8/4 19:30 晴れ 空白地域【イエローフォレスト 南方森林地帯】
草をかき分け前へと進む。このあたりは味方勢力圏だが、油断はできない。端のほうだから巡回もないし、自信過剰なバカの突撃なんていくらでもある。
日が落ちてこの地域では短い夜がやってくる。
夜は危険だ。視界不良ももちろんあるが、ベテランが増える。敵も味方も。
そうやって拠点への帰り道を歩き続けていると遠くに何かが見える。薬莢、破片、戦闘の跡だ。双眼鏡で周囲を観察すると、詳細が見えてくる。
「マジかよ…」
思わず声が漏れる。なんせ死体のワッペンは国連軍の紋章なのだから。
国連軍自体は珍しくもないが、ここは味方拠点の近くで、国連とは敵対しているのが問題だ。
そろそろ拠点も移動すべきか?そう思いながらもとりあえず周囲の安全は確認できたから死体を漁る。
死体は一応味方の下っ端傭兵が3人と国連軍が1人。傭兵の方は碌なものが無い。国連のほうは…結構いいな。EOTのホロサイトとマグニファイア、これだけで30万はあるだろう。
あとは...!腕時計だ、状態もいい。こういうのは高く売れるし軽いからうれしい。
さて、一通り漁ったし、そろそろ帰るか。
~2時間後~
日は完全に落ちなにも見えない暗闇が訪れる。ライトの光を頼りに歩いていると遠くに暖かな色の光が見えてくる。
よっし、やっと見えてきた。この大陸で唯一の安全地帯であり、傭兵たちのたまり場。
【バンカー】
周辺は巡回もいるからやっと気が抜ける。すると疲れがドッと出てくる。一日中外にいたのもあってかなり疲れているらしい。はやる帰って寝よう。
そのまま少し歩くと大きな検問所にたどり着く。
「止まれ。ライセンスは?」
「これだ。」
「よし、お疲れ様。入っていいぞ」
検問所を通過すると中が見えてくる。
ランタンや電球の暖色系の明かり、あちこちに立ち並ぶ混沌とした看板と建物。なにより途絶えることのない喧噪。人からミサイルまで何でも買えると言われる商業エリアのお出ましだ。
その入口から3分ほど歩いたところにある目立たない扉を躊躇なく開けるとここの女主人が顔を見せる。
「【トニック】じゃないか。今日も仕事帰りかい?」
「ああ。女将さん、いつもの酒はあるか?」
「もちろんさ。つまみも出しとくよ。」
「気が利くね」
「にしても今日はえらく疲れてるね。そういう時はたくさん食べな、もちろん代金はもらうがね。」
「じゃあそうしようかな。今日は結構稼げたんだ。」
「へえ、何かあったのかい?」
「バンカーの近くで戦闘跡を見つけてね、国連軍の死体があったからいろいろ分捕ってきたんだ。
まあ、少しきな臭くもあるけどね。」
「よかったじゃないか。しかし国連軍ねえ、面倒なことにならなきゃいいが。まあ今日は飲んで食いな。」
「ありがとう。そういや頼んでた物届いてる?」
「ああ、届いてるよ。えーっと、*1マンデリンの豆300gだ。」
「300?200gで頼んだはずだけど?」
「お得意様だからね、100gはおまけ」
「マジかよ、ありがてぇ。さて、ご馳走様。じゃあ俺はそろそろ帰るよ。」
「そうかい。じゃ、今後ともご贔屓に」
よっし。コーヒーも買えたし金もある程度稼げた。今日はもうやることもないし帰って寝るか。
商業エリアから少し外れたところにある住宅エリア。その中のマンションの1室が俺の部屋だ。
風呂に入って歯磨きして、疲れていても銃のメンテと情勢の確認は最低限こなす。
今日は特に何も起こらなかったみたいだな。銃は...少し磨耗してるな。オイルだけ塗って残りは明日やろう。
にしても国連軍か。いくつもの勢力が群雄割拠する世界最大の紛争地帯たるアメリカ大陸において、その一大勢力である国連軍
色々とキナ臭いが、考えて何とかなるわけでもない。
やることもやったし、今日はもう寝よう。
解説【勢力圏】
現在のアメリカ大陸3つの巨大勢力がおり、それぞれが東西北を占領している。
また、中央には中立の傭兵等が集まるバンカーがあり、大陸で唯一の安全地帯である。
バンカーの周辺は他の勢力と国境(勢力境?)を接しないために自然に誰も占領せず空白地帯となっている。
翌日 7:15 晴れ 傭兵支配地域【バンカー】
「ふぁぁぁぁ。眠い」
お世辞にも寝心地がいいとは言えない粗末なベットから降りて、最低限のことをやる。
銃のメンテは食べた後にして、仕事がないか端末で確認しながら安い食堂に行く。
ここは、安いしそれなりに味もいいから利用者も多い。
「よう、トニック。」
「! 【リーダー】。何か用か?」
「仕事を探してそうだったからな。もし良ければお勧めの仕事があるんだが、話だけでも聞いてみないか?」
「もちろんだ。食った後でいいか」
「ああ、派遣本部で待ってる。」
仕事か、リーダーの仕事は報酬はいいんだがきついのが多いからな。今回は楽だといいが...
