BIOHAZARD X AOONI   作:ありがとうはなまる

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洋館編、完!!

サクサク進みますよ〜


青い怪物の最期

 

 

### 1.ショットガン

 

青鬼はクリスを見つけると、迷わず走り出した。

 

「来るな!」

 

クリスが引き金を引く。

 

轟音が廊下に響いた。

 

散弾が青鬼の上半身へ叩き込まれ、その身体が大きく揺れ、損傷した箇所からは青色の血が、流れ出る。

 

青鬼は初めて足を止めた。

 

「効いている……!」

 

クリスはすかさず距離を取った。

 

しかし、青鬼は倒れなかった。

 

傷ついた身体を起こし、再びクリスへ向き直る。

 

その傷は、少しずつ塞がり始めていた。

 

「再生能力まであるのかよ……!」

 

クリスは後退しながら二発目を撃った。

 

再び青鬼の身体が揺れる。

 

今度は壁へ肩をぶつけ、顔をしかめるような動きを見せた。

 

クリスはその瞬間を見逃さなかった。

 

「目が弱点か!」

 

損傷する青鬼の体、その中で特に損傷の激しい大きな瞳を見て、そこが弱点であると理解した。

 

青鬼は顔を押さえ、しばらく動きを止めた。

 

クリスはその隙に距離を取った。

 

しかし、青鬼はすぐに顔を上げる。

 

目の傷が、ゆっくりと再生し始めていた。

 

「くそっ、時間がない!」

 

クリスはショットガンを構え直した。

 

青鬼が再び走り出す。

 

クリスは狙いを定め、引き金を引いた。

 

轟音。

 

青鬼は大きくよろめき、床へ膝をついた。

 

それでも、まだ動こうとしている。

 

クリスは後退しながら、残りの弾薬を確認した。

 

「これで終わりにしてやる!」

 

最後の一発。

 

散弾が青鬼へ命中した。

 

怪物の身体が大きく揺れ、床へ倒れ込む。

 

今度こそ、青鬼は動かなくなった。

 

クリスは銃口を向けたまま、しばらく様子をうかがった。

 

数秒。

 

十数秒。

 

やがて、彼は慎重に近づいた。

 

青鬼の身体は床に横たわり、再生する様子もない。

 

「……倒した、か」

 

クリスは深く息を吐いた。

 

ハンドガンではまるで歯が立たなかった怪物。

 

あのまま戦い続けていたら、危なかったかもしれない。

 

「こんなものまでいるとはな……」

 

クリスはショットガンを構え直し、探索を再開した。

 

その背後で、青鬼は最後まで動かなかった。

 

洋館に配置された怪物は、これで役目を終えたのだった。

 

 

### 2.ジルの選択

 

一方、ジルは館内の仕掛けを解きながら探索を進めていた。

 

彼女もまた、青鬼の脅威を身をもって知っていた。

 

拳銃では怯ませることすらできない。

 

あの怪物を相手にするなら、ショットガンのような武器が必要だ。

 

彼女は展示台に飾られていたショットガンを見つけたが、簡単には手に入れられなかった。

 

仕掛けを解除しなければ、武器を取り外した瞬間に危険が生じる構造になっていたのだ。

 

「まったく、面倒な屋敷ね」

 

ジルは周囲を調べ、仕掛けの仕組みを理解した。

 

そして、適切な手順でショットガンを回収することに成功した。

 

「これで少しは安心できるわね」

 

彼女は武器を確認し、探索を続けた。

 

館内では、ゾンビや奇妙な生物との遭遇が相次いでいる。

 

だが、彼女たちはまだ、この洋館の本当の目的を知らなかった。

 

アンブレラ社が秘密裏に生物兵器の研究を進めていたこと。

 

そして、その研究のために多くの人間が犠牲になっていたこと。

 

その真実が明らかになるまでには、もう少し時間が必要だった。

 

 

### 3.原作どおりの惨劇

 

その後、洋館の探索は原作に沿って進んだ。

 

クリスとジルは生存者を探しながら館内を調べ、アンブレラ社の研究に関する資料を発見していく。

 

