掲示板にいたヤチヨを偽物だと思って煽り倒したら本物にリア凸されるバカ 作:きゅうりにや
想像以上に閲覧と評価伸びて舞い上がってるだけとも言う。
死ぬほど煽り倒して顔真っ赤にして反撃するヤチヨ。後頭部を机の角にぶつけたオリ主は当たりどころが悪く死んでしまう。冷静になってとんでもないことを、人殺しになってしまったと嘆くヤチヨ。唯一頼れる友人は証拠も何もかも完璧に消してくれるが、ヤチヨに残った罪悪感と自身に対する嫌悪感は拭えずについに彩葉との再会を果たす。果たしてしまった…
みたいな話もどっかで読みたいので皆様よろしくお願いします(他力本願)
一人暮らしを開始して約2週間。初めてのお客さんは友人ではなくCIAと宇宙人(ウミウシ)でした。どうしてこうなった?
「粗茶です…すみません、緑茶しかないもので」
「おや、お気遣いありがとう。緑茶は好きだよ」
「ハハハ…… や、ヤチヨさんも良ければどうぞ。一応氷入れてアイスにしてますので」
とりあえず推定カーター氏とのコミュはグッドだろう。ヤチヨにもお茶だしてグッドコミュ獲得するで。…ウミウシって緑茶飲めるのか?ま、まぁ宇宙人ウミウシなら飲める!大丈夫!
「やぁやぁありがとう!男子高校生で緑茶と急須を用意してるなんて珍しいね!」
いけそう?大丈夫そう?
「いや、はい。あの、好きなもので、ハハ。あっ、茶菓子も今出します—」
「ところで知っているかい?ウミウシには味覚はないんだよ。人間のような嗅覚もないからせっかくの緑茶も匂いわからないんだ!ごめんね!茶菓子も味分かんないや!あはははは!!!ねぇワザとやってるの?」
「マジで失念してましたごめんなさい!本当にごめんなさい煽るつもりかけらもありませんでしたごめんなさい!とりあえず脳死で茶と菓子出せば良いとしか考えてなかったですマジすいませんでした!」
ダメでした。もう笑い声が怖過ぎて即土下座した。額を床に擦り付ける前に視界に入ったウミウシの眼が全く笑ってないどころか殺気がダダ漏れだったのが怖過ぎて頭上がられねぇ。バッドコミュ通り過ぎて地獄の空気です本当にありがとうございます。味覚煽り許さねぇ発言からまだ5分も経ってないのにあまりの緊張で頭から抜けていた。こんな緊張したの前世で月間ノルマ達成できなかった月の月次会議以来だ。死にそう。
「補足すると緑茶に含まれるカテキンやカフェインは小さな生物には毒にもなり得るが…その様子からはわかってなさそうだね。わざわざ氷入れる前提で濃いめに淹れたようだし。その気遣いをもう少し他に回せなかったのかい?」
「へぇ…そんなにヤチヨのこと嫌いなんだ?ふーん?死んじゃっても良いってこと?」
CIAからの追撃入りました。追撃ってか死体蹴りだろこんなん。
「いや、あの、ほんとなんも考えずお茶だしちゃって。その、そろそろ勘弁してください…」
「彼も悪気があるわけではないってのは分かったし、アイスブレイクはこんなもので良いんじゃないかい?そろそろ本題に入ろうかヤチヨ」
アイスブレイクって若者のメンタルサンドバッグにすることでしたっけ?
「ふぅ……うん、まぁヤチヨは大人だからね。こんなもんで許してあげる」
許された…?本当に?
「あ、ありがとうございます」
「許すのはここきてからのことだけだから勘違いしないでヨネ」
「ハイすいませんありがとうございます」
上げかけた頭を即座に下げる。胃が…胃が無いなってしまう…
「じゃあまずは何を知ってるのか話してもらおうか。掲示板での君の発言は下手な鉄砲のようにも見えた。ヤチヨのことを知らなければおおよそ出てこない単語を出していた。月、ウミウシ、そしていろP。仮想現実に言及していたところを見るにツクヨミのことも知っているのだろう」
あ、あれ?土下座のまま話進むんですか?ダンディが茶を飲む音がやけに響く。美味いなじゃないんだよ。知る限り1番早い新茶取り寄せたんだから当たり前だろ。
「私がここにきたのはね、友人のやるべきことが定まったこのタイミングで不確定要素が出てきたからなんだ。事と次第によってはヤチヨの邪魔にならないようにするためにね。しかし、ヤチヨのことだけじゃなく私の職業まで知っているとなると余計に放置できなくなってしまった」
すまないね、と言いながらまた茶をすするダンディ。テーブルに置いておいたポットでついには自分で淹れ始めた。そんなに気に入ったんですか…
帰りに未開封のやつ一本あげるか。
「それじゃあ全部話してもらおうか。どこまで知っているのか、なぜ知っているのか、どうするつもりなのか。全部、ね?」
ゆっくりと顔をあげるとさっきよりも真剣な表情の2人。俺も別にヤチヨが嫌いなわけじゃない。なにより下手な嘘はつきたくない。すぐバレて次は指詰められそうだし。…全部話すか。
「じゃあ、1から全て話します。信じてもらえるかわかりませんが、俺がどこからきて何を知ってるのか、全て」
「転生者で、物語としてこの世界を知ってて、その中で私とヤチヨの話も出てきていた、ねぇ」
前世の記憶から超かぐや姫の大まかなストーリー、本編での印象的なシーンを交えながら大体を話し終えたあと。難しい顔をしながらお茶を飲むカーター氏が思わず漏れ出たように呟く。今はせっかくなので未開封で取っておいた少し高い玉露を出している。
