が気になりまして」

 

「……あら」

 

 ハナコが、いつもの柔らかな笑みを浮かべた。

 

「ナギサさんも、私たちのことが気になっていらしたんですね?」

 

「ええ。もちろんですよ」

 

「……ふふっ。それは嬉しいですね♡」

 

 ハナコが、少しだけ身を乗り出した。

 

「でしたら、私のことも、しっかり見ていてくださいね?♡」

 

 …………。

 

 随分と自信がありそうだな。

 

「ええ。楽しみにしていますね」

 

「……ふふっ。約束ですよ?♡」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 相変わらず、ハナコとの会話は楽しいな。

 

「……わ、私だって頑張りましたから!」

 

 コハルが、慌てたように声を上げた。

 

「ナギサ様、私の結果も見ていてください!」

 

「もちろんですよ、コハルさん」

 

「……は、はい!」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 コハルも元気そうだな。

 

 と。

 

「…………」

 

 アズサが、こちらをじっと見つめていた。

 

 ……ん?

 

「……アズサさん?」

 

「…………」

 

 アズサの視線が、一瞬だけ俺の足元へ落ちた。

 

 そして、もう一度こちらへ戻ってくる。

 

「……何かございましたか?」

 

「……いや」

 

 アズサが、小さく首を振った。

 

「何でもない」

 

「……そうですか?」

 

 …………。

 

 ……うーん。

 

 何だったんだろうな。

 

 ……まあ、いいか。

 

「それじゃあ、みんな」

 

 先生が、書類を取り出した。

 

「試験の結果を発表するよ」

 

 …………。

 

 その瞬間。

 

 教室の空気が、少しだけ張り詰めた。

 

 ……さて。

 

 いよいよだな。

 

 

     ◇

 

 

「今回の合格基準は、100点満点中60点以上だよ」

 

「……ろ、60点……」

 

 コハルが、小さく呟いた。

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 さっきまでの自信は、どこに行ったんだろうな。

 

「それじゃあ、まずはヒフミから」

 

「は、はいっ!」

 

「84点。合格だよ!」

 

「……えっ!?」

 

 ヒフミが、目を見開いた。

 

 そして。

 

「や、やりましたぁ!」

 

 ぱっと表情を輝かせた。

 

「先生! ありがとうございます!」

 

「うん。よく頑張ったね」

 

 …………。

 

(……84点か)

 

 原作では、もっと低かったはずだ。

 

 やっぱり、早めに勉強を始めてもらって正解だったな。

 

「ヒフミさん、おめでとうございます」

 

「あ、ありがとうございます、ナギサ様!」

 

「ふふっ。よく頑張りましたね」

 

「……はいっ!」

 

 ……うん。

 

 いい笑顔だ。

 

「次は、コハル」

 

「……っ!」

 

 コハルが、びくりと肩を震わせた。

 

「だ、大丈夫です!」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 ものすごく緊張してるな。

 

「47点。残念だけど、不合格だね」

 

「…………え?」

 

 コハルが、固まった。

 

「……よ、47点……?」

 

「うん。あと13点だね」

 

「……そ、そんな……」

 

 コハルが、ぎゅっと拳を握った。

 

「……あんなに、勉強したのに……」

 

 …………。

 

 小さな声が聞こえてきた。

 

 そして。

 

「……みんなに教えてもらったのに……」

 

 …………。

 

「コハルさん?」

 

「……っ!?」

 

 コハルが、慌てて顔を上げた。

 

「な、何でもありません!」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 相当悔しそうだな。

 

(……でも、47点か)

 

 原作では、もっと苦戦していたはずだ。

 

 頑張った成果は、ちゃんと出ているみたいだな。

 

 ……もちろん。

 

 そんなことを本人に説明するわけにはいかないけどさ。

 

「コハルさん」

 

「……はい……」

 

「悔しいですか?」

 

「…………」

 

 コハルが、少し俯いた。

 

「……はい」

 

 …………。

 

 ……そっか。

 

「では、その悔しさを次の試験にぶつけましょう」

 

「……え?」

 

「合格まで、あと13点です」

 

 俺は、微笑んだ。

 

「私もお手伝いしますから、一緒に頑張りましょうね」

 

「……ナギサ様……」

 

 コハルが、目を見開いた。

 

 そして。

 

「……はいっ!」

 

