おっさんが幻想入り   作:柊の花

18 / 41
復讐?

「見つけたぞ!貴様ら!」

ミスティアの腕。どこを探しても見当たらない。ということは、完全に消されたか、食われてたかのどちらかだ。前者はともかく、後者ならば、ミスティアのかすかな気配を辿れば敵にたどり着くという寸法だ。

そして見つけたこの二人組、こんな夜に出歩いているという事は異変解決団の一員だろうか。片方の白髪(はくはつ)の奴から殺気が凄く感じ取れる。

しかし、こっちを見ながら、不思議そうな顔をしてるピンクな奴。全く戦う気はなさそうなあいつが齧ってるのはミスティアの腕だ。狙うのはこっちだ。

「そのうでを返せ!」

不意打ち。

技でいうと「プチメテオ」

小さな隕石状の弾を撃つ。威力はそこそこだが、弾幕としての密度は高い。俺が今使える魔法では最強の攻撃技だが、

 

ガキン。と甲高い音、次の瞬間には俺の弾幕は消え去っていた。

「どうやら本当に敵みたいですね、幽々子様下がっていてください」

急にこいつの目が変わった。

「そうですね……今度から怪しいと思ったらとりあえず斬ってみることにした方がいいですかね。その方が手っ取り早いですし」

「……っ、やる気か」

正直、かたき討ちに来たのだがひるんでしまった。

相手は見たところ剣豪。そして俺の弾幕をかき消すほどの実力者。となれば、

「も、妹紅、お前はこいつを頼む。俺はあいつをやる」

そして、和服を着た方の少女に指をさす。別に逃げたわけではない。俺よりも妹紅の方が何故か戦い慣れてるし、あの和服の少女は戦闘が得意には見えない。つまり俺が適任、というわけだ。大人げないが。

「幽々子様には指一本触れさせない!」

しかし、もう一人の白髪の少女が立ち塞がる。

「んー。しょうがないな、こいつで我慢しようか」

「? 仕方あるまい」

我慢する、とはどういう事か。だが、戦うのはわかっているため俺は構える。相手は両手に刀。あれでどう弾幕を放つのか、相手の戦闘能力がつかめない以上、用心するに越したことはない。

 

「ファイア!」

火蓋を切ったのは文字通り俺のファイア。

威力はないが、弾幕として扱えるようになった。だからまずは様子見のつもりで放った。

しかし、あいつはこれを悠々とかわす。表情が変わらない事から戦い慣れている事が分かった。

そして、動きながらもなにやら妙な構えをとった。

「あれは……」

確か、漫画で読んだことがある。例えば格闘漫画とか。

その刹那、俺の弾幕の穴に向かって、すごいスピードで近づいてきた。

――抜刀術だ

 

そう気付いた頃には、俺はすでに相手の間合いに入っていた。

そして、俺を斬り殺そうと刀が抜かれる。

殺られた。そう思ったが、

 

俺の動体視力で確認できる限界に、白い物が通り抜けた。

それは妹紅の腕で、次の瞬間に、その拳は白髪の少女の顔を殴りぬけていた。

「ちょ——」

そして、妹紅はそのまま殴り抜け、白髪の少女はそのまま地面へと落ちていった。

「ふう、これで終わりか。早かったな」

きっと今の俺は驚いて間の抜けた顔をしていたのだろう。

「えっ……なんで殴ったん?これ、弾幕ごっこじゃないん?」

「まさか。真剣勝負の手段にそんなお遊びのルールなんか使うか」

……、どうやら俺が甘かった……のか?

