前回、ナギとFOX小隊のプール掃除、そして翌朝の特訓の様子をお届けしました!
今回は、いよいよ補習授業部のみんなでプール遊びです!
勉強を忘れて、思いっきり楽しむ一日。
果たして、どんな時間になるのでしょうか?
――そして、現在。
「……わぁ!」
プールへやってきたヒフミが、嬉しそうに声を上げた。
「本当に、綺麗ですね!」
「ありがとうございます」
俺は、微笑んだ。
「今日は、こちらを自由に使っていただけますよ」
「……すごい……!」
コハルも、目を輝かせている。
「こんなに広いプールを、私たちだけで……!」
「ええ」
俺は、頷いた。
「せっかくですから、思いっきり楽しんでくださいね」
「……ありがとうございます、ナギサ様!」
……うん。
よかった。
喜んでもらえているみたいだ。
(……FOX小隊のみんなにも、見せてあげたいなぁ)
まあ、今はDUに戻っているから仕方ないけど。
後で、お礼の連絡でもしておこう。
「それでは、皆さん。まずはお部屋に荷物を置いてきてくださいね」
「はい!」
ヒフミが、元気よく頷いた。
「それと、ヒフミさん、コハルさん、アズサさんは、水着へのお着替えもお願いします」
「……あら? 私はいいんですか?♡」
ハナコが、楽しそうに首を傾げた。
「ふふっ。ハナコさんは、もうお着替えが済んでいますからね」
「……ふふっ。そうでしたね♡」
…………。
……いや、自分で着てきたんだろ。
まあ、いいか。
「では、荷物だけ置いてきますね♡」
「ええ。皆さんも、ごゆっくりどうぞ」
四人は、それぞれの荷物を持って部屋へと向かっていった。
ヒフミたちは荷物を置いた後、水着に着替える予定だ。
もちろん、既に水着姿のハナコは荷物を置くだけ。
…………。
さて。
俺はもう水着だし、着替える必要はないな。
少しだけ、休憩しておくか。
『……ふふっ』
すると、ナギサの笑い声が聞こえた。
『……皆さん、本当に嬉しそうでしたね』
(……ああ)
俺は、微笑んだ。
(……頑張って準備した甲斐があったな)
『……はい』
ナギサが、嬉しそうに頷いた。
『……私まで、楽しみになってしまいます』
…………。
……そうだな。
せっかくだし。
今日は、思いっきり楽しんでもらおう。
そう考えていた時だった。
「……ナギサ様ー!」
聞き慣れた声。
振り向くと、ヒフミがこちらへ手を振っていた。
「お待たせしました!」
その後ろには、コハルとアズサ。
そして、もちろんハナコもいる。
四人とも、水着姿だ。
『…………!』
突然、ナギサが息を呑んだ。
(……ん?)
『……ヒフミさん……!』
…………。
……ああ。
そういうことか。
『……水着、とてもよくお似合いですね』
(……ああ。似合ってるな)
『……それに、あんなに楽しそうで……』
ナギサの声が、少し弾んでいた。
(……ナギサ、嬉しそうだな)
『……はい。ヒフミさんがあんなに楽しそうにしていらっしゃるんですから』
…………。
……うん。
やっぱり、ヒフミのことになると嬉しそうだなぁ。
「……ナギサ様?」
「……あっ、はい!」
ヒフミが、不思議そうに首を傾げていた。
「どうかなさいましたか?」
「……いえ。何でもありませんよ」
俺は、微笑んだ。
「ヒフミさん、水着がとてもよくお似合いですね」
「……えっ!?」
ヒフミが、少し驚いたように目を瞬かせた。
そして。
「……あ、ありがとうございます!」
嬉しそうに微笑んだ。
…………。
『……っ!』
……ああ。
ナギサ。
今、ものすごく喜んでるな。
『……ナギさん。ありがとうございます……!』
(……どういたしまして)
……うん。
平和だなぁ。
「……ナギサ」
すると、アズサがこちらを見つめていた。
「……一つ、確認したい」
「ええ。何でしょう?」
「……今日は、本当に遊ぶだけでいいんだな?」
「もちろんですよ」
「……そうか」
アズサが、小さく頷いた。
そして、プールへ視線を向ける。
「……何から始めればいい?」
……ああ。
そっか。
アズサは、こういう遊びにも慣れていないんだよな。
「そうですね……」
俺は、少し考えた。
「まずは、皆さんで水に入ってみませんか?」
「……分かった」
アズサが、頷いた。
「それでは、皆さん」
俺は、四人を見渡した。
「準備運動をしてから、ゆっくり入りましょうか」
「……はい!」
ヒフミが、元気よく答えた。
「……分かりました!」
コハルも、笑顔で頷く。
「……了解した」
アズサが、静かに頷いた。
「楽しみですね♡」
ハナコも、嬉しそうに微笑んだ。
…………。
……うん。
それじゃあ。
俺も、楽しませてもらうとするか。
◇
――しばらくして。
ぱしゃっ。
「……ひゃっ!?」
ヒフミが、小さな悲鳴を上げた。
「ハ、ハナコちゃん!?」
「……あら♡」
ハナコが、楽しそうに微笑んだ。
「すみません。少し手が滑ってしまいまして♡」
「……もうっ!」
ヒフミが、困ったように笑った。
「びっくりしたじゃないですか!」
「ごめんなさい♡」
……うん。
楽しそうだなぁ。
「……ちょっと、ハナコ!」
コハルが、顔をしかめた。
「何やってるのよ!」
「……あら、コハルちゃん」
ハナコが、にっこりと微笑んだ。
「それでしたら、コハルちゃんにも……♡」
「……え?」
ぱしゃっ!
