Into the リンク次元   作:手札から失礼

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ニュー・ワールド・ハンドシェイク

「行くぞ! 沢渡シンゴ!」

 

「ああ、ユーク。この俺様のデュエルタクティクスに泣くんじゃないぞ?」

 

 オレと沢渡は、彼の秘密基地であろう海沿いの廃倉庫にやってきた。

 

 聞けば彼もデュエルでエンタメを目的とする『エンタメデュエリスト』らしい。これは幸先が良いに決まってる!

 

 よくわかんねえ異世界に来ちまったけど、これは幸運だったな。つまりアイツは、オレの地元で言うカリスマデュエリストとかインフルエンサーってことだろ?

 

  エンタメデュエリスト……。シグの言葉を思い出す。自分のスタイルを確立するためにも、いろんなデュエルを見て、いろんな相手と戦ってみるべきなんだろう。

 

 だったら、この沢渡ってヤツは絶好の相手だ。どんなデュエルを見せてくれるのか、今から楽しみで仕方がない。

 

 ちなみにオーディエンスは沢渡の友達の三人衆だ。仲が良さそうでなにより。デュエルっていうのは観戦されてるときが一番テンション上がるんだ。

 

「「デュエル!」」

 

綾目ユーク vs 沢渡シンゴ

 

「おっと、先攻はオレだな」

 

 デュエルディスクがオレの先攻を表示する。うん、異世界って言っても無事にデュエルが出来るみたいだ。

 

 デュエルディスクの盤面はリアル・ソリッドビジョンという技術によって生成されるが、地元じゃみんなデータ化されたカード使っているから滅多に出番が無い。久々にこうやって現実でデュエルできるってことでワクワクしている。

 

 こうやってスタンディングデュエルするやつなんてオレか高校のデュエル部くらいしかいないんだよな。アイツらは机上で妙なコンボを発見するのが好きらしい。面白いからたまに遊びに行くんだ。なんだよ原初の種ループって。

 

「オレはサイバネット・マイニングを発動! 手札のサイバース族であるアーマード・ビットロンを墓地に送ってレベル4以下のサイバース族モンスターである、斬機サーキュラーを手札に加える」

 

「なんだそれ、サイバース族?」

 

 オレのプレイングを見ていた沢渡が早々に素っ頓狂な声をあげる。

 

「何って、サイバース族。コンピュータとかインターネットで暮らすモンスターのこと。知らない?」

 

「初めて聞いたぞ。機械族と何が違うんだ……? 」

 

 この異世界じゃサイバース族は未知の存在らしい。

 

「そうか!じゃあこれからもっと面白いモン見せてやるぜ。オレはデッキから斬機シグマを墓地に送って、手札の斬機サーキュラーを特殊召喚!そして墓地のシグマの効果発動!シグマを特殊召喚する!」

 

【斬機サーキュラー】

レベル4/光属性/サイバース族/ATK 1500

サイバース族/効果

 

【斬機シグマ】

レベル4/光属性/ATK 1000

サイバース族/チューナー/効果

 

「斬機サーキュラーの効果で、デッキから斬機方程式を手札に加える。最初から全速力だ! 出てこい可能性のサーキット!」

 

 手を掲げると目の前にリンクモンスターの鏃(アローヘッド)が現れる。

 

「召喚条件はサイバース族モンスター2体! 斬機サーキュラーと斬機シグマをリンクマーカーにセット」

 

 そして、モンスターたちはリンクマーカーに飛び込んでいき、新たな形となる。

 

「リンク召喚! リンク2、サイバース・ウィキッド!」

 

【サイバース・ウィキッド】

リンク2/闇属性/ATK 800

サイバース族/リンク/効果

 □

 ↓↘

 

「そして斬機ダイアを召喚。効果で斬機サーキュラーをサイバース・ウィキッドのリンク先に特殊召喚!サイバース・ウィキッドの効果で、墓地のアーマード・ビットロンを除外し、デッキから斬機ナブラを手札に加える。

 

さあ、沢渡! もっと驚く準備はいいかい? まだまだ行くぞ!

