おっさんが幻想入り   作:柊の花

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十五夜の十六夜

約30分前……

 

今日は月に一度の満月の日。

この日は妖怪たちの行動が活発になる。

それは吸血鬼にもいえること。

 

「咲夜」

「はい、お嬢様」

私はいつものように、夜の散歩へと行くレミリアお嬢様の身支度をする。しかし、今日は何かが違った。

「咲夜、待ってなさい。とびきりの獲物を捕ってくるわ」

「……は?」

そう言って、飛び出していった。

どういう事か、理解できなかった。

いままで、満月の日は散歩と行って外に出ていたのだけど、今日のように内容を明かすことはなかった。

 

つまり、いつも狩りに出てるのだろうか?

そんな時

「咲夜」

「あ、パチュリー様」

今度はパチュリー様。何気に食事の時以外に図書室の外で会うのは久々だと思う。

「今日はレミィの散歩についていってもらえるかしら」

? どういう事かしら。

「実をいうと、今のレミィの精神は不安定なの」

「……はぁ」

 

「月に一度の満月の日、レミィは散歩と称して何をしてたと思う?」

「……散歩じゃないんですか?」

「いえ、ただの散歩よ」

「……」

「でも、月に一度、あろうことか満月の日に散歩。これは吸血鬼らしからぬ事。つまりそうする事で自分の吸血鬼としての本能を沈めようとしてたのよ」

「? なら、なぜ今日はあんな事を?」

「本来満月であるはずの今日は満月じゃないからよ」

満月じゃない?

「人間の貴女は気づかないだろうけど、今日の月は満月じゃないの」

「え?」

私は窓から外を見る。そう言われればすこし欠けてる気もしなくもない。でも、いつも思うのだけど、そんな満月って大事なのかしら。

「そのことに対して、レミィは焦りを感じた。いままで周りに迷惑をかけないようにおとなしくしていたのが、壊れると感じたんだと思うわ」

「……はい」

「で、散歩の別の手段として、今日は外に出て行った」

「……つまり」

「吸血鬼本来の行動。暴れることでしょうね」

「それは本末転倒じゃないかと思うんですけど……」

「まぁ、腐っても吸血鬼。ただ暴れるだけはプライドに触るのだろうから、この満月の謎、つまりは異変の首謀者を叩きのめすつもりで出て行ったと思うわ」

それで、狩り ですか。

「でも、さっき言った通り、今日のレミィはいつもと違う。だからレミィの護衛を頼みたいのよ」

それが本題ですか

「わかりました。では」

そして私はお嬢様に追いつくべく、時を止め外へ出た。

 

そして今

 

「WRYYYYYY!!」

予想以上にレミリア様は暴れていた。

あちこちの木々を倒し、戦う気のない妖怪までその力でねじ伏せていった。

「咲夜!今夜はいい夜ね!」

「そうですね」

空返事。

それにしても、今日の満月が偽物である以上、この豹変は一体何が原因なのだろうか?人間の深夜のテンションみたいな所かしら。

「ふふふ、久々に人間の血が飲みたくなったわね……ちょっと調達しようかしら」

「お、お嬢様!!」

「なに? あ、そうか。咲夜も飲みたいのね?じゃあ大量の人間が必要ね。それならそこの人里がいいわね。じゃあ行きましょう」

あぁ、これは手がつけられないわ。

かといって、このまま里を襲わせたらやっと得た幻想郷での信頼を失うことになる……。

「ふ、フラン様をつれてくればよかったかしら……」

このレミリア様を止められるとしたらフラン様しか……。このレミリアお嬢様だったらフラン様も可愛く感じられる気がする。

いや、逆にもし二人で暴れたら幻想郷は崩壊するだろう。

 

そして、どうすることもできず、人里まで来てしまった。

「んー……ん!?」

「これは……」

しかし、本来あるべきはずの民家が全てが消えてしまっていた。

「くー、腹たつわね!」

そしてレミリア様は里が消えた大地に向かってエネルギー弾を放った。

威力からして半径30mは消し飛ぶと思われる。さすがに止めに行こうとしたけど、どうも止められそうになく、とにかく自分の身を守ることに専念した。

しかし、その弾は着弾することはなく、何かに弾かれて空に消えていった。

 

「貴様らか、こんな真夜中に人里を襲おうとするのは!」

声に反応し、手に投げナイフを装備する。

急に現れた人間、確か上白沢とかいう名前の女だ。ここに来る際よく見かけていた。

もしかして、村が消えたんじゃなくて、コイツが村を守っている?

「お前か、村を隠したのは」

「貴様らのような妖怪から守るためだ」

「くっくっく、なるほど吸血鬼に勝負を挑むか……しかも2対1で」

「わ、私もですか……」

正直、今夜だけはレミリア様と共に戦える気がしない。

「ならば、人間の代わりにまずはお前の血を吸ってやる!!」

「ここは私が守る!」

そして、私が呆気にとられてる中、戦いが始まってしまった。

 

 

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