心の怪盗団 対 超力兵団   作:モコモコイ

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 これ読むなら、原作ゲーム(P5R)だけでもやった方がいいかも?
 ライドウ、真・女神転生VVの要素もかなり多めだからそちらのプレイも。

 ちなみにP5Sはやってません。P5T、P5Xもわからない。アニメも見てない。オリキャラの名前P5Xとかいずれ出るP6とかで被ってしまうのだろうか…もしかしてもう被ってる?

 今回も後書き長いです。


1. カモシダパレス

「ハッハッハッハァ!敵がいっぱいで忙しいねぇ!」

 

 その美しい少女と見紛う美貌の少年が悪趣味な装飾が施された城の内部で赤く重厚な拳銃を乱射する。その風貌に合わぬ豪快な笑い声と共に立ち塞がる人の集合的無意識から産まれる怪物《シャドウ》を撃ち殺し、ただひたすらに城の上階を目指して突き進んでいた。

 彼の名は九十九(つくも)麟太郎(りんたろう)。なぜか女子制服姿で長く美しい艶やかな髪を二つ結びにしているが、れっきとした18歳の男だ。

 敵がいつまで経っても途切れない。それは当然だ。何故なら今この城はとある理由で警戒度が最大になっているからだ。麟太郎はそんな事などつゆ知らず、城の正面からゴリ押しで爆進していた。

 

 何故こんな事になっているのか。時間を数日前に遡る。

 

◯

 

4/15(金)午前

 

 18歳ではあるが、高校には通わず中卒で社会に出ていた麟太郎は本日仕事はなく、彼は偶然蒼山にいた。ちなみに麟太郎の仕事は何でも屋か便利屋かとでも言えば良いか。不安定な働き方だが案外何とかなっている。

 

 しかし、仕事は無いのにスーツ姿。実は彼、普段の服がスーツしかない。

 

「どーすっかなー」

『最近珍しく忙しかったですからね。今日はゆっくりしましょう』

「ヒロはどうしたい?」

 

 麟太郎にしか聞こえない鈴を転がす様な声が響く。彼女は《ヒロ》。麟太郎が子供の頃からずっと一緒だった彼の半身。今はヒロの姿も声も一般人は認識できないようにしている。麟太郎が独り言を言っている様にしか見えない為、道を歩く高校生が怪訝な表情で彼を一瞥し、その美貌に気が付いて更に二度見していた。

 

「何か怪我してるの多くないか?」

『妙ですね…』

 

 二人は道行く高校生の中に怪我を負っているのが何人かいるのに気が付いた。そしてそんな高校生の雰囲気が特に暗い事を妙に感じた。そんな彼らが入っていく学校を見上げる。《秀尽学園》という名前らしい。すると学校の様子に何処か違和感があった。

 

「ヒロ」

『…歪んでいますね』

 

 学園が一瞬だけ城の様に見えたのだ。麟太郎は幻覚でも見たのかと思ったが、ヒロも同じように見えていたようで、偶然では無いと理解した。

 

「…あーこれはなぁ」

『どうします?』

「…暫く様子でも見てみようか」

 

 何やら嫌な予感がしたので張り込む事に決めた二人。彼らは仕事柄この様に待つ事に慣れていた。人目につかないように路地裏に隠れる。

 

 そこから暫く待っていると学校の中が何だか騒がしい。

 

「…何があった?」

『声が聞こえました。生徒が飛び降りをしたみたいです』

「マジで?」

 

 遠方からサイレンの音が聞こえる。救急車を呼んだらしい。彼らはその日はもう引き上げる事にした。

 

「ちょっとこの学校の事調べようか」

『潜入もしてみましょうか。色々用意もしておきますので』

「休めると思ったんだけどなぁ…」

 

 

___数日後

 

 

「……なぁヒロ。なんで女子制服なん?」

『可愛いですよ。似合ってます』

「ジャージでも良かったじゃん」

『あまり可愛くないので』

「はぁ…まあいいか…」

 