 勢いよく頷いた。

 

「次こそは、絶対に合格してみせます!」

 

「ふふっ。期待していますね」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 いい意気込みだ。

 

「次は、アズサ」

 

「……ああ」

 

 アズサが、静かに頷いた。

 

「52点。残念だけど、不合格だね」

 

「……そうか」

 

 アズサは、少しだけ目を伏せた。

 

「……あと8点」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 惜しかったなぁ。

 

(……でも、アズサも頑張ったんだな)

 

 慣れない環境で、初めてのことも多かっただろうに。

 

 しっかり勉強してきたんだろう。

 

「アズサさんも、あと少しですね」

 

「……ああ」

 

 アズサが、こちらを見つめた。

 

「次は、合格する」

 

「ええ。応援していますよ」

 

 …………。

 

 ……よし。

 

 二人とも、まだ十分に可能性はある。

 

 次の試験では、ぜひ合格してほしいな。

 

 …………。

 

 さて。

 

 残るは、一人。

 

「最後は、ハナコ」

 

「……はい♡」

 

 ハナコが、にっこりと微笑んだ。

 

「……ふふっ。どうだったのでしょうね」

 

 …………。

 

 ……ハナコか。

 

(……さて、どうなるかな)

 

 …………。

 

 あの子なら、満点だって取れるはずだ。

 

 ……ただ。

 

 原作のことを考えると、少し気になるんだよな。

 

「ハナコは……」

 

 先生が、書類に目を落とした。

 

「100点。満点だよ!」

 

 …………。

 

 …………。

 

(……えっ!?)

 

 ……100点?

 

 …………。

 

(……原作2点だったハナコが!?)

 

 …………。

 

 ヒフミも、コハルも、アズサも。

 

 今回は、原作より早い段階から勉強を始めていた。

 

 だから、点数が上がっているのは納得できる。

 

 ……でも。

 

 ハナコは、違う。

 

 …………。

 

(……ほ、本当に、満点を取ってきたのか……)

 

 …………。

 

「……ひゃ、100点!?」

 

 コハルが、思わず立ち上がった。

 

「ハナコ!? あなた、満点だったの!?」

 

「……ふふっ」

 

 ハナコが、楽しそうに笑った。

 

「はい。今日は、少し頑張ってみました」

 

「少しって……!」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 まあ、そうなるよな。

 

「ハナコさん、すごいです!」

 

 ヒフミも、嬉しそうに声を上げた。

 

「満点だなんて!」

 

「ありがとうございます、ヒフミさん」

 

 ハナコが、微笑んだ。

 

 そして。

 

「……ナギサさん?」

 

「……はい?」

 

「私、頑張りましたよ?」

 

 …………。

 

「ええ。満点、おめでとうございます」

 

 俺は、微笑んだ。

 

「素晴らしい結果ですね」

 

「……ふふっ。ありがとうございます♡」

 

 ハナコが、嬉しそうに目を細めた。

 

「……実は、ですね」

 

「……はい?」

 

「今日は、絶対に満点を取りたいと思っていたんです」

 

 …………。

 

 ……わざわざ満点を?

 

「……それは、またどうしてですか?」

 

「……ふふっ」

 

 ハナコが、こちらを見つめた。

 

「ナギサさんに、たくさん褒めていただきたかったので♡」

 

 …………。

 

(……えっ?)

 

 …………。

 

 ……褒めてもらいたかったから?

 

 …………。

 

(……あっ)

 

 ……そういえば。

 

 以前、ハナコとキャンバスの話をしたよな。

 

(……もしかして、あの時の言葉が届いたのかな)

 

 …………。

 

 ……そっかぁ。

 

(……嬉しいなぁ)

 

 自分でやりたいことを決めて。

 

 そのために頑張って。

 

 こうして、結果まで出してきたんだ。

 

 …………。

 

(……うん。偉いぞ、ハナコ!)

 

 …………。

 

 ……よし。

 

 だったら、ちゃんと褒めてあげないとな。

 

「それでは、改めまして」

 

 俺は、ハナコへ向き直った。

 

「ハナコさん。本当によく頑張りましたね」

 

「……ふふっ。ありがとうございます♡」

 

「満点という結果も素晴らしいですが……」

 

 俺は、ハナコの目をまっすぐに見つめた。

 

「ご自分で目標を決めて、そのために努力されたことが、私は何より嬉しいです」

 

「…………!」

 

 ハナコが、目を見開いた。

 

「……あ……」

 

「ふふっ。本当に、立派ですよ。ハナコさん」

 

「…………っ」

 

 …………。

 

 ハナコの頬が、少しずつ赤くなっていく。

 

「……あ、ありがとう……ございます……」

 

 …………。

 

 ……あれ?

