……そろそろ血が必要になってきた
ということで今日は学校に休みの連絡を入れて市内のでけえ病院へ向かう
ちゃんとしたご飯食べてるのに栄養不足になるなんておかしな話だよな(吸血鬼)
そんなことを思いつつ病院に入り、頻繁にここへ通っているせいで顔馴染みになっているおっちゃんの元へ向かう
「イオさん。診る限り重度の貧血のようです」
「いやぁ…俺ってばこんなナリして病弱だから貧血になってばかりなもんで」
「……貧血以外、異常なほどに正常なのがやはり怖いのですが…」
ぶっちゃけお腹空いてるだけだから、病弱も体調不良もねえんだけども。貧血も誤魔化してるだけだし
「それにしても、いつも悪いね」
「今更ですよ、もうかれこれ半年は経ってるんですから。それより、私としては貧血よりもそのアレルギー体質の方が心配なんですが」
「この身体に関してはどうしようもないって、それに俺はとっくに慣れてるし」
「……そうですか。まあ、今はひとまず輸血の準備をしましょう。他に症状も無さそうなのでいつものように数時間ほどで終わります」
「じゃあ部屋まで案内おねしゃす」
「……何で横になってるんですか。そのベッド動かせませんよ」
「………頭痛がする…吐き気もだ…………な…なんてことだ……気分が悪いだと…?」
「そんな病状ないので自分の足で歩きなさい」
「あっ、はい」
叱られたんで渋々立ち上がりおっちゃんの後をついていく。そして見慣れた個室に到着し、顔に巻いている布を解いてベッドで横になる
流れ作業で輸血の準備が済み、血が徐々に全身を巡っていくのを感じる
「あ"ぁ"〜血が染み渡る〜」
「変な声出さないでください……では、遮光カーテンもしておいたので私はこれで失礼します」
「3時になったら起こして」
「……」
「おーい?」
「貴方の素って、顔と口調が合ってませんよね。顔は良いのに喋れば喋るほど印象が下がりますよ」
「何でそんな酷いこと言うの?」
おっちゃんはそのまま何も言わずに病室から出て行ってしまった。扱いが雑ゥ…
まあでも、素で話せる相手なんて日本だと数少ないから、こういう関係は大事にしておきたいもんよね。
てか、そもそもここ病院だから定期的に様子を見に来るんだけども
……それよりやる事が無くて暇だ
そんなことを思うくらいなら、いっそのこと輸血パック盗んだ方が手っ取り早いんだけど……イギリスでのやらかしを思い出すんだよなぁ…
まさか輸血パック無くなっただけであんな大捜索始まると思わんやん。あれは焦ったね
昔みたいに下手なことして足取り掴まれかけるくらいなら、こうやって大人しく暇してた方が吉
さて、この時間をどう有意義に使うか
…………よし寝よう……zzZ
「起きてくださいイオさん。そろそろ3時ですよ」
「ん……くあぁ〜…おはよう」
目を開けて起き上がれば時間はちょうど3時ごろ。あくびをしつつ、起こしてくれたおっちゃんに返事をする
「おはようございます。身体に何か異常を感じますか?」
「もうバッチリ健康体」
「今日も異常なし…と。一応検査はするので移動しましょう」
「あ、服着るから先行ってて」
「ちゃんと1人で来れますか?」
「バカにすんな」
おっちゃんを先に行かせて、畳んであるズボンを履き服を着る。…あっ、寝癖やべえ
短い検査も終わり後は帰るだけになった
でかい病院なだけあって通る人が多い廊下を、2人で歩きながら世間話をする
「ブランドーさん、最近調子はどうですか?」
「身体に関しては絶好調よ。まあ最近よく分からん悩みが増えたけど」
「悩み…ですか」
「ん〜…詳しくは話せないけど、便利だからと誰も彼もが自動車に乗るから道路が混雑して困っちゃった。みたいな悩み」
「……あなたまだ車乗れませんよね」
「いや例えだよ例え、本当に乗ってはねえよ
………ん?」
そのまま会話をしながら歩いていると、待合室に見覚えのある人物が見えた
ピンク色の鹿目まどかと青色の美樹さやか、ジョジョに居そうなくらい目立った髪色の2人。今日は一色足りてないけど
「どうしました?お知り合いでもいましたか」
「いや、ただのクラスメイトだ。目立つ髪色してるから分かりやすくて」
「……ああ、青い髪の子なら私もよく見かけますよ。上条さんという男の子にお見舞いに行っていると、看護師の間でも話題になっているので」