 麟太郎は秀尽学園の中にいた。制服はヒロが用意をした。しかし女子制服だった。しかもここに入る許可なんてもらっていない。色々とバレたらまずい状況の割には麟太郎は堂々と廊下を歩いていた。彼曰く、堂々とした方がバレない。

 

「で、カモネギだっけ?」

『鴨志田です。元金メダリストの』

 

 数日間の間に学園の裏サイトや聞き込み調査で彼等は大体の状況を理解していた。バレー部の顧問、《鴨志田卓》による体罰とセクハラ。それが学園内部で揉み消されている。

 

「ひでぇ学校だよなぁ…!」

『まるで王様の様に振る舞っているみたいです。とある生徒を退学にしようともしているとか』

 

 この秀尽学園の内情を知れば知るほど麟太郎は鴨志田に対する怒りが募っていった。一発どころか何発でも殴ってやりたいところだ。ついでに鴨志田を庇う馬鹿共も含めて。

 

『わかっているとは思いますけど我慢はしてくださいね。合一せずとも麟太郎が本気で殴れば死んでしまいますから』

「わーってる。けどあの城の中ならどうだろ……」

『何かありそうではありますけど、現状入り方がわからないので……』

 

 ヒロは麟太郎が心に抱く怒りを察していた。麟太郎は《超人》である。その気になれば素手でも簡単に人殺しができる。故にヒロは無闇にその力を振るわない様に麟太郎を諌めた。

 直接の暴力が駄目ならば以前に一瞬だけ学園に重なって見えた城の中なら何か手掛かりがあるのではと考えてはいたが、彼等はそこに入る方法をいまだに見つけていなかった。

 

「そういや朝から騒がしいな」

『予告状?』

 

 生徒たちが集まっている所が気になって向かってみる。掲示板に赤い紙が大量に貼られていた。

 

「『色欲』のクソ野郎鴨志田卓殿。ね…」

『歪んだ欲望を盗る…罪を告白させる…』

 

 掲示板にあったのは《心の怪盗団》なる何者かが鴨志田に向けて出した予告状であった。単なる学生のイタズラにも見えるが…

 

「誰が…!?」

 

 気が付けば鴨志田が麟太郎の後ろにいた。

 

「貴様か?コラ!あ?貴様か?」

(随分と御立腹の様だな)

 

 麟太郎は冷めた目で鴨志田を見ていた。彼以外の掲示板に集まっていた生徒たちがその場から走り去った。鴨志田は掲示板の後ろを振り向くとそこにいた三人組を責めていた。

 

『あ、猫ちゃん』

「ホントだ」

 

 その中で眼鏡を掛けた男子学生の鞄の中に猫がいた事を見逃さなかった。鞄の中に猫という珍しいものを見たついでに彼等のやり取りを遠くから眺めていた。

 

「あの三人と一匹に対してなんか鴨志田の当たりが強くないか?」

『先程こっそりアナライズしました。恐らく何らかの能力持ちですよあの猫ちゃん達』

「マジかよ?…って!」

「来いよ…盗れるもんなら盗ってみろ!」

 

 麟太郎の目に一瞬、裸に王冠とマントという変態としかいいようのない鴨志田の姿が見えた。

 

「おっ…」

 

 鴨志田が戻ってきた。すれ違った麟太郎の姿を見た奴は一瞬だけ足を止めたがそのまま何処かへと去った。その時ヒロは麟太郎に対するいやらしい目付きと彼の顔見て思わず舌なめずりする鴨志田の姿を見逃さなかった。麟太郎はその間、三人と一匹に気を取られてその事に気が付いていなかったが。

 

「アイツらなんか知ってやがるな?」

『彼等が心の怪盗団なのでしょうか…?授業もありますし動き出すのは放課後かもしれませんね、暫く彼等の様子を見ましょう』

 

 そして放課後コッソリと彼等の後を付けていく。彼等は学園正面の目立たない路地に入るとスマホを見つめる。すると空間が歪み始め、その先の城へと入っていった。

 

「城に入っていった!?」

『行きましょう、麟太郎。あの猫ちゃんが心配なので』

 

