BIOHAZARD X AOONI   作:ありがとうはなまる

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【悲報】ラクーンシティ編1話で完結。
この作品はリメイク版を時空で進んでいきます。


ラクーンシティの青い悪夢

 

 

### 1.悪夢の始まり

 

1998年9月29日。

 

ラクーンシティ。

 

街は、すでに地獄と化していた。

 

道路には放置された車両が散乱し、商店の窓ガラスは割れ、あちこちから火の手が上がっている。かつて平穏だった街並みを歩いているのは、もはや生きた人間ではなかった。

 

人間だったものが、血に飢えて街を徘徊している。

 

その地獄の中を、一台の車が走っていた。

 

「くそっ、なんなんだよ、この街は!」

 

ハンドルを握る青年、レオン・S・ケネディは、目の前に飛び出してきた人影を避けながら叫んだ。

 

彼は今日からラクーン市警察署へ配属される新人警察官だった。

 

初出勤の日に遅刻するという失態を犯したものの、まさか街そのものが崩壊しているとは思いもしなかった。

 

道路の先に、倒れた人間が見えた。

 

レオンは車を止め、様子を確認しようとした。

 

その瞬間、倒れていた人間が顔を上げた。

 

皮膚は青白く、口元は血で汚れている。

 

「……嘘だろ」

 

それが何なのか理解するより先に、周囲から複数の人影が迫ってきた。

 

レオンは慌てて車へ戻った。

 

アクセルを踏み込み、その場から離脱する。

 

だが、直後に別の車が飛び出してきた。

 

衝突。

 

車体が激しく揺れ、レオンは意識を失った。

 

そして、炎上する車から逃れた彼が向かった先は、ラクーン市警察署だった。

 

一方、街の別の場所では、一人の女性がバイクを走らせていた。

 

クレア・レッドフィールド。

 

兄クリスの行方を追ってラクーンシティを訪れた彼女もまた、街を襲った惨劇に巻き込まれていた。

 

「クリス……どこにいるの?」

 

返事はない。

 

彼女の目の前には、崩壊した街が広がっていた。

 

クレアはバイクを止め、周囲を警戒する。

 

この街には、何かがおかしい。

 

そして、その異変の原因を探るためにも、まずは安全な場所を見つけなければならなかった。

 

彼女は近くの建物へ向かって走り出した。

 

その時。

 

街の奥から、奇妙な音が響いた。

 

ゴゴゴゴゴ……。

 

何かが、猛スピードで地面を走り抜けるような音だった。

 

クレアは振り返った。

 

しかし、そこには誰もいない。

 

「……気のせい?」

 

彼女は首をかしげ、再び走り出した。

 

その正体を知るのは、もう少し先のことだった。

 

 

 

### 第4話 終わる街、青き異形の記録

 

### 1.ラクーンシティ、消滅

 

1998年9月末。

 

ラクーンシティは、すでに都市としての機能を失いつつあった。

 

T-ウイルスの感染拡大によって市民の大半がゾンビと化し、警察署も病院も、かつて人々を守るために存在した施設は次々と地獄へ変わっていく。

 

その中で、数人の人間が生き残るために戦っていた。

 

新人警官レオン・S・ケネディ。

 

大学生クレア・レッドフィールド。

 

S.T.A.R.S.隊員ジル・バレンタイン。

 

そして、アンブレラの傭兵カルロス・オリヴェイラ。

 

彼らの戦いは、それぞれ異なる場所で進んでいた。

 

だが、その惨劇の中に、アンブレラが生み出したものとは異なる怪物が紛れ込んでいた。

 

青い肌を持つ異形。

 

人間を捕食し、銃弾を受けても容易には倒れない存在。

 

アンブレラはまだ知らなかった。

 

自分たちが追い求めてきた生物兵器の技術が、すでに別の存在によって利用されていることを。

 

そして、その存在がアンブレラを支配しようとしているわけでも、世界を滅ぼそうとしているわけでもないことを。

 

ただ、英雄たちの活躍を見たい。

 

それだけの理由で、事件の裏側に立っていることを。

 

 

 

 

### 2.警察署のフワッティー

 

ラクーンシティ警察署。

 

レオンは、ようやく署内へたどり着いた。

 