 

——ゼロから始まる演算は、やがて紅蓮の解へと至る!シンクロ召喚!計算完了、レベル8、炎斬機マグマ!」

 

【炎斬機マグマ】

レベル8/炎属性/ATK 2500

サイバース族/シンクロ/チューナー/効果

 

 剣を携え、炎を纏った演算機、炎斬機マグマが現れる。

 

「はああ!? リンク召喚!? シンクロ召喚!?」

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンド!」

 

 

 

◆

 

 

 

 沢渡は大混乱していた。突然榊遊矢と同じ顔のやつが現れたかと思えば、デュエルを挑まれ、そしてこの知らない種族のカードに、知らない召喚法。情報量の大洪水だ。

 

 しかもエクストラモンスターゾーンって!?知らないゾーン出してくるなよ…!と内心ひどく焦っていた。

 

 沢渡は、目の前の少年が榊遊矢ではないことを明確に理解した。彼はライバルである沢渡のことは知らなかったし、デュエルの癖だって全く違う。そもそも、デッキにペンデュラム召喚のペの字も無さそうだ。

 

 リンクモンスター……どうやらあの矢印の先に効果を及ぼすモンスターと見た。まあ、どうあれ、相手の圧に呑まれるな、自分のペースに巻き込めばこっちのものだと、沢渡は思い至り、自分のエンタメを開演しようとデッキに手を伸ばした。

 

 

 

◆

 

 

 

「俺様のエンタメ劇場の開幕だ!俺のターン、ドロー!」

 

「やってください沢渡さーん! 榊遊矢のパチモンに負けるなっすよ!!」

 

 後ろであの沢渡の取り巻きがやんやと騒いでいる。だから榊遊矢って誰だよ!オレのドッペルゲンガーか!?

 

「俺は魔界劇団のゲネプロを発動。デッキから魔界劇団-ビッグ・スターと魔界台本「オープニング・セレモニー」を手札に加える」

 

 手札に加えたとき、沢渡はオレにビッグ・スターのカードを見せてきた。上が効果モンスターのオレンジ色で、下半分が緑色の……あのカードは何なんだ?

 

「そのまま俺はスケール2の魔界劇団-ワイルド・ホープと、魔界劇団-ファンキー・コメディアンでペンデュラムスケールをセッティング!」

 

【魔界劇団-ワイルド・ホープ】

悪魔族/ペンデュラム/効果

◆2

 

【魔界劇団-ファンキー・コメディアン】

悪魔族/ペンデュラム/効果

◆8

 

 ペンデュラム……ゾーン……?フィールドを見ると魔法罠ゾーンの端と端に、さっきも見た上下で色の違うモンスターカードが置いてあった。フィールド上には光の円柱が2本立ち、その中にはそれぞれガンマン風のモンスターと、太っちょのモンスターがいる。

 

 それよりも目の前の沢渡が焦っているのが少し気がかりだ。

 

「おい、なんで魔法罠ゾーンが埋まってるんだ?ペンデュラムゾーンはどこ行った!? まあいい、ワイルド・ホープの効果発動! ファンキー・コメディアンのペンデュラムスケールを9にするぜ!

 

【魔界劇団-ファンキー・コメディアン】

悪魔族/ペンデュラム/効果

◆8→◆9

 

「これでレベル3から8のモンスターが同時に召喚可能!

 

ペンデュラム召喚!

 

現れろ! 魔界劇団-ビッグ・スター!