まあ感が得てもしょうがない。とりあえずは目の前のものを食おう。
は~食べた食べた。今度からはあの量にしよう。
さて、じゃあリーダーの所に行くか。
バンカー【傭兵派遣本部】
商業エリアから少し歩くと着くここは、さっきとは打って変わって少し緊張感のある整然とした雰囲気を感じる。
忙しそうに書類を整理する奴や作戦直前なのだろう、ブリーフィングをやってるやつ。
そんな連中を横目に、受付へ向かう。
「どうされました?」
「リーダーに仕事を頼まれててね」
「ああ、それなら聞いています。どうぞ」
「ありがとう」
受付の奥へ行くとさらに雰囲気が変わる。さっきに比べ血の匂いは薄まり、代わりに機密がかかわる緻密な匂い。
そんな中を通って、難しい顔でモニターとにらめっこしている男に声をかける。
「リーダー、来たぞ」
「!いいタイミングだ。あそこで話そう。」
そういって応接室と書かれた扉にはいる。
「さて、こっちも忙しいからな。仕事の話といこう。最近新人がたくさんこの近くで殺されててな。」
「そんなのいつもとは言わんがまあまああるだろ。」
「最後まで聞け。...それで調べた所うちの下っ端の中に国連と関わって金を稼ぐ裏切り者がいるらしくてな、そいつらの拠点を襲撃してほしい。」
「なるほど。その組織の情報は?」
「そこら辺はまとめた資料のコピーがある、これだ。」
「了解 一回考えていいか?」
「もちろんだ。」
敵の情報は... 個々はちょっと装備がいいだけの雑魚だな。人数が10人。距離もはエローフォレストの南方だからここからちょっと北にいけばつくし、何より報酬も結構多い。
ただ10人か...さすがに1人でやるのはきついな。味方呼べないか聞いてみて、ダメだったらもったいないがあきらめよう。
「リーダー。これ1人じゃないとだめか?」
「あー10人はさすがにきついか?」
「そりゃね。1人だし」
「まあ仲間呼ぶのはいいがさすがに誰でもってわけには行かないな。」
「じゃ【伯爵】呼んでいい? 少し前に仕事探してたんだよね。」
「伯爵...ああ、あいつか。まああいつならいいぞ。」
「おっけ、じゃあ受けるわ。」
「了解、頑張れよ。」
じゃあ伯爵にメッセージだけ送って準備をするか。
イエローフォレストは基本森だらけだし高低差もないから普通にアサルトカービンでいいな。
持っていくのは*2MK18mod1。サイトはイーオーテックの553ホロサイトと3倍マグ二ファイア、壊れた時用のアイアンサイト。ハンドガードには300Vライトが、マズルには短めのサプレッサー。
m67フラググレ2つとm18スモーク4つ。M855弾入りマグ7本。
機動性を重視してプラ製のハイカットヘルメットとLVⅢの小さめのアーマーリグ。
あとは食料と*5IFAKと無線とest
そんなことをやっているとメッセージが返ってくる。
[タバコ1箱くれるなら行くしてくれるなら行く」
...まあいいか
[了解、入口で1030集合。あとスコップと5ミリの軽機関銃を装備して欲しい。]
[わかった]
10:25【入口】
自販機で買った缶コーヒーを飲みながらのんびり伯爵を待つ。
この辺りも内戦が始まった時に比べ傭兵がだいぶ増えた。その分市場も大きくなり仕事も増える。
そんな事を考えていると
「ハロー!」
「!びっくりした。久しぶりだな【伯爵】」
「そうだね~で、タバコは?」
「はいはい、あるよ。」
「やったー大好き❤」
こいつ変らんなぁ。
この童顔な男が伯爵だ。こう見えて何年もこの危険地帯で生き残ってきたベテランで信頼できる。
この顔と態度も相まってその手の連中からも人気があるとかないとか、まあ腕は確かだから問題ない。
「でかい男がやってもキモイだけだぞ」
「ひどいなーこれでも一部の層からは人気があるんだよ?」
「`一部の層‘からはな。キモイ事実は変わらん」
「はいはい。じゃあ挨拶も済んだしブリーフィングする?」
「そうだな。」
さて、やるか。
