ーサラ・ヒューイットー
「という感じでアスナさんを連れて帰てきたわけヨ」
細かい原理は専門的すぎて私にはわかりません。
「超さんと100年後のエヴァさんは、これからどうされるんですか?」
ネギ君の質問に対して、
「私は私の世界に帰るネ。この世界を見れて満足したヨ。せかくだし卒業式まではつきあうがネ」
「私は超の渡界機で次元を旅して、どっかに余ってるナギでも探すかな。まあ、貴様らが懐かしくなったら、たまにはこの世界を見にくるさ。しっかりやれよ、私は帰ろう」
「送るヨ」
元の時間軸に戻ろうとするエヴァちゃんに対して、何かを思い出したのかアスナちゃんが待ったをかけます。
「待ってエヴァちゃん!あっちのネ…アイツはなんであんなことになってたの?エヴァちゃんとおんなじ身体のはずでしょ?それなのにあんなことになってたなんて…未来で何か悪いことが⁈」
「安心しろ、あっちのアイツは満足して逝った。お前のことは悔いていたがな。こっちのソイツがどうなるかは貴様次第だ。それとも…これほどの奇跡を貰っておいて、まだ未来が不安か?」
100年後のエヴァちゃんの言葉に思わず「うっ…」と呻いてしまうアスナちゃん。
「そうだ、ぼーや。未来を一つ。貴様…100年後の世界では、皆からマギステル・マギと呼ばれているぞ。それも
「ホ、ホントですか⁈父さんと同じ…?マママギステル・マママ…」
自分と同じ様に人々に慕われるという未来を知ったナギさんとアリカさんが、あたふたしてるネギ君を嬉しそうに見つめています。
「だが、それもこの時間軸では危ういかも知れんなぁ。貴様のその有様では…」
とエヴァちゃんが言う通り、ネギ君はアスナちゃんの服の裾を掴んで離しません。
慌ててその手を離すネギ君でしたが、
「なぁ、超…。アスナを戻したのは失敗だったかも知れんなぁ」
「確かにネ。アスナさんを失たことで芽生えた自立心が、彼の成功の要因かもしれないヨ。ううむ…、この世界の行く末が不安ネ」
「あっちのぼーやはすごかったがなぁ」
呆れ顔で話す100年後のエヴァちゃんと超ちゃん。
それに対して決意を固くするネギ君とアスナちゃん。
「だっ、大丈夫です!しっかりやります!」
「私だって悪いことなんか起こさせないわよ!」
「その意気だ。どう呼ばれるかは、これからの貴様達次第。これより明日は白紙、貴様達がつくる未来だ。進めガキども、明日へと」
そう言って100年後のエヴァちゃんと超ちゃんは未来へと戻っていきました。
まぁ、送ると言ってたので、超ちゃんはまたこちらに来るんでしょうけど。
「エヴァにゃんを送たのでまた来たヨ。さて、サラさんの秘密を吐いてもらおうカ?」
100年後に帰ったと思ったら、すぐに超ちゃんだけ戻ってきました。
「そうですね。ちょっと外野が多い気もしますが、約束は約束ですから。私のことをお話ししましょう」
学園長や詠春さんは何を話すのかという疑問の表情、アルビレオさんは興味深そうな表情でこちらを見ています。
「例えば、サラ・ヒューイットが3-Aにいない世界があったとします。その場合、修学旅行やヘルマン伯爵の襲撃、麻帆良祭、夏休みといったこの世界でネギ君を中心に起こった騒動はどうなっていたと思いますか?」
「言てる意味がわからないヨ?」
「超ちゃんには言ったでしょう?私はこの世界においてイレギュラーであると。厳密に言えば、サラ・ヒューイットがイレギュラーではなく、その身体に入ってしまった魂の方がイレギュラーなんですけどね。私の魂はある世界から落ちてきました。その世界というのは、『サラ・ヒューイットがいない3-Aとネギ・スプリングフィールドを中心とした物語』が書物に描かれている世界なんですよ。先程の答えは簡単です。私がいなくても騒動の結末はほとんど変わりません」
「それが貴様の言っていた未来視もどきの正体か、サラ・ヒューイット?」
エヴァちゃんもさすがに信じられないといった表情で尋ねてきますが、