続いて デビル・ヒール! ダンディ・バイプレイヤー!」

 

【魔界劇団-ビッグ・スター】

レベル7/闇属性/ATK2500

悪魔族/ペンデュラム/効果

 

【魔界劇団-デビル・ヒール】

レベル8/闇属性/ATK3000

悪魔族/ペンデュラム/効果

 

【魔界劇団-ダンディ・バイプレイヤー】

レベル2/闇属性/ATK 700

悪魔族/ペンデュラム/効果

 

 沢渡は両腕を広げ、モンスター達を見せてきた。

 

「すごいっすよ沢渡さん!」「さすがっすよ!」

 

「当然だろ? この、沢渡エンタメ劇場だからな!」

 

「すっげえ! おい、沢渡! 最上級モンスターが1ターンで2体も出てきやがった! 今のどうやったんだ!?」

 

 オレは見たことがない召喚法に、最高潮にワクワクしていた。ペンデュラム召喚なんて見たことも聞いたこともない! 異世界ってすげえ! 手札消費は激しそうだがすごい召喚法だ……!

 

「これはペンデュラム召喚って言って一度に沢山のモンスターを召喚する方法さ! このエンタメ劇場を彩るのに相応しい……」

 

 そのオレの言葉に、沢渡は満足気に思いっきり胸を張っている。

 

「デビル・ヒールの効果発動! 俺のフィールド上の魔界劇団の数×1000ポイント攻撃力を下げるぜ!対象は斬機マグマ、お前だ!」

 

炎斬機マグマ

レベル8/炎属性/ATK 2500→0

サイバース族/シンクロ/チューナー/効果

 

「マグマの攻撃力が!?」

 

 デビル・ヒールの効果を受け、なんとなく火力が無くなる炎斬機マグマ。

 

 ちょっと待ってくれよ……算数のお時間だ。

 

 オレのライフは4000、フィールドには攻撃力800のサイバース・ウィキッドと攻撃力0のマグマ。

 

4000+800-2500-3000-700=-1400

 

 これで、総攻撃を受けたら……負ける!? やばい!!

 

「総攻撃はさせない!俺は斬機帰納法を発動!このカードを墓地に送ってデビル・ヒールを破壊する! 出たばっかりで悪いが、退場してもらう!」

 

「だがデビル・ヒールはペンデュラムモンスターだ。ペンデュラムカードは墓地に行かずエクストラデッキに表側表示で置かれるぜ」

 

「なんだと!?」

 

「更にビッグ・スターの効果発動! デッキから魔界台本「魔王の降臨」をセットし、そのまま発動!ビッグ・スターは台本を読んでその役を演じる!」

 

ビッグ・スターは台本を読み、おそろしげな魔王の衣装に身を包む。そしてそのまま、オレのマグマとサイバース・ウィキッドに迫る。

 

「魔界台本「魔王の降臨」は俺のフィールドの魔界劇団の数だけ表側表示のモンスターを破壊するぜ」

 

「……!サイバース・ウィキッドの効果でサイバース・ウィキッドとリンク先の斬機マグマは効果では破壊されない!」

 

「チッ、無駄撃ちか……!

 

ダンディ・バイプレイヤーの効果発動! ダンディ・バイプレイヤーをリリースしてデビル・ヒールを特殊召喚!退場させられても名悪役はすぐに戻って来るのさ!」

 

【魔界劇団-デビル・ヒール】

レベル8/闇属性/ATK3000

悪魔族/ペンデュラム/効果

 

「すげ……」

 

 そうポツリとこぼし、オレは思わず少しの間見入ってしまう。

 

「このままバトルだ! デビル・ヒールで斬機マグマを攻撃!」

 

「この瞬間 速攻魔法サイバネット・バックドアを発動! オレは斬機マグマを除外し、斬機マグマの元々の攻撃力以下のカードをデッキから手札に加える。オレは斬機サブトラを手札に加える!」

 

「だがフィールドにモンスターが一人だけだぜ!そのままサイバース・ウィキッドに攻撃!」

 

「くっ……!」

 

ユーク LP 4000→1800

 

「リンク召喚したサイバース・ウィキッドは戦闘でも破壊されない!」

 

「だがダメージは受けてもらうぜ! 次はビッグ・スターでサイバース・ウィキッドを攻撃!」

 

ユーク LP 1800→100

 

「………! サイバース・ウィキッドは……破壊されない!」

 

 デュエルディスクのライフポイントのカウンターが100を表示する。こいつ強い……中々やるじゃん……!

