1つ、弦巻主催のソリッドビジョンシステムお披露目イベントが開始。
2つ、参加者の1人である豊川祥子の実家である豊川グループがイベントの失敗を目論んで裏で暗躍を開始。それを事前に聞きつけた祥子が燈の警告を送る。
3つ、何も知らないましろと巴が暗躍に巻き込まれてただの立体映像が実体化。その攻撃が直撃した巴が負傷して滝壺へと
巴とましろがデュエルを始めるよりも少し前、1人の少女が歩いていた。
「歩き疲れて疲れた……少し休憩してからを……」
しかし、歩き続けた彼女は流石に疲れが溜まっており、流石に休憩しないと体力が持たないとは思っていたのだが、歩いている場所が悪かった。
「なんでこんな広い草原が…………」
彼女が歩いていたのは文字通りに何もない草原。
ピクニックに来るのならば絶好のロケーションかもしれないが、イベントで人を探して歩いている彼女にとっては何の目印もない草原は彼女にとてつもないストレスを与えていた。
「歩いても歩いても何もない……。
うぅ……せめて木でもあれば木陰に入って……こんな草だけの場所に寝っ転がる訳にも……
私以外誰もいないんじゃ………」
そのストレスだけではなく、彼女はイベントが始まってから今まで相手を求めて歩き続けていた事によってだいぶ疲れが溜まっており、今すぐにでも休みたいが、こんな平原に1人で転がるような事が出来ない彼女は当ても無く、疲れ切った表情を浮かべながら歩いていたのだが―――――――
「ん………あれは………!?」
「ん……?」
「人……っ!!」
今までずっと1人で自分以外誰もいないのかと錯覚しかけたところだったが、彼女が歩いていた視界の先には小さいながらに人のような影。
それを見た彼女は先ほどまでの疲れが吹き飛んだかのように明るい笑顔に戻り、駆け足でその影の方へと駆け寄っていったのだが――――
「へっ………?えっ……?」
影の近くまで来た彼女だったが、その口からは困惑の言葉が漏れてしまった。
それもそのはず―――――――
「薫先輩!?って馬乗っとる~!?」
「やぁ六花ちゃん。奇遇だね」
彼女改め、ロックが見つけた薫はあろうことか馬に乗っていたのだから―――――――
「何を驚いているんだい?」
「いや薫先輩!?馬!?どこから?」
「この子かい?ふふっ……近くの森で偶然出会ってね。少し話したら乗せてくれたんだ」
「えっ…?はぁ……?えぇ………?」
「ふむ……どうやら混乱してるみたいだね……」
ロックは薫が馬に乗っていることにツッコまずにはいられなかったが、そんなツッコミを受けている薫はその言葉に真摯に答えているものの、そんな説明では当然納得出来ずに困惑の言葉を漏らし始める。
そんなロックの姿を見た薫は少しだけ考える様な素振りを見せると、彼女はある意味予想外の行動を見せていた。
「だったらこの水筒の中身を飲むと良い。このイベントに参加する直前に美咲から貰ったスポーツドリンクだよ」
「えっ!?いただきます……!!」
薫はイベント前に美咲から貰っていた水筒を差し出すと、今まで休憩もしていなかったロックはその水筒を受け取ると物凄い勢いで水筒の中身を飲み始めていた。
「くぅ~!!でらおいしい……!!さいこうや……!!」
「ふふっ……喜んでもらえて何よりだ……」
「あっ……!!すいません!!たくさん飲んじゃって……!!半分も……」
碌に休憩も取っていなかったロックは気が付けば水筒の中身を半分近くまで飲み干してしまっており、それに気が付いた彼女はすぐに薫に謝罪するが、薫はそんな彼女を見てにこやかに笑みを返していた。
「何。構わないさ……私はこのルドルフに乗っていたからね」
「さっき出会った馬にもう名前つけとる……!?」
馬に乗っていたから疲れていないから問題ないと答えたが、薫は既にこの出会った馬に勝手に名前を付けていることに再びロックはツッコんでしまったが、薫はそれを一切気にしない。
「ところで六花ちゃん。君は相手を見つけたのかい?」
「いえ……その……薫先輩が初めてあった人で……」
「おや、そうだったのかい?
