ーサラ・ヒューイットー
学校長が言ってたとおり麻帆良学園編入の書類は1週間で準備できたみたい。
私はこの1週間で麻帆良に行く準備をしながら「サラ」について調べた。
調べたと言ったけど彼女が持ってる知識は私も共有できるっぽい。
まぁ、彼女が忘れたとか思い出せないことなんかは私にもわかるはずがないけどね。
とりあえず彼女の生年月日や家族構成なんかは、表現はおかしいかもしれないけど知っていた。
成績表を見ると彼女はどうも私に似ていたらしい。
メルディアナに通って魔法を学んだのはすごいと思うけど、成績自体は平均的で元の私を見てるみたいだわ…。
でも元の私と違って魔法が使えたのはやっぱりすごかった。
使えるのは初歩の治癒魔法や、小物を動かす魔法に
それと
ネギ君みたいに派手で強力な魔法は覚えてなかったけど、元々覚えてないどころか魔法の存在がなかったんだから、それに比べたら天と地だよね。
魔法の勉強はこれから頑張ろう、うん。
麻帆良行きが楽しみだったから1週間でも長く感じるかと思ったんだけど…。
準備が忙しかったからか、あっという間に出発当日を迎えた。
まずはメルディアナからロンドンのヒースロー空港まで移動したけど、この時点で4時間以上もかかった。
更にヒースローから成田空港までで12時間。
飛行機なんて元の私も乗ったことがなかったから今回が初めてだったけど、長い時間座ったまんまの姿勢があんなにキツいとは思わなかったわ。
トドメに成田から麻帆良学園中央駅まで2時間弱と移動だけで18時間もかかった。
おかげで、麻帆良に着く頃には心身ともすっかりくたびれていた。
でも学園には駅に着く予定時間も伝えてあったし、迎えの人も来るらしいからとりあえず改札を抜けて駅前に出てみる。
原作では生徒が一斉に改札を抜けるシーンがあったけど、今は夏休みで時間帯も午後だからか人が疎らだった。
元々日本人の私はこの茹だるような暑さに懐かしささえ感じてしまった。
そう、これが日本の夏よ!
はい、もう結構です。充分堪能しました。
っていうか蒸し暑いよ!
イギリスではそんなに気にならなかったけど日本の夏は湿気が多いから余計暑く感じるみたい。
早くクーラーが効いた部屋でだらけたい…。
そう思いながらベンチに腰掛けて、通りをなんとなく眺めていると横から声をかけられた。
『こんにちは。メルディアナから来たサラ・ヒューイット君だね?』
声がした方を見ると、そこにはメガネをかけた無精髭の渋い男性がいたんだけど…。
私は驚いて声が出なかった。
だってあのタカミチ・T・高畑先生がそこにいたんだから。
なんでここにいr…、って私のお迎えで来たのね。
ネギ君にはアスナちゃんとこのちゃんだったから私のお迎えも生徒の誰かだと思ってたんだけど…。
まぁ、生徒は夏休みだからできないのかな。
よく考えたら転入生のお迎えを生徒がするのも変な話よね。
なんて考えてたから返事をせずにいると、高畑先生がさらに話しかけてきた。
『あれ?サラ・ヒューイット君だよね?
僕の名前はタカミチ・T・高畑。麻帆良女子中学校で教師をしていて、君を迎えに来たんだけど。
…麻帆良から迎えがくるという話は聞いていたよね?』
『はい、私がサラ・ヒューイットです。わざわざ迎えに来ていただき、ありがとうございます。
よろしくお願いします、高畑先生』
『うん、よろしく、ヒューイット君。
早速だけど学園長に挨拶に行ってもらうけど大丈夫かな?』
『はい、大丈夫です。
それと私のことはサラと呼んでください』
『わかったよ、サラ君。それじゃあ、行こうか』
『はい!』
実際近くで見ると煙草が似合うニヒルな男って感じ。
私はネギ君の方が好みだけどアスナちゃんが惚れるのもわかる気がするわね。
そんなことを考えながら私は高畑先生に連れられて、麻帆良女子中学校の学園長室へやってきた。
「失礼します、学園長。
サラ・ヒューイット君を連れてまいりました」
「おお、高畑先生。待っておったぞ。
さぁ、入ってきなさい」
高畑先生の後に続き、私も学園長室に入った。
学園長室の中は広々としており、入って右の壁には2階へと登れる階段まであった。
そして正面には大きな机があり、その奥には頭と福耳が特徴的な、あの学園長が穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ている。
『麻帆良学園にようこそ、サラ・ヒューイット君。長旅で疲れてはいないかな?
