転生先って、『夜桜さんちの大作戦』の世界?勘弁してくれよ!! 作:礼夢
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「ハァ…死ぬかと思ったぁ…」
10分間の鬼ごっこという名のデスレースをクリア出来て良かった。本当に良かった。
生きてる心地しなかったもん。
やっぱ夜桜家って異常だよ、異常。
「梅ちゃんすごいね!あんなに足が速いなんて!」
「うへぇ…ありがと…」
最推し(凶一郎)の笑顔を見ると、自然と回復してきたから不思議だ。
前世男の俺でも惚れちゃうよ、こんな笑顔向けられたら。
「本当なら梅と手合わせしてみるってのも、良い訓練になりそうなんだけどねぇ…」
「それだけは勘弁して下さい(キッパリ)」
何言ってるんだ、二刃姉ちゃん。
そんなの訓練にならないだろ。一方的な暴力だよ。
これだけははっきり断っておかないと、後々痛い目を見る。
まぁ、出来ればもう会わない、っていうのが1番平和で俺も嬉しいんだけど…
(原作の世界観を俺自らぶち壊す、なんて失態は絶対犯したくないから!絶対に!)
「梅ー、待たせてごめんなさいね。そろそろ帰るわよー」
来たぁぁぁぁ!!母上ナイスタイミング!
俺は心の中でガッツポーズをとった。
「じゃあ辛三から刀、返してもらわないとだね」
*
「今日はありがとうね、梅ちゃん!凶一郎達もいつもより楽しそうにしていたわ」
「それは何よりです」
俺は死にそうになってましたけどね?
まあ、魅力的なあのキャラ達に会えたんだし、嬉しいという気持ちもあったけど。
「…梅ちゃん」
「?」
さっきからヤケに静かに見送りに来ていた凶一郎が、突然俺の手を取った。
「また、遊びに来てほしいんだ」
「えっ、」
ごめん、なんで?
俺と君達の距離感って、この短い間でそんなに縮まったの?
一応今日が初対面なんだよ?(俺は厳密に言えば違うけど)
いや…この家族とはもう金輪際関わりたくな、い…?
そう言おうと口を開いたが、真剣な表情で俺を見つめる凶一郎を見ると、心が痛たまれた。
クソぉ…可愛いよぉ…
これじゃあ嫌だ、なんて言えねぇじゃねぇかよぉ…
俺は出来るだけ自然な笑顔をつくって、
「…うん!また会おうね!」
とは言っておいた。
「遊ぶ」とは言っていないぞ。
だが、その言葉を聞いた凶一郎の顔がめっちゃ輝いていた。
うん、ごめんね。騙すような真似をして。
「それじゃあ、じゃあね!神楽木さん!」
「じゃあねー!」
零さんと凶一郎に見送られながら、俺は屋敷を後にした。
寂しいなんて感情が微塵も湧いてこないから不思議だ。
むしろ凄い清々しかった。
*
〈凶一郎side〉
「珍しいわねぇ、凶一郎が初対面の女の子とあそこまで仲良くするなんて」
母さんが夕食の時、ぽつりと呟いた。
「な、何!?凶一郎にガールフレンドが出来ただと!?父さん初耳だぞ!?」
「言ってないからね」
父さんは身を乗り出して話題に食いついてきた。
「どんな子だったんだ!?今日の任務さえ入っていなければ、この目でどんな子か見る事が出来たのに…!」
「父さん、黙って」
質問攻めしてくる父さんを静かにさせる。
「アタシ等と同じスパイだっていうし、今後とも関わる機会は増えていくだろうさ。
良い子だったし、アタシももっと仲良くなりたいよ」
「確かに!凶一郎なんてそのうち、梅ちゃんの事好きになっちゃったりー!?…なんてね!」
「―え、」
母さんの言葉に引っかかりを覚えた。
僕は、梅ちゃんの事、どう思っているんだろう…?
*
〈梅side〉
「さぁ、梅!あと打ち込み300回よ!頑張りなさい!」
「腕もぎれるんですけど!?」
地獄のような訓練は未だに継続中だ。
毎日母上との打ち込み稽古500回、素振り300回。
あとは走り込みだったり。
俺もだんだん化け物に育成されてきたな。
大体の訓練は、「これをしなさい」と、俺に拒否権が与えられないまま黙々とこなしていたんだけど。
*
―翌日。
母上から呼び出しを食らった。
俺は分かる。こういう場合はろくな事が無い。
「梅、初任務よ」
「…ん?」
初任務だって?嘘だろおい。
俺、4歳。ちょっと早すぎやしないですかね?
二刃姉ちゃんだって任務は5歳から、って言ってたぞ。
「とある密輸組織の制圧任務が届いているの。
初級任務だし簡単よ。ちゃちゃっとこなしてきなさいね」
んなアホな。何がちゃちゃっとこなしてきなさいね、だ。
制圧任務をおつかいか何かだとでも思っているのか?
「あぁ、それと。梅は今回初任務だからという事で、夜桜さんから助っ人が来てくれるらしいわよ。
感謝しなさいね」
「………はい?」
おかしいな、幻聴かな?
幻聴だとむしろありがたいんだけどな。
何で夜桜家と合同の任務なんですか????
「何でも、貴方と任務がしてみたいらしくて…」
そんな気軽に任務に出たがるの?あの一家って。
ともかく、非常にマズイ状況だ。
死の危険性はだいぶ減少されただろうが、極力あの家族と接触したくない俺にとっては大きな誤算だ。
そこは断っといてくれよ、母上。
「今から30分後に迎えに来てくれるらしいから、今のうちに準備はしておきなさいよ」
「いや、でも…」
「返事は「はい」、よ」
何そのブラック企業の上司みたいな言い草。
「……………はい…」
俺って前世、余程神に嫌われてたんだろうな。
泣く泣く俺は、来たる30分後を待つのだった。
2期の2クール目って、原作何巻辺りまでなんだろ。
18、19辺りかな?