 

 さっきまでの勢いは、どこに行ったんだ?

 

「……ハナコさん?」

 

「……は、はい……?」

 

 …………。

 

(……もしかして、照れてる?)

 

 …………。

 

 ……へぇ。

 

 普段はあんなに堂々と人をからかっているのに。

 

 真正面から褒められると、こんな反応になるのか。

 

(……ふふっ。可愛いところもあるんだなぁ)

 

 …………。

 

 ……よし。

 

 ちょっと、からかってみるか。

 

「……ふふっ。どうかなさいましたか?」

 

「……えっ?」

 

「先ほどまで、あんなに褒めてほしそうにしていらっしゃったのに」

 

 俺は、少しだけ首を傾げた。

 

「もしかして、照れていらっしゃるんですか?」

 

「…………っ!」

 

 ハナコの頬が、さらに赤くなった。

 

「……も、もう……ナギサさん……」

 

 …………。

 

(……本当に照れてる)

 

 ……いやぁ。

 

 これは珍しいものを見たなぁ。

 

「……?」

 

 ふと見ると、ヒフミがハナコの方を見つめていた。

 

「……ヒフミさん?」

 

「……あっ! い、いえ!」

 

 ヒフミが、慌てて首を振った。

 

「何でもありません!」

 

 …………。

 

 ……そうか?

 

 ……まあ、いいか。

 

「……ふふっ」

 

 ハナコが、小さく息を整えた。

 

 そして、いつもの笑みを浮かべる。

 

「……でも、ナギサさん?♡」

 

「……はい?」

 

「女の子をこんなに照れさせてしまったんですから……」

 

 ハナコが、いたずらっぽく目を細めた。

 

「ちゃんと責任を取っていただかないといけませんね?♡」

 

 …………。

 

(……そう来たか)

 

 ……ふふっ。

 

 いいねぇ。

 

 それじゃあ、こう返してみるか。

 

「……ふふっ。もちろんです」

 

「……あら?」

 

「では、責任を取って、もう一度褒めさせていただきましょうか?」

 

「…………え?」

 

「ハナコさんのように、頑張りたいことを見つけて、きちんと努力できる方は、本当に素敵だと思いますよ」

 

「……っ!?」

 

 ハナコが、再び頬を赤くした。

 

「ちょ、ちょっと……ナギサさん……!」

 

「……おや。どうかなさいましたか?」

 

「……も、もう……!」

 

 …………。

 

(……ふふっ)

 

 ……うん。

 

 やっぱり、ハナコとの会話は楽しいなぁ。

 

「……ふふっ。分かりました」

 

 ハナコが、少し困ったように微笑んだ。

 

「これ以上褒められてしまうと、私の方が困ってしまいそうです♡」

 

「ふふっ。それは残念ですね」

 

「……ですが、ナギサさん」

 

「……はい?」

 

「満点を取ったご褒美は、別にいただいてもよろしいんですよね?♡」

 

 …………。

 

 ……そっちは忘れてないのか。

 

「ええ。何か考えておきますね」

 

「……本当ですか?」

 

「もちろんです。満点ですからね」

 

「……ふふっ。楽しみにしています♡」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 せっかく頑張ったんだしな。

 

 それに、ハナコが自分から頑張ろうと思ってくれたことが、何より嬉しい。

 

(……何か喜んでもらいたいなぁ)

 

 

     ◇

 

 

「さて。それじゃあ、今後の予定について話そうか」

 

 先生が、四人を見渡した。

 

「今回の試験は、ヒフミとハナコが合格。コハルとアズサが不合格という結果になったね」

 

 …………。

 

 ヒフミ、84点。

 

 コハル、47点。

 

 アズサ、52点。

 

 ハナコ、100点。

 

 …………。

 

 全員合格とはいかなかったけれど、悪くない結果だと思う。

 

 何より、みんながそれぞれ頑張っていたことが分かった。

 