私はこのルドルフに出会う前に彩を見かけたんだが、残念ながらイベントの条件を終えた後で森の中にあった拓けた場所の中心で泣いていたよ」
「彩先輩が……!?」
「近くで慰めようとも思ったが、おそらくリサと花音に負けたのがショックだったんだろうと思ってそっとしておいたが……」
「そんな事が……!?」
始めて人と会ったロックに対して、薫は森の中で泣きじゃくっていた彩を見つけていた。
しかし、運が悪いことにそれは彩がリサと花音に成す術なく蹂躙され尽くした後。
流石の薫もそこで号泣していた彩に近づいて慰めることをせずにそっと彼女を1人にしておいたと伝えられると、ロックはどれだけ悲惨な出来事があったかなど想像も出来ずに驚くことしか出来なかった。
だが、これはイベントで戦わなければいけないさだめだというのを彼女に突きつけていた。
「六花ちゃん。もし良かったら私の相手をしてもらえないかな?
彩を見かけたが彼女はもうイベントを終えた後、つまり誰とも戦っていないのさ」
「……私で良ければ……!!お願いします!!」
「それは良かった…!!
ルドルフ。ここは危ないから少し離れていてくれ。……何、終わったらまた君に乗せてくれれば……あぁ……儚い……」
「薫先輩……馬と会話しとる……」
戦うイベントに参加している以上は戦わなければいけない。
それを理解していて年上の薫の方からロックに勝負の提案をすると、性格的にも自分から勝負を挑みにくいロックからすれば渡りに船でもありすぐに了承すると、薫はすぐに馬から降りると馬に対してここから少し離れるように伝えると、馬は言われた指示のままに薫の元から離れていく。
その光景にロックは何度目か分からないほどのツッコミを入れていたが、当然薫からそのツッコミに対しての答えはない。
返って来るのはこれから戦う相手に向ける熱い視線と、そこから伝わる正々堂々の騎士道精神だけだった。
「薫先輩!!……!!私の持てる全力でお相手します……!!」
「ふふっ……なら私も最高のマジックショーで六花ちゃんを持て成そう……!!」
「「デュエル…!!」」
そうして、草原のど真ん中と言う拓けたこの場所で、同じギターで高校のOGと現役生の対戦が始まったのだった。
「六花ちゃん、先行は私だ」
「構いません…!!」
先行をとったのは薫。
しかし、先行をとられて制圧盤面を敷かれる可能性があるはずのロックは後攻であることを全く問題にしている様子はない。
それを注意深く観察した薫だったが、彼女は飄々とした態度で手札を切った。
「では、舞台の幕を開けようか……私は《黒魔導のカーテン》を発動。
このカードはデッキと手札のいずれかから魔法使い族・闇属性モンスターを1体特殊召喚できる。
この効果は六花ちゃんも使えるよ」
「私も……?」
「だが、最初にカードを出すのは私からだけれどね。
私はカードの効果でこのデッキからこの舞台の主人公―――《ブラック・マジシャン》を特殊召喚。
そして、この効果で《ブラック・マジシャン》を特殊召喚したことで更なる効果が発動。
《ブラック・マジシャン》の名前が記された魔法・罠カードを1枚デッキから加え事が出来る。
この効果で私は《ティマイオスの眼》を手札に加える」
瀬田薫 LP:4000 手札:5枚
<瀬田薫のフィールド>
ブラック・マジシャン ☆7 ATK2500
「私はこの効果で…………モンスターは出さん!!」
「”出せない”ではなく”出さない”……つまり、条件に合うカードがデッキにあるという事かな?」