「それじゃあブリーフィングを始める、軽くだがな。作戦目標は裏切り者の殲滅。練度こそ低いけどそれなりの装備してるし、数で押されると10人いるから辛いな。場所はイエローフォレストの真ん中あたり、古いログハウスを拠点としているらしい。周りは普通に森だな。
あとここら辺は民兵とかもいる場合があるから注意だな。
とりあえず南方住宅地の200m南の高台をpointAとしてそこまで移動、一時的なキャンプとする。そこから1kmぐらいのところに目標地点があるからそこに向かって移動。その後は偵察して簡易的な防御陣地を作成、襲撃してある程度削ったら誘引する。」
「了解。だから*6コレを持ってくるように言ったんだね。」
「そう、流石に火力が足りないからな。何か質問は?」
「無い」
「了解、では最終確認が終わり次第出発する」
8/4 11:20 晴れ 空白地帯 【イエローフォレスト 南方住宅地より300m】
pointAに向かって歩き続ける、GPSによればあと100m。Aから見える南方住宅地は様々な派閥の移動経路となりやすく注意すべきポイントの一つだ。
そんな事を考えているとpointAに着く。
「到着だな。とりあえず偵察で」
「了解」
…何も見えんな。
「なんか見える?」
「いや、今の所見えない。」
「ガム持ってきたけど食べる?」
「そういうところだけ用意がいいな。じゃもらおうかな。」
「おっけい~ちょっとまってね」
「!40度方向敵歩兵3名。距離中、一番手前の民家の敷地内にいる。」
「了解...見えた。そこら辺のゲリラかなんかだね。どうする?」
「目的地も同じ方向だし距離も近い、殺そう。土嚢もってきたからちょっと待って。」
「了解。このあたりバイポット立てづらいな……立てた。敵の正確な距離わかる?」
「315m」
「おっけ、準備完了」
「了解。3.2.1.openfire!」
2つの銃口から一直線に放たれた5.56×45mm弾は3名のうち1人の頭ともう1人の足を貫通した。
「制圧射継続、遅めでいい」
「了解」
5発ずつのバースト射撃で打ち出された弾丸は壁に敵をとどめ一人の脳髄を飛ばす。
「もう1人やった。」
「了解。6人ぐらいいるな」
「このまま制圧続けよう」
カン!
「ぐぁ!」
「伯爵!?」
くそ、ライフルじゃ弾数が足らねぇ。
「話せるか!」
「ヘル、メットが、弾いた。血は出てない、脳震盪。」
「了解!。回復したら盲撃ち!」
「わが、った」
「リロード!」
マガジンを雑に入れボルトを引く。そんなことをやっている間にだいぶ敵が前進してきている。
やばいな...このままだと数で押し切られる。
そんなことを考えていると機関銃の制圧が再開する。
「ある程度回復した」
「了解。 近くの敵撃てる?」
「俯角が足らない」
「了解…降りて迎撃に行く」
最後に見た感じでは60度方向から攻めてきてる。
崖を駆け下りて遮蔽から遮蔽にを移るように移動してゆくと、一瞬草の陰に違和感が走る。
よく見ると敵がこちらを探している、周囲をよく見るとほかにも2人いる。
セレクターをセミに切り替え、地面に依託するようにしてよく狙い…撃つ。
初弾が一人の胸にあたり、倒れる。そのまま制圧するように残り2人の周辺を撃ちまくると曳光弾が出る。
弾切れが近いため一度期の陰に隠れてリロード、その間に敵もこちらを挟みこむ様に動く。一人は被弾したのか足が遅い。
フラググレネードを持ち遅いほうの方向に思いっきり投げ、足止めする。その間にセレクターをフルにして、もう一人の方向に速射で打つ。
10発ほど打ったところで倒れて動かなくなる。デットチェックで1発。
もう一人のほうを見ると運悪く破片が刺さったのか倒れている。こっちもデットチェック。
「敵殲滅完了。 調子はどうだ?」
「ほぼ治ったよ。 カバーありがと」
「そっちから敵見えるか?」
「死体しか見えないね。あとは室内クリアリングして終わりかな。」
「了解 そっち戻る」