建物の中も安全とは言い難かったが、少なくとも外よりはましに見えた。

 

「誰かいませんか!」

 

返事はない。

 

レオンは拳銃を構え、廊下を慎重に進んだ。

 

やがて、彼は一人の警察官を発見した。

 

「大丈夫ですか!?」

 

警察官は重傷を負っていた。

 

その人物は、マービン・ブラナー。

 

ラクーン市警察署に残っていた数少ない生存者の一人だった。

 

「……新人か」

 

マービンは苦しそうに顔を上げた。

 

「レオン・ケネディです。今日、配属される予定で……」

 

「そうか。よりによって、こんな日に来ちまったか」

 

マービンは、かすかに笑った。

 

「ここも安全じゃない。生き残った連中を探せ。脱出する方法を見つけるんだ」

 

レオンはうなずいた。

 

「あなたも一緒に行きましょう」

 

「俺はいい。まずは他の生存者を探せ」

 

マービンは拳銃を手渡した。

 

「気をつけろ。ここにいる連中は、もう普通の人間じゃない」

 

レオンはそれを受け取り、警察署の探索を開始した。

 

廊下を進み、扉を開ける。

 

その先にあったのは、血の跡が残る部屋だった。

 

床には倒れた警察官の姿がある。

 

レオンは息をのんだ。

 

「……ひどいな」

 

レオンはその後も現れるゾンビを倒しつつ、暗い廊下を慎重に進む。

 

拳銃を構え、物音に耳を澄ませる。

 

ゾンビだけでも十分に危険な状況だ。弾薬は限られ、逃げ道も少ない。無駄な戦闘は避けなければならない。

 

そんな彼の前に、奇妙な影が現れた。

 

「……なんだ、あれ?」

 

青い肌。

 

はんぺんのように丸みを帯びた体。

 

その異様な組み合わせは、ゾンビとも、これまで遭遇した怪物とも違っていた。

 

フワッティー。

 

それが、この異形の呼び名だった。

 

フワッティーはレオンを見つけると、体を低くした。

 

次の瞬間、突進。

 

「うわっ!」

 

レオンは横へ飛び退いた。

 

フワッティーは恐ろしい速度で廊下を駆け抜け、そのまま壁に激突した。

 

轟音が響く。

 

壁の一部が崩れ、フワッティーの巨体が衝撃で止まった。

 

レオンは距離を取り、拳銃を連射した。

 

弾丸は命中した。しかし、フワッティーは倒れない。

 

「拳銃が効かないのかよ……!」

 

フワッティーが再び体勢を整える。

 

レオンはすぐに走り出した。

 

彼は戦闘を避けながら、廊下の角や柱を利用して距離を稼ぐ。フワッティーは速い。だが、突進を始めると進路を変えられず、障害物にぶつかるまで止まれない。

 

ならば、正面から戦う必要はない。

 

レオンは廊下の角を曲がり、フワッティーを誘導した。

 

再び突進音。

 

フワッティーは勢いよく角を抜けようとし、その先の障害物へ激突した。

 

「悪いな。付き合ってる暇はないんだ」

 

レオンはその隙に走り去った。

 

彼の目的は、怪物を倒して正体を解明することではない。

 

生き残り、警察署から脱出することだ。

 

その判断によって、レオンはフワッティーとの長期戦を避けることに成功した。

 

一方、フワッティーはしばらくその場でもがいた後、再び立ち上がった。

 

青い肌に覆われた異形は、獲物を追うように廊下の奥へと進んでいった。

 

しかし、その姿を監視していた者がいた。

 

ラクーンシティから離れた、とある隠れ家。

 

複数のモニターに警察署の映像が映し出されていた。

 

「いいねえ。流石レオン、ちゃんとフワッティーの特徴を見抜いた」

 

椅子に座った黒髪の青年が、楽しそうに笑う。

 

「真正面から戦わず、相手の弱点を利用する。こういう判断ができるのは強いよねえ」

 

隣に立つリサ・トレヴァーは、画面を見つめていた。

 

「フワッティーは、あの人を殺すために配置したんじゃないの?」

 

「もちろん。戦い方を見たかっただけだよ」

 

「……あなたは本当に、変わっているわね」

 

「褒め言葉として受け取っておこう!」

 