彼らはやがて、洋館の地下に隠された研究施設へとたどり着いた。

 

そこで明らかになったのは、アンブレラ社が人間を実験台にして生物兵器を開発していたという、おぞましい事実だった。

 

そして、事件の核心に近づいた彼らの前に、ウェスカーの裏切りが明らかになる。

 

ウェスカーは自らの目的のために仲間たちを利用し、最後の切り札を解き放った。

 

タイラント。

 

人間をはるかに上回る力と耐久力を持つ、生物兵器。

 

クリスとジルは必死に戦ったが、通常の銃火器では決定的なダメージを与えられなかった。

 

絶体絶命。

 

その時、上空からヘリコプターの音が響いた。

 

「クリス! ジル!」

 

ブラッド・ヴィッカーズが、二人へロケットランチャーを投下した。

 

クリスはそれを受け取り、タイラントへ狙いを定める。

 

轟音。

 

ロケット弾が命中し、タイラントの巨体が崩れ落ちた。

 

こうして、洋館の悪夢は終わりを迎えた。

 

生き残った隊員たちはヘリコプターへ乗り込み、爆発する洋館から脱出する。

 

彼らは生還した。

 

しかし、この事件で明らかになった事実は、世界に存在する脅威のほんの一端にすぎなかった。

 

そして、彼らが知らない場所では、もう一つの物語が始まっていた。

 

 

### 4.奈落の底

 

洋館の地下深く。

 

リサ・トレヴァーは、薄暗い通路を歩いていた。

 

彼女は長年にわたってアンブレラ社の実験に利用されてきた女性だった。

 

その肉体は幾度もの実験によって変貌し、精神もまた深い傷を負っていた。

 

それでも、彼女の中には消えない執着が残っていた。

 

母親。

 

家族。

 

失われた過去。

 

彼女はそれらを求めて、洋館の地下をさまよい続けていた。

 

やがて、リサは棺桶に入った母親の亡骸を発見した。

 

「……ママあ」

 

彼女は、母親の亡骸を抱きかかえ、崖からその身を投げうち、奈落へと落ちていった。

 

しかし、幾度もの実験によってリサ・トレヴァーの体にはどんな損傷も治す驚異的な再生能力が備わり、奈落に落ちてもその声明活動を停止させるに至ることはなかった。

 

原作通りならば、リサ・トレヴァーは洋館に戻り、洋館の爆弾に巻き込まれその人生を終える結末が待っていた。

 

「……ここか」

 

誰も近づかない地下祭壇に、一人の青年が現れた。

 

黒髪、青い瞳。

 

洋館の事件をモニター越しに観察していた、あの青年である。

 

彼は奈落の底を見下ろした。

 

「原作どおりだね。お母さんの亡骸を見つけて、落下する。これで舞台の第一幕は終了」

 

彼は懐中電灯を取り出し、そのまま落下する。

 

やがて、奈落の底へたどり着く。

 

そこには、奈落から落ちた傷を癒す最中のリサの亡骸が横たわっていた。

 

青年はしばらく黙って見つめていたが、やがて小さく息を吐いた。

 

「……本当に、ひどい人生だよな」

 

同情はしている。

 

だが、それだけで彼女を救うつもりはなかった。

 

彼女を仲間にするためには、彼女が失ったものを取り戻す必要がある。

 

そして、そのための方法はすでに用意してあった。

 

ドスッ。

 

ドスッ。

 

ドスッ。

 

青年の後ろから重い足音を響かせ現れたのは、一体の青鬼だった。

 

フリーホラーゲーム『青鬼』に登場する、あの不気味な怪物。

 

洋館に配置した個体とは別に、青年が管理していた自我のない青鬼である。

 

青年は青鬼へ視線を向けた。

 

「さあ、仕事だよ」

 

青鬼は、床に横たわるリサを見つめた。

 

そして、ゆっくりと近づいていく。

 

青年は静かに見守った。

 

未だ修復途中で抵抗することが困難なリサは、叫び声を上げるも、青鬼は気にする素振りなくリサへと近づいた。

 