「よし、戻った」
「了解 じゃあ行こっか」
「そっち先頭で*7カラムで」
「了解」
森を進んでいくと市街地が近づく。
「ぱっと見はいないね」
「そうだね。南から順に行こう」
「了解」
扉の横に近づき、*8フェイタルファンネルに入らないように扉を開け*9パイカット
「ライトサイドクリア。 レフトサイド…クリア」
銃を少し上げ、下げると同時にクロスオーバーで突入
「クリア!」
そのまま残りの扉もクリアしていき建物全体を制圧する。
次の建物。
「足音が聞こえる」
「了解」
扉を少しだけ開け、グレネードを入れる。爆発音と悲鳴が鳴ると同時に突入。
その後も住宅をクリアして行き制圧完了。敵はさっきのでほぼ死んでいたようだ。
「よし。これで終わりだね。」
「そうだな。とりあえずここからある程度離れて休息とろう。」
「了解」
南方住宅地南500m地点
マガジンに弾を込めていると、伯爵が見張りから戻ってくる
「あ~つっかれた。まだ頭ジンジンする。」
「タバコいるか?」
「いるいる! またラッキーストライク? 好きだねぇ」
「別にいいだろうよ。 さて、そろそろ行くか?」
「そうだね~」
「じゃあ5分後に出発。準備しとけ」
「了解。」
その後も歩き続けると遠くの稜線付近に建物の輪郭が見えてくる。
「ノースイーストの稜線付近に建物」
「方位は?」
「あー62度」
「了解…見えた。 どうする?」
「ドローン飛ばして偵察かな。そっちは全周警戒で。」
「おっけい」
ドローンのカメラの倍率は20倍まであるから、とりあえず600mまで上昇するか。
…見えてきた。倍率拡大。
「今から情報言うからマップにメモして。」
「了解」
「あー、低めのヘスコバリアと*10M2銃座が一つ こっち方向むいてる」
「低めのヘスコバリアとM2銃座南」
「その周辺に巡回が二人いて、装備はM4とリグ。ベストは着てない。ヘルメットもなし」
「周辺巡回二人。M4とリグのみ」
「陣地内にM2付き*11テックと小さめのバンカー」
「M2月付きックとバンカー小。 2つの防護能力は?
「テックは普通の民間車両。 バンカーはロケットぐらいなら防げるかな、砲は多分無理」
「了解」
「2階建て家屋が三つ。周辺に柵がある」
「2階建て家屋三つ。周辺に柵」
「巡回以外で5敷地内に歩兵 *12RM3人 *13AR1人 *14GL1人 全員ベストつけてる。 確かLVⅢのやつ。」
「巡回以外で歩兵5名 RM3 AR1 GL1 LVⅢベスト」
「見える範囲ではこのぐらいかな。」
「りょうかーい。 聞いてはいたけど多いね~」
「そうだな。ほかにも2名いるらしいし、骨が折れそうだ」
「それで、どんな感じで行く?」
「M2とテックが厄介だし、日ももうちょっとで落ちる。一度拠点に帰って練り直しかな。一応案もあるし」
「りょうかーい。 契約期限っていつまでだっけ?」
「今日含めてあと4日」
「ならまだ余裕があるね」
「ああ」
18:25 傭兵支配地域 【バンカー】
「あーやっと帰ってきた。つっかれたー」
「ほんとな。これなら息は金払って送ってもらうべきだった。」
「明日はそうしよ」
「そうだな。」
「次の人ー」
「俺たちの番だぞ」
「ライセンスは?」
「はい」
「了解 トニックと…伯爵じゃないか!」
「おひさ~ また今度
「…」
「どうしたのトニック?鳩が豆鉄砲を食らったような顔しているけど」
「…口は出さんが刺されないようにしろよ。 あれで
「だいじょーぶ。4人目だから」
「もっとやばいじゃねーか。何かあっても助けんからな」
「はいはい」
さて、いろいろ準備もしなきゃだし一度家に帰るか。
「じゃあ俺は一度帰る。あした今日と同じ場所で集合で。物資は後でメールで送る」
「おっけー」
「あ、そうだ。伯爵って*15DMできるっけ?」
「? できるけど」
「了解。 じゃあまた明日」
「はーい」
さて、明日も早いしガンオイルだけ買って寝よう。