 ヒロは猫好きであった。

 

◯

 

 そして現在に至る。

 

「あの女を捕らえればカモシダ様もお喜びになる!」

『女性だと間違えられてますね、麟太郎』

「まあ…ね、それはそれとして間違えられるのはムカつくから撃〜つ!」

『言われなくても撃つでしょう?』

「当然!」

 

 立ち塞がるシャドウを麟太郎はヒロと会話をしながらも走りながら正確に撃ち抜いていく。この程度なら本気を出す程でもなく余裕だった。

 途中の休憩すら必要なかった。彼はただひたすらに鴨志田のシャドウがいるであろう場所に向かって全力疾走していた。

 

「よく考えたら俺、学校で銃乱射してるよな?現実に干渉してない?明日の新聞の見出し大丈夫だよな?」

『問題ありません。存分に暴れてやりましょう!』

「ならばヨシ!天使って嫌いなんだよ、失せろ!」

「ギャァァァァア!」

「ハロウィンの時期はまだまだ先だゼェ、カボチャ頭ァ!」

「ヒ、ヒホ〜…」

 

 次々とシャドウを撃ち倒していく。そして時々見かける鴨志田の趣味の悪い銅像や肖像画、女生徒を普段どんな目で見ているのかがわかる証拠の数々。それらも走り抜けながら麟太郎は破壊していった。

 

「十中八九ここの城主は変態だな」

(今の格好、俺も人のことは言えんか…)

『いえ、十中十変態です』

(麟太郎、いやらしい目で見られてましたからね…)

 

 城中走り回って目立った塔を麟太郎は見つける。その場所から銃声やら何やらの音。恐らくは戦闘音が聞こえてくる。

 

『誰かが鴨志田と戦っていますね』

「アイツらか…つまりはあそこに行きゃ良いんだな!」

 

 麟太郎は塔へと突っ込み一気に駆け上がっていく。その間も見張りのシャドウに姿を見られていたがすぐに倒せそうな奴だけを倒し、それ以外は全て振り切った。当然シャドウが侵入を許す訳がなく、シャドウの列が麟太郎の後ろに出来ていた。

 

「あー迷った、迷った!祭りの会場はここかァァア!!」

 

 麟太郎は鴨志田が踏ん反り返っているであろう王の間へと繋がる扉を見つけると勢いよくそれを蹴破った。

 

「待て!逃すな追え!」

 

 麟太郎を追っていたシャドウ達も王の間へと流れ込み彼を取り囲む。

 

「囲め!囲め!」

「何だ!」

「こ、これは、申し訳ありませんカモシダ様…!賊の侵入を許してしまいました…!」

「見ればわかる!…いや、待て。よく見ればいい女ではないか。おい貴様、この俺様の女になると言うのなら今回の狼藉を許してやろうか?」

 

 麟太郎を一目見た鴨志田のシャドウはその彼の美貌に男だという事実にも気が付かず、だらしなく鼻の下を伸ばしていた。

 だが当の麟太郎は鴨志田の言う事を全く聞いていなかった。彼は今、この場の状況を冷静に観察していた。

 怪物と化した鴨志田のシャドウと戦っているのはスタイリッシュな格好をした四人組(その内の一人?一匹?はマスコットの様な姿だが)。

 彼等はヒロがアナライズして何らかの能力があると言っていた三人組と猫だろう。麟太郎は彼等に加勢するべきだと頭の中で判断を下した。

 

 そしてカモシダと戦っていた三人と一匹、いやここは四人というべきか怪盗団の《ジョーカー》、《モナ》、《スカル》、《パンサー》は突然の乱入者達に目を丸くした。

 

「認知の被害者か?」

「…いや違う!あの子、恐らく人間だ!認知上の存在じゃない!」

「えっそれって…ならあの子いつの間にここまで入ってきたの!?」

「マジか!?それが本当ならヤベーぞ!?助けに行かねーと!!」

「いいや、心配ご無用!」

 