青鬼は負傷したリサを持ち上げその身を捕食した。

 

やがて、リサの身体は青鬼の中へと取り込まれ、姿を消した。

 

青年は腕を組み、変化を待った。

 

この青鬼には、特別な役割がある。

 

人間を捕食し、その対象の記憶を取り込むこと。

 

そして、記憶を持つ青鬼は、やがて捕食した人間そのものに近い存在へと変化する。

 

リサの記憶。

 

リサの人格。

 

リサが抱えてきた悲しみ。

 

それらすべてが、青鬼の中に宿ることになる。

 

「……頼むよ」

 

青年は、静かに言った。

 

「今度こそ、君が自分の人生を取り戻せるように」

 

青鬼の身体が、かすかに震えた。

 

その変化を見届けながら、青年は目を細めた。

 

 

### 5.青い瞳の女性

 

しばらくして。

 

青鬼の身体に変化が現れた。

 

大きな頭と青い肌を持つ怪物の姿が、ゆっくりと崩れていく。

 

輪郭が変わり、手足の形が変わり、やがて身体が露出した状態の人間の女性の姿へと変化した。

 

そこに立っていたのは、リサ・トレヴァーだった。

 

かつての面影を残しながらも、彼女の瞳は青く染まっていた。

 

彼女は自分の手を見つめた。

 

何度か指を動かし、ゆっくりと顔を上げる。

 

「……ここは……?」

 

その声を聞き、青年は笑みを浮かべ、裸体を晒す彼女に対し毛布を渡す。

 

「おはよう、リサ・トレヴァー」

 

彼女は青年を見つめた。

 

「……あなたは、誰?」

 

「君を迎えに来た人、とでも言っておこうかな」

 

青年は、彼女に向かって手を差し出した。

 

「君の記憶は戻っているはずだ。自分が誰なのか、何をされたのか。思い出せる?」

 

リサは黙っていた。

 

やがて、彼女の表情が歪む。

 

「……ママ……」

 

記憶が戻っていた。

 

母親のこと。

 

父親のこと。

 

そして、自分を実験台にした人間たちのこと。

 

彼女は頭を押さえ、膝をついた。

 

青年は、しばらく何も言わなかった。

 

やがて、リサが顔を上げる。

 

「……あいつらは?」

 

「誰のこと?」

 

「……私を、私たち家族を、こんな目に遭わせた奴ら」

 

その声には、かつて失われていた感情が宿っていた。

 

青年は静かに答えた。

 

「アンブレラ社の人間たちだよ。そして、君の人生を壊した計画の中心にいた人物も、まだ生きている」

 

リサの瞳が揺れた。

 

「……スペンサー……?」

 

「そう。オズウェル・E・スペンサー」

 

青年はうなずいた。

 

「君の人生を壊した元凶の一人だ」

 

リサは拳を握りしめた。

 

長い年月の中で失われていた感情が、少しずつ蘇っていく。

 

怒り。

 

悲しみ。

 

そして、復讐心。

 

青年は、その様子を静かに見守っていた。

 

「私を……連れていって」

 

リサは、かすれた声で言った。

 

「……あいつに会わせて」

 

青年は微笑んだ。

 

「もちろん。そのために君を迎えに来たんだから」

 

彼は手を差し出した。

 

「僕についてくれば、君が知りたいことを教えてあげる。スペンサーが何をしたのか。その後、何が起きたのか。そして、これから何をすればいいのか」

 

リサは、差し出された手を見つめた。

 

やがて、その手を取る。

 

「……分かった」

 

青年は満足げにうなずいた。

 

「契約成立だね」

 

こうして、リサ・トレバーは青年の仲間となった。

 

彼女はまだ知らない。

 

自分を救った存在が、世界を何度も危機に陥れるつもりでいることを。

 

だが、青年にとっても、リサは単なる駒ではなかった。

 

彼女は、これから長い時間をともに過ごす相棒になる。

 

バディであり、秘書であり、友人。

 

そして、いつか訪れる最終決戦まで、彼の傍らに立つ存在だった。

 