ワシはこの学園の学園長をやっとる、近衛近右衛門じゃ』
『はじめまして、学園長先生。
サラ・ヒューイットです。
この度は麻帆良学園で学ぶ機会を与えてくださりありがとうございます。
一生懸命勉強に励むのでよろしくお願いします』
『うむ、勉学に励むのも大事じゃがそれだけでなく学園生活を充実したものとし、修業の役に立ててもらいたいのう』
『はい、頑張ります!』
『サラ君は2学期から麻帆良女子中学校1-Aクラスに編入じゃ。
個性的なクラスじゃが、すぐにクラスの一員になれるじゃろう。
高畑先生は1-Aの担任もしておるでの、わからんことがあれば彼にも聞くがよいぞ』
『僕もバックアップするから心配はいらないよ』
『ありがとうございます!』
「そろそろもう一人呼んでいた生徒が来るはずなのじゃが…」
学園長は呟いた。その時、後ろの扉がノックともに開かれて
「失礼しまーす」
ショートカットの女子がそこにいた。
ー春日美空ー
夏休み中にも関わらず学園長に呼ばれたっスけど、何なんスかねぇ?
最近はシスターシャークティーの目が厳しいんで大人しくしてたつもりっスけど…。
教会のお勤めだって、一応真面目にやってたけどなぁ。
学園長室を前に、私は何がまずかったのか、ここ最近の行動をあれこれ思い返してみた。
けど、学園長に呼ばれたんだから相当なことをやらかしてるはずなのに、てんで思い浮かばない…。
いつまでも学園長室の前をウロウロしてるわけにはいかないんで、意を決して中に入ることに。
「失礼しまーす」
学園長室の中には、学園長が当然いて、何故か高畑先生もいた。
高畑先生はウチのクラスの担任っスけど、出張でちょくちょくいないんスよねぇ。
本国の雑誌にも載ってた位有名人だから、魔法関係の仕事の出張が多いんでしょうなぁ。
ということは今回の呼び出しはそっち関係?
面倒くさいのだけは勘弁してほしいスねぇ。
よく見ると学校長の机の前には見慣れない女子の姿が。
目と髪がブラウンで肩にかかる位のストレートヘア、肌は白い…。
明らかに日本人ではない容姿。
あ、会釈してきた。
「美空君、よお来てくれたの。夏休みはどうじゃ?」
「いやぁ、宿題と部活とお勤めで忙しいっス。
お勤めだけでもなんとかならないっスかねぇ?」
「フォ、フォ、フォ。
それについてはシスターシャークティーと要相談じゃの」
「やっぱし…」
「それはともかく、こちらはサラ・ヒューイット君じゃ。
イギリスはウェールズから麻帆良学園に来た留学生での。
今度の2学期から美空君のクラスに編入することになっておる」
「はぁ。それと私の呼び出しとどんな関係があるんでしょうか?」
「うむ、実は彼女の住むとこが決まっとらんのじゃよ。そこで君と四葉五月君の部屋に彼女を住まわせてほしいんじゃ」
ほしいんじゃって、何いきなり言ってんスか?
でも、一緒に住むだけなら何の問題も起こらないっしょ。
まぁ、大丈夫かな。
「了解っス」
「おお、快諾してくれてなによりじゃ。
『サラ君、こちらは春日美空君じゃ。君が編入する1-Aの生徒で、これから生活する寮のルームメイトじゃ』」
『春日美空さん、サラ・ヒューイットです。どうぞよろしくお願いします。
私のことはサラと呼んでください』
ちょっと待って!
早速問題発生じゃん‼︎
この子日本語喋れないの⁈
「『よ、よろしくお願いします。
私の名前は春日美空です。』
が、学園長?彼女日本語ダメなんですか?」
「それは確認しておらんかったわ。
『サラ君は日本語を話せるかな?』」
『すみません、春日さんがおっしゃってることはわかるのですが…。答えようとするとどうも英語が口から出てしまうんです。
でも、2学期までには日本語をマスターします』
「『うむ、2人の会話は美空君の英語の成績向上にもつながるじゃろ。』
美空君、サラ君は君の言っとることは理解してるそうじゃ。しかし、日本語は喋れんらしい。
この夏休みの間、日本語を教えてやってくれんかのぅ?