青年は笑った。

 

フワッティーは、レオンを確実に仕留めるための刺客ではなかった。

 

レオンが未知の怪物と遭遇したとき、何を考え、どう行動するのか。

 

青年はそれを観察したかったのだ。

 

ただし、彼が英雄たちの命を絶対に危険へさらさないというわけではない。

 

面白い展開になるなら、危機を用意することもある。

 

しかし、今のところレオンには、まだ先へ進んでもらうつもりだった。

 

「さて、もう一方はどうなったかな?」

 

青年は別の映像へ切り替えた。

 

そこには、ラクーンシティの街中で戦う二体の巨体が映っていた。

 

 

### 3.ジルと追跡者とスクワット鬼

 

同日、ラクーンシティ。

 

ジルは、街の中を移動していた。

 

洋館事件の後、彼女はアンブレラ社の不正を追っていた。

 

しかし、ラクーンシティそのものがバイオハザードに見舞われたことで、状況は一変した。

 

街にはゾンビがあふれ、警察や軍の組織的な対応も崩壊しつつある。

 

ジルは生き残るため、そして街から脱出するために行動していた。

 

その時。

 

背後から、重い足音が響いた。

 

「……また?」

 

ジルは振り返った。

 

そこに立っていたのは、巨大な人型の怪物だった。

 

黒いコートのような装備。

 

異様な体格。

 

そして、圧倒的な威圧感。

 

ネメシス。

 

アンブレラがS.T.A.R.S.の隊員を抹殺するために送り込んだ追跡者だった。

 

「STARS……」

 

ネメシスが、低い声でつぶやいた。

 

ジルの表情が険しくなる。

 

「……しつこいわね!」

 

彼女は走り出した。

 

ネメシスは、迷うことなく追跡を開始した。

 

ジルは狭い路地を抜け、建物の間を走り続ける。

 

背後から銃声が響いた。

 

ネメシスがロケットランチャーを構えている。

 

「冗談じゃないわよ!」

 

ジルは障害物を利用して攻撃を避けた。

 

しかし、ネメシスは執拗に追いかけてくる。

 

どれだけ逃げても、追跡者は止まらない。

 

やがてジルは、広い道路へ飛び出した。

 

そして、目の前に奇妙な影を見つけた。

 

「……何?」

 

道路の中央に立っていたのは、異様に発達した上半身を持つ青い怪物だった。

 

肩幅は広く、腕は太い。

 

逆三角形の体格は、人間のものとは思えない。

 

スクワット鬼。

 

ノーマル青鬼の変異種であり、圧倒的な筋力を持つ個体だった。

 

ジルは足を止めた。

 

「……今度は何なのよ」

 

スクワット鬼は、ジルを見つけると低い唸り声を上げた。

 

そして、彼女へ向かって歩き出す。

 

ジルは拳銃を構えたが、すぐに別の気配を感じ取った。

 

背後から、ネメシスが近づいてきている。

 

前方には青い怪物。

 

後方には追跡者。

 

「……最悪ね」

 

ジルは左右を確認した。

 

逃げ道は限られている。

 

だが、その時だった。

 

ネメシスがスクワット鬼を認識した。

 

追跡者の動きが止まる。

 

スクワット鬼もまた、ネメシスへ顔を向けた。

 

二体の怪物が、互いを見つめる。

 

ジルは、その隙を逃さなかった。

 

「今のうちに……!」

 

彼女は建物の陰へ走り込んだ。

 

その直後、スクワット鬼が動いた。

 

ネメシスへ向かって、巨大な拳を振り下ろす。

 

轟音。

 

ネメシスの巨体が横へ揺れ、手に持つロケットランチャーを手放してしまう。

 

そして、怪物同士の戦いが始まった。

 

 

### 5.怪物同士の激突

 

スクワット鬼は、ネメシスへ連続して拳を叩き込んだ。

 

一撃ごとに、周囲の地面が震える。

 

その筋力は、ノーマルタイラントを上回る。

 

ネメシスも負けてはいなかった。

 

強靭な肉体で攻撃を受け止め、反撃を繰り出す。

 

二体がぶつかるたび、周囲の車両や街灯が破壊されていった。

 

「……嘘でしょ」

 

