転生先って、『夜桜さんちの大作戦』の世界?勘弁してくれよ!! 作:礼夢
梅のスクールライフの詳細はすっ飛ばします。
=物語の時空が一気に飛んでいます。
俺が(不本意ながらも)この世界に転生してから、十数年の時が過ぎた。
…時空が飛びまくっている事に関してはどうか触れないで頂きたい。
この長い年月で俺は、自分で言うのもなんたが、容姿に更に磨きがかかっていた。
鏡を覗いた時に思わず驚いてしまうほどの、圧倒的美人になっていたのだ。モテたし、実際(全て断っている)。
…ちなみに胸はあまり無い。
俺は前世でもそういうのを見ても興奮なんかしなかったし、別に構わないけどね。
―そんなこんなで、俺も晴れて中学を卒業したのだ。
ちなみに凶一郎達が通っていた学校とは全く別のところだ。
学校でも夜桜家と関わらなきゃいけない、なんて事になったら地獄のスクールライフになるだろうし。
ここは母上に駄々を捏ねて、何とか話を承諾してもらった。
…そのくらい関わる事を徹底的に阻止しようと頑張っても、夜桜家の面々(主に長子組)は頻繁に俺の家に遊びに来たけれど。
関係は今でも友好的(不本意ながら!)だったのだ。
*
「梅。これからする話は、これからの貴方の人生にとって、とても重要なものです。しっかり聞きなさい」
「………嫌な予感しかしない…」
母上がこう話を切り出してくる時は、大体俺にとって不幸なニュースが舞い込んでくる時。
もう俺の頭の中でテンプレとなっていた。
抵抗しても無駄だという事は、今までの経験でしっかりと染み付いている。
俺は大人しく、母上と向かい合うようにして座った。
「神楽木家は護衛スパイとして代々活動してきた一族。
それは知ってるわね?」
「それは勿論です」
夜桜家とは違ったスタンスで結構名を馳せているらしいし。
天皇一族や、首脳等の政治家達。
また、他のスパイ達の護衛など、所属先は様々だったみたいだが。
そんな依頼主を、暗殺やテロから未然に防ぐ、というのが基本的な護衛としての役目。
「貴方は晴れて、"銀級"のスパイになった。
そして、義務教育期間も無事に終えたわ」
「つまり、そろそろ俺の護衛スパイとしての人生が始まる時期、って事ですね?予想付きましたよ、大体」
…マジかぁ。
まぁ、進学しなくても充分、裏社会で生きていける知能は身についたし、そんなもんかな。
早めの自立と捉えれば、そんなもんか。
もう吹っ切れてきたんだよ、色々と。
「今回、貴方を護衛として迎え入れたいという人が出てきているのだけれど…実際に会うまで、名前は伏せてほしいとの事なの」
何だよその怪しさMAXの要望。
「お試し期間という事で、取りあえず半年間、そこでお世話になりなさい」
「…あの、拒否権は」
「無いわよ。当たり前じゃない」
「ですよね、薄々分かってた」
相変わらず、この家は厳しいぜ。
俺は呆れつつ、一先ず現状を受け入れた。
*
「…待ち合わせ場所って此処で合ってるのかな…」
スパイ協会入口で待ち合わせって、中々無いと思うけどな。
まぁ、身バレしたくないんだろうし、公平にいきたいなら無難な場所なのかもしれないけど。
俺がそんな呑気に考えていた時。
「!!!」
俺は瞬発的に、近くの物陰へと身を隠した。
何故かって?協会内部から、「関わりを避けたい」人物が出てきたからだ。
「隠れても無駄だぞ、梅。
梅の事となれば、この俺が見逃すはずがないからな」
…そう、みなさんご存知、変態シスコン…
夜桜凶一郎だ。
ちゃんと原作通り、読者の期待を裏切る事なく、変態に育ってしまったよ。
しかも、
前回の純粋長男は何処に行ったんだ?(A.忘却の彼方)
「…奇遇デスネ」
「そう片言になるな。ところで、此処で何をしているんだ?」
「待ってるんだよ、依頼主を。
僕の護衛先の人が此処で待ち合わせって言ってきたんだけどさ…なかなか来なくて」
待ち合わせの時間はそろそろのはずなんだが、それらしき人物は近寄ってこない。
遅刻でもしてんだろうか?
約束は守ってほしいものだけれども。
「そうか。俺も、"とある人物"を待っていたんだけどな」
「…………ちょっと待って、嫌な予感しかしないんだけど」
このタイミングで待ち合わせが被るだと?
それに、何故過去形で言った?
俺は凶一郎と少しずつ距離を置きながら尋ねた。
「……ちなみに、その待ってる人って教えてくれたりする?」
「俺の隣で、段々距離を置き始めている女性だが」
「ですよね、うん、知ってた!!!」
神の馬鹿野郎!!!
俺って、知らない内に前世で犯罪犯したりした!?
どう見ても俺に対する恨みが凄いよね!?
俺、この世界に転生してから嫌な予感ばっか的中するんですけど!?勘弁してくれよ!
「多分それは人違いですね、てなわけで僕はちょっと他に用事思い出したからこれにて失礼(超速早口)」
「待て、逃げようとしているだろう?」
俺が逃走を試みたその時、凶一郎の鋼蜘蛛が俺の体を拘束する。クッソ、一足遅かった!
「何で僕が夜桜家の護衛なんかしなくちゃいけないんだよ!?君達、もう最強だよね!?
僕みたいな護衛必要無いでしょ!?」
「いくら文句があろうが、これは母さんからの伝言だ。
というわけで、拒否権は無い」
「どいつもこいつも僕に拒否権与えてくれないじゃん!
…って、零さんからの伝言?」
聞き捨てならないフレーズが出てきたので、喚くのを止めた。
どういう思惑だ?
俺は真剣に考える。
…今、俺は15歳。零さんは生きていて、六美は…
(……12歳?)
ちょっと待った、って事は……?
―あの最悪の悲劇が起こる年では!?
え?確かそうだったよね?
六美が12歳の時、零さんと一緒に"彼処"に…
…俺は背筋が凍りついた。
そんな時期に夜桜家の護衛として勤めなきゃいけないとか、いくら何でも笑えないから。
「さて、此処で長話もなんだし、そろそろ行くぞ」
「いや、ごめん!やっぱ無理!今すぐ家に帰らせてくれ!」
「言っただろう、拒否権は与えないとな」
「この鬼畜環境今すぐ改善しろぉぉぉ!!!」
散々抵抗するも、凶一郎は涼しい顔をするのみ。
俺はまんまと、凶一郎に無理矢理連行されてしまうのだった。
この小説、プロット作成無しで書いてるんだよね。
後が怖い。