続きは未定
世界樹エーダルにより作られた世界、エーリアス。
巨大な世界樹の根元に広がる妖精王国・エルフィンランドに一軒の映画館があった。
表向きは普通の映画館、しかしその地下にはとある目的のために作られた秘密基地が存在していた。
その目的こそエーリアスの滅びを防ぐこと。
そのために既に滅んだ別次元のエーリアスから物資を強奪……窃盗……拝借……回収!そう回収するフロンティア活動の拠点である。
そこではリニュアが次に行く次元を決めるための予備調査をしていた。
フロンティア活動で訪れる別次元は何らかの理由で滅びたエーリアスだ。
事前に調べて危険度が比較的低い次元に行かなければかえってこの次元に危機を招きかねない。
かつて出会った次元R41のリニュアのように敵対的な勢力がいないかを調べているのだ。
が、それはそれとしてやっていることはデスクワークであり、進捗を確かめにやって来た教主も何か手伝えるようなこともなく、結局ながら仕事で雑談に興じていた2人だがふと教主が言う。
「そう言えばリニュアは今まで沢山のエーリアスに行ってきたんだよね?その中で特に印象に残った事ってある?」
「そうですね…色んな事がありましたから……あ、以前ブルミさんと協力した次元があったと言いましたよね」
「ああ、確かフロンティア活動を始める時だったね」
「実は回数こそ数えるほどですが何度か協力できた次元がありまして…」
「一度だけじゃなかったんだ」
「とある次元ではブルミさんの名前が違っていたんですよ。そこではヨンチュンって名前でした」
その名前を聞くと教主が大きく驚きの声をあげる。
「何!ヨンチュンだって?!」
「えっ?まさか教主様はこの名前に聞き覚えがあるのですか?」
「いやまったく無い」
大げさなリアクションからのあまりにもあんまりな発言にリニュアはガクッとズッコケてしまう。
じとっと睨みつけるリニュアに教主は慌てて弁解する。
「いや、名前そのものに聞き覚えはないんだが…なんかこう、名前の前に『ペ』をつけたくならないか?」
「ペ?ですか?」
リニュアはやはりトンチキなことを言い出した教主に何を言ってんだコイツという冷ややかな視線を送る。
「ああ、声に出せばきっと君も納得するはずだ。リピートアフターミー。ペ・ヨンチュン」
「ペ・ヨンチュン……」
何だかんだで付き合いのよいリニュアは意味不明の『ペ』を口にする。
すると脳裏に浮かぶのは懐かしい小さな友人。かつて何度か協力してエーリアスの滅びに立ち向かった戦友の姿だ。
「ペ・ヨンチュン…」
頭の中のヨンチュン、この次元ではブルミがどこからともなく眼鏡を取り出して装着する。
「ペ・ヨンチュン」
長ったらしいマフラーを装着する。
「ペ・ヨンチュン…!」
そこには一面の雪景色の中、
「ペ・ヨンチュン!」
ピアノを弾くブルミ、いやペ・ヨンチュンの姿が!
「ペ・ヨンチュンだ!すごくペ・ヨンチュンですよ教主様!」
「そうだろう!何だか国民的俳優の風格さえ漂ってきただろう!」
「はい!何だかヨン様と呼びたくなってきました!」
これはそんな、なんでもない日の出来事。
後日ブルミにピアノを弾けるか聞いてみたら
「あたちが弾けるようなサイズのピアノがエーリアスにあると思う?」
とバッサリだった。