「そうです。エヴァさんには未来視もどきと言っていましたが、私はこの世界で何が起こるのかをだいたい知っていました。ただし、書物に描かれていることだけですけどね。そして私が関わったことで変わってしまったこともあります。例えば、修学旅行。本来であれば、ネギ君を庇ったエヴァさんがフェイトの『
「そんなこともあったな」
「それくらいは史実に影響を及ぼすことはありません。次はヘルマン伯爵ですね。私が手出ししなければ、伯爵は封印されずに自身の国に還っていたでしょう。ですが、那波さんという当時魔法を知らなかった一般人に手を出したので、ペナルティを課しました。これも史実に影響はありません。麻帆良祭もネギ君と超ちゃんが決着をつけた段階で終わりだったので、私が礼拝堂を守りきってしまったのはそんなに意味はありません。夏休みの魔法世界の冒険だけが私の知っている史実とは違うものになりました。まず、ナギさんはこの場にいません」
「俺⁈」
最後に名前を呼ばれたことでナギさんが驚きの声を上げます。
「はい。ナギさんは今も『
「わ、妾もか⁈」
「アリカさんはさらに酷いですね。ナギさんは『造物主』に乗っ取られていたとわかっていますが、アリカさんについては描写がなかったので、生きているのか死んでいるのかもわからない状態でした。とまあ、いろいろ話はしましたが、あくまで私が書物で知っていた話とこの世界が似ていると言うだけで、この世界が
「それじゃあ、その身体にいた本当のサラはどうなったのよ?」
アスナちゃんが質問してきました。
魂だけ別物と聞けばその疑問は当然でしょう。
「元々いたサラの魂は私の一部となったそうです。これは『
「はい。面識がないはずなのにいきなり話しかけられたのは…」
「私が落ちてきたのは、あの卒業式だったんですよ。だから私の反応は呼びかけられても鈍かったわけですし、それまでネギ君と会話もしたことなかったはずのサラ・ヒューイットがネギ君に話しかけたのも、ネギ君の予想通り私がネギ君のことを知っていたからです。そして修業先の話をしたのは、私の知る物語はネギ君の卒業式がプロローグとなっていたからですね」
私の話のスケールが大き過ぎたのか、誰も何も言いません。
「何か質問ありますか?」
「あなたはサラさんじゃないということですが、魂が宿っていた元々の身体はどうなったんでしょうか?」
ネギ君がおずおずと聞いてきます。
「私が元いた身体ですか?わかりませんねぇ。私の魂がどうして落ちてきたのかわかりませんから。この魂がひょっとしたら本体のコピーなのかもしれませんし、元いた身体に何かあったから落ちてきたのかもしれませんし。どのみち落ちてきた身としてはそれを知る方法がないんですよ。それに私はもうサラ・ヒューイットのつもりですよ。落ちたということは上がることはままならないでしょうし、私と彼女は似た者同士ですから」
「なるほど、私達よりも上位の世界から落ちてきたということかナ?」
「超ちゃんの言う通りです。サラもそう言ってましたね」
「それなら私に勝ち目はなかたわけネ。サラさんの知る史実通りに事を進めようとしたから、私に計画通り動けと言たのだナ。それで余計なことをしたら言外に計画を潰すと言たわけカ。それでこれからはどうするつもりヨ?そこまで秘密を話したということは、もう何かをしようとは考えてないのだろう?」
「そうですね、私も卒業式が終わったら麻帆良を出ようと思ってます。いろいろ世界を見て回りたいですから。その前に最後の仕上げがあるのでこれは超ちゃんの手助けが必要です」
「まだ何か暗躍するつもりネ?」
「別に悪いことじゃありませんよ。私が今まで動いてきたのはネギ君や3-Aのためでしたから。それの延長戦をするだけです。では、超ちゃん。ちょっと来てもらいましょうか?私の話はこれだけです。ではお疲れ様でした」
そう言って、話を無理矢理終わらせて、超ちゃんを引っ張って屋上を後にしました。
自分について話すなんて恥ずかしいし、ちゃんと話が出来たか不安ですね。