「へえ〜」
少し話を続けていたが、そろそろ出入り口に着く所で話を終わりにして日傘を準備する
頭部以外は肌の露出が無いから日傘で十分だろう
「そんじゃあ、また来るからよろしく」
「来ることがない方が良いんですけどね…」
呆れたようにそう言うおっちゃんに手を振り、日傘を広げて病院を出る
そのまま家の方向へ向かうと、さっき見かけた2人が駐輪場の方で何か話をしていた。何してんだとは気になったが、知り合いでもないから素通りしようとする
だが、『魔女』や『結界』といった聞き慣れない言葉が耳に入り、つい足を止める
……最近は女子でも厨二病が多いのかな。こんな場所で堂々としてると逆に関心しちゃうね
非日常に憧れるのは共感出来る、と思っていたらピンク色の方がどこかに走って行った。いきなり目の前を走るからびっくりしたわ
視線を外して俺も帰ろうと歩き始めると、何故か病院の壁が突然光を放ち足を止める。何かあったのかと思い、光る壁を見るとさらに光が強くなって普通に目がやられた
急なことで驚きつつ反射で目をつむる。しかし瞼からでも眩しいくらいの光で目を手で覆う
ほんの少ししたら光が消え、ムカつく気持ちを抑えながらも目を開ける
すると、さっき出入りした病院がそこにはなかった
辺り一面、病院の面影が微塵もない異様な景色に変わっていた。洞窟のように暗く出口は見えず、周りにはデカいお菓子のオブジェクト
は?なんか知らん場所に来たんだが?
どういうことだこれ
──────────────
無事に鹿目まどかが巴マミを連れてくることに成功し、結界内にいる美樹さやか、キュゥべえと合流することが出来た
マミが来たおかげで後は結界の主である魔女倒すだけになり、魔法少女ではない2人は安堵していた
戦闘が始まり、マミはあっという間に小さな人形のような魔女を拘束する
「ティロ・フィナーレ!!」
お得意の必殺技が炸裂して魔女の腹に穴を開ける。これでマミと他2人も勝利を確信した
しかし現実は非情である
魔女の口から、人を容易に覆うほどの巨大な姿が現れた。それは凄まじい速さでマミに迫っていく
マミはそれに反応出来ずその頭は食いちぎられる。その瞬間
───時は止まる
だがそれを認識する者はいない。止まった時の中を動くことが出来るのは、この世界にただ2人のみ
再び時が動き始めると、放心状態のマミを悪人染みた風貌の男が抱えていた
その男は先ほど病院の近くにいた人物。魔女の結界が開いた瞬間に巻き込まれていた被害者だった
「…………戦いにおいて、勝ち誇った時そいつは既に敗北している。貴様はちょいとばかし危機感が足らなかったようだな」
男はそう語り、何も言わぬマミをちらりと見る
「なんだもう戦えぬか。いや、ただの小娘に戦えと言うのも酷な話か……ならば、そこで私の戦い様を見ているがいい!」
片手でマミの服を掴み、まどかとさやかの方へ放り投げた。2人はそれに驚きながらも反射的に受け止めた
「マミさんっ!?」
「ちょっと!あんた何して──っ!?」
さやかがマミの扱いに抗議しようとするがその言葉は遮られた
魔女が男に勢いのまま突っ込んでいき結界内に轟音が響く。それを見た2人は恐怖で悲鳴をあげ身を縮こませた
しかし男は怯むことなく、その牙を掴んで受け止めていた。難なく受け止められたことに驚いた魔女は、開いたままの口で押し切ろうとした
だが男はビクともせず、苦悶の表情を浮かべるどころか獰猛に鋭く笑った
「───
「所詮はただのナメクジ!そんな眠っちまいそうなノロい動きでこの私に敵うはずがなかろうッ!!」
男は魔女を掴んだまま力を込め、奇声を発しながら結界の壁へ投げつけた
──それと同時に、見えない何かが魔女に傷を付ける
魔女が壁に激突し砂埃が舞う。男はそれを見ても警戒を怠らず、自らの状況を冷静に整理する
「………よく分からん気色の悪い場所に、正体不明な巨大な化け物か…」
「まさかこんな状況になるとはな……人生、何が起こるか分からないものだ…」
「だが、おかげで私の力も再認識出来たというもの…フッフッフッ……実に良い事だ」
男は余裕の表情で小さくニヤリと笑った
しかし、自らが想定していた事が起こらず。そこに疑問を抱いて首を傾げる
「ふむ…あれを倒せば元の場所へ戻るかと思ったが、もしや主ではなくただの雑兵だったか?」
