おっさんが幻想入り   作:柊の花

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「……」

 

「……ん」

 

「……んあ」

 

「……うぅ~」

まだ暗いが、きっと朝なのだろう。

さて、さっさと起きるか……

 

……あれ?そういえば俺って死んでなかったっけ

 

食いちぎられたはずの右腕をみると、そこにきちんと存在していた。

なんだ……夢か……

 

「なわけないだろ!!」

右腕は確かにある。あるんだが……

 

くっついてない

 

俺の右肩は包帯だらけ、右腕はそばの机に置いてあった。

その瞬間あの記憶がよみがえり、右肩に激痛がはしった。

 

「……ッ痛!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周りに気を配れたのは数分後になってからだった。

よく見ると、慧音ハウスでもなければ、妹紅小屋でもない。

初めてみる……どちらかと言うと、俺の世界に似た――

「ん、気が付いたかい?」

 

急に扉が開き、そこから一人の青年が出てきた。

状況からして、この人が俺を助けてくれたのだろう。

 

「……災難だったね。あんなマナーもしらないような妖怪に目をつけられて」

「……マナー?」

「スペルカードルールの事さ」

そういって青年は飲み物をくれた

「それよりも、助けてくれてありがとう……」

「でも、あの女性は……助からなかった。」

……そうか。今思い出すと、あの人は里でキノコ類を販売していた人だった。

 

 

「僕は森近霖之助」

「俺は沖田……外来人って奴だ」

「外来人?だからか、こんな森に来てしまったのは」

「……」

どうやら、この霖之助は俺があの女性とともに、何も知らずにここにきた人と思っているらしい。

まさか、助けようとして逆に食われたとは言えない。

 

まて、そういえば

 

「あの怪物は?」

「……ちょっと乱暴に追い払ったよ」

目線の先には血だらけの剣……あ、俺の走馬灯と同じ剣だ。つまりあれって霖之助の姿かい。

 

「そして、君の腕だが……僕にはどうしようもない。かといって治せる医者も知らないんだ」

「……」

右腕……右利きだから不便だな……。いや、実際もっと大変だろうけど

 

 

 

しかし、霖之助があの化け物を倒した……んだよな。

また、誰かに助けられてしまったか。俺は。

こんなことを言うのは変かもしれないが、俺は力が欲しい。一人でも戦える力が。

 

 

 

そう

俺に力があれば、森に入るのを躊躇わなかったはずだ。

俺に力があれば、右腕を失わずにすんだはずだ。

俺に力があれば、あの女性が死ぬことだって無かったはずだ

 

「霖之助……」

「ん?なんだい?」

「俺も強くなりたい、お前のように」

「……別に僕は強くないよ」

「だったら、俺に強くなる方法を教えてくれ!」

「……強くなるっていうのは、魔法使いにでもなるのかい?」

「力が手に入ればなんだっていい。頼む」

 

ふぅ……と霖之助がため息をつく

 

「いいかい?むやみやたらに力を求めてもダメなんだ。ちゃんとした目標がないと。半端な力は自分の心も犯すことになる。」

誰かを守りたい……これだけじゃあダメなのか……

 

「……おっと。ちょうどいいタイミングだな」

霖之助がつぶやく。その時、外で大きな物音がした。そして――

 

 

 

 

 

 

「香霖!いるか!」

「ここは僕の家だから、いて当然だよ」

「それもそうだな」

 

玄関の扉が開き、少女が入ってきた。

 

「ん?誰だ、そこにいる奴は?」

「……時に魔理沙、君は弟子を欲しがっていたね」

「弟子っていうか……誰かに教えると自分のためにもなるっていうだろ?」

魔理沙と呼ばれた少女がこっちをみる。というか、ここ少女人口大杉内。

 

「……こいつか」

「そう。なんでも魔法使いになりたいとか」

少し違うが、この際魔法使いでもいいや。

「ふーん……。香霖、お前はどう思う」

「きっと難しいね。外来人らしいんだけど、魔術に対する耐性が少ない」

きっと精神的な意味で言っているんだろう。くそ。

「まぁ、いいよ。私も一から学びなおすのもいい修行だ」

「じゃあ、よろしく頼むよ」

「そこのあんた!名前は?」

「……沖田って呼んでくれ」

「よし沖田!早速始めるぞ!外に来い!!」

「あぁ、待っ――ひでぶ!」

 

「……何してんだ?」

「……しまった。魔理沙すまない、この人けが人なんだ」

 

たった瞬間立ちくらみ、そして踏ん張っても右腕がないためバランスがとれなくて転倒。

「……そう。じゃあ、こいつの調整よろしく」

「あぁ、わかった」

少女は何かを霖之助に渡すと、外に飛びだしていった。そして霖之助は奥の部屋に入って行ってしまった。

 

一人か……。とりあえず、俺はこのケガを治さないと……。

 

 

そう思ったのもつかの間、魔理沙は大量の本を持って再びやってきた。

計30冊はありそうなそれを俺の目の前の机にドスンと置いた。

 

「沖田。今はどうせ暇だろ?体が落ち着くまでこいつを読んでろ」

 

表紙には、日本語の物や英語のもの、そしてわけのわからない言葉の物もあった。

 

「入門用から上級者用のグリモア(魔道書)だ。入門用から読まないと死ぬぜ?」

 

死ぬってどういう意味だ?とわけのわからない方のグリモアを触る。

 

「!!」

「そういう事だ」

 

触っただけで、体に嫌なものが走った。

 

「自分のレベルにあったものを読まないと体が耐えられなくなるんだ」

 

そうなのか……正直魔法使いなめてたわ。というか、本当に魔法ってあるんだな。

 

でもやってやる。そして俺は絶対誰かを守れる力を手に入れるんだ。

それに、魔理沙だってこの本を全部読んだはずだ。俺も目指すならこういうところから頑張らねば。

 

「あ、それ借りた本だから、私は読んでないぞ」

 

そうかよ

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