さてと、今回もデュエル開始の導入です。
うん。サブタイでもう対戦カードネタバレしてるみたいですが……
今回はこの人たちです………!!
「ふぅ………だいぶ歩いてきましたが、しっかりと土が固まってるから歩きやすいですね。人の手が入ってる感じですね」
額にうっすらと汗をかきながら、1人の少女は道を歩いていた。
その道は明らかに人の手によって固められた土道であり、歩いていた彼女の顔には疲れを一切感じない。
「でも、普段使っているキーボードよりも軽いからまだ楽ですね」
歩いていた少女の名前は若宮イヴ。
そして、彼女の相方である彩はイベント開始早々に2連敗しており、その通知は彼女の元へも既に届いていたが―――――――
「アヤさんがあんなすぐに負けてしまったのは予想外でした。
事務所の人はアヤさんのデッキの方が強いからアヤさんで勝ちを稼ぐ作戦だったのに……」
事務所でスタッフまで巻き込んで練習していたが、アヤの方がデッキのパワー自体は高く、作戦としてはアヤが勝ちを稼いでイヴは2連敗してもいいから見せ場を作る作戦を考えていたのだが、結果的には彩が早々に2連敗をしたことでパスパレの作戦としては完全に破綻していた。
「アヤさんが戦ったのはリサさんとカノンさんですね……。2人とももうイベントを終えてしまってます……」
イヴは彩よりも早く通知が来たリサとほぼ同じタイミングで連絡が来た花音の2人が彩を倒したと言うことを察していたが、イベントを既に離脱してしまっている事もあるが、ルール上は戦うことが出来ない。
「出来れば、Roseliaかハロハピの人と戦ってアヤさんの仇討ちをしたいですが……」
そうなればイヴとしては彩が負けたバンドに勝利して彼女の仇を討ちたいと考えるが、物事はそう都合よく行かないということは分かっているのだが、出来るのならばどちらかでもいいからリベンジマッチをしたいと思ってしまうのは彼女の性格からすれば当然だった。
「ですが、とりあえず人を探さなくては………水の流れる音が聞こえますが、川があるのでしょうか……?」
だが、このイベントの性質上は誰でもいいから人を探さなければいけない。
彼女はとりあえず周囲の音を聞きつつも道の上をそのまま歩き、少し歩いていくと彼女の視界が一気に開いていくが、そこには彼女の予想を越えた光景が広がっていた。
「これは……花畑………それにしても辺り一面とは凄いですね……」
そこに広がっていたのは辺り一面に広がる花畑。
様々な色の花が咲き誇る光景にイヴは思わず目を奪われてしまった。
こんな場所に繋がるならば、先ほどまで彼女が歩いてきた道が整備されていたことも頷ける。
「薔薇が多いですね……。
しかも、砂利も敷いていると言うことはここは完全に人が手入れをしている場所のようですが………どこかに繋がっているのでしょうか……」
そして、その花畑には丁寧に人が歩けるように先ほどの道以上に手が加えられ、どこかに導くように伸びているよう感じたイヴは足を止めてその道が続く先へと視線を向ける。
すると、やはりと言うべきか手が入っているのはここだけではなく、同じ様に手の入った道が複数あったが、その道はある1点に向かうように整備されていた。
「それに……あれは東屋……いえ、西洋風ですからガゼボですね?……と言うことはここは庭園でしょうか?」
道が伸びる先に会ったのはガゼボと呼ばれる西洋風の小さな建物があり、そうなるとここは花畑ではなく庭園と言う表現の方が正しい。
そんな事を考えていたイヴだったが、彼女は遠くにあったそこへと視線を向けると―――
「誰かいますね……」
イヴはガゼボの中に人の影があったのを捉えた。
ここからでは遠くてその影が誰かは分からないが、確実に分かるのはただ一つ。
「アヤさんはイベントを終えているので、あの人は私が戦う相手ですね……行ってみましょう……」
彼女の前にいるのは戦う相手だというのが分かった彼女は少し遠くに見えるガゼボへ向かって歩き出していく。
そうしてイヴが向かっていた先では―――――――
「どうしよう……」
1人の少女が頭を抱えていた。
傍から見たら彼女がどうして頭を抱えているのかまるで分からないが、それにはちょっとした理由があった。
「今井さんが宣言通り2連勝してすぐ終わらせちゃったからプレッシャーが………」
頭を抱えていた少女の正体は燐子。
そして、その悩みの種は同じバンドのリサ。
自分はあこと何回かやって”勝率が良かったから”と言う理由で選ばれただけなのに対して、リサは今回の話が来た時点で早々に参加することを決めただけでなく、実際にイベントが始まれば圧倒的な速度で2連勝で勝ち抜けてみせた。
「このままここに居てもどうしようもないけど……どうしよう。今井さんの足を引っ張うんじゃ……」
このままではいけないという事も頭の中では理解こそしていたが、
リサの実績が燐子の中で大きなモノになってしまい、リサの―――しいてはRoseliaの足を引っ張ってしまうのではないかという不安になっていまい、どうしていいか分からなくなってしまっていた。
「ずっと考えてるけど………ここで誰かが来るのを待つ……?それとも移動して……でも途中で疲れて動けなくなったらどうしよう……」
そうした事が重なって、燐子はスタート地点になっていたこの場所から動くことが出来ずに今に至ってしまっていた。
「たのもー!!」
「ひっ……!!えっ…?若宮さん……?」
「リンコさんでしたか!!」
だが、この場にやってきたイヴによって燐子は悩む時間すらも奪われてしまった。
燐子は突然やってきたイヴに驚いていたが、イヴの方は燐子の方を見て笑っていた。
「ここにいたのがリンコさんで良かったです!!これでRoseliaに対してアヤさんの仇討ちが出来ます!!」
「えっ……?どういう……ことですか……?」
イヴからすれば彩を倒したリサが所属するRoseliaに仇討ちをするチャンスであるが、燐子はその言葉が理解できずに困惑の言葉を漏らすしか出来ない。
「アヤさんとカノンさんで結果が送られたタイミングが同じで、それより先に連絡が来たリサさんが来ました!!
