転生先って、『夜桜さんちの大作戦』の世界?勘弁してくれよ!!   作:礼夢

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雪ちゃんスフレの発売待ってます
個人的に青リンゴ味が気になる


作戦6 もう金輪際、ライフルは見たくない

ドン!

 

という鈍い音を立てて、弾丸は俺の肩を抉った。

(いってぇぇえぇぇ!!)

俺はその場で肩を押さえた。

本当、よく叫ばなかったな、俺!

めっちゃ痛いよ、泣きたい!

けれど、避けられた事に戸惑っているスナイパーを仕留めるには、今が絶好の機会だった。

ぐずぐずしている場合ではない。

 

「よくもやりやがったなクソ野郎…」

 

と、近くにいる凶一郎に聞かれないように、静かに素の口調で文句を呟きながら、俺は自慢の脚力で一気に上へと跳躍する。

ライフルをとにかく白梅で切り刻み、スナイパーの頭を踏んづけて気絶させた。

殺しはしたくないからな。良かったな、俺が相手で。

 

「梅ちゃん!」

 

慌てて凶一郎が駆け寄ってきて、俺の体を気遣う。

 

「本当にごめん、僕の不注意で…」

「いや、おr…ん"んっ、僕が気を逸らせちゃったみたいだし。

謝らないでよ」

 

それに、推しの泣いている顔を見るのって、オタクにとっては結構心にくるんだぜ。

凶一郎は俺の肩を懸命に手当てしてくれた。

正直、我慢してるだけで本当に痛いのだが…

前世、腹部に深くまでナイフを刺された俺にとっては、まだマシ、と言えるレベルだった。

…改めて、感覚麻痺してんな、俺。

 

「凶一郎、梅!大丈夫かい?」

 

二刃が此方の様子に気付いたようで、慌てて駆け寄って来る。

良かった、合流できた。

 

「その傷…撃たれたのかい?」

「あっははは…いやぁ、僕は修行不足だよね。

帰ったら母上に訓練増やされちゃうよ」

 

凶一郎の罪悪感をこれ以上増やさないように、俺は軽く誤魔化しておいた。

それに、俺の実力不足、というのは事実だし。

犠牲になる前に、弾丸を切れてたら…とか、もっと早く気づいて避けられてたら…とか。

反省点は山程出てくる。

今回は凶一郎と二刃が手伝ってくれたから、任務は成功したけれど、今後はそうも言ってられない。

俺ももっと強くならないと。

 

*

 

「あのー、凶一郎くん。僕、普通に歩けるから降ろしてもらって大丈夫だよ…?」

「駄目。安静第一」

 

あ、ありのまま、今起こっている事を話すぜ!

迎えの夜桜の車までの道中、「怪我をしてるから」と言われ、凶一郎に背負われていた。

…もう一度言う。背負われていた。

(いや、いやいやいや!心は男の俺でも、推し(男)に背負われるとかいうイベント発生したらときめいちゃうよ!?)

絵面としては良いのかもしれないけどね!?

どうしよう、これ以上関係が良好になった場合、俺としては非常にマズイのだけれども…あ。

 

「そ、そういえばさっき、いきなり呼び捨てにしちゃってごめん!あの時はちょっとパニックになっちゃって、咄嗟に、っていうか…」

 

俺が撃たれる直前、つい無意識に、呼び捨てにしてしまった事を今更ながら思い出す。

どうしよう、我ながらなんて事を…

 

「気にしてないよ。むしろ、僕だけくん付けされる事、ちょっと寂しく思ってたんだ」

「…え」

 

少しばかり耳を疑った。

これから十数年後、変態ストーカーと化するヤツの発言とは思えなかったからだ。

え、幼少期こんな可愛かったの?

改めて、原作完結前に死んでしまった事に対する悔しさが芽生えてくるよ。

 

「これからは、僕の事も呼び捨てで良いからね」

「あぁ…うん。なら、僕の事も、呼び捨てでお願い…」

 

ぶっちゃけ、俺もちゃん付けは気恥ずかしさがあったので、呼び捨てにしてもらうとありがたくはある。

…てか、この会話からするに、夜桜家とはまた会う前提なんですね。

俺からすればもう会わない、って事になってくれるのが1番平和的で嬉しいんだけどね。

 

*

 

「ただいま戻りましたぁー…」

 

 

俺は自宅に戻ってきた。

初任務は成功(怪我したけど)したし、叱られる、という事は無いだろう。

 

「あら、どうしたの梅、その怪我」

「あー…ちょっと油断して、撃たれてしまいまして」

「違います、神楽木さん。梅は僕の事を庇ってくれたんです」

 

言わなくて良いよぅ、そんな事ぉ…

律儀なのは良い事だと思うけど。

止めろ、そんな視線を向けてくるな、母上。

その視線は、どっからどう見ても、「まさか、あの梅が…!?」とか考えてるやつだろ。

 

「梅、今日は本当にごめん。僕も次は、梅を守れるようにもっと強くなるから」

「あぅ…」

 

そんなに使命感を背負わないでくれ、頼むから。

アンタは1人で頑張りすぎなんだよ。

それにもう夜桜とは関わりたくな((

 

「…今日の事は気にしないで。凶一郎は人一倍頑張ってるんだから、たまには周りの誰かを頼ってよ」

 

周りの誰か=俺、とは言っていないからな?

原作を知っている俺だからこそ言えるアドバイスだ。

どうか、心に刻んでおいてほしい。

 

「…うん、ありがとう!梅!」

 

すんげぇ輝かしい笑顔で、凶一郎は「バイバイ!」と、車に戻っていった。

はぁ、今日は本当に疲れた。

生きて家に帰ってこれて良かったよ。

これで暫くは、安心安全な生活を送れ…

 

「さて、梅。次こそは怪我を負わないように、これからは更に厳しく訓練していきましょうね」

 

…そうにないですね。

分かってたよ、この野郎。

 

俺はこの日から、ライフル恐怖症になるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでも良い補足ですが、
本作の主人公の神楽木梅と、コミックス1巻に登場するヤクザの梅は全く関係ないです。
(本当にどうでも良い)
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