ブルーアーカイブ二次創作短編集(健全版) 作:ダルメシアン0426
補習授業部の活動の一環でプール掃除をしていた或る日。
トリニティ指定の水着に身を包んだ面々。
……ハナコだけは元々水着だったため、着替えずに来たけど。
思わず声を掛ける。
「ねぇ、ハナコ。……替えはあるの?」
きょとんとした顔。
でもすぐに得心がいったような顔になり、からかうように微笑む。
「先生はどう思います?」
「……もしかして、無いわけないよね?」
「有るかもしれないですし、無いかもしれないですよ」
「観測するまではわからない。シュレディンガーの猫と同じですよ、先生」
何やら小難しいことを言ってるようだけど……。
「……つまり、真面目に答える気は無いってことだね?」
はぁ……。
溜息を吐く。
「あら、これでも真面目だけが取り柄なのですが」
キリッと真面目な顔してそう言う。
だが、その直後にくすくすと笑うハナコ。
「そこなに遊んでるのー! ちゃんと掃除して!!」
コハルがモップを抱き締めて叫ぶ。
その横で黙々と手を動かしているアズサ。
声は聞こえないけど表情からしてきっと、あはは……。と笑っているであろうヒフミ。
「あらあら、コハルちゃんに怒られちゃいましたね」
「では、先生。私たちも掃除をしましょうか」
「そうだね」
私はハナコと別れて掃除をする。
楽しそうに談笑しながら掃除をする生徒たちを横目に。
それからどれくらい時間が経ったのだろうか。
気が付いた時には陽が傾き始めていた。
水の入っていないプールを見る。
見違えるようだった。
こびり付いていた汚れはどこにも見当たらず。
斜陽が反射しまるで新品のような輝きを放っていた。
「みんな、お疲れ様!」
「「「「お疲れ様でした!」」」」
声を合わせて元気良く返事をしてくれる。
「それじゃあ、今日はこれで解散して明日プールに水を入れようね」
私の言葉で各々部屋へと戻っていく。
そんな中、ハナコだけが私の方へと来る。
「どうしたの?」
問いかける。
「先生、着替えを手伝ってくれませんか?」
!?
「き、着替え!?」
「ええ、そうです」
「……いえ、これは正確ではありませんね」
「正しくは、着替えを持ってきていただけませんか?」
「ど、どうして?!」
「濡れたまま歩くのはみんなに迷惑を掛けてしまうので……」
少しだけ困ったような顔をしているけど……そんな感じはしないような……。
いや、生徒を疑うのは良くないね。
「わかったよ」
「それで持って来るのはいいんだけど……何処にあるの?」
「うふふ」
妖しく笑うハナコ。
い、嫌な予感が……。
「先生の鞄の中ですよ」
────。
は?
今、なんて……?
私の鞄の中……?
い、いや聞き間違えだろう。
信じたくない。
「も、もう一度言ってくれるかな?」
「せ・ん・せ・い・の・か・ば・ん・の・な・か・で・す・よ」
一音一音区切って発音するハナコ。
くすっと口を手に当て首を傾げる。
か、かわいい……じゃなくて!