「……きゃあっ!?」
コハルが、慌てて顔を拭った。
「もうっ! 何するのよ!!」
「水遊びですよ?♡」
「だったら、こっちだって!」
ぱしゃっ!
「……あら♡」
…………。
……ああ。
始まったなぁ。
「……コハル」
すると、アズサが声をかけた。
「……何よ?」
「……私も参加していいか?」
「……え?」
「……水を掛け合う遊びなんだろう?」
……うん。
まあ、そうだけどさ。
「……いいわよ!」
コハルが、頷いた。
「一緒にハナコをやっつけましょ!」
「……分かった」
アズサが、静かに頷いた。
そして。
ぱしゃっ!
「……ひゃっ!?」
…………。
……あれ?
今の、誰に掛かった?
「……ア、アズサちゃん!?」
ヒフミが、驚いた声を上げた。
「どうして私に!?」
「……すまない」
アズサが、真剣な表情で頭を下げた。
「……水の飛ぶ方向を読み違えた」
…………。
(……いや、そんな真剣に分析しなくても)
……ふふっ。
アズサらしいなぁ。
「……あらあら♡」
ハナコが、楽しそうに笑った。
「ヒフミさん、災難でしたね♡」
「……もうっ!」
ヒフミが、頬を膨らませた。
「ハナコちゃんも、笑ってないで助けてください!」
「……では、私も……♡」
ぱしゃっ!
「……ひゃあっ!?」
…………。
……うん。
全然助けてないな。
……ああ。
何だか、いいなぁ。
四人とも、随分と楽しそうだ。
『……ふふっ』
すると、ナギサの笑い声が聞こえた。
『……皆さん、とても楽しそうですね』
(……ああ)
俺は、微笑んだ。
(……本当に、よかったな)
『……はい』
ナギサが、嬉しそうに頷いた。
『……私まで、楽しくなってしまいます』
……うん。
それなら、何よりだ。
……ただ。
(……ごめんな、ナギサ)
『……え?』
(……本当なら、ナギサだってみんなと一緒に遊びたいよな)
…………。
今は、俺がこの身体を動かしている。
もちろん、ナギサもこうしてみんなの様子を見られるし、俺とは話せる。
それに、身体を交代することだってできる。
でも。
今はまだ、事情をみんなに説明できない。
たとえ交代できたとしても、何も気にせず、自由に過ごせるわけじゃないんだ。
……だから。
(……エデン条約が終わったらさ)
『……はい?』
(……ちゃんと、ナギサもみんなと遊べるようにするから)
…………。
ヒフミと一緒に笑って。
コハルやアズサと話して。
ハナコにからかわれたりして。
そんな時間を、ナギサ自身にも過ごしてほしい。
(……それまでは、もう少しだけ待っててくれ。ごめんな)
…………。
ナギサは、しばらく黙っていた。
そして。
『……ナギさん』
(……ん?)
『……ありがとうございます』
その声は、とても穏やかだった。
『……ですが、私は今も十分に楽しいですよ』
…………。
『……ナギさんのおかげで、皆さんが笑っていらっしゃるんですから』
……ああ。
そっか。
『……それに』
(……ん?)
『……ヒフミさんの楽しそうなお姿も、こんなに近くで見られていますし』
…………。
(……やっぱり、そこなんだな)
『……ふふっ』
ナギサが、嬉しそうに笑った。
…………。
……うん。
まあ、いいか。
(……でも、約束だからな)
『……はい』
ナギサが、小さく頷いた。
『……楽しみにしていますね、お兄さん』
(……ああ)
……よし。
エデン条約が終わったら。
今度は、ナギサ自身に思いっきり楽しんでもらおう。
……そのためにも。
(……頑張らないとな)
「……ナギサ様ー!」
その時だった。
ヒフミが、こちらへ手を振っていた。
「ナギサ様も、一緒に遊びませんかー!」
……おっ。
お誘いか。
「もちろんですよ!」
俺は、笑顔で答えた。
そして。
ぱしゃっ。
水の中へ足を踏み入れた。
「それでは、私も参加させていただきますね」
「……はい!」
ヒフミが、嬉しそうに頷いた。
…………。
……よし。
それじゃあ。
今日は思いっきり楽しもう!