もちろん彼女自身も日本語を覚える努力をすると言っておる。美空君には日常会話レベルで教えてもらいたいのじゃが?」
せっかくルームメイトになっても会話できなかったら意味ないよね。
まあ、私がやるしかないか…。
「わかりました。日常会話に苦労しない程度の日本語は教えますよ」
『ありがとうございます、春日さん!』
「美空君、彼女は感謝しておるぞ」
「それくらいは私にもわかりますよ!
え〜と、『私のことは美空と呼んでください』」
『ありがとう、美空さん』
『どういたしまして』
ーサラ・ヒューイットー
おかしいなぁ?
美空ちゃんが言ってることはわかるのに、返事をしようとしたらどうも英語でやってしまってるっぽい…。
私は日本人だったから日本語がわかるけど、「サラ」は日本語を学んでないから喋れなかったのかな?
すぐに魔法の勉強ができるかと思ったけど、これはどうやらメルディアナ学校長に言ったとおり、まずは日本語の勉強からしないとダメみたい。
「話はこれでおしまいじゃ。
美空君はサラ君を寮まで連れて行ってくれんかのぅ?
高畑先生は出張の報告を頼む」
「わかりました。
それじゃあ美空君、サラ君。また新学期に会おうか」
「はい、それでは失礼しまーす」
『はい、高畑先生。新学期からよろしくお願いします。学園長先生、失礼します』
こうして私は美空ちゃんと学園長室から退室し、一路学生寮へと向かった。
寮へ向かう途中から、早速美空ちゃんの日本語レクチャーは行われた。
最初は簡単な挨拶や物の名前から。
でも、「サラ」は日本語を知らなくても私はわかるからね。
美空ちゃんが驚くくらいどんどん日本語を覚えて?思い出して?いった。
習い始めた当初は片言だった日本語も、夏休みが終わる頃には流暢な、元の私が話していた日本語のレベルにまで上達した。
「しっかし、サラちゃん日本語上手くなったよねぇ。
たった1ヶ月でここまで上手くなるなんてねぇ」
「美空さんや五月さんが教えてくれたからですよ。
五月さんには料理まで教わっちゃいましたしね」
ーサラさんは飲み込みが早いですから。
「サラちゃん、そんなに料理上手なの⁈
イギリス人なのに?」
「こんなに美味しいものを知ったら、自分で作れるようになりたいですからね。
それと美空さん、イギリス人だから皆舌がおかしいというわけではないですよ」
「そ、そんなこと言ったつもりじゃないっスよ」
「フフ、わかってますよ」
五月ちゃんも同室なんだけど、料理がとても上手いんだよね。
中1女子とは思えないよ。
大人顔負けの腕を持ってるんじゃないかな。
元の私は調理実習位しか料理したことなかったから、美味しい料理作れるのは楽しくもあるんだよねぇ。
美空ちゃんは魔法関係者だから同室になったんだろうけど、五月ちゃんも同室でホントよかったぁ。
それと余談だけど、原作通り五月ちゃんは可愛らしい喋り方をしていた。
こうして夏休みは結局、料理研究と日本語の勉強で終わってしまった。
それ以外の科目、例えば数学や科学なんかはメルディアナのほうが進んでいた。
どういうわけか魔法との兼ね合いがあるみたいで中学レベルでは話にならないらしい。
私にはよくわからないけど。
社会が日本語に次ぐ問題だった。
私は知ってるけど、イギリス人の「サラ」が日本の歴史を学んでる訳がないからね。
これは追い追い勉強したらいいでしょう。
英語?私は今イギリス人ですよ。
なんてことないです!
明日からはいよいよ2学期の始業式。
寮にいたから1-Aの生徒ともほとんど顔合わせは済んでいる。
原作のネギ君の登校?出勤?初日みたいに質問攻めにあうこともないでしょ。
でもエヴァちゃんや茶々丸さんは寮に住んでないし、
明日のHRでもう一度自己紹介しないと。
とりあえず学校に行く準備をして、明日に備えてさっさと寝ますか。
後書き
主人公は最初英語を喋ってるんですが、これってEnglishに直すべきなんですかねぇ?
難しいところです。
追記 2015/1/28
やしゃさんから一言いただき英語を話してるところは
『』で区切らせていただきました。
やしゃさんアドバイスありがとうございます。
それから春日美空ちゃんと四葉五月ちゃんが同室というのも独自設定です。
原作では誰とルームメイトだったかが描かれてなかったみたいです。