慌てて鞄の中を漁る。
そこには見覚えが無い袋が入っていた。
「こ、これじゃないよね?」
これがハナコの言ってる物だとわかっていた。
でも、違っていて欲しい。
「はい、それです」
「では、先生。一緒に更衣室までお願い出来ますか?」
こちらの返事を聞かずに更衣室へと歩き出すハナコ。
慌てて追いかける。
そして、ハナコと共に更衣室へと。
「今から着替えるので後ろを向いていてもらってもいいでしょうか?」
「いや、それだったら私は外で「先生、お願いします」──はい」
生徒にお願いされたら了承するより他に無いね。
少しして。
するっ……びちゃっ……水気を含んだ物が地面を叩く音がする。
ハナコが水着を脱いだんだろうな。
一糸纏わぬ姿を想像してしまいそうになり頭を振り妄想を消す。
すっ……ばさっ……しゅる……。
衣服が擦れる音が響く。
その音もやがて止む。
「先生、もうこちらを向いてもいいですよ」
振り向くと──。
「あら、先生?」
「どうしたのですか?」
「そんな鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして」
「あ、あぁ……」
「いや、意外だなと思って」
「君のことだから……」
つい、見惚れてしまう。
しっとりと濡れたピンクの髪。
白を基調としたフリルがたくさんで肩が出ていて胸の谷間を強調したドレスのハナコがそこに居た。普段とは全く異なる姿、雰囲気、胸胸胸。
だが、その顔にはからかうような笑みが浮かんでいた。
これ以上は口に出さない方がいい。
言葉を濁し黙る。
そういった判断だ。
「うふふ、予備の水着を着ると思ってましたか?」
「い、いや……そんなこと……」
「残念ながら予備の水着は今、洗っている最中でして……」
「それに流石に濡れた水着をもう一度着るのはちょっと……」
困ったように頬に手を当て微笑むハナコ。
「まぁ、そうだよね」
「……でもさ、もっと他に無かったの!?」
「ふふっどうでしょうね?」
悪戯っ子みたいに笑う。
「ですから……エスコート」
「お願いしますね?」
そう言って顔を近づけて可愛いらしく小首を傾げ、上目遣いでこちらを見る。
「みんなの元へと戻るだけだよね!?」
「ふふふ、楽しみにしてますよ、せ・ん・せ・い♥」
私の話を聞いているのかいないのかわからないハナコが艶やかに微笑む。
「……と、とりあえず、行こうか」
了承を得ずに手を繋ぐ。
しっとりしていて柔らかい手だ……。
つい、両手で握ったり擦ったりしてしまう。
「あ、あの……せ、先生……その……」
普段と違い恥じらうような声音。
はっとして手を離す。
恐る恐る様子を確認する。
赤くなっており恥ずかしそうに口元に手を当てたハナコがそこに居た。
「ご、ごめん……」
謝罪の言葉が口から溢れる。
「い、いえ……」
それ以降、甘酸っぱいようななんとも言えない空気になってしまう。
ごほん。
咳払いを一つ。
「……そ、それじゃあ行こうか」
声が震えてないだろうか。
吃っていないだろうか。
そんなことばかり頭を巡る。
「は、はい……」
しおらしい態度に変な気持ちが湧き上がって来る。
相手は生徒……相手は生徒……。
繰り返し唱える。
注意が散漫になり、足を滑らせてしまう。
「うぉっ!?」
「きゃぁっ!?」
可愛らしい悲鳴が聞こえた同時に。
ドンッ! とハナコを押し倒してしまう。
「せ、先生……」
顔を真っ赤にして口元に手を当てて恥ずかしがるハナコ。
それがとてもかわいくて私は理性の鎖が壊れる音を何処か他人事のように聞きながらハナコに顔を近付ける。
吐息が触れ合う距離。
ハナコが目をぎゅっと閉じた。
後、数センチで唇が触れる。
その時だった──。
バンッ! とドアが開く。
そこから現れたのは──コハルだった。
「な、なななな何やってるの!?」
「戻って来るのが遅いと思って見に来たら……えっちなのは駄目! 死刑!」
叫び声が木霊する。
はっとし慌てて離れる。
「こ、これはその……! ち、違うんだ!」
何がどう違うのか私自身にもわからないけど!
と、とにかく、言い訳を──!
ハナコにも理由を説明して貰おうとふと見ると居ない。
何処に……? コハルの方をよくよく見ると、コハルの小さな身体に隠れるようにしていたハナコが居た。
ばちっと目が合うと脱兎の如く逃げ去っていく。
伸ばしかけた手が中途半端に止まる。
やってしまった。
「──先生! 聞いているの!? ハナコに何したの!?」
「えっちなのは駄目! 死刑なんだから!」
私はコハルに詰問されながら途方に暮れていた──。
2022年7月22日
「第一回ブルアカ概念祭」用の作品です。
恋愛クソ雑魚概念ハナコです。
攻撃特化の紙防御ハナコってかわいくない? かわいいよね?
2026/10/12追記:概念祭懐かし過ぎる。締め切り直前で投稿して主催者に迷惑掛けたっけなぁ⋯⋯。いや、まじでごめんなさい。割と良く書けてると思う。続きを書けって言われたら書けないけど加筆はしたい欲はある。恋愛シーンとかXシーンとかよくわからないから無理だけど。後は単純に離れ過ぎていてキャラの口調とかがわからない。残(念でも何でもなく)当(然)だからしかたないね。