建物の陰から様子をうかがっていたジルは、思わずつぶやいた。

 

あのネメシスと互角に戦える怪物がいる。

 

しかも、アンブレラが作り出した生物兵器とは違う姿、まるで洋館で出会った化け物に酷似している。

 

スクワット鬼はネメシスの攻撃を受けても怯まない。

 

身体の傷は再生し、太い腕で追跡者を押し返していく。

 

だが、ネメシスもまた、ただの怪物ではなかった。

 

長期戦になれば、戦況は変わる。

 

ネメシスはスクワット鬼の攻撃を受け流しながら、反撃の機会をうかがっていた。

 

そして、ついにその瞬間が訪れた。

 

スクワット鬼が大きく腕を振り上げた。

 

その一瞬の隙を、ネメシスは見逃さなかった。

 

スクワット鬼の懐に潜り込み、強烈な一撃を食らわせスクワット鬼の体勢を崩す。

 

続けざまにネメシスが攻撃を叩き込んだ。

 

スクワット鬼は後退した。

 

それでも、倒れない。

 

再び拳を振り上げ、ネメシスへ向かっていく。

 

しかし、今度はネメシスが主導権を握っていた。

 

ネメシスはスクワット鬼の動きを学習、適応し、攻撃を受けながらも距離を詰め、圧倒的な力で反撃する。

 

最後には、スクワット鬼の巨体が道路へ倒れ込んだ。

 

ネメシスは転がるスクワット鬼にトドメを刺そうと、顔に拳を何度も振り下ろし、スクワット鬼の顔を完全に破壊する。

 

しばらくの間、怪物は起き上がろうとしていた。

 

スクワット鬼は辺りに青い血を撒き散らし動かなくなった。

 

スクワット鬼は敗北した。

 

ネメシスは倒れた怪物を見下ろし、再び周囲を確認する。

 

そして、ジルの逃げた方向へ歩き出した。

 

「……STARS……」

 

低い声が、街に響いた。

 

ジルは息を殺していた。

 

追跡者の足音が遠ざかる。

 

ようやく彼女は立ち上がった。

 

「……助かった、の?」

 

彼女は、スクワット鬼が倒れた場所を見つめた。

 

あの怪物は、ネメシスに対抗できるほどの力を持っていた。

 

だが、何者なのかは分からない。

 

そして、なぜこの街に存在するのかも。

 

ジルは拳銃を握り直した。

 

「考えるのは後よ。今は脱出が先」

 

彼女は、再び歩き出した。

 

 

### 6.アンブレラへの報告

 

スクワット鬼が倒された後。

 

現場に残された残骸は、アンブレラの関係者によって回収された。

 

彼らは戦闘記録を分析し、スクワット鬼の身体能力を調査する。

 

筋力、耐久性、再生能力。

 

そして、ネメシスとの交戦データ。

 

研究員たちは驚きを隠せなかった。

 

「この個体は、タイラントとは明らかに異なる……」

 

「それなのに、ネメシスと正面から戦闘できている」

 

「制御系統は? 感染源は?」

 

質問は次々と飛び出した。

 

だが、決定的な答えは見つからない。

 

スクワット鬼は、既存のウイルス研究だけでは説明しきれない特性を備えていた。

 

そして、フワッティーの映像も同様だった。

 

ブルーベリーのような体色という特異な外見。

 

直線的な突進に特化した運動能力。

 

通常の拳銃では倒せない耐久性。

 

二体は形状も戦闘方法も異なるが、青い肌という共通点を持っていた。

 

アンブレラは、二体が同じ系統に属する生物ではないかと考え始めた。

 

その頃、青年は別の場所で報告書を眺めていた。

 

「よしよし。データは十分だね」

 

「本当に、アンブレラに渡してしまっていいの?」

 

リサが尋ねる。

 

「いいんだよ。彼らが研究すれば、次に何を作ろうとするのかが分かる。研究が進めば進むほど、こちらも楽しめる」

 

「彼らがあなたの力を再現したら?」

 

「できるなら、それはそれで面白いじゃないか」

 

青年はあっさり答えた。

 

「ただし、完全に再現するのは難しいと思うよ。ウイルスと青鬼の細胞は、似ているようで根本的に違うからね」

 

