ブルーアーカイブ二次創作短編集(健全版)   作:ダルメシアン0426

1 / 12
ネタバレ注意。

エデン条約編2章の際、もしナギサが補習授業部と一緒に襲撃に立ち向かっていたら、という妄想です。

何でも許せる人向け。そうじゃない人は回れ右。




エデン条約編IF -ミカvsナギサ-

 トリニティに侵入したアリウスの突入部隊を無力化し一息吐く補習授業部の面々。

 彼女らが待機場所に選んだのは水着パーティーをしたあの体育館だった。

 これで、後は正義実現委員会の到着を待つだけだ。

 そう思っていたが……。

 うまくことが運ばない。

 

 多量の足音。

 金属が奏でる音。

 それらが段々と近づいてくる。

 

 誰もが不安を覚える。

 この音は一体なんだろう、と。

 正義実現委員会にしては荒々しい。

 固唾を飲んでその時を待つ。

 

 そして……。

 遂には体育館の出入り口よりガスマスクを被っている集団が突入してきて補習授業部を囲む。

 

 驚愕に顔を染める補習授業部。

「アリウスの大隊だ……」

 と焦ったように呟くアズサ。

 

 睨み合うアリウスの大隊と補習授業部。

 どれくらいそうしていただろうか……。

 数十秒か数分か、或いはもっと時間が経っていたのか。

 両者共に動かず。

 その均衡が崩れたのは……音が響き渡ったからだった。

 コツ……コツ……と靴音が響きアリウスの大隊が左右に分かれる。

 果たしてそこから出てきたのは……。

 

「黒幕登場☆ってところかな?」

「私が本当の『トリニティの裏切り者』」

 

 左手の人差し指を立て、周りを一瞥し普段と変わらない様子で微笑む。

 

 ……聖園ミカ。

 ティーパーティーの一人。

 パテル派のトップが悠然と笑んでいた。

 

「……ミカさん。どうして……」

 

 信じたくない。

 嘘だと言って欲しい。

 補習授業部に護られるように隠れていたナギサは呆然としたように呟く。

 

 それはとても小さな声だったが静寂が支配する空間には良く響いた。

 

「……わーお。補習授業部だけじゃなくてナギちゃんも居たんだね〜」

「ねぇ……降参してくれない? 悪いようにはしないからさ」

 

 一瞬、驚愕に顔を染めるミカ。

 どうして、ここに……。

 と思わず声に出してしまうが、一度目を閉じてゆっくりと開く。

 あの情報は嘘だった、というところかなぁ……。

 そう言って困ったように笑う。

 

「どうして……! どうしてですか! ミカさん!」

 

「んー……それはこっちの台詞かな」

「どうしてナギちゃんはそこに居るのかな?」

 

 問い掛けの応酬。

 互いに互い、何故? どうして? とそう問い掛ける。

 

「私が説得したんだ」

 

 疑心暗鬼に陥っていたナギサを説得したのは先生だった。

 私は生徒の、ナギサの味方だよ。

 だから誰が黒幕なのか、その目で確かめよう、と。

 

「……わーお、流石だね?」

 

 戯けたように肩を竦める。

 それを見て口を噤むナギサ。

 ナギサの代わりに問い掛ける先生。

 

「ミカ、どうして……」

 

「んー? 先生にそう言われたら仕方ないなぁ」

 

「それはね……ゲヘナが嫌いだからだよ」

「私は本当に、心から……心の底からゲヘナが嫌いなの」

 

「アリウスを公的な武力集団として、再編されたトリニティがゲヘナに全面戦争を仕掛ける。そう、これが私の計画!」

 

 少し困ったように微笑(わら)いながら普段と変わらない様子でそう言った。

 

「……っ!」

 

 思わずミカを睨みつける先生。

 

「わっ……びっくりしたー……」

「そんな怖い目も出来るんだね……うん。先生がすごく怒ってるのはよく分かった」

 

 ごめんね、と寂しそうに笑う。

 

「ミカさん……そこまで……」

 

 寂しそうに笑うミカを見てぐっ、と唇を噛み締め後悔に顔を歪めるナギサ。

 

「もっと丁寧にお話したいところだけど……まずは色々片付けてからにしよっか?」

 

 ゆっくりと見せつけるかのように銃を構える。

 それは隙だらけに見えるが、その実、全く隙が見当たらない。

 こちらが先手を打とうとすればそれを悉く潰されるだろうという圧倒的なプレッシャー。

 

「……気を付けて、先生」

「見ただけでわかる……かなり強い」

 全員に警告を発するアズサ。

 

