「頼む。泊めてくれ慧音」
再びきた俺に驚いたらしいが、最後の頼みの綱だ。
「あ、あぁ。別に私は構わないんだが……」
やはりこんな男を泊めるのは嫌か……
「あいにく今日は先客がいてな」
先客?そうかそれならば仕方ない。
「分かった。悪かったな、何度も世話になろうとして」
「いや、こちらこそすまない。力になれそうになくて」
さて、じゃあやはりここらで野宿が無難か……そう考えた時
「慧音、誰か来たのか?」
「あぁ、私の知り合いだ。」
先客、だろう。しかし声は聞き覚えがあった。
「ん?あんた、この前のおっさんじゃないか?」
「あぁ、久しぶりだな」
そう、あの竹林の少女だった。
「と、いうわけだからおっさん。ゆっくりしてけ」
「おい妹紅。ここは私の家だ」
少女、妹紅の承諾を得て、私は泊めてもらえるようになった。しかも部屋がないそうで全員同じ部屋だ。
そして妹紅にもこれまでの経緯を話した。
そして話は私の呼び方についてとなった。
「で、私たちは貴方の事を何と呼べばいいんだ?」
「そうだな……財布があればそこに名刺があったのに」
お金もあった。こんなに苦労することもなかったのだ。
「とりあえず、「おっさん」では失礼だよな」
「そう思ってたなら止めてくれ」
「おまえは何がいいか決まってるか?」
俺か?そうだな…
「二人の呼びやすい名前にしてくれ」
自分の名前なんか恥ずかしくて決められん。そう思い布団を被る。
久しぶりの布団はあったかい。
どれくらい経っただろうか。
ふたりの話し声が遠くなっていき、気がついたら眠ってしまったようだ。
そして誰かに蹴られ眼が覚める
「あ、起きた」
「すまない。足がぶつかってしまった」
と慧音が謝る。別に大したことじゃないが。
「……なぁ慧音とおっさん。今思いついたんだが、
「沖田」
ってのはどうだ?」
「起きた?いや沖田か」
「あぁ、それなら慧音は「沖田」私は「おっさん」と呼べばいいんだ」
結局そう呼ぶんかい。
しかし、他に案はなく、今この瞬間から、私の名前が沖田となった。
本当に単純な動機だが。
「じゃあ沖田さん」
「んー、沖田でかまわん」
「そうだな。沖田、言い忘れていたがその布団は私のだ」
「先に言え」
私はそそくさと反対側の布団へと向かう。しかし
「あ、まておっさん。そこは私の場所だ」
なに?
「私は壁の近くでないと寝れないんだ。」
「いや、しかしお前」
そうなると私は真ん中の布団。二人の間で寝ることになる。
「別に私は気にしないさ」
慧音はそういうが、さすがにまずいというか……
「とりあえず寝ようぜ。おっさん」
……やむをえん。
私はその夜二人の女性の真ん中で寝るという事で、熟睡出来なかった。
ぬっくい
ここ何処……
そうだ慧音の家だ
そういえば妹紅もいるんだっけ
妹紅……もこう……
目を開けると妹紅がいた
「!!」
目の前に。眼と鼻の先に顔があった。妹紅の寝息がかかるほど近くにいた。きっと妹紅が寝てる間に私の布団に入り込んできたのだろう。しかし、私の鼓動は大人気なく高まっていった。
そういう目で見なければ一緒に寝ても大丈夫。そう考えていたが、ここで決壊した。
しかし私は妹紅の顔を長い時間見つめていた。
時間的にそろそろ起きてもおかしくはないが、
それでも目を逸らさなかった。
俺は俗に言うロリコンとかそういうのじゃないが、一度意識しだすと止まらない。
俺はこの娘に見とれていたのだ。
「う……んん……」
寝起きの妹紅と目があった。
……その後は想像に難くないだろう。
なにせ、妹紅の背中は壁にくっついていたのだから