 麟太郎は飛び掛かってくるシャドウを手にする銃で次々返り討ちにする。その銃声は怪盗団が持つ物と比較しても(怪盗団の銃はかなり精巧だがレプリカ、麟太郎が使うそれは正真正銘本物なので違うのは当然なのかもしれないが)明らかに重く、彼等はその音とその様な銃を片手で振り回す麟太郎の強さに愕然としていた。

 

「なぁ!?銃!?」

「戦えるの!?」

「アイツもペルソナ使いなのか…?」

「さっきから妙に外が騒がしいとは思ったが、アレが原因って訳か…!」

 

 麟太郎は戦いながら怪盗団に向けて目的を告げた。

 

「お前らが怪盗団だよなぁ!義によって助太刀いたーす!そう、俺も……カモ、カモ?…そうだ!カモネギをぶっ倒しにきた!」

「カ・モ・シ・ダ様だ!!俺様の名を間違えるとは、可愛い顔している癖に無礼な女だ!だが、教育のしがいがある…貴様は捕らえて俺様の奴隷にして可愛がってやろう!お前達、やれ!」

「助けに来てくれたのは良いんだけど…!」

「敵の数が多すぎる…!これは不味いぞ…!」

 

 鴨志田の号令と共にシャドウ達による包囲網が狭まっていく。今にもシャドウ達が飛び掛からんとした時、それより先に麟太郎が動いた。

 

「ノープロブレム!ヒーローは遅れてやって来るってなぁ!行くぜェ、ヒロ!」

『悪魔召喚プログラム、起動!』

 

 その言葉と共に麟太郎の持つ銃が輝き、その内部に組み込まれた複雑な機構が起動する。そして彼は改めて銃を構え、その引き金を引いた。

 

 

【SUMMON SYSTEM】

 

合一神

 

【SUMMON OK】

 

「コール!!」

 

【GO!!!】

 

 

「な、何だ!?」

 

 その瞬間、強烈な閃光と烈風が城内に吹き荒れる。哀れにも麟太郎の近くにいたシャドウはその衝撃により一部が蹴散らされ消滅した。目が開けられないほどの閃光と烈風が収まった時、そこには赤く重厚な装甲を全身に纏った機械仕掛けの戦士が立っていた。

 その堂々とした立ち姿に誰もが目を離せない。そして暫くの静寂の後、スカルの大声が城内に響いた。

 

「へ、変身したァァア!?」

「ね、ねぇモナ、アレもペルソナなの?」

「何だよアレ…!?あれはペルソナなのか?多分、違うと思う…!ワガハイもあんなのは初めてみた…!?」

「カッコいい」

 

 スカルは驚愕、パンサーは純粋な疑問をモナにぶつけ、質問されたモナは混乱、ジョーカーはその姿見て素直に褒めた。

 

「ナンダァ…何なんだぁお前はぁ!?」

「俺は必殺の霊的国防兵器!決戦型神造魔人第弐號!超力超神ヤソマガツ!ナホビノだ!俺が来たからにゃ大船、いいや…戦艦に乗ったつもりでいろ!!」

「何か呼び名が多いな…」

 

 超力超神ヤソマガツ。

 

 それはとある別世界において先の時代からやって来た未来人が自らの目的の為に製造した、戦艦から人型の超神へと変形する、恐るべき未来技術の超兵器と同じ名であった。そしてその力は時を超えて大正の世を揺るがし、その時代の帝都を守る凄腕の悪魔召喚士《デビルサマナー》を苦しめたという。

 だがこの世界では違う。知恵を取り戻し、禁断の力、真なる神《ナホビノ》として、弱きを助け、強きを挫く、正しき事を成すためにその力は振るわれるのだ。

 ヤソマガツは名乗りを上げ、特撮ヒーローの様に見得を切る。鴨志田はこの圧倒的な存在感を持つ戦士の乱入に狼狽えていた。

 

「残りの掃除をしないとなァ!」

【超力陽弾】

 

 名乗った後、ヤソマガツは銃口を残るシャドウの群れに向ける。凄まじい熱量の火球を放ち、それらを一撃で焼き払った。

 