 

### 6.次なる舞台

 

洋館事件から数日後。

 

青年は地下施設の一室で、ラクーンシティの地図を眺めていた。

 

隣には、リサが立っている。

 

「次はラクーンシティだ」

 

青年は地図の一点を指で示した。

 

「ここで大きな事件が起きる。アンブレラ社が引き起こす、街全体を巻き込んだバイオハザードだよ」

 

リサは地図を見つめた。

 

「……また、アンブレラなのね」

 

「そう。あの会社は、これからも何度も世界を危機に陥れる」

 

間接的にだけどと言葉を繋げ、青年は笑った。

 

「そして、そのたびに主人公たちが立ち上がる」

 

彼は別のモニターを起動した。

 

画面には、ラクーンシティ警察署の外観が映っている。

 

「次はレオン・S・ケネディ。それから、ジル・バレンタイン」

 

リサは青年を見た。

 

「あなたは、彼らを助けるの?」

 

「基本的には静観するよ。彼らが自力で切り抜けられるなら、そのままにする」

 

青年は肩をすくめた。

 

「ただし、死にそうだったら助けるかもしれない。そこは気分次第かな」

 

「……変わった人ね」

 

「よく言われる」

 

青年は楽しそうに笑った。

 

そして、モニターに二つの映像を表示した。

 

一つは、一直線に突進する青い怪物。

 

もう一つは、上半身が異様に発達した、巨大な青い怪物。

 

「次の舞台では、この二種類を使う」

 

リサは画面を見つめた。

 

「……また青鬼を送り込むの?」

 

「そう。レオンにはフワッティー。ジルにはスクワット鬼」

 

青年はうなずいた。

 

「ただし、洋館のときみたいに一体だけじゃない。ラクーン事件では、それぞれ別の役割を持たせる」

 

彼は楽しそうに笑った。

 

「スクワット鬼にはネメシスと戦ってもらう。そして、アンブレラに青鬼の戦闘能力を見せつけるんだ」

 

リサはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。

 

「……あなたは、何がしたいの?」

 

青年は少しだけ考えた。

 

そして、答えた。

 

「世界中の英雄たちが、最後に一堂に会する舞台を作りたいんだ」

 

彼はモニターを見つめた。

 

「全員が力を合わせて、最後の敵を倒す。そんな物語をね」

 

「……最後の敵?」

 

青年は振り返り、笑った。

 

「僕だよ」

 

リサは、彼の顔をじっと見つめた。

 

「……本気なの?」

 

「もちろん」

 

青年は楽しそうにうなずいた。

 

「ただし、その時までに世界が滅んでしまったら意味がない。だから、適度に事件を起こして、適度に主人公たちに活躍してもらう」

 

彼は再びモニターへ向き直った。

 

「さあ、ラクーンシティへ行こうか」

 

画面の中では、夜の街が静かに輝いていた。

 

その地下では、すでに次の悲劇へつながる歯車が回り始めている。

 

そして、その裏側では、青鬼の力を持つ青年が、新たな舞台の幕開けを待ちわびていた。

 

 

第2話 完

 

 

### 次回予告 第3話「ラクーンシティの青い悪夢」

 

1998年9月。ラクーンシティを襲う、未曾有のバイオハザード。

 

警察官として赴任したばかりのレオンは、警察署の探索中、廊下を一直線に突進する奇妙な怪物――フワッティーと遭遇する。

 

一方、ラクーンシティからの脱出を目指すジルの前には、異様な筋肉を持つスクワット鬼が出現。そこへ、ジルを追跡するネメシスが姿を現す。

 

怪物同士の激突。

 

そして、その戦いを利用して青鬼の力をアンブレラへ売り込もうとする青年。

 

ラクーンシティの夜に、二つ目の悪夢が幕を開ける。

 

 




次はラクーンシティ編です。めっちゃ短いです。
リサ・トレヴァーを直したのは小説版青鬼の設定です。わからないという方は是非読んでください。小説版青鬼はいいぞ(いいぞおじさん)
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