 

「えと……じゃあ、そこのお前!」

そして、あの白髪に守られていた少女に目をつける。

「ミスティアの仇!」

「ちょっと待て」

飛びかかろうとした俺の襟を妹紅につかまれる。

「仇はもうとったろ?これ以上戦う必要はないだろ」

と言われたが、納得がいかない。

こいつはさっきから無心で腕を齧ってるのだ。戦う気がないとかそういう問題ではないんじゃ……

「私の気はもう済んだし、これでいいんじゃないか」

「いや、しかし……ミスティアはどうするんだ?腕を取り戻さないとこの先……」

「それは大丈夫だ。妖怪ならあれぐらい一か月もあれば治る」

「……」

 

だったら、俺はなんでこんなに必死だったんだ。

そんな事を考えてたら、やっとあの少女が話しかけてきた。

「もしかしてあのの雀ってあなた達のお友達だった?」

「雀……(ミスティアか)あぁ、だからいい加減咀嚼はやめてくれ」

俺は近づいて少女から腕をひったくる。

その瞬間、また妹紅に襟を引っ張られた。今度はさっきより強く首が閉まったから、文句を言おうとした。が

 

刹那、俺の前を刀が通り、前髪をかすめて行った。体中に冷たいものが走った。

「幽々子様に近づくな!」

「危……」

すっかり油断した俺は、こちらに近づいてきた少女の存在に気づかなかった。

「私はまだ負けてない!!」

「ま、待て!」

とにかく両手をあげ、戦う意思のない事を示した。

納得いかないが、確かにここは引き下がった方が賢い選択だろうと判断した俺は、白髪の少女の説得に入ることにした。

 

「す、すいませんでした……」

話し合いの末、白髪の少女妖夢は、悪いのは妖夢の主の幽々子であることを理解してくれ、不本意ながらも謝罪をしてくれた。と同時に、俺たちは「ミスティアがこいつらに喧嘩を挑んだ」ことを知った。

といっても、彼女は俺達の事はなかなか信じてくれなかった。

 

そして、何か異変について知ってそうな感じだったので、聞いてみることにした。

「そういえば、いま何が起こってるんだ?異変っていうのは初めてだから何が異変なのかさっぱり……」

あぁ、それなら と妖夢が説明しようとしたのだが、幽々子がそれを止める。

「それは、自分で考えた方がおもしろいと思いますけど?」

と、言うのだ。あぁ、なんかコイツの性格がわかってきた気がする。自分の立場を利用して、俺たちの反応を楽しむような、そんな奴か。

どうせ、今夜も興味本位で異変解決に乗り出して、飽きたから帰ろうとしているに違いない。

 

***

 

「幽々子様、本当にいいんですか?」

あの二人と別れたあと、私たちは白玉楼に戻るべく、元来た道を帰っていた。

「ん~。なんか、私たちなしでも勝手に解決しそうだったから」

それに、と続ける

「妖夢も、その怪我じゃあ満足に戦えないでしょう?」

「うっ……」

さっきの赤いやつ(たしか妹紅とかいったっけ)に殴られた時、予想以上にダメージが大きかった。

無事なフリはしてたけど、やっぱり幽々子様に隠し事はできないか。

「そして、私たちよりも適任な人たちを見つけたからよ」

「適任?」

その問いに関して、幽々子様は何も答えなかった。

「……そういえば、幽々子様が自ら外に出るなんて珍しいですよね」

「ただの興味本位よ」

「そうですか?」

「というか、妖夢は私についてこなくてもよかったのよ?」

「……いや、さすがにそういうわけには……。こんな事ができる妖怪相手に幽々子様一人では」

「ああ、いや、そっちじゃなくて」

「?」

 

***

幽々子達が行った後、また人里へと進行を始めた。ちなみにミスティアの腕はミスティアのいる場所に魔法で転送しておいた。すでに原型はなかったが。

「まったく、変な奴らだったな……。じゃあ、早いところ人里に行こうか」

「……」

「妹紅?」

「えっ? あぁ、そうだな」

一瞬、何か考え事をしていたようだった。

あれ?何か違和感……

 

『自分で考えた方がおもしろいと思いますけど?』

 

そうだ、確かあの時、あいつは確か妹紅を見てたんだ。

この異変、妹紅になにか関係があるのか?

いや、そうだとしても、なんであいつが知ってるんだ?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。