 

「カードを1枚伏せて沢渡エンタメ劇場の第一幕はこれにて終了。さあ、次はお前のターンだぜ」

 

 恭しくお辞儀をする沢渡。悔しいけど……とっても悔しいけれど……コイツのデュエルは面白い!

 

 だからこそ、自分の実力が少し憎くなる。ここまで追い詰められて、何もエンタメ出来てないんじゃないか……?

 

 オーディエンスの沢渡の取り巻きの方を見る。召喚法で驚かせても、彼らの目にはまだオレが一方的にやられて、ライフを100だけ残して踏みとどまっただけに見えるだろう。

 

 驚かせるのと、楽しませるのは違う。わかっているさ、ずっと……オレはサプライズ頼みだったから。

 

 少しだけ、ドローするのが怖くなった。ここで終わるんじゃないかと。それでも、

 

 オレはここから成長したいんだ! きっと彼はエンターティナーとしては最高だから!

 

「第一幕終了なら、オレはここからクライマックスにする! オレのターン、ドロー!」

 

 オレは意を決してカードを引く。次のターンを凌ぐんじゃない、このターンを決めるカードを……!

 

 !? このカードは……

 

 その瞬間、風が吹き荒れた。ここは廃倉庫のはずなのに目も開けていられないほどの突風だ。

 

「なんだ!?リアルソリッドビジョンでもないのにどうしてこんな風が……!」

 

 沢渡も何が起こっているかわからないようだ。少なくとも、これは沢渡のせいじゃない……!

 

▓▒░▓▒░▓▒░▓▒░▓▒░▓▒░▓▒░▓▒░

━━━━━━━╋━━━━━━━━━━━━

///// Unauthorized access. /////

░░░░░░░░░░░

██████Tampering█████

━━━━╋━━━━━━━━╋━━━━━━

 

 風に誘われてエクストラデッキから1枚のカードが吹き飛ばされる。オレは咄嗟に手を伸ばした。

 

——クロス・ストーム・アクセスー改竄ー 発動

 

 風と共に手の中に1枚のカードが収まった。掴みとったカードは【ファイアウォール・ドラゴン】 こいつは大昔に気づいたらオレのデッキに居たカードだ。それが……光と共に書き換わっていく!

 

「……!?」

 

 ありえないことが積み重なりすぎてこのデュエルの間だけは、一旦考えないことにした。オレはありえないことに全力で乗っかろうと思ったのだ。

 

 今ある手札と、新しく手に入れた力、すべてを使って沢渡のエンタメに乗っかってやろう!

 

 少しの間目を閉じて脳味噌をフル稼働させる。——見えた、勝利への道筋が!

 

「沢渡、宣言するぜ。オレはこのターンでアンタに大逆転勝利をする!」

 

「はっ! ライフ100でよく言うぜ。かかってきな!」

 

 風はオレのチャンスになるように吹いている。なぜならライフ100からのワンショットキルなんて、エンタメ的には美味しいに決まってる。

 

「スタンバイフェイズに炎斬機マグマはオレのフィールドに戻って来る。

 

そしてメインフェイズ!オレは手札から炎斬機マグマを対象に攻撃力を1000アップさせ、サイバース・ウィキッドのリンク先に斬機アディオンを特殊召喚! 墓地にある斬機サーキュラーを除外し、斬機ダイアを手札に加える!」

 

【斬機アディオン】

レベル4/炎属性/ATK 1000

サイバース族/効果

 

【炎斬機マグマ】

レベル8/炎属性/ATK 2500→3500

サイバース族/シンクロ/チューナー/効果

 

「そして、魔界劇団-デビル・ヒールを対象に、攻撃力を1000下げて斬機サブトラを特殊召喚!」

 

斬機サブトラ

レベル4/炎属性/ATK 1000

サイバース族/効果

 

「オレはレベル4の斬機サブトラとアディオンでオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 

「次はエクシーズ召喚!?」

 

「そう! よく見ててくれよな、沢渡!