「ス、スゲェ…」

「あれだけいたのに一瞬で…」

 

 事も無げにシャドウを殲滅したヤソマガツは怪盗団の隣に並び立つとフランクに話しかけた。

 

「お前らイカした格好してるな!」

「わかるか」

「言ってる場合かジョーカー!仲良しかお前ら!てか本当に何なんだよお前!」

「おっ、化け猫か?」

「化け猫じゃねーし!」

「お前、味方でいいんだよな…?」

「ああ、勿論!さっき言ったろ!」

「女子にしては男子っぽいなぁ…」

(麟太郎は男ですけどね…)

 

 余裕を見せて和やかに会話を始めるヤソマガツと怪盗団についに鴨志田がキレた。

 

「いつまで余裕なつもりだ貴様らァ!俺様を誰だと思っている!天下のカモシダ様だぞ!状況がわかっているのか無礼者共め!貴様ら…」

「とりあえず黙れ」

 

 ヤソマガツは鴨志田が言葉を言い切る前に弾丸を撃ち込んだ。

 

「おわァー!?」

「なかなか硬ェなコイツ。ここの主だけはあるな」

「やるな」

 

 容赦ないヤソマガツにジョーカーは感心する。

 

「きっ、貴様ァ…!この俺様が話している最中に…」

「だから黙れ」

「おわァー!?」

 

 ヤソマガツは鴨志田の言う事は聞く価値がない物と判断して何かを言おうとする度に銃撃を叩き込んだ。

 

「き、貴様絶対に許さん!前言撤回だ!貴様は奴隷にはせん!この俺様が直々に処刑してやる!」

「やってみろ。できる物ならなァ!」

「ぐっ…だがまずは回復だ!」

 

 鴨志田はヤソマガツから負ったダメージを回復する為、最初から奴の目の前に置いてあったトロフィーの中身(気味の悪い女性の足の様な物が何本もその中で蠢いている)を喰らった。

 

「くぅぅう!回復ぅぅぅう!来いよぉ、クズどもっ!今夜は寝かせねぇからなぁ!」

『あの様子だと全回復ですね…』

「なるほど、じゃあ遠慮なく行かせて貰おう!コイツでも喰らいなァ!」

【超力撃砕】

「な、なっ…グボォォオ!?」

 

 ヤソマガツは鴨志田の懐に入り込むとその腹に渾身の拳を叩き込んだ。鴨志田の巨体が浮かび上がり、空気が揺れ、意識を失いかけるほどの衝撃。一撃で怪物と化した鴨志田を殴り飛ばしたヤソマガツの力に怪盗団は本日何度目かの驚愕をした。

 

「す、凄まじいパワーだ…」

「うわ、痛そー」

 

 鴨志田は殴り飛ばされトロフィーの側から引き離された。それは鴨志田にとって相当大切な物なのか必死に手を伸ばすが奴の様子がおかしい。先程の一撃が相当効いた様で苦しそうに蹲りながら鴨志田はその巨体を震わせていた。

 

「グッ、グゥエッ…!…オゲェエエェエ!?」

「うわっ、あの野郎吐きやがった!?」

「汚い…」

「は、吐き出したとはいえ、念の為あのトロフィーはぶっ壊した方が良さそうだな…」

「アルセーヌ!」

【デッドエンド】

「ゲッ、ゲホッ…あ!おいっ!」

『なるほど、ペルソナ使いですか』

「…ああっ!?全日本で…優勝の時の…」

 

 強烈な一撃を受けた鴨志田は喰らったばかりのトロフィーの中身を吐いてしまい、その様子に怪盗団は引いていた。しかしジョーカーはその隙を逃さずに動き、もう一人の自分を具現化した能力《ペルソナ》による攻撃でトロフィーを破壊した。

 

「どうした他のメンバー!見てるだけか!」

「…!ワガハイ達も続くぞ!」

「応!」

「うん!」

 

 トロフィーを破壊され動揺を見せる鴨志田。真っ先にヤソマガツは追撃に向かう。そして遅れて怪盗団も続いていく。鴨志田は包囲されて総攻撃を受けた。

 