「ふふっ、そうだよ。先生には前言ったけど、私結構強いんだから」

 

 その言葉に嘘偽りが無い事を誰よりも良く知ってる。

 時と場所が違うのならあの正義実現委員会の委員長、剣先ツルギよりも強い、と。

 それを知っていてもなお、射線を遮るようにミカの前に立ち塞がるナギサ。

 

「……先生。ヒフミさん、ハナコさん、コハルさん、アズサさん。アリウスの大隊をお願い出来ますか」

 

 前を向いたまま、周囲に一瞥もせずに。

 ミカから一切、目を逸らさずに。

 お願いの体を取ってはいるものの、それはお願いではなくて。

 

 ミカさんは私が相手をします。

 邪魔をしないでください。

 

 そう言ってるのだと、全員が感じ取る。

 

「……ナギサ。気を付けて」

 

 止められない。

 否、止めるべきではないとそう思った先生はそう言葉を掛け補習授業部と共にアリウスの大隊を相手をすべくナギサから離れる。

 

「……わーお。ナギちゃん、本気?」

 

「ええ、本気ですよ」

 

「ナギちゃんが私に喧嘩で勝てたことあった?」

 

「いつまでも過去を見てるミカさんらしい言葉ですね」

 

 普段と変わらない様子で軽口を叩き合う二人。

 過去に囚われてるミカ。

 現在に囚われてるナギサ。

 

「んー? 現在(いま)に囚われてるナギちゃんに言われたくはない、かなっ!」

 

 その言葉と共に、ダダダッ! と音が響き渡る。

 滑らかにまるで重さや反動を気にせずに発砲するミカ。

 

「……っ! ミカさん!」

 

 咄嗟に横に飛び退き回避。

 その勢いを殺さずに一瞬で間合いを詰める。

 

「ナギちゃんは昔から変わらないね。得意なのは超近接戦だよねっ!」

 

 ナギサの愛用しているワルサーPPは近接戦用だ。

 だからこそ詰め寄られるのを予見していたのだろう。

 後ろに下がるでも横に移動するわけでもなく。

 前進しすれ違うようにステップを踏み、勢いを殺さずにまるで踊るように回転し乱雑に撃ち放つ。

 

 ランチェスター短機関銃はその大きさからかある程度距離が開いていないと使えない。

 それは愛用者であるミカが誰よりも良く知っていたのだろう。

 だからこそ、間合いを詰められた時にどう対応すればいいのか? 

 そう言ったシミュレーションは完璧だった。

 

 乱雑にばら撒かれた銃弾を大きく旋回しながら躱し、再び間合いを詰めようとするナギサ。

 決してトリガーを引かずに。

 ミカがリロードするのを見逃さずに。

 その隙に全弾零距離で撃ち込む。

 それが戦闘力で劣っているナギサがミカに勝つ唯一の方法なのだと。

 

「……ナギちゃん。私がリロードするの狙ってるでしょ?」

 

「っ!?」

 

 読まれてるとは思わなかったのだろう。

 驚愕し、思わず動きが止まる。

 その隙を見逃すミカではない。

 ナギサの両足を狙い撃ちする。

 

「っぁあああ!」

 

 痛みを堪えつつ銃を構え、撃つ。

 バンッ! バンッ! バンッ! 

 銃撃音が断続的に響く。

 

「……っ!? わー、危ない危ない」

 

 余裕を崩さずに微笑む。

 リロードをするミカを見つつどうにか射線から逃れるナギサ。

 

「……まさか、ここまで何も出来ないとは」

 

 読まれていた、だなんて。

 苦々しく吐き捨てるように呟く。

 

「……ねぇ。もう降参してくれないかな?」

「ナギちゃんにはあまり傷付いて欲しくないんだよね」

 

 ミカは困ったように笑う。

 圧倒的強者として格下の相手に情けを掛けるが如く、そう問いかける。

 

「……それはこちらの台詞ですよ、ミカさん」

「ミカさんこそ降参してください」

 

 だが、ナギサは首を縦に振ることはなく逆に問いかける。

 勝機がない事はナギサ自身分かっている。

 出来るのは時間稼ぎのみだと。

 

「ふふっ、ナギちゃんは面白いなぁ」

「さて、と。これ以上時間稼ぎに付き合えないから終わりにするね?」

 

 アリウスの大隊と互角以上に渡り合っている補習授業部。

 それを一瞥し、ナギサの目の前でスマホを取り出し時間を確認するミカ。

 

 隙だらけだ、と残弾を全て放つ。

 それが無駄だと知りながら。

 