いきなりの大型モンスターを出す構えに入った薫に対して、ロックはモンスターを”出さない”との言葉に彼女は違和感を覚えつつも、何もしてこない以上は使えるようなものが無いと割り切り更に彼女はカードを切っていく。
「そして、私はこのターンに魔法カードを使ったことでフィールドのレベル7の魔法使い・闇属性である《ブラック・マジシャン》をゲームから除外して、EXデッキから《滅びの黒魔術師》を特殊召喚。
更にこのカードが特殊召喚に成功したこと発動できる効果で《ブラック・マジシャン》の名前が記されたカードを1枚手札に加える。
この効果で《師弟の絆》を手札に加えてからそのまま発動。
このカードは私のフィールドに《ブラック・マジシャン》がいる場合に発動が出来て、効果でデッキから《ブラック・マジシャン・ガール》を――――」
「待ってください!!《ブラック・マジシャン》は場には……!!」
「ふふっ……《滅びの黒魔術師》はフィールドと墓地に存在する限りは《ブラック・マジシャン》として扱うから条件は成立しているよ」
「なんやそれ!!デタラメな効果を……!!」
「そういうものさ……
さぁ、ステージのヒロイン《ブラック・マジシャン・ガール》をデッキから特殊召喚。
その後、デッキから《
瀬田薫 LP:4000 手札:5枚
<瀬田薫のフィールド>
滅びの黒魔術師(ブラック・マジシャン) ☆8 ATK2800
ブラック・マジシャン・ガール ☆6 ATK2000
伏せ1枚(黒・爆・裂・破・魔・導)
「ここまで動いて手札が減っとらん………」
「驚いてもらえたようで何よりだけれど、残念なことに私のマジックショーはまだ始まったばかりだよ」
「なんやて……!?」
薫が手札を一切減らさずにここまでの展開を見せていくことにロックは驚いていたが、まだ展開は終わっていない。
それを聞かされたロックは驚いていたが、そんな反応を前に薫は更に動きを続けていく。
「そして私は場の《滅びの黒魔術師》を対象にして手札から《ティマイオスの眼光》を発動。
このカードはフィールドか墓地にいる《ブラック・マジシャン》か《ブラック・マジシャン・ガール》のいずれか1体を対象にして発動し、その効果でそのモンスター1体のみを融合素材としてデッキに戻して、そのカード名が融合素材として記された融合モンスター1体を《ティマイオスの眼》の効果扱いで融合召喚する」
「1体で…!?」
「最もこの効果で特殊召喚したモンスターは次のターンのエンドフェイズに除外されてしまうけれどね。
効果で《滅びの黒魔術師》のEXデッキに戻す。そして出てくるといい!!《竜騎士ブラック・マジシャン》!!」
瀬田薫 LP:4000 手札:4枚
<瀬田薫のフィールド>
竜騎士ブラック・マジシャン(ブラック・マジシャン) ☆8 ATK3000
ブラック・マジシャン・ガール ☆6 ATK2000
伏せ1枚(黒・爆・裂・破・魔・導)
「《竜騎士ブラック・マジシャン》も《滅びの黒魔術師》と同じ様にフィールドと墓地に存在する限り、《ブラック・マジシャン》として扱う。
そして、その《竜騎士ブラック・マジシャン》を対象にして《ティマイオスの眼》を発動!!
このカードも《ブラック・マジシャン》1体素材に融合召喚を行う。
さっきの《眼光》とはフィールドのカードしか対象に出来ないのと、デッキではなく墓地に素材が送られるが、《眼光》の除外効果はないよ。
私は《竜騎士ブラック・マジシャン》を素材に融合召喚…!!