「グッウゥウ…!調子に乗るな、貴様らァ!!」

「避けろ!」

 

 総攻撃最中に漸く腹の調子を取り戻した鴨志田は怒り心頭に発する。その巨体を震わせ暴れ回り、怪盗団は攻撃を中断し回避に徹した。

 鴨志田は離れていった怪盗団を強く睨みつける。奴の内から強い殺意が湧き上がる。怪盗団とヤソマガツを必ずこの場で始末するという強い怒りが心の内を支配していた。

 

「クソォ!どこまでも俺様に楯ついて…こりゃとっておきをやらんとな!」

 

 そして鴨志田はとっておきだと言う必殺スパイクを繰り出そうと奴隷を呼び出しその準備をする。そして現れたのはバレーボールを持った、現実で鴨志田が奴隷と認識している秀尽学園の男子生徒、認知存在の《ミシマ ユウキ》だった。

 

「す、すみません、鴨志田様!ただいまお持ち致しました!」

「遅いぞ〜、三島!このグズのウスノロが!」

「み、三島!?」

「え!?何でこんなところに…」

「落ち着け、あれはカモシダの認知上の存在だ!本物のミシマじゃねぇ!」

「…じゃあこうだろ!!」

「う、うわぁぁぁあ!?」

 

 ヤソマガツは認知存在の三島に容赦無く弾丸を撃ち込んだ。

 

「あ、あぁ!?」

「よ、容赦ねぇ…」

 

 認知存在のミシマは容易く消滅した。凄まじく判断が早かったヤソマガツの行動に怪盗団は引いた。

 

「な、なら、次だ次!」

「カモ…キャァァァア!?」

 

 再び響く銃声。現れたのは鴨志田に媚びるような格好をした認知存在の《スズイ シホ》(飛び降りをした生徒)であったが、その認知存在には何かを言わせる事すらなくヤソマガツによって撃たれて消滅した。認知存在とはいえ親友を撃たれたパンサーは複雑な表情をしていた。

 

「し、志帆…」

「あんな格好、本人がもし見てたら逆に可哀想だろ?それに、認知なら現実の本人にはには影響はないはずだろ?」

「た、確かにそうだが…」

「クソォ、クソォ!奴隷どもォッ!いいからボールを持ってこい!」

「……どうやら誰も来ないな?他に何が出来るんだ、お前?」

「クソがァアァアアァ!?」

 

 鴨志田は三度目の奴隷を呼び出そうとするが誰もやって来ない。ヤソマガツにやる事なす事尽くを潰された鴨志田は苦し紛れに手に持った竹刀やらナイフやらを滅茶苦茶に振り回す。だが、度重なるダメージにより鴨志田の動きは鈍くなっていた。

 今はまだ経験が浅く、素人に毛が生えた程度でしかない怪盗団にすら簡単に攻撃を躱され、当然ヤソマガツにもそんな攻撃は通用せず、それどころか真正面から攻撃を受け止められた。

 

「腰が入ってねェなア!メダリストらしいが鍛え方が足りないんじゃねェか、オイ!」

「は、離せェ!?」

「よっしゃ、やれ!怪盗団!」

「ああ!行くぞ皆!ペルソナァ!」

 

 鴨志田はヤソマガツに受け止められて踠くが、その凄まじい膂力に身動きが取れなくなった。そしてその隙を突き、鴨志田に対する今までの怒りを発散するように怪盗団は各々のペルソナを呼び出した。

 

「威を示せ!ゾロ!」

「奪え!キッドォ!」

「踊れ!カルメン!」

「十文字、切り!」

『二体目の別のペルソナ…ワイルド…』

 

 ペルソナの能力を使用し、怪盗団は鴨志田を更に追い詰めていく。風と雷と炎が合わさり小規模な災害の様な光景が広がる。その中でジョーカーは先程のペルソナ《アルセーヌ》とは違う《イザナギ》を呼び出し、十字に鴨志田を切り付ける。