「……ならばもう少しここを探索せねばな」
ここへ迷い込む前に、2人の会話を聞いていた。おかげで、ここが結界だと理解出来ていた
そのため、この結界の主を倒せば元の場所に戻ると考えたが状況は以前変わらない
男はアテが外れたと、背を向けて歩き出していく
その瞬間、タイミングを見計らったかのように砂埃の中から魔女が現れた
魔女はその大喰らいの口を開き、後ろを向いている男へ迫っていく
だが、魔女はその直前で動きを止めた。まるで見えない壁に阻まれているかのように、完全に静止していた
その場にいる誰もがこの状況を理解できていない。ただ1人、男を除いて
「──
男の目だけに映る金色の人型
「馬鹿の一つ覚えのように突撃してくるばかりか…」
振り向いて無意味に暴れる魔女を見た。そこでまた首を傾げる
「何?……腹を抉り取れば致命傷に至ると思ったが…さては再生能力を持っているようだな」
壁に投げつけた時に、ザ・ワールドで付けた傷が跡形もなく治っていた。それを見て、男はただの攻撃では意味がないと考えた
「再生能力の厄介さは身に染みて理解している」
「──そこでだ!貴様がどれだけ再生しようとも関係のない処刑を披露してやろう!」
そう言って一歩ずつ魔女へと近づいて行く
「フッフッフッ…逃げることなど不可能!貴様は既に処刑場の上に立っているのに等しいッ!」
「喰らうがいい!───
その手が触れた瞬間、魔女の身体が凍りつき始めた
指先から広がった冷気は、触れた部分を伝って全身を凍らせてゆく。魔女は悲鳴をあげる間もなく氷で覆われる
それはまさに氷の侵食。あっという間に結界の中心に氷のダイアモンドが出来上がった
「これならばッ!抵抗も!再生も!
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーーーッ!!」
吸血鬼とスタンド。それらの拳が合わさり、機関銃のような轟音を響かせたラッシュが魔女を襲う
一撃一撃が容易に氷を砕き、内部まで凍らされた魔女は自身の最後を認識することなく散っていった
魔女が倒されたことにより結界が消え、元の病院に戻っていく
男は太陽の光が当たらぬように日傘を差しなおし、離れた場所にいる少女3人を横目で見てから大きくため息をついた
──────────────
アカンこれ完全にやらかした
クラスメイトにめっっちゃ見られてんだけど。俺はただ危なかった所を助けただけなのに……何でこんな警戒されてるんですか
…………発言に問題がありすぎましたねぇ…
調子に乗りすぎたと反省していると、尖った針の付いた小さな球体が地面に落ちているのが見えた
気になって近づくと驚いた。なんと針の部分を下にしているのに自立しているではないか
……いやどんな技術だよこれ。それとも奇跡的にバランスが取れてるだけか?
戦利品気分で拾い上げると、何故か鹿目に声をかけられる
「あっ、あのっ!!」
「………ん?」
「ヒッ…!」
声がした方を振り返ると、ビクッとして怖がる反応をされた。今ので俺はすごく傷ついてしまいました。お前のせいですあ〜あ
その後黙っちゃったけどなにが言いたかったんだ。いやでも、俺が丸いやつ拾って声かけられたから、もしかしてこれが必要なのか
用途は知らないが、わざわざ戦っていたのだからこれが欲しいことは確かだろう
だとすると、俺は獲物を横取りしたということになる。彼女達には悪いことをしたな
持ち帰ろうかと思ったけど返した方がいいか
「もしや、これはお前たちの物か……ならば返すとしよう。すまなかったな」
「えっ…?わぁっ!?」
鹿目は驚いて、少し危なげだったがキャッチすることが出来た
ごめん。棘ついてんのに投げちゃ危ねえか。ま、これで用は済んだしそろそろ帰るか
「では、私はこれで失礼する」
さりげなく流したけどヤバいことに巻き込まれた気がする。でも今はさっさとこの場を離れるべきだろう
そういや、顔がっつり見られてるけど大丈夫か…?でも学校とかは包帯ぐるぐる巻きだしバレねえか
今日は随分と厄日だったけれど、ストレス発散にもなったことを考えたらちょいプラスかもしれない
そんなことを思いながら、もう既に傾いている太陽に当たらぬよう帰路につくのだった
To Be Continued