さぁ、この舞台の花形の登場だ……《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を融合召喚!!」
瀬田薫 LP:4000 手札:3枚
<瀬田薫のフィールド>
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ☆8 ATK3000
ブラック・マジシャン・ガール ☆6 ATK2000
伏せ1枚(黒・爆・裂・破・魔・導)
「なんやこれ………」
薫のフィールドに現れたのは圧倒的な威圧感を放つ《ドラグーン・オブ・レッドアイズ》を前にロックは驚愕するが、薫のショーはまだ終わらない。
「更に私は《
このカードは手札の魔法カードを見せることで手札から特殊召喚できる。
私は手札の《黒魔術の秘儀》を手札から見せることでこのカードを特殊召喚し、その後、デッキから《ブラック・マジシャン》の名前が記された魔法・罠カードを1枚に加えることが出来る。
この効果によって手札に《黒の魔導陣》を手札に加える。
そして、このカードもフィールドと墓地に存在する限りは《ブラック・マジシャン》として扱う」
瀬田薫 LP:4000 手札:3枚
<瀬田薫のフィールド>
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ☆8 ATK3000
ブラック・マジシャン・ガール ☆6 ATK2000
《
伏せ1枚(黒・爆・裂・破・魔・導)
「ここまでやるんか……」
「ここまで…?違うよ六花ちゃん、まだ続くんだ」
「そんな……!?」
「私は手札から《黒魔術の秘儀》を発動。
このカードは2つの効果から1つを選んで発動する効果で、今回は《ブラック・マジシャン》か《ブラック・マジシャン・ガール》を含んだ自分の手札・フィールドのモンスターを融合素材とし、融合モンスター1体を融合召喚する効果を選ぶ」
「まだ出るんか…!?」
「そうだよ。
私はフィールドの 《
さぁ、舞台に花を添えよう……《超魔導師-ブラック・マジシャンズ》を融合召喚!!」
瀬田薫 LP:4000 手札:2枚
<瀬田薫のフィールド>
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ☆8 ATK3000
超魔導師-ブラック・マジシャンズ ☆8 ATK2800
伏せ1枚(黒・爆・裂・破・魔・導)
「さて、登場予定のモンスターは以上になるよ」
「攻撃力が高いモンスターが2体も……っ!!」
「だが、舞台には予想外が付きものさ。
私は手札から《黒の魔導陣》を発動し、この発動に対して《 ブラック・マジシャンズ》の効果も合わせて発動する」
「さっき手札に加えてすぐに使わなかったのは……!!」
「これが理由さ……さて、効果の処理に入ろう。
《ブラック・マジシャンズ》の効果は1ターンに1度だけ、魔法・罠カードが発動した場合にカードを1枚ドローし、そのカードが魔法・罠カードの場合はそのままセットして本来ならセットしたターンに発動不可能な速攻魔法と罠を発動可能な状態にする……」
「ルールを曲げる効果……!?」
「そういうことさ……おや、残念だけれどこのカードは伏せないで手札に加えよう。
そして残った《黒の魔導陣》だが、発動した時にデッキの上から3枚を見てその中から《ブラック・マジシャン》1体またはそのカード名が記された魔法・罠カード1枚を相手に見せて手札に加える事が出来る。
………私は《マジシャンズ・サルベーション》を手札に加えて、他の2枚は好きな順番でデッキの上に戻すが、順番は関係ないね
私は今手札に加えたフィールド魔法《マジシャンズ・サルベーション》を発動し、デッキから《永遠の魂》をセットして、ターンエンドだ」
瀬田薫 LP:4000 手札:2枚
<瀬田薫のフィールド>
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ☆8 ATK3000
超魔導師-ブラック・マジシャンズ ☆8 ATK2800
フィールド魔法: マジシャンズ・サルベーション
黒の魔導陣
伏せ2枚
(黒・爆・裂・破・魔・導)
(永遠の魂)
「うっ……。なんて強そうなのばっかりなんや……」
そうして薫の長いターンが終わり、薫のフィールドには圧倒的な威圧感が放たれる。
かなり苦しい状況を前にロックは尻込みしそうになっていたが――――――
「でも、待ってるチュチュさんやレイヤさん達の為にも負ける訳にはいかないんや……!!」
彼女の勝利を待っているはずのバンドメンバー達の為にと彼女は目の前の圧倒的な状況へと果敢に立ち向かおうとするのだった。
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