転生先って、『夜桜さんちの大作戦』の世界?勘弁してくれよ!! 作:礼夢
…結局、初任務に連行されてしまった。
問題は、"誰との任務か"という事なんだが…
「凶一郎、どっちが多く敵を片付けられるか勝負ね」
「良いよ!絶対負けないからね、二刃!」
…まさかの長子組ペアでした。
気まずいし、この2人が揃ったら喧嘩になる予感しかしない。
ああ…今すぐ帰りたい。
「あの…なんで2人共、今日は来てくれたの?」
余計なお世話だぞ、という皮肉も込めて尋ねてみる。
これに答えてくれたのは二刃だ。
「はっきり言うと、梅の実力が知りたかったからだね。
神楽木家は代々、夜桜と良いライバルだったみたいだし」
「先祖を呪いたい」
「そういうのはあまり声に出さない方が良いよ」
夜桜家と神楽木家がライバルだって?
笑わせてくれるじゃないか。
化け物一家と能力で争ってどうするというんだ。
神楽木家は代々、『護衛スパイ』として派遣されるものがほとんどだという事だったし、そもそもジャンルさえ違うだろうが。
「じゃあ、そろそろ敵地に乗り込もうか。
行けそう?梅ちゃん」
「うん、早く終わらせて帰ろうね」
「わぁ、すっごいやる気だ」
さっさと終わらせて、早く家に帰らせてもらうからな。
*
こうして、俺の初任務が始まった。
恐怖心は勿論あるが、任務に対しての不安は無かった。
ある程度、俺の実力は過大評価無しで把握しているのだが、それでもこの任務の攻略は些事だと確信出来たし。
…確かに神楽木家の血筋はえげつなかったみたいだ。
それに、俺は転生前、『夜桜さんちの大作戦』を読み込んでいた事により、スパイとしての心得も何となく知識としては入っているし。
(ぶっちゃけ、俺は何もしなくても後の2人が何とかしてくれそうだけど…)
*
「それで、どんなルートで攻めるの?」
慎重に辺りの様子を伺いながら、隣の2人に尋ねる。
「どうって、逃げも隠れもせず乗り込めば良いだけじゃないかい?」
「ひょっとしなくてもお馬鹿なのかな?」
流石、期待を裏切らない脳筋っぷりだぜ、二刃姉ちゃん。
いくら君が強いからといっても、その考えはいずれ身を滅ぼす事になるぞ。原作完結まで読めてないから、あくまでこれは憶測だけど。
「二刃ちゃん、隠密第一。ゼッタイ」
「その通りだよ、二刃。数では圧倒的に此方が不利なんだし。落ち着いて行動しよう」
「…分かったよ」
本当に、急に暴れ出すとか勘弁してくれよ?
「先ずは、敵の連絡網を封じていこうか」
ちなみに、これは原作1巻、作戦6の「フラワー便本社」での凶一郎の教えを元にした発言である。
(唐突な宣伝)
*
…その後、難なく敵のアジトの電源を落とす事に成功。
連絡手段も、密輸用のデータやプログラムも機能しなくなったわけだ。
こうなれば、後はやるべき事は1つ。
―ひたすら暴れる、それだけ。
「やれやれ、ようやくかい」
「敵の総数はおよそ100。中には手練れの殺し屋もいるみたいだし、気をつけてね、梅ちゃん」
「忠告ありがとう」
俺は白梅を静かに抜いた。
実戦で使うのは初めてだな。
「それじゃあ、任務開始!」
二刃の合図で、俺達は一斉に動き出す。
凶一郎は後方にて、愛用の武器、[鋼蜘蛛]を使用した。
(ああー!すげぇ、本物の鋼蜘蛛が見れてる!)
あんなに流動性あるんだ、すげぇな。
オタクの俺、大歓喜だ。
「侵入者確認!敵側の操作か、通信手段が無い!急いで奥に居る奴等に連絡を…」
「させるわけないでしょ」
俺は白梅で敵が構えていた銃口を切った。
驚くほど、容易く。
そのまま、敵の鳩尾に回し蹴りをお見舞いしてやった。
―白梅の性能は、簡単に言えば、「大体何でも簡単に切れる」というものだった。
初心者の俺には使い勝手の良い、嬉しい武器。
「ハァ…なるべく殺したくないしな」
転生前の論理感があるので、殺しは出来るだけしたくない。
あくまでも"制圧"が任務内容だしな。
「相手はガキだ!さっさと倒せ!」
敵に包囲されるが、心配は要らない。
むしろ、一気に寄ってきてくれてありがたい限りだ。
すまんな、お前等。俺はさっさとこの任務を終わらせたい一心でいるからな。
「僕を殺したいなら、この速さに着いてきなよ」
俺の得意のスピード戦。速さで圧倒し、白梅で切る。
至ってシンプルで、相当凶悪な戦法。
…順調に、敵の数を減らしていった。
*
「いつの間にか、あの2人と離れちゃったな…」
急いで合流しようと、アジト内を駆け回る。
そこまで広くないアジトだし、そのうち見つかるだろ。
そんな風に気楽に捜索していると。
「あ、凶一郎くん」
本当にあっさりと見つかった。
目の前には、鋼蜘蛛で吊るし上げられている敵達と、平然と佇んでいる凶一郎。
やっぱこの時から強いんだな、流石推し。
「梅ちゃん、そっちは順調?」
「まあまあかな、凶一郎くんには敵わないよ
(ガチの謙遜無し)」
…これから、もっと強くなるんだもんなぁ、凶一郎は。
今回、自分が実際に任務に出てみて、改めて認識させられた事があった。
…夜桜家のみんなは、心から強いんだな、と。
こんなに幼い時から、こんな絶大な宿命を背負わされて、過酷な任務に出なければならないのだから。
命の危険だってあるのに…
(…なるべく関わりたくないとは言ったが、凶一郎達が行き詰まった時、相談とかに乗るくらいは、したいな)
「あの…」
少しでも親身になろうと話しかけた、その時。
凶一郎の後ろで、不自然な光が反射していた。
「―っ!」
急いで目で追った先には、スコープを構えたスナイパーが居た。
その銃口が捉えた先には、凶一郎がいる。
静かに、弾が放たれたのが分かった。
(これは、防御が間に合わない…!)
「凶一郎!!」
俺は咄嗟に、凶一郎の体を押していた。
戦闘シーン書くセンスがないのが辛い。
初投稿作品(プロジェクトセカイの騎士イベモノだった)を消したのも実はその理由があったりする。
空白の隙間が多いほど、時間は経過していると思って下さい