「それでは、コハルさんとアズサさんは、明日から強化合宿ですね」

 

 俺がそう言うと、コハルが小さく肩を落とした。

 

「……はい……」

 

「……分かった」

 

 アズサも、静かに頷いた。

 

「次こそは、必ず合格する」

 

「ええ。頑張りましょうね」

 

 …………。

 

 ……さて。

 

(……ここは、昨日考えていたとおりにするか)

 

 せっかく、四人で仲良くなってきたんだ。

 

 合格した二人にも、一緒に来てもらえたら嬉しい。

 

「……それと」

 

 俺は、残る二人へ視線を向けた。

 

「ヒフミさん、ハナコさん」

 

「……はい?」

 

「何でしょう、ナギサさん?」

 

「もしよろしければ、お二人も、強化合宿に参加してみませんか?」

 

 …………。

 

「……えっ?」

 

 ヒフミが、目を丸くした。

 

「私たちも、ですか?」

 

「ええ」

 

 俺は、頷いた。

 

「コハルさんとアズサさん、お二人だけでは少し寂しいでしょう?」

 

 …………。

 

「それに、皆さんはこれまで一緒に勉強してきた仲間ですから」

 

 俺は、微笑んだ。

 

「よろしければ、これからも一緒に頑張っていただければと思いまして」

 

 …………。

 

 もちろん。

 

「強制ではありませんよ。お二人は既に合格していますから」

 

 …………。

 

「……私、参加します!」

 

 ヒフミが、すぐに手を上げた。

 

「コハルちゃんもアズサちゃんも、まだ頑張っていますから!」

 

 ヒフミが、二人へ視線を向けた。

 

「私も、できることがあればお手伝いしたいです!」

 

 …………。

 

 ……ああ。

 

 ヒフミらしいなぁ。

 

「……ヒフミ……」

 

 コハルが、驚いたように目を瞬かせた。

 

「……ありがとう」

 

 アズサも、小さく頷いた。

 

「……えへへ」

 

 ヒフミが、照れたように笑った。

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 いい光景だ。

 

「……ふふっ」

 

 すると、ハナコも微笑んだ。

 

「もちろん、私も参加しますよ」

 

「……よろしいのですか?」

 

「はい♡」

 

 ハナコが、少し身を乗り出した。

 

「大切なお友達ですから。私も、最後までご一緒したいです」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 いい話だなぁ。

 

「……それに」

 

「……はい?」

 

「ナギサさんも、合宿にいらっしゃるのでしょう?」

 

「ええ。私も、できる限り顔を出すつもりです」

 

「……ふふっ。それでしたら、なおさら参加したいですね♡」

 

「私も、皆さんと一緒に過ごせるのを楽しみにしていますよ」

 

「……ふふっ。ありがとうございます♡」

 

 ハナコが、嬉しそうに微笑んだ。

 

「それでしたら、ナギサさん。一つお願いしてもよろしいでしょうか?♡」

 

「ええ。もちろんですよ」

 

「明日の合宿では、ナギサさんのお隣の席を予約してもよろしいでしょうか?♡」

 

「ふふっ。いいですよ」

 

「……あら?」

 

 ハナコが、少し驚いたように目を瞬かせた。

 

「そんなに簡単に、よろしいんですか?♡」

 

「もちろんです。ハナコさんですから」

 

 俺は、微笑んだ。

 

「私も、ハナコさんとはもっとお話ししたいと思っていましたし、お隣に座っていただけるなら嬉しいですよ」

 

「…………!」

 

 ハナコが、一瞬だけ目を見開いた。

 

 そして。

 

「……ふふっ。ありがとうございます、ナギサさん♡」

 

 嬉しそうに微笑んだ。

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 ハナコなら、一緒に勉強するのも楽しそうだ。

 

 それに、あの子は頭がいい。

 

 他の子に勉強を教える時も、きっと頼りになるだろう。

 

「それに、せっかくの合宿ですから、皆さんとももっと仲良くなりたいですね」

 

 …………。

 

(……特に、アズサとはな)

 

 もちろん、他の三人とも仲良くなりたい。

 

 それは間違いない。

 

 ただ、今後のことを考えると、アズサとの信頼関係は特に大切だ。

 

「ハナコさんも、一緒に皆さんと仲良くしていただけたら嬉しいです」

 

「…………」

 