 

——無数の可能性を束ね、勝利への方程式を完成させろ! エクシーズ召喚!計算完了、ランク4!塊斬機ダランベルシアン!」

 

【塊斬機ダランベルシアン】

ランク4/地属性/サイバース族/ATK 2000

サイバース族/エクシーズ/効果

 

「ダランベルシアンの召喚時、オーバーレイユニットを2つ全部使い、デッキから斬機カードを1枚手札に加える。オレは斬機マルチプライヤーを手札に加える。そしてそのままマルチプライヤーを召喚!

 

【斬機マルチプライヤー】

レベル4/地属性/サイバース族/ATK 500

サイバース族/効果

 

「そして更に!」

 

「更に!?」

 

「——出てこい、可能性のサーキット!」

 

 空に手を伸ばした。オレは最高のデュエルだから全力を出しきらないといけない。だってこんなにも楽しいんだから!

 

「召喚条件は効果モンスター3体以上! サイバース・ウィキッドと炎斬機マグマと塊斬機ダランベルシアンと斬機をリンクマーカーにセット!」

 

斬機たち3機がリンクマーカーにセットされ、サイバース・ウィキッドは分身し、残りの2つに嵌まる。

 

「幾千の回路を駆け巡り、無数の可能性をひとつに繋げ! 深淵より湧き上がる力をその身に宿し、未来を切り拓く守護竜となれ! リンク召喚! リンク5 ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード!」

 

【ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード】

リンク5/闇属性/ATK3000

サイバース族/リンク/効果

 ↑

←□→

↙ ↘

 

「ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルードの効果でこのカードに墓地に行ったシンクロモンスターとエクシーズモンスター分でカウンターを2つ置くぞ! そして、斬機マルチプライヤーの効果で攻撃力が2倍!」

 

【ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード】

リンク5/闇属性/攻3000→6000

サイバース族/リンク/効果

 

「行くぞ!バトルだ! このとき、ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルードの効果で、カウンターの数だけ攻撃力が2500アップする!」

 

【ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード】

リンク5/闇属性/ATK6000→11000

 

「おいおいおい! 攻撃力11000って何なんだよ!?」

 

「ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード!ビッグ・スターに攻撃だ!終幕だ! 行け、ネオテンペスト!」

 

 光り輝く翼を翻し、赤いラインになった電子の世界の守護竜は大御所エンターティナーを吹き飛ばした。

 

沢渡 LP4000→0

 

 

 

◆

 

 

 

「ユーク、お前のことは覚えておくぜ!」

 

 ギャグっぽく倒れ込んだ沢渡はそのままビシッとユークを指差した。

 

「今日のデュエル、オレの負けは負けだ。だが、あんな逆転劇を見せられたら、次は絶対に負けられないからな! 次に戦うときは、もっとすごいエンタメデュエルを見せてやる!」

 

「……! 次も戦ってくれるのか!」

 

「当たり前だろ! 面白いデュエリストを見つけたら、もう一度戦ってみたくなる。それがデュエリストってもんだ!」

 

 沢渡は得意げに笑った。

 

「それに、お前がこれからどんなデュエルをするのか、ちょっと興味が湧いたしな。あそこまで追い詰められても、最後にはあんなとんでもない切り札を出してくるんだからな! まったく、最後まで目が離せないデュエルだった!」

 

 その言葉に、オレは表情を緩めて笑った。勝敗でだけ終わるんじゃない、次のデュエルを楽しみにしてくれる相手がいる。それもまたデュエルの面白さなのかもしれない。

 

「オレも……良いデュエルだったぜ、沢渡!」

 