 ヒロはここでジョーカーが複数のペルソナを使い分ける事の出来る《ワイルド》だと言うことを知った。そして怪盗団全員の怒涛の攻勢により鴨志田は再び体勢を崩し、その拍子に《オタカラ》である王冠を落としてしまい、それは怪盗団の側に転がった。

 

「ああっ!?俺様の、一番大事な…ぁ!」

「オタカラ!」

「いいねェ、怪盗団。いいノリだ!最後に俺が手本を見せてやろう!」

「何をするつもりだ?」

 

 怪盗団の目の前に転がったオタカラに目を奪われるモナ。それを尻目にテンションが上がっているヤソマガツが何かをするらしい。ジョーカーが尋ねた。

 

「いい事を教えてやる。戦いは勢いにノッた方が勝つ!そして戦いの中で己のスピリットを燃やせば、こんな事も出来る!」

 

 凄まじい力の奔流がヤソマガツの銃口に集まっていく。王の間の空気が揺らめき震えている。怪盗団はヤソマガツが何かとんでもない事を行うのではないかと感じていた。

 

「お、おい、これってヤバくないか!?」

「熱っ!何これ!?」

「とりあえず皆離れろ!」

 

 ヤソマガツの周囲の温度が急上昇していく。オタカラに先程まで目を奪われていたモナも正気を取り戻し、怪盗団はオタカラを抱えて急いでその場を離れた。そして温度上昇が極限まで達した一瞬、まるで時間が止まったような感覚が周囲を満たした後、遂に体勢を崩した鴨志田に向けてヤソマガツの最後の大技が放たれた。

 

「これが!俺の!全力!」

【超力五情『喜』*1】

「これで!終わりだァァァァァアアア!!」

「グッグォォォォオ…!?ギ…ギャァァァァァア!?」

 

 城内に鴨志田の断末魔が響く。王の間は烈火の奔流に呑まれ、悪趣味な調度品の悉くを鴨志田ごと焼き尽くした。そして地獄の業火を再現した様なその光景が収まると、真っ黒に焼け焦げた王の間の中心には怪物の姿から元の姿に戻った鴨志田が煙を上げながら倒れていた。

 怪盗団はただ呆気に取られ、それを為したヤソマガツは何処か得意げであった。

 

「ざっとこんなもんよ!」

「……死んでないよな?」

 

 ジョーカーは許し難い相手とは言え、ほんの少し鴨志田に同情してしまっていた。

*1:
オリジナル技。葛葉ライドウの技、葛葉五情(スピリット剣)の超力超神ver.




オリ主の性格を見た目に似合わぬ熱血バカにしたい。

 この小説に出てくる超力超神も宗像少将の計画を元に製造されています。元からかなり魔改造されてるけど、どっかでアオガミ型神造魔人の残骸でも見つけたのでしょう。
 葛葉ライドウに出てくる宗像とは違い「口を手で隠す癖」が無い世界線産の超力超神です。


 ちなみにオリ主の名前の由来は小栗虫太郎の小説に出てくる探偵。ドグラ・マグラ、虚無への供物と共に三大奇書に数えられる黒死館殺人事件という小説の探偵、法水麟太郎から。パンケーキも探偵から名前取ってるしオリ主の名前も探偵から取る。

 苗字は葛葉ライドウに出てくる九十九博士(ロケット作ってたロマンある人)から。父方が九十九博士の血縁という独自設定。大道寺や宗像も候補だったけど、九十九ってZEXALのせいで熱血なイメージあるからコレに決めた。そして俺と私でオーバーレイは実質ナホビノ。

 半身のヒロは多くの真女神転生Vの多くのキャラと同じくとある神社からとった名前。ヒロインだからヒロとかじゃなです。名前男っぽいか?ちなみに候補色々あって最初にこの小説を書きはじめた時の名前と違います。文章中に見覚えのない名前があったらただの修正忘れです。気がついたら修正します。


 オリ主には俺TUEEEEEをしてもらう。
 だけど屋根裏のゴミもオリ主に負けない位活躍してほしい。
 パンケーキも救いたい。
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