 ひらりふわりと銃弾を躱し距離を詰める。

 ガチャ……とナギサの額に銃口を当て別れの言葉を口にし、寂しそうに笑うミカ。

 

「……じゃあね、ナギちゃん」

 

 ここまで、ですか……。

 諦めていたナギサはミカのどこか泣きそうに見える笑顔を見て思い直す。

 まだ、終われないと。

 

「……っ! ミカさん!」

 

 叫び、銃口を掴み地面に固定するかのように押さえる。

 

「っ!? ナギちゃん、無駄な抵抗は止めた方がいいよ」

 

「……無駄な抵抗ですか。確かにそうかもしれませんね」

「ですが、ミカさん、貴女のそんな顔を見てしまったら諦めるわけにはいきません」

 

 諦めかけていた心に再び力が宿っていく。

 最後の最後まで諦めるものか。

 必ずやり遂げる、そう覚悟を決めた者の眼をしていた。

 

「……いい眼だね、本当に」

「ナギちゃんのそんな眼、見たのいつ以来だったかな?」

 

 ふふっ、と嬉しそうに微笑むミカ。

 ナギサが覚悟を決めて本気の眼をしているのが嬉しいのだろう。

 

「……ミカさん」

 

 そんなミカを見て、ここで何があっても止めなければならない。

 それが幼なじみとしての……親友としての努めだ。

 

 痛みは大分引いた。

 この距離なら。

 

 私の間合いですね……。

 

 小さく小さく口の中で転がすように呟く。

 ふぅ……と息を吐く。

 一息に制圧する。

 

「……っ! ミカさん! これで!」

 終わりです! 

 右手で掴んでいた銃を絡み取り弾き飛ばす。

 痛みに顔を顰めるも動きには支障は見られず。

 ぐっ、と身体を伸ばすと同時に足払いを掛け、体勢を崩させる。

 宙に浮くミカ。

 

 左手で頭を掴みそのまま床に叩きつける! 

 

 ……そうするはずだった。

 

 だがしかし、悲しいかな。

 ミカはそれも読んでいた。

 

 そう来ると思った。

 ミカは心の中で呟く。

 

 だから、身体が宙に浮くように『わざと』足払いを掛けられたのだ。

 サマーソルトを放つ為に。

 

 ナギサにそれを避ける術は無く顎に直撃する。

 世界が視界が回る。

 ぐらり、と揺れ勢いよく後ろに倒れる。

 

 バターンッ! ガンッ! 

 身体を頭を床に打ち付ける音が響く。

 

 それをどこか他人事のように聞いてるナギサ。

 三半規管がやられたせいでしばらくは動けそうにないのだ。

 未だに揺れている視界に映り込むミカ。

 揺れているからだろうか泣き笑いのように見える。

 

「……大丈夫ですよ。ミカちゃん。私が居ますからね」

 

 つい、昔の呼び方をしてしまう。

 身体が動けば頭も撫でていたところだろう。

 幼かった頃、ミカは今よりもずっと弱く泣き虫でナギサの背に隠れてるような子だった。

 その頃の面影が今のミカと重なったのだ。

 

「……ナギちゃん」

 ごめんね……。

 でも、悪いようにはしないから……。

 

 小さく悲しそうに呟くとナギサの意識を落とす為に締め落とす。

 

 意識が落ちたのが分かると徐ろにスマホを取り出し時間を確認する。

 

「……思ったより時間掛かっちゃったな」

 

 ああ、そうだ、先生と補習授業部は……と思い出したかのように周囲を見回す。

 

「んー……まだ戦闘中だね」

「ナギちゃんは確保したし消し飛ばそう」

 

 ゆっくりと銃を構え、トリガーを引く。

 

 その寸前に。

 ころん……っと何かが床を跳ねる音が幽かに聞こえた瞬間に煙幕が全員の視界を塞ぐ。

 その直後にドカーンッ! と大きな音が響き渡る。

 コツ……コツ……と一切乱れない足音が大音量で響き渡る。

 

 煙幕が晴れ、姿を現したのはシスターフッドだった。

 あの足音はシスターフッドの行進だったのだ。

 

 それを見てミカは困ったように笑う。

 時間切れかな……。

 そう小さく呟き構えた銃を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To Be Continued.?|




2022年4月15日 投稿

※Twitter で見た概念いくつか貰ってます。

勝手に使わせていただいております。
名前は出しませんが・・・。
とても助かりました、ありがとうございます。



2026/10/12追記:実は、人生初二次創作投稿作品でした。懐かしい。妄想きつくて草。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。