「……ねぇ、その物語ではヤチヨは本当に彩葉に会えたんだよね?ちゃんとハッピーエンドまで連れて行けるんだよね」
難しいことを聞くヤチヨ。言ってもいいものかどうか。チラリとカーター氏を見ると頷いて返してくれる。…答えるか。きっと不安もあるんだろう。
「あぁ、会えるよ。今思い描いている通りかは分からないけど、ハピエン厨かぐやちゃん大絶賛間違いなしな結末だったよ」
「そっか…そっか…」
そう言って黙り込んでしまうヤチヨ。…煽りまくったのかなりストレス与えていた可能性あるなこれ?本編まで1人で耐え切ってたの嘘じゃないかってくらい弱々しく見える。罪悪感で胃痛追加ですね〜(白目)
「すまない、何かわかりやすいエピソードはあるか?あまりにも荒唐無稽すぎる。何か確証がほしい」
「んー。もと光る竹を正倉院から盗み出した話とかどうです?時系列的にはかぐやにお願いされてってことになると思いますが。あと、カーター氏についてはこのくらいしか知らないです。本編のメインはかぐやちゃんが地球に来て彩葉と過ごした後に月に帰る部分だったので」
これ知ってて大事になってない以上は国の人間でもないってわかるだろう。
「…ヤチヨがヤチヨになった理由も知っているか」
「あとはもう地球にいた時のかぐや話とかになりますけど…」
「それはヤチヨの方に伝えるべきだろう。私としてはヤチヨの邪魔にならず祖国に害をなす存在ではないと確認できただけで充分だ。あぁ、連絡先だけは教えてくれ」
「監視のため、ですね。了解です」
「それもあるが…茶飲み友達は貴重でね。緑茶となるとさらに珍しい」
お?なんか好感度上がってる?
「掲示板の件は言葉が過ぎる部分が多かったが、事情を聞けばヤチヨに恨みがあるわけでも嫌ってるわけでもない。それに職業柄、嘘や隠し事には敏感なほうでね。くってかかる理由もないさ」
不思議そうな顔をしていると苦笑まじりにそんなことを言ってくれるカーター氏。ダンディほんとダンディだわ。お茶っぱ変えてきますね。羊羹食べます?あぁ、ヤチヨの前では甘いものは食べない?内面もダンディっすね。
そんな感じでカーター氏と茶をしばき合うこと数分。ようやくヤチヨが戻ってきた。
「ごめんね。待たせちゃって」
「いやいや。ヤチヨは何か聞きたいことありますか?」
「ううん。大丈夫。理由も内容も分かった。輪廻に囚われた私自身が転生をありえないなんて言えないしね」
自虐のようなことを言うヤチヨだが、その雰囲気はどこか明るい。自分のことをほぼ確実に知っている不確定要素という不安と、そんなやつからバチクソに煽られたストレスとで内心ぐちゃぐちゃだったのが解決したからなのだろう。自分がヤチヨだったことに気がついたて少ししか経ってないタイミングだったのも悪かったのかもしれない。…知らずのうちとはいえ外道すぎる自分の行いに胃が痛くなる。謝罪せねば、無作法というもの。
「改めて、勘違いとは言えヤチヨに対してだけは言ってはいけないことの数々、本当にすみませんでした。出来ることがあればなんでもさせていただきます」
「ん?今なんでもするっていったよね?」
……おかしい。今すごく良い雰囲気でこの場は大団円だったはず。決してネットミームモンスター(略してNMM)ヤチヨのターンではなかったはず。
「転生だけでも驚きなのにまさか物語の世界とは思わなかったのは分かるんだ。そこで登場人物の名前を名乗る奴がいたら偶然の一致か同じ世界から来た人のなりすましだと思うのもギリ分かる。でもやっぱり勘違いが元だとしても味覚煽りと彩葉の名前を出して煽ってきたのは許せないかなーってヤチヨは思うわけですよ!」
許されて、ながっだ!カーター氏に助けを求めるために再度視線を送る。
「意外とヤチヨは根に持つタイプだからね。友人としても発言の責任としてお願い事を聞いてあげるくらいはしてほしいな」
が、ダメ!助け舟、沈没!
「だからね?ツクヨミ作るの手伝ってほしい」
無茶苦茶な要求をしてくるヤチヨ。ツクヨミ作るの手伝ってほしい???一般人高校生が戦力になるとでも???
「あの、コードとか言語とか何も触ったことないど素人ですよ?役に立つどころか足引っ張るだけだと思うんですけど」
「まだ若いんだからこれから勉強すれば大丈夫だって!ほら、なんだっけ。8000歳に比べたら若々しくて仕方ないんだもんね?」
良心を刺してくるな!言ったけどさ!
「それで、たまに物語のこと聞かせて。彩葉の話もツクヨミの話も芦花や真実の話も。彩葉のことだけは鮮明でも細かい部分とかそれ以外の部分はもう思い出せないから、さ」
少し寂しそうな表情で、はっきりとしてるのに消え入りそうな声でそんなことを言う。
あークソ。そんなの断れるわけないだろうに。
「分かった。分かりました。死ぬ気で努力して、せめて実装日が遅れない程度にはなれるよう頑張ります。…ヤチヨもPC関連のこと、教えてくださいよ?」
おまかせあ〜れ〜♪と楽しそうにクルクルとまわるウミウシと諦め半分ワクワク半分な表情でそれを見ている俺。そんな俺たちを微笑ましそうな顔で見守るカーター氏。朝一はどうなることかと思ってたが、どうにか平和に終わった。ヤチヨとカーター氏との記念すべき出会いの日であった。