◇
――それから、しばらくして。
「……はいっ!」
ぽんっ。
ヒフミが、ボールを軽く打ち上げた。
「……アズサちゃん!」
「……ああ」
アズサが、素早く反応する。
そして。
ぽんっ!
「……わっ!?」
勢いよく飛んできたボールを、コハルが慌てて受け止めた。
「ちょ、ちょっとアズサ! 強すぎるわよ!」
「……すまない」
アズサが、真剣な表情で頭を下げた。
「……力加減を間違えた」
…………。
……うん。
ちょっと勢いがよかったな。
「……あら」
ハナコが、楽しそうに笑った。
「アズサちゃん、もう少し優しくしてあげてくださいね♡」
「……分かった」
アズサが、頷いた。
「……次は気をつける」
……うん。
こうやって少しずつ慣れていけばいいんだよな。
「……では、もう一度いきますよ!」
俺は、ボールを軽く投げた。
ぽんっ。
「……はい!」
ヒフミが、両手で受け止める。
そして、コハルへ。
「……コハルちゃん!」
「……任せて!」
ぽんっ。
今度は、ハナコへ。
「……ふふっ」
ハナコが、軽くボールを受け止めた。
「では、次は……」
ぱっ。
こちらへ視線が向けられた。
「ナギサさん♡」
「……はい?」
「受け取ってくださいね♡」
ぽんっ。
「……っと」
俺は、ボールを受け止めた。
「ありがとうございます」
「……あら♡」
ハナコが、嬉しそうに微笑んだ。
「さすがですね、ナギサさん♡」
「これくらいなら大丈夫ですよ」
…………。
まあ。
相手がFOX小隊じゃないからな。
……いや。
今は、そんなことを考える必要はないか。
「では、次はアズサさんですね」
俺は、ボールを軽く投げた。
「……ああ」
アズサが、しっかり受け止める。
そして。
ぽんっ。
今度は、ちょうどよい強さでコハルへ投げ返した。
……うん。
ちゃんと調整できてるな。
「……いい感じですね、アズサさん」
「……そうか?」
「ええ」
俺は、微笑んだ。
「とても上手ですよ」
「…………」
アズサが、少しだけ目を瞬かせた。
そして。
「……ありがとう」
小さく頷いた。
……うん。
いいねぇ。
その後も。
俺たちは、ボールを投げ合いながら遊び続けた。
時々、コハルが大きく空振りしたり。
ヒフミが慌ててボールを落としたり。
ハナコがわざと変な方向へ投げて、みんなを驚かせたり。
そして。
アズサは、少しずつ遊びに慣れていった。
……うん。
みんな、楽しそうだなぁ。
◇
――しばらくして。
「……ふぅ」
俺は、プールサイドの椅子に腰を下ろした。
……いやぁ。
楽しかったなぁ。
もっとも。
(……さすがに、ちょっと疲れたな)
まあ、今朝もあれだけ泳いでるしな。
いくら体力がついたとはいえ、無理はしないでおこう。
『……ふふっ』
すると、ナギサの笑い声が聞こえた。
『……ナギさん。とても楽しそうでしたね』
(……ああ)
俺は、微笑んだ。
(……みんなのおかげだな)
プールへ視線を向ける。
ヒフミとコハルが、楽しそうに何かを話している。
その隣では、アズサが静かに話を聞いていた。
……うん。
いい光景だなぁ。
『……ナギさん』
(……ん?)
『……今日は、本当にありがとうございました』
…………。
……何で、ナギサが礼を言うんだ?