そうなるとアヤさんはその2人に敗れたはずです!!」
「それは……そうかもしれませんが……」
「ですのでリンコさん!!いざ尋常に勝負です!!」
「うっ……」
「リンコさん?どうしたんですか?」
「その……今井さんがすぐ終わらせてしまってその……プレッシャーを感じてしまって……」
「なるほど……」
燐子はイヴの言葉を聞いて彼女が笑っていた理由を理解した。
確かにリサに負けた彩の仇を討つためにRoseliaと戦うのは理解出来るし、このイベントでは狙った相手を探す方が難しい中で目的の人物と会えたともなれば笑うのも分かる。
だが、燐子はイヴにプレッシャーに感じてい事を素直に伝えると、その言葉を聞いたイヴはすんなりとその考えに理解を示していた。
「プレッシャーを感じるのは私も同じ―――いえ、それ以上のプレッシャーです!!」
「えっ?」
「私がここで負ければパスパレはライブが出来るか出来ないかの絶体絶命の状況になりますが、リンコさんの場合は負けてもライブは確実に出来ます」
「それは……そうですが……負けたら曲が減ってしまいます……」
「確かに負けてしまうかもしれません。それは私も怖いですが、その恐怖を覚悟で乗り越えてアヤさんやパスパレの為に勝たないといけません……!!」
「っ…!!」
燐子はイヴの言葉に目を丸くした。
ここで負けたらライブへの参加が危ぶまれる絶体絶命の状況に追い込まれているイヴは覚悟が決まっていた。
そんな彼女に対して自分は負けたとしても曲が減るだけでライブが出来なくなるわけではない。
そんな状況と比べたら自分がプレッシャーを感じることが恥ずかしくすら感じ始めて、何時しか燐子の中ではプレッシャーが完全に消し飛んでいた。
「……分かりました。その勝負、受けます……」
「はい!!同じキーボードとして……負けられません!!全力でお相手します!!」
「そうですね………。こちらもRoseliaの為に……負けられませんから……」
そうしてプロとして活躍するキーボード同士の対戦がここに決まったのだった。
燐子とイヴ。
2人の対決が決まったのは中継を見ていた友希那達の元へも届いていた。
「燐子……花咲川の先輩後輩対決ね……」
「白金さんが勝てば……最高の結果も見えてきます………!!」
「イヴちゃん負けるな~!!」
「そうっすよ!!ここでイヴさんが負けたらパスパレは後がなくなってしまいます…!!」
Roseliaとパスパレ。
2つのバンドが互いのメンバーを応援していたが、パスパレの方がもう後がなくなる可能性を感じ取っていたのかその声にも熱が入っていた。
「ねぇねぇリサ姉。いぶってどんなの使うのかな~?」
「ん~……なんだろ~……」
「若宮さんの事ですから、サムライとかでしょうか……」
「紗夜さんのいう通りかも…!!リサ姉、そんなのあるの!?」
「あるよ。確か《六武衆》って言うがあって、後はクセが強い《超重武者》ってのがあったと思うけど、どっちかかな?」
熱が入るパスパレに対してRoseliaの方はイヴが使うデッキについて考えていたが、彼女の趣味を考えればリサが挙げた2つの内のどちらかが可能性が高い。
どちらも決まれば強力なデッキではあり、イヴならば今日の為に練習を重ねていることは容易に想像がつく。
リサとしても2つのうちのどちらかだろうと考えていたのだが―――
「ふっ……」
「千聖。何笑ってるの?もしかして正解だった?」
「違うわ。どっちでもないわよ」
リサの顔を見た千聖は不意に笑っていた。
その笑みを見て2つの内のどちらかだと思ったリサだったが、千聖はその2つのどちらでもないとハッキリと否定したが、そうなるとますますイヴのデッキが分からなくなる。
「イヴちゃんのデッキは凄いわよ。事務所の人も驚いていたわ……」
「マジで?そんな予想外なの?チェーンバーンとかロックデッキかな?」
千聖はイヴのデッキの正体を焦らすが、中継では既にデュエルが始まっていた。
その中ではイヴが先行でカードを手に取っていたが、その姿に千聖は笑みをこぼしていた。
「ふふっ……イヴちゃんのデッキは―――――――――」
『私の先行!!私は《隣の芝刈り》を発動します!!』
「”ロマンデッキ”って言うのよ……!!」
「ロマンデッキ……!!かっこいー!!」
千聖はイヴのデッキが”ロマンデッキ”だとキメ顔で口にしていた。
「うん。千聖。キメ顔のとこ悪いんだけど、茣蓙の上でキメ顔されても反応に困るんだけど……」
しかし、そのキメ顔も茣蓙の上と言うポジションが全てを台無しにしていたのだった。
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次回、超特大のロマンをお届け予定