出会い
気がついたら竹林だった
今日もいつも通り会社へ行き、ミスを犯し、上司に叱られ、後輩には先を越され、仕事場では話す相手すらいない。
そして今日は付き合って1年ちょいの彼女にフラれた。
こんな毎日を過ごす私は次第にこう考えていた
「人生なんて、つまんねぇなぁ」と
今日も行きつけの屋台に行ってきた。
仕事帰りにおでんの屋台は憧れだった。だが、今じゃなんの感動も湧いてこない。
いつもと違うのは今日は橋の上にいた
そして、川へと飛び込んだ。
ガツン
しかし、待っていたのは苦しみではなく痛みだった。
そしてふと、車の音が消えたことに気づいた。
おかしいと思いあたりを見回す。
「なんだぁ……ここは」
明らかに俺がさっきまでいた街じゃない。竹林のようだった
そこで俺は一つの答えにたどり着いた
「そっか。ここはあの世か」
「なわけあるか」
誰かに否定された。
声の方向を見ると、そこには女の子がいた。
「おっさん。どうしてこんな時間にこんなところにいるんだ?」
こんなところって
「どこ?ここ」
酔いが回って上手く喋れない。
「迷いの竹林。わかっててきたんじゃないのか?」
「ここってあの世か?」
「現世だ。というか、私まで殺すな」
どうやらここはあの世でなく俺も生きているらしい。
俺がボーっとしていたら、少女が急にこう言ってきた。
「とりあえず、夜のここは危険だ。早く人里へ戻れ」
「人里?」
「あぁ。つれてってやるよ。……酒臭いなおっさん」
「おっさんじゃない。俺は――」
そこまで言って黙り込む
俺って誰だ?
「おいおい、名前忘れたのか?」
「いや、すぐに思い出すはず」
「……なんか嫌なことでもあったのか?私で良ければ聴いてやるよ」
少女が歩きながら話しかけてきた。
丁度良い。順を追って話せば名前も思い出すだろう。
***
私、藤原妹紅は後悔していた。
今日はちょっと寝付けないから散歩することにした。
するとおっさんが倒れているのを見つけた。
酔ったおっさんがこの竹林のど真ん中に倒れている。
これは妖怪の絶好の餌だろう
しかし心優しい私はこのおっさんを人里へ返してやる事にした。ついでにここまで酔うほど呑んだ理由も聞くことにした。
これが一番の間違いだった。
最初はほんの好奇心だったのだが、話を聞くにつれ、決して気持ちのいい話ではない事に気付いた。しかしおっさんのボルテージが上がっていき、止めようにも止まらなくなった。
どうせ気付かんだろと思って耳に指を突っ込む事にした。
おぉ。これはいいな。
さて
「はいおっさん。着いた……ぞ?」
後ろにおっさんの姿はなかった。
「お、おっさん!どこにいったんだ!?」
私が必死で駆け出す。駆け出した一歩目
何かにつまづき、倒れてしまった。
しかしなにやら地面が柔らかい。
確認すると、私は倒れていたおっさんにつまずいたらしい
「おいおいおい……どうすんのさ、この人」
話し疲れて眠ってしまったのだろう。
「面倒くさいけど、うちに運ぶか……」