 ハナコが、ほんの少しだけ唇を尖らせた。

 

「……ふふっ。ナギサさんは、欲張りですね♡」

 

「ふふっ。そうかもしれませんね」

 

「せっかく、お隣を予約できたと思いましたのに……」

 

 少し拗ねたような声。

 

 …………。

 

 ……ふふっ。

 

 ハナコにも、こんな一面があるんだな。

 

「大丈夫ですよ。お隣の席は、ハナコさんのために空けておきますから」

 

「……本当ですか?♡」

 

「ええ。約束です」

 

「……ふふっ」

 

 ハナコが、ぱっと表情を明るくした。

 

「それでしたら、もう一つお願いしてもよろしいでしょうか?♡」

 

「何でしょう?」

 

「休憩時間は、少しくらい独り占めさせてくださいね?♡」

 

 …………。

 

 ……ふふっ。

 

 相変わらず、上手いことを言うなぁ。

 

「ええ。もちろんですよ」

 

「……ふふっ。本当ですか?♡」

 

「私も、ハナコさんとゆっくりお話ししたいですから」

 

「…………っ」

 

 ハナコの頬が、少しだけ赤くなった。

 

「……ふふっ。約束ですよ、ナギサさん♡」

 

「はい。楽しみにしていますね」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 やっぱり、ハナコとの会話は楽しいな。

 

 それに。

 

(……こうして、素直にお願いしてくれるのも嬉しいなぁ)

 

 …………。

 

 さて。

 

 そういえば、ご褒美の話もあったな。

 

 …………。

 

(……ちょうどいいか)

 

 実は、明日の合宿に向けて、ちょっとした計画を立てていたんだ。

 

 みんな、これまで一生懸命勉強してきたしな。

 

 それに、せっかく四人とも合宿へ参加することになったんだ。

 

(……うん。せっかくだし、ご褒美ってことにするか)

 

「……では、皆さん」

 

 俺は、四人を見渡した。

 

「明日からの合宿で、ちょっとしたご褒美を用意しましょうか」

 

 …………。

 

「……えっ!?」

 

 ヒフミが、目を丸くした。

 

「ご、ご褒美ですか!?」

 

「ええ」

 

「……私たちにも、ですか?」

 

 コハルが、驚いたように尋ねた。

 

「もちろんですよ」

 

 俺は、微笑んだ。

 

「合格したお二人はもちろん、コハルさんとアズサさんも、よく頑張っていらっしゃいましたから」

 

「……ナギサ様……!」

 

 コハルが、嬉しそうに表情を明るくした。

 

「……ご褒美」

 

 アズサが、小さく呟いた。

 

「……何をするんだ?」

 

「ふふっ。それは明日のお楽しみです」

 

「……そうか」

 

 アズサが、真剣な表情で頷いた。

 

「……楽しみにしている」

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 アズサも結構乗り気だな。

 

「……ふふっ」

 

 ハナコも、嬉しそうに微笑んだ。

 

「ナギサさんからのご褒美……楽しみにしていますね♡」

 

「ええ。期待していてください」

 

 …………。

 

 ……よし。

 

 これは、ちゃんと準備を整えないとな。

 

 

     ◇

 

 

「それでは、皆さん」

 

 俺は、改めて四人を見渡した。

 

「明日の午前十時に、合宿地へ集合してください」

 

「……午前十時ですね!」

 

 ヒフミが、頷いた。

 

「はい!」

 

「……分かりました! 遅れないようにします!」

 

 コハルも、元気よく答えた。

 

「……了解した」

 

 アズサが、静かに頷く。

 

「……ふふっ。楽しみにしていますね、ナギサさん♡」

 

 ハナコも、嬉しそうに微笑んだ。

 

 …………。

 

 ……よし。

 

「それと、こちらを」

 

 俺は、先生から預かったプリントを四人に配った。

 

「合宿の持ち物をまとめてありますので、忘れずに準備してくださいね」

 

「はい! ありがとうございます!」

 

 ヒフミが、丁寧に受け取った。

 

「……分かりました!」

 

 コハルも、元気よく頷いた。

 

「……準備しておく」

 

 アズサが、プリントを受け取る。

 

「……ふふっ。確認しておきますね♡」

 

 ハナコも、にっこりと微笑んだ。

 

 …………。

 

 ……うん。

 

 これで、明日の予定も決まったな。

 

『……ナギさん』

 

(……ん?)

