転生先って、『夜桜さんちの大作戦』の世界?勘弁してくれよ!!   作:礼夢

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作戦4 思うようにいかない

「ハァ…死ぬかと思ったぁ…」

 

10分間の鬼ごっこという名のデスレースをクリア出来て良かった。本当に良かった。

生きてる心地しなかったもん。

やっぱ夜桜家って異常だよ、異常。

 

「梅ちゃんすごいね!あんなに足が速いなんて!」

「うへぇ…ありがと…」

 

最推し(凶一郎)の笑顔を見ると、自然と回復してきたから不思議だ。

前世男の俺でも惚れちゃうよ、こんな笑顔向けられたら。

 

「本当なら梅と手合わせしてみるってのも、良い訓練になりそうなんだけどねぇ…」

「それだけは勘弁して下さい(キッパリ)」

 

何言ってるんだ、二刃姉ちゃん。

そんなの訓練にならないだろ。一方的な暴力だよ。

これだけははっきり断っておかないと、後々痛い目を見る。

まぁ、出来ればもう会わない、っていうのが1番平和で俺も嬉しいんだけど…

(原作の世界観を俺自らぶち壊す、なんて失態は絶対犯したくないから!絶対に!)

 

「梅ー、待たせてごめんなさいね。そろそろ帰るわよー」

 

来たぁぁぁぁ!!母上ナイスタイミング!

俺は心の中でガッツポーズをとった。

 

「じゃあ辛三から刀、返してもらわないとだね」

 

*

 

「今日はありがとうね、梅ちゃん!凶一郎達もいつもより楽しそうにしていたわ」

「それは何よりです」

 

俺は死にそうになってましたけどね?

まあ、魅力的なあのキャラ達に会えたんだし、嬉しいという気持ちもあったけど。

 

「…梅ちゃん」

「?」

 

さっきからヤケに静かに見送りに来ていた凶一郎が、突然俺の手を取った。

 

「また、遊びに来てほしいんだ」

「えっ、」

 

ごめん、なんで?

俺と君達の距離感って、この短い間でそんなに縮まったの?

一応今日が初対面なんだよ?(俺は厳密に言えば違うけど)

 

いや…この家族とはもう金輪際関わりたくな、い…?

 

そう言おうと口を開いたが、真剣な表情で俺を見つめる凶一郎を見ると、心が痛たまれた。

クソぉ…可愛いよぉ…

これじゃあ嫌だ、なんて言えねぇじゃねぇかよぉ…

俺は出来るだけ自然な笑顔をつくって、

 

「…うん!また会おうね!」

 

とは言っておいた。

「遊ぶ」とは言っていないぞ。

だが、その言葉を聞いた凶一郎の顔がめっちゃ輝いていた。

うん、ごめんね。騙すような真似をして。

 

「それじゃあ、じゃあね!神楽木さん!」

「じゃあねー!」

 

零さんと凶一郎に見送られながら、俺は屋敷を後にした。

寂しいなんて感情が微塵も湧いてこないから不思議だ。

むしろ凄い清々しかった。

 

*

 

〈凶一郎side〉

 

「珍しいわねぇ、凶一郎が初対面の女の子とあそこまで仲良くするなんて」

 

母さんが夕食の時、ぽつりと呟いた。

 

「な、何!?凶一郎にガールフレンドが出来ただと!?父さん初耳だぞ!?」

「言ってないからね」

 

父さんは身を乗り出して話題に食いついてきた。

 

「どんな子だったんだ!?今日の任務さえ入っていなければ、この目でどんな子か見る事が出来たのに…!」

「父さん、黙って」

 

質問攻めしてくる父さんを静かにさせる。

 

「アタシ等と同じスパイだっていうし、今後とも関わる機会は増えていくだろうさ。

良い子だったし、アタシももっと仲良くなりたいよ」

「確かに!凶一郎なんてそのうち、梅ちゃんの事好きになっちゃったりー!?…なんてね!」

「―え、」

 

母さんの言葉に引っかかりを覚えた。

僕は、梅ちゃんの事、どう思っているんだろう…?

 

*

 

〈梅side〉

 

「さぁ、梅!あと打ち込み300回よ!頑張りなさい!」

「腕もぎれるんですけど!?」

 

地獄のような訓練は未だに継続中だ。

毎日母上との打ち込み稽古500回、素振り300回。

あとは走り込みだったり。

俺もだんだん化け物に育成されてきたな。

大体の訓練は、「これをしなさい」と、俺に拒否権が与えられないまま黙々とこなしていたんだけど。

 

 

*

 

―翌日。

母上から呼び出しを食らった。

俺は分かる。こういう場合はろくな事が無い。

 

「梅、初任務よ」

「…ん?」

 

初任務だって?嘘だろおい。

俺、4歳。ちょっと早すぎやしないですかね?

二刃姉ちゃんだって任務は5歳から、って言ってたぞ。

 

「とある密輸組織の制圧任務が届いているの。

初級任務だし簡単よ。ちゃちゃっとこなしてきなさいね」

 

んなアホな。何がちゃちゃっとこなしてきなさいね、だ。

制圧任務をおつかいか何かだとでも思っているのか?

 

「あぁ、それと。梅は今回初任務だからという事で、夜桜さんから助っ人が来てくれるらしいわよ。

感謝しなさいね」

「………はい?」

 

おかしいな、幻聴かな?

幻聴だとむしろありがたいんだけどな。

何で夜桜家と合同の任務なんですか????

 

「何でも、貴方と任務がしてみたいらしくて…」

 

そんな気軽に任務に出たがるの?あの一家って。

ともかく、非常にマズイ状況だ。

死の危険性はだいぶ減少されただろうが、極力あの家族と接触したくない俺にとっては大きな誤算だ。

そこは断っといてくれよ、母上。

 

「今から30分後に迎えに来てくれるらしいから、今のうちに準備はしておきなさいよ」

「いや、でも…」

「返事は「はい」、よ」

何そのブラック企業の上司みたいな言い草。

「……………はい…」

 

俺って前世、余程神に嫌われてたんだろうな。

泣く泣く俺は、来たる30分後を待つのだった。

 

 

 

 

 

 




2期の2クール目って、原作何巻辺りまでなんだろ。
18、19辺りかな?
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