憑依生徒サラま!   作:怠惰なぼっち

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もう1話早めの更新です。


第47話

ーサラ・ヒューイットー

 

ブロントポリスからアリアドネーまで、5,000kmの距離を影の転移魔法(ゲート)で移動しました。

長距離移動に慣れるために、今回は1,500km×2と2,000kmの移動に挑戦しました。

間に30分ずつの休憩を挟んだので、1時間かけて移動したんですが…。

使えば使うほど、その便利さを感じてしまいます。

体力を使うか魔力を使うかという違いだけで、移動できる距離は段違いですからね。

もっと移動距離を延ばせるよう、こちらも要訓練です。

 

さて、アリアドネーにやってきたんですが、なんていうか街並みが麻帆良に似ているんですよね。

麻帆良自体がヨーロッパの街並みを再現したらしいので、アリアドネーに麻帆良が似ているというべきなんでしょうか?

そして学術都市と言われるだけあって、様々な学校や図書館、魔法書専門の書店、魔法具を売る店、魔法発動体だけしか扱ってない店など、魔法関連の専門店ばかりが軒を連ねています。

気になるものはいろいろあるんですが、まずは…宿を取らないといけません。

アリアドネーは、学ぶ意思を持つ者は死神ですら受け入れる、とまで言われてますが、さすがにここに所属しようとは思いません。

いずれは麻帆良に戻るんですから、どこかの学校に編入してもらうとかはあり得ませんね。

夕映ちゃんは…、記憶をなくしてるので仕方ないでしょう。

 

いろいろな図書館を調べるために、なるべくこの街の中央にある宿を借りようと移動していると街頭テレビが目に入りました。

その画面にはゲートポート魔力暴走事件の続報と「白き翼」の手配書が映っています。

名前は公開されてないんですが、写真と懸賞金がバッチリ載ってます。

あー、私もフェイトを殴ったせいでしょう。

他のメンバーより高い20万ドラクマと、私の写真の下に書かれています。

ネギ君が30万ドラクマで私が20万ドラクマというのは、ネギ君が顔を殴って私が腹部だったから、その差ということでしょうか?

フェイトには私よりもネギ君に熱中してほしかったので、値段の差を考えればまだ大丈夫と見るべきか、私も意識されてるのを考えるればやっぱりゲートで殴ったのは失敗だったと見るべきか…。

今考えても仕方ありませんね。

とりあえず、人化の変装術をネギ君がラカンさんのところに弟子入りする頃までに完成させて、早く亜子ちゃん、大河内さん、夏美ちゃんを解放させないといけませんから。

そちらに集中して頑張りましょう。

 

 

なんて楽観視してた時が私にもありました。

変装術の文献がなかなか見つからなかったんですよね。

そりゃあ、下手したら他人に成り代わることも可能という、犯罪臭漂う術の文献がたくさんあるわけもなく…。

私もエヴァちゃんに変装術は教わりましたが、あれは年齢詐称と獣族化する変装術で人化の変装術は教わってません。

もともと、人であるのに人化も何もないですよね。

だから、あちらこちらの図書館を探し回ってるんですが、全く見つかりません。

司書さんにも尋ね難いですから、1日中図書館に篭って書棚を片っ端から見て回ったり、関連がありそうな書物をパラパラ捲ったりを繰り返してました。

休館日は杖や魔法発動体を探したり、魔法球を見て回ったりしてリフレッシュもしてたんですが、運動とストレス発散、転移魔法の訓練も兼ねて遠出して賞金稼ぎをしていたのも、検索が進まなかった遠因かもしれませんね。

 

でも、そのおかげで書物が見つからない代わりに、杖と腕環型の魔法発動体を購入できました。

杖は大型木製で空の長距離移動にしか使う予定はないので、一番安い5,000ドラクマの物を購入しました。

その代わり腕環はなるべくスペックが高いものを購入します。

当然値段も高くなり、15,000ドラクマもしました。

普通は杖と指環、腕環を比べると杖の方がスペックは高いものなんですが、私の持ち物は逆転してしまいました。

まぁ、杖はほとんど使わないスタイルなので仕方ありませんよね。

杖は影の袋に収納し、腕環は腕でなく足首に着けました。

これもいざという時の保険なんですが、そういう物を使わないとダメな状況にならないことが、大事ですよね。

 

賞金稼ぎの仕事はシレニウムとゼフィーリアに転移魔法で移動し、いつも通り詰所と酒場で情報収集した後、盗賊やら賞金首を捕まえるという、もはや作業ですね。

情報収集する際はもちろん「闇き夜の型(アクトゥス・ノクティス・エレベアエ)」で鎧兜を被ったんですが、イートン事件でそれなりに名前が売れたのか、詰所でも酒場でも握手を求められたり、事件のあらましを尋ねられたりするようになりました。

それが悪いというつもりはないんですが、事件の話なんて口外するのも悪い気がして話せませんし、私は握手会をしに行ったわけではないので、ちょっと面倒に感じてるんですよね。

じゃあ素の状態で行けばいいかといえば、今度は「お嬢ちゃんが〜」なんて言われて、相手にされないことはわかりきっていることですし。

ここら辺は痛し痒しですね。

もちろん仕事は完遂しましたよ。

尤も、賞金額は低い人ばかりで、高くても20,000ドラクマで、だいたい5,000ドラクマばかりでした。

それでも数稼いだので80,000ドラクマくらいは稼げたでしょうか。

 