青鬼の細胞は、一般的なウイルスへの抵抗力が極めて高い。

 

だが、G-ウイルスやウロボロスなどの強力な感染要因にさらされれば、免疫反応によって一時的に機能が低下することもある。

 

完全な無敵ではない。

 

しかし、アンブレラの研究者たちがその仕組みを理解するには、まだ長い時間が必要だった。

 

「それより、今回のデータで一番重要なのは……」

 

青年は報告書の一項目を指で叩いた。

 

「ネメシスがスクワット鬼を倒したことだ」

 

リサが目を細める。

 

「あなたの怪物が負けたのに、嬉しそうね」

 

「そりゃあね。強い敵がいるからこそ、英雄たちの活躍が映えるんだ」

 

青年は心底楽しそうだった。

 

「スクワット鬼が勝っていたら、ネメシスの実力を十分に測れなかったかもしれない。負けたからこそ、あの怪物の戦闘能力を評価できたんだよ」

 

「……あなたの考え方は、やっぱり理解できないわ」

 

「理解しなくていいさ。君は君のままでいてくれればいい」

 

青年はリサへ笑いかけた。

 

彼女は返事をしなかった。

 

それでも、その場を離れることはなかった。

 

 

### 7.ラクーンシティの終焉

 

その後の事件は、公式記録に残されたとおりに進んだ。

 

レオンとクレアは警察署での死闘を乗り越え、地下施設から脱出する。

 

二人はシェリー・バーキンを救出し、ラクーンシティを離れた。

 

警察署に残されたマービン・ブラナーは、最後まで職務を果たそうとしたが、感染によって命を落とす。

 

一方、ジルはカルロスの助けを得ながらネメシスとの戦いを続け、最終的に生還した。

 

彼らはそれぞれ異なる形でラクーンシティ事件を生き延びた。

 

そして、1998年10月。

 

アメリカ政府は、感染拡大を止めるためにラクーンシティを消滅させる決断を下した。

 

街は失われた。

 

多数の市民が命を落とし、事件の真相は完全には明らかにならなかった。

 

アンブレラの責任を追及する動きは続いたが、同社の研究や取引のすべてが表に出たわけではない。

 

その中には、二体の青い怪物に関する記録も含まれていた。

 

フワッティー。

 

スクワット鬼。

 

アンブレラの資料では、二体は正体不明の生物兵器候補として分類された。

 

しかし、彼らを生み出した存在については、ほとんど何も分かっていなかった。

 

そして、その存在は、次の舞台へ向かう準備を始めていた。

 

 

### 8.次の舞台へ

 

ラクーンシティ事件の報告書を閉じ、青年は椅子から立ち上がった。

 

「さて、次はスペインだ」

 

リサは、机の上の資料に目を向けた。

 

そこには、奇妙な村の写真と、寄生生物に関する情報が記されていた。

 

「プラーガ……?」

 

「そう。T-ウイルスとはまた違う、面白いものが出てくる」

 

青年は写真を手に取った。

 

「感染者がただのゾンビになるんじゃない。知性や行動能力を保ったまま、別の存在に変わっていく。こういうのも観察しがいがあるよね」

 

「またレオンを見に行くの?」

 

「もちろん!」

 

青年は即答した。

 

「彼はまだまだ活躍してくれるからね。クレアもジルも、これから先が楽しみだ」

 

「あなたは、いつか彼らに倒されるつもりなの?」

 

青年は少しだけ考えた。

 

そして、いつもの笑顔を浮かべる。

 

「さあ、どうだろうね」

 

「……答える気がないのね」

 

「その方が、先が気になるだろう?」

 

リサは呆れたように息を吐いた。

 

青年は窓の外へ目を向ける。

 

ラクーンシティは滅びた。

 

だが、世界にはまだ多くの謎があり、英雄たちはこれからも戦い続ける。

 

彼らがどんな困難を乗り越え、どんな選択をするのか。

 

青年はそれを見届けるつもりだった。

 

たとえ、そのために新たな怪物を生み出すことになろうとも。

 

「さあ、次の物語を始めようか」

 

青い光が、一瞬だけ彼の瞳をよぎった。

 

第3話・完

 

 

 

 

 

 




次回、村編……ではなく、オリ主のアンブレラ会合編です。
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