 

『……ご褒美は、何を用意されるおつもりなのですか?』

 

(……ああ。それはな)

 

 俺は、ナギサにだけ、こっそりと考えを伝えた。

 

 …………。

 

『……まあ!』

 

 ナギサが、嬉しそうに目を輝かせた。

 

『……ふふっ。それでしたら、皆さんもきっと喜んでくださいますね』

 

(……だろ?)

 

 ……うん。

 

 俺も、そう思う。

 

 …………。

 

 さて。

 

 そうと決まれば、準備を進めないとな。

 

(……今日のうちに、色々と相談しておくか)

 

 …………。

 

 なかなか楽しみになってきたぞ。

 

 ……それにしても。

 

(……ハナコ、か)

 

 …………。

 

 あの子が、自分から満点を取りたいと思ってくれた。

 

 そして、実際に100点を取ってきた。

 

 …………。

 

(……うん。本当に嬉しいなぁ)

 

 ……よし。

 

 明日は、ハナコにも、みんなにも。

 

 思いっきり楽しんでもらおう。

 

 …………。

 

 勉強も大変になるだろうけど。

 

 だからこそ。

 

(……楽しい思い出も、作ってもらわないとな)

 

 …………。

 

 明日が、楽しみだ。




最後までお読みいただき、ありがとうございます!

今回は、補習授業部の第一次試験でした!

まさかのハナコ100点!
そして、次回からは四人全員での強化合宿です!

それと、ここ数日は少し忙しいため、投稿が1日1話になったり、お休みする日があったりするかもしれません。

引き続きよろしくお願いします!
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総合評価:1066/評価:7.83/連載:9話/更新日時:2026年09月23日(水) 08:03 小説情報

ブルーアーカイブ ゲヘナ食堂いらっしゃいませ! 〜人型パンちゃんに転生した私、ゲヘナ給食部でパンちゃんたちを従えて無双…?〜(作者:Di Gi O)(原作:ブルーアーカイブ)

ブラック企業で過労死…でもなく。▼夜道で不幸にも暴走トラックに轢かれた…訳でもなく。▼大好きなパンケーキを自宅でたらふく食べていたら喉に詰まって窒息死したアホな現代女性。▼転生したのはキャラクターとシナリオが人気、しかし鬼畜な世界観が目立つ作品、ブルーアーカイブの世界だった。▼ただの生徒ではなく、牛牧ジュリの生み出す怪物『パンちゃん』の突然変異体、人型パンち…


総合評価:1384/評価:8.5/連載:14話/更新日時:2026年10月20日(火) 23:05 小説情報

月白玲は、今日も意味深である。(作者:モレ(一般人?))(原作:ブルーアーカイブ)

 気がつけば、憧れのキヴォトスで銀髪の美少女・月白玲に転生していた。せっかく美少女になったのだから、少しくらい謎めいた存在を演じてみたい。そんな軽い気持ちで意味深な言葉を口にしていたら、なぜか周囲が勝手に深読みを始めてしまい……。▼ これは、謎の美少女を気取りたいだけの能天気な少女が、知らぬ間にキヴォトス中から注目されていく、勘違いの物語。


総合評価:2015/評価:8.32/連載:13話/更新日時:2026年10月25日(日) 21:10 小説情報

転生者共の学園生活(作者:矢守龍)(原作:ブルーアーカイブ)

ある日、俺は転生してしまった………ブルーアーカイブの世界で頑張って生きていこう考えていたが………▼だが、自分一人だけじゃなくて他に一人、二人、三人………いやおおくね!?▼転生者共が自分たちで学園を立ち上げてこのブルアカ世界を生きてくしかねえ!!!▼


総合評価:1478/評価:7.31/連載:94話/更新日時:2026年10月31日(土) 07:00 小説情報

『ミレニアム治安維持局局長』、空崎ヒナ(作者:無名のカヤ推し)(原作:ブルーアーカイブ)

 ゲヘナでの日々の業務や重責で限界が来てしまった空崎ヒナ。▼ そんな彼女がある出来事がキッカケで、ミレニアム(超ホワイト)へと転校するお話。▼


総合評価:2739/評価:8.43/連載:39話/更新日時:2026年10月26日(月) 20:17 小説情報


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