 立ち上がろうとする沢渡に、オレは手を差し伸べた。

 

「ふん、お前も中々良かったぜ。でかい口叩きながらあっさり負けんじゃないかと心配したくらいさ」

 

 沢渡は握手に応じ、軽くシェイクハンド。

 

「沢渡さん負けすぎっすよ!」

「でも面白かった〜」

 

「うるさい、これがエンタメデュエルだ」

 

 沢渡と取り巻きたちのやり取りを聞きつつ、ふとデュエル内容を回想する。

 

「「それにしても「リンク召喚」「ペンデュラム召喚」すごかったな〜」」

 

 と、オレと沢渡はほぼ同時にそう言った。リンク召喚がここじゃそんなに珍しいものなのか……。元の世界じゃシンクロやエクシーズは珍しかったが、リンクはそこそこあったが……、そうだ!

 

「沢渡、これやるよ」

 

 オレが取り出したのは《見習い魔嬢》のリンクカードだ。

 

「え? いいのか?そんなあっさり……。エクストラデッキのカードってレアなんだぞ?」

 

「良いって。沢渡のデッキって闇属性デッキだろ? 使えるかわかんねえけどアンタにやるよ。オレにゃあんまり使いこなせないカードだしな」

 

 沢渡はカードを受け取り、しげしげと眺めている。

 

「リンクカードってのは、エクストラモンスターゾーンか、リンクモンスターのリンク先にしか出せないんだ。この召喚条件とリンクマーカー分のモンスターか、リンクマーカーを持ったモンスターで召喚できる。守備力が無いから守備表示には出来ないのが特徴だぜ」

 

 ざっくり説明しつつ、沢渡の様子を見る。負けても結構爽やかなヤツなんだな。それなりに悔しそうだったけど。……楽しかったな。

 

「これが非公式なデュエルなのが惜しいくらいだぜ。LDSのデュエルコート借りてくれば良かったな」

 

「LDS……聞いたことねえな」

 

「嘘? マジで?やっぱりお前って別の世界の……」

 

 ぶつぶつと呟きつつ沢渡は何かを考え込む。

 

「多分オレって異世界から来たと思うんだよな。帰り方もわかんねえし、この世界のこと教えてくれよ」

 

 ハッとして沢渡は顔を上げた。

 

「そうだよな! もしかしたら赤馬社長のとこに行ったら何かわかるかもしれない……。とりあえず案内だけでもしてもいいぜ。この、沢渡様が直々に!」

 

 そう言ってひとまず沢渡の取り巻きたちと解散し、この、『舞網市』という街を案内してもらうことになった。

 

 

 

◆

 

 

 

 その頃、レオ・コーポレーションでは——

 

「社長! 未知の召喚反応が!」

 

「リンク召喚……? 聞いたことはないな」

 

 赤マフラーにノー靴下の青年が画面に目を通している。彼は赤馬零児。レオ・コーポレーションの社長だ。

 

「発信源は?」

 

「港の廃工場です。あの沢渡シンゴがたまり場にしている……映像が出ました! 彼は現在、榊遊矢……によく似た人物と接触中!」

 

「ふむ、未知のリンク召喚。そして榊遊矢に似た人間の出現……」

 

 赤馬零児はこの先の波乱を感じ、暫しの間考え込んだ。




斬機vs魔界劇団のデュエル回でした。ライフが4000でデュエル構成するのって難しいですね。舐めプに見えないか不安だ……。
なぜファイアウォール・ドラゴンがいるのか、なぜダークフルードになったのかは、またいつか。
プレミやカード効果の勘違いなどがあれば、ご指摘いただけると次回から気をつけます。

私事、私は純PSYフレームデッキの使い手なんですが、この前の制限改訂でPSYフレームΩが出禁になったせいでもともと死にかけてたデッキがお亡くなりになってしまいました。ここから入れる保険ってあるんでしょうか。
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