『……皆さんのために、色々と準備してくださったのでしょう?』
(……ああ。まあな)
『……皆さんが楽しそうに笑っていらっしゃる姿を見ていると、私まで嬉しくなってしまいます』
……そっか。
それなら、よかった。
(……俺も嬉しいよ)
実際。
みんなが楽しそうにしてくれているのを見るだけで、十分に満足できる。
まあ、俺も思いっきり遊ばせてもらってるけどさ。
『……ふふっ』
ナギサが、嬉しそうに微笑んだ。
『……ナギさんも、楽しんでくださいね』
(……もちろん)
…………。
さて。
少し休んだら、また戻るとするか。
そう考えていた時だった。
「……あら、ナギサさん♡」
聞き慣れた声。
振り向くと、ハナコがこちらへ歩いてきていた。
「……ハナコさん」
「お隣、よろしいでしょうか?♡」
「ええ。もちろんですよ」
俺は、隣の椅子を示した。
「どうぞ」
「……ありがとうございます♡」
ハナコが、嬉しそうに腰を下ろした。
そして、楽しそうに微笑む。
「……どうかしましたか?」
「……いえ」
ハナコが、こちらを見つめた。
「昨日のお約束、覚えていてくださったんですね♡」
……ああ。
お隣の席、か。
「もちろんですよ」
俺は、頷いた。
「約束しましたからね」
「……嬉しいです♡」
……うん。
喜んでくれてよかった。
「それにしても、ナギサさん」
「……はい?」
「今日は、本当にありがとうございます」
ハナコが、穏やかに微笑んだ。
「皆さん、とても楽しそうですから」
「それなら、何よりです」
俺も、プールへ視線を向けた。
確かに。
ヒフミも、コハルも。
アズサも。
随分と楽しそうにしている。
「……ハナコさんも、楽しんでいただけていますか?」
「もちろんです♡」
ハナコが、すぐに頷いた。
「とても楽しいですよ」
「それはよかったです」
「……それに」
「……はい?」
「こうして、ナギサさんのお隣に座れていますから♡」
…………。
……ふふっ。
相変わらずだなぁ。
「それでしたら、私も嬉しいですよ」
「……あら♡」
「私も、ハナコさんとゆっくりお話ししたかったですから」
「…………」
ハナコが、一瞬だけ黙った。
そして。
「……もう。ナギサさんったら♡」
少し照れたように微笑んだ。
…………。
やっぱり、こういう反応も可愛いな。
「……ところで、ナギサさん」
「……はい?」
「一つだけ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ええ。何でしょう?」
ハナコが、少しだけ首を傾げた。
「今日のような素敵なご褒美を、どうして用意してくださったんですか?」
……どうして、か。
「……そうですね」
俺は、少し考えた。
「皆さんに、楽しんでいただきたかったからでしょうか」
「……楽しんで、ですか?」
「ええ」
俺は、頷いた。
「勉強も大切ですが、それだけが学校生活ではありませんから」
…………。
友達と遊んで。
一緒に笑って。
時には、何でもないことで騒いで。
そんな時間も、大切だと思うんだよな。
「皆さんには、そういう時間も楽しんでいただきたいんです」
「…………」
ハナコが、小さく笑った。
「……ナギサさんらしいですね」
「……そうでしょうか?」
「はい♡」
ハナコが、こちらを見つめた。
「……とても、素敵だと思います」
…………。
それは嬉しいな。
「ありがとうございます」
俺は、微笑んだ。
……ハナコにそう言ってもらえると、何だか嬉しいな。
「……あの、ナギサさん♡」
「……はい?」
ハナコが、少しだけ身を乗り出した。
「実は、もう一つお願いがあるんです♡」
「……お願い、ですか?」
「はい♡」
…………。
……ああ。
何だろう。
せっかく楽しんでもらえているみたいだし。
俺にできることなら、協力したいけど。
「私にできることでしたら、もちろんお手伝いしますよ」
「……まあ♡」
ハナコが、嬉しそうに微笑んだ。
「本当ですか?」
「ええ。もちろんです」
「ありがとうございます♡」
…………。
……うん。
何だか、すごく喜んでくれているな。
……と。
ハナコが、何かを取り出した。
小さな容器。
…………。
……あれ?
何だろう。
「……ナギサさん♡」
「……はい?」
ハナコが、にっこりと微笑んだ。
その表情は、いつものように楽しそうで。
けれど、どこかいたずらを思いついた時のようにも見えた。
…………。
……ああ。
(……何か、嫌な予感がするなぁ)
そして。
ハナコは、小さな容器を差し出しながら。
とびきり甘い声で、こう言った。
「……ナギサさん♡ 日焼け止め、塗ってください♡」
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
今回は、補習授業部のみんなでのプール遊びでした!
普段は勉強に追われている四人ですが、今日は思いっきり楽しめたようですね!
そして、本物のナギサもヒフミの水着姿に大喜び。
ナギからは、エデン条約が終わったら一緒に遊べるようにするという約束もありました。
いつか、ナギサ自身がみんなと笑い合える日が来るといいですね。
……さて。
そんな楽しい時間の最後に、ハナコからのお願いが。
前回はナギに一本取られてしまったハナコですが、今度は何やら仕掛けてきたようです。
果たして、ナギはどうするのでしょうか?
次回も引き続き、合宿のお話です!
よろしくお願いします!