転生先って、『夜桜さんちの大作戦』の世界?勘弁してくれよ!! 作:礼夢
無事にヤムチャになりました
〈梅side〉
俺の最推し(凶一郎)に案内してもらった部屋には、見知った2人が居た。
白髪ツインテールの女の子に、緑髪の男の子。
…どうしても既視感がある。
俺は背筋が凍りつきそうになった。
「おや、お客さんかい?凶一郎」
「ひっ…誰…?」
ゔわぁぁぁぁ!?
脳筋ゴスロリの二刃さんに、弱腰マッチョの辛三!?
後の金級スパイが集まってるってどういう状況!?
俺って今日命日なの!?
俺が凶一郎の背中に隠れていると、凶一郎は苦笑いしながらも話しかけてくれた。
「大丈夫。僕の妹と弟だよ!」
知ってるよぉ…知ってるからこそなんだよぉ…
ほら、辛三なんか半べそかきながら手にライフル持って警戒してるから!
敵意MAXだよ!お家帰りたい!
「アタシは『夜桜 二刃』だよ。宜しくね」
「あ…『神楽木 梅』です…」
二刃は近寄って手を差し出してきた。
握手かな?取りあえず、応じないと痛い目に遭いそうだし…
そう思い、手を握った瞬間だった。
「―うぇっ!?」
体が宙に浮く感覚。わけもわからぬまま、何とか流れを受け入れて着地した。
「へぇ。私の合気の流れを読み取って、モノにしちゃうとはね。もしかしなくても、同業者だね?」
「あはは…まぁ、そうですね」
こっっっっっわ!!!!
初対面でいきなり人の事合気で投げてくるとか、尋常じゃねぇよ!?
スパイとしては当然の警戒心だろうけど!
…だが、受け入れられたみたいで良かった。
これで早々処刑、なんてルートは避けられたみたいだな。
「…それ…もしかして、神楽木家の名刀、『白梅』…?」
「あ…コレ?」
俺の腰に帯刀してある刀。神楽木家の名刀の情報も、武器マニアの辛三の耳には入っていたようだ。
…目が輝きまくってるよ。
試しに刀を手に持って、色んなところに動かしてみる。
辛三の目は刀に釘付けになっていて、何処に動かしても目で追っているのが面白かった。
「…良かったら、触ってみる?」
「!」
『白梅』を辛三に手渡すと、興味津々といった様子で隅々まで観察している。
「鍔の部分の彫刻が…」とか、「刀身の長さに、材質は…」とか、俺でさえちんぷんかんぷんな言葉の羅列が聞こえる。
解釈一致。うん、ありがとう。
「幼いのに何故刀を持っていたのか不思議だったけど、あのスパイ名家、神楽木家の子供だったのかい。
試すような真似をしてすまないね」
二刃はどこから取り出したのか、夜桜饅頭を俺にくれた。
「あ、ありがとうございます」
「歳もそこまで離れていないだろう?敬語は不要さね。
ところで、いくつなんだい?」
「4歳でs…ん"んっ、4歳だよ」
敬語口調になりかけた瞬間、二刃からの無言の圧が飛んできた。
慌てて軌道修正したから助かったけど。
てか夜桜饅頭想像以上に美味しいな。
そういえば、俺は辛三と同い年なのか。
てことは、凶一郎が6歳、二刃が5歳。
もうすぐで任務に出る歳になるのか。
夜桜家は、ひとまず七悪以外全員生まれたのかな?
「ところで、何して遊ぼうか、梅ちゃん?」
「うーん…」
凶一郎の問いかけに頭を悩ませる。
参加者俺のみの、帰宅RTAとか最高だと思うけど。
「鬼ごっことかしよっか?」
鬼ごっこ、か…
懐かしいなぁ。俺も前世、ガキの頃よく遊んだもんだ。
「バリア!」とか「あ、あそこにHIK●KINが!」とか、卑劣な真似をしてくる奴等はぞろぞろいたけど。
今世の俺の身体能力で、果たしてどこまでこの化け物一家と争えるのか。
データとしては確かに欲しいかも。
「…みんなが良いなら、遊びたいな」
「アタシは構わないよ」
「僕も賛成。でも、見たところ、辛三は梅ちゃんの刀に夢中だから…ゴリアテに鬼役を任せようか」
「え?」
凶一郎の提案と同時に、扉から入ってきたのは黒い犬。
夜桜家の番犬、『ゴリアテ』だ。
わぁ〜っ、可愛いマスコットだぁ。(←白目)
なんかめっちゃ俺の足に擦り寄って来ない?
敵意剥き出しにしてくんなよ、頼むから。
「おや、ゴリアテが初対面の子に威嚇しないなんて、珍しいねぇ」
「え、そうなの?」
…でも、確かに。太陽なんて指噛まれてたもんな。
そう考えると、割と好印象…?
「じゃあ早速、庭に出ようか!屋敷には多くの罠があるから、しっかりついてきてね、梅ちゃん!」
「(ヒュッ)」
やっぱり油断出来ねぇ。悪魔の屋敷だ、此処。
*
改めて、夜桜家の庭凄い広いな。
神楽木家もそれなりに広かったが、稽古場が隣接してるせいでここまで開放感は無かった。
「じゃあ、10数えたら僕達を捕まえにきてね、ゴリアテ!」
「え?もうスタート?」
凶一郎と二刃が散って逃げていく。
俺は完全に出遅れた。
これ、捕まったら噛まれたりする?何となくそんな雰囲気するし、俺も全力で逃げなければ。
「転生してから、足は速くなったんだよな」
…そう。今世の俺はなんと、脚力に特化していたらしい。
特に、走力なんかは凄かった。
鍛え上げればウサイン・ボ●トは軽々と越えるのではないだろうか?というくらい。
足に力を貯めて、疾走を開始する。
「ガウッ!」
…ゴリアテのカウントダウンが終わったみたいだ。
直ぐ様俺達を追ってくる。
(いや、普通に圧が怖いし!なにちゃっかり大きくなっちゃってんの!?噛まれるどころか轢かれても死ぬ自信あるよ!?)
俺は内心の恐怖を押し隠しながら、この場を生き延びるために無我夢中で走り続けるのだった。
本編時空になった瞬間、書きやすくなるんだろうなぁ…