 

そんな感じで生活しながら、アリアドネーでも古くからある図書館でやっと変装術に関する本を見つけ、一月以上かかってどうにか人化の術を会得することができました。

エヴァちゃんから変装術を習ってなければ、もっと時間がかかっていたかもしれませんね。

この一月でネギ君、コタロー君も拳闘士としてデビューしたのをテレビで確認できました。

この2人以外は誰も確認できてません。

そして今日は夕映ちゃんが所属しているはずの、魔法騎士団候補生学校の100km箒リレーが行われます。

所属していると断言しないのは、この街で会っていないからです。

私は学校の図書館には行ってませんし、夕映ちゃんも確か記憶を取り戻すために勉強ばかりで外出してなかったはずなので、会う機会がなかったんですよね。

街中では夕映ちゃんがどこを飛んでいるのかわからないので、リレーのコース上にあった魔獣の森の近くで待ち伏せしています。

しばらくすると箒に乗る2人の人影が見えてきました。

あれは…、夕映ちゃんとコレットちゃんですね!

本当によかったです。

記憶をなくしているとはいえ、魔法世界で散けた後で初めて、無事を目の前で確認できた人ですから、嬉しさも一入です。

しかしこのままいけば、鷹竜(グリフィンドラゴン)と戦うことになるんですよね。

せっかく夕映ちゃんの無事が確認できたのに、傷付くのを黙って見逃すのが嫌だったので、アーティファクトを取り戻したら手助けしましょう。

そうと決めたら、早速行動です。

夕映ちゃん達が通り過ぎた後、私も杖を取り出し追いかけます。

どこで鷹竜の襲撃を受けるのかわからなかったので、杖に乗って追いかけたんですが、すぐに魔獣の森からこの世界の委員長ことエミリィちゃんと、ビーさんことベアトリクスさんの2人が出てきて、その後を追って鷹竜も雄叫びをあげながら森を飛び出してくるのが見えました。

鷹竜のカマイタチブレスが夕映ちゃんとエミリィちゃん、ビーさんに襲いかかりますが、夕映ちゃんがアーティファクトの使い方を思い出したように仮契約カードを使ったのも確認できました。

これなら大丈夫でしょう。

 

「委員長‼︎怪我はないですね⁈今からこいつを倒すでs「お久しぶりです、夕映さん」…すみません、どちら様でしょう?」

 

「こいつを追っ払ったらお話しましょう。

魔法の射手(サギタ・マギカ) 氷の101矢(セリエス・グラキアーリス)

 

浮遊術で宙に浮かびながら、氷の矢を頭上から当てることで、鷹竜が頭を上に向けるよう誘導します。

鷹竜が首をもたげてブレスを吐こうとしたので、虚空瞬動と瞬動で腹部の下に潜り込み魔力を込めたパンチを叩き込みました。

腹部の衝撃で頭が下がったところを、嘴部分にフックパンチを当てることで脳を揺さぶり気絶に追い込みました。

 

「終わりましたよ。脳を揺さぶったのでしばらくは起きないと思いますが…」

 

「あなたは私が何者か知っているですか?」

 

夕映ちゃんがおずおずと尋ねてきました。

 

「知ってますよ〜。まぁそこまで詳しく知ってるわけではありませんが、何があって記憶喪失になったかとかも知ってます」

 

そう言いながらコレットちゃんを見ると、慌てて目をそらされてしまいました。

まぁ、コレットさんの忘却魔法が原因ですからね。

 

「私が答えられる範囲でお教えしますよ?」

 

「ちょっとお待ちなさい!どこのどなたともわからないあなたに、大事なクラスメイトのユエさんと話をさせるわけがないでしょう‼︎」

 

エミリィちゃんが非難の声をあげますが、

 

「エミリィ・セブンシープさん。あなたが魔獣の森を抜けようなんて考えなければ、こういう事態にはならなかったのですよ?夕映さんはあなた方4人で倒すつもりだったみたいですが、やっと会えた人が怪我するのを知ってて何もしないのは偲びなかったので、今回手を貸したんです。感謝されこそすれ、非難されるのは心外ですね」

 

そう言うとエミリィちゃんは顔が真っ赤になってます。

原因は自分の軽率な行動だから、何も言えないのが腹立たしいのでしょう。

 

「まぁ、こうなってはレースどころではないでしょう。とりあえず、この鷹竜を森の中に戻してくるんで、そこで待っててください」

 

鷹竜の尻尾を掴んで、ハンマー投げの要領で森の中に吹っ飛ばしてやりました。

その光景に唖然としてますが、この方が手っ取り早いですからね。

 

「さて戻りましょうか。皆さん集まってください」

 

目の前でショッキングな光景を見たせいか、特に反発されることなく私の近くまで来てくれました。

 

「では影の転移魔法で皆さんの学校に戻りますので、暴れないでくださいね」

 

そう言って4人と一緒にズブズブと影の中に沈んでいきました。




グリフィンドラゴンを投げ飛ばす。
順調に人外の道を歩いてます。
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