今回説明回。オリ主の設定を長々書いてます。つまり作者の脳内妄想垂れ流し。
結論から言うと、ヤソマガツの凄まじい一撃を受けたが、鴨志田のシャドウは死んではいなかった。しかし既に戦う力は残っていなかったがそれなりに元気だったらしい。鴨志田は起き上がると突然走り出し、相当未練があるのか怪盗団から王冠を奪い返して逃げ出そうとするも追い詰められていた。
ヤソマガツはそんな怪盗団と鴨志田のやり取りを黙って見届ける事にした。彼等の方が奴との因縁が深い事を理解していたからだ。
「わ、わかった…俺の…負けだ!」
鴨志田は怪盗団とのやり取りの中で遂に敗北を認め、王冠を投げ渡した。そして、怪盗団は鴨志田には止めを刺さず、その姿が消滅してくのを見届けていた。ヤソマガツは怪盗団が鴨志田を殺す選択肢をとった場合、それを止めるつもりだった。その必要が無いとわかり彼の心配は杞憂に終わったのだが。
『彼等、殺しはしないのですね』
「まぁ、その方がいいだろうさ…」
【Return】
「うおっ、元に戻った」
「終わったな。だけど時間はなさそうだ。逃げようか!」
彼等のやり取りを見届けた後、ヤソマガツの姿から麟太郎は元に戻った。しかし、ゆっくりと話している場合ではなく城が崩壊していく。麟太郎は怪盗団と共に城から脱出した。
「ハァ、ハァ、ハァ…きっつ…」
「ナビ見てみろ!」
『目的地が消去されました』
肩で息をする怪盗団達。彼等は崩れゆく城から路地裏に逃げ込みその服装は怪盗服から元の学生服の物に戻っていた。そして、金髪の少年(スカル)はスマホの異変にいち早く気が付いた。もうあの鴨志田の城の中には入れないようだ。
『なるほど、そのナビがあればあの異界に入れるわけですか…』
「いやぁ、スリル満点だったな!」
怪盗団のスマホにインストールされているナビによって彼等があの城に潜入していたという事実をヒロは冷静に分析していた。一方、城を全力で走り抜けたにも関わらず、まだまだ余裕のある麟太郎は笑っていた。
「で、お前は誰なんだよ?」
「待て、その前にオタカラは!?」
そして今も笑っている麟太郎が何者なのかを尋ねようとする金髪の少年であったが、その前に喋る黒猫(モナ)がオタカラがどうなったのか尋ねる。すると眼鏡を掛けた少年(ジョーカー)は金メダルを取り出した。
「…メダル?え、あの王冠は?」
「どうなってんだ?」
クォーターの少女(パンサー)と金髪の少年が王冠だった筈のオタカラが金メダルになっている事を疑問に思う。
「ふーん、もしかしてそれがあの異界の核か?」
「そうだな。カモシダにとっての欲望の源が、それだってことだ」
『その金メダルこそがが鴨志田にとって、王冠相当のものであったというわけですか』
「で、その欲望の源を盗るとどうなるんだ?」
麟太郎はメダルがあの城の核となる物と推測し、黒猫によればその通りのようだ。これを奪ったことで城は崩壊したが、現実の鴨志田はどうなるのか?気になった麟太郎が尋ねると眼鏡の少年が答えた。
「鴨志田が改心するかもしれない」
「なるほどねぇ」
「ワガハイにとっても、初めての成功例だ。でもカモシダの人格に相当な影響を与えたのは間違いない。パレス丸ごと消えて無くなったんだからな」
『あの異界はパレスというのですか。…それにしても、猫ちゃん物知りですね』
「猫じゃねーし!てかさっきからだけど、何処から声が聞こえてるんだ!」
ここで漸く怪盗団の面々の注目が麟太郎に集まる。先程から自然に会話に混ざっているが彼等はほぼ初対面である。
「ああ、自己紹介まだだったな?」
「ヤソマガツ、だっけ?」
「アレはナホビノとしての名だな。それと…」
麟太郎は自分の銃を取り出した。
『声はここからですよ。猫ちゃん』
「「「「銃が喋った!?」」」」
銃の中から鈴の転がす様な声がして、怪盗団の面々は矢張り本日何度目になるかわからない驚愕をした。
『初めまして。私はこの《超力魔銃》に搭載された
「そしてこう!」
麟太郎は銃の引き金を引いた。
「こんな風に現実でも活動出来るんですよ?」
「「「「!?」」」」
麟太郎の隣にモダンな袴姿の可憐な少女*1が現れ、怪盗団の面々はまたまた驚愕。空いた口は塞がらず、特に金髪の少年の驚き様は凄まじかった。
「な、ななななな……ナンジャあこりゃあ!?」
「驚いてくれたかな?」
「さっきから驚きっぱなし…」
「只者じゃないってのはわかるが…」
「本当に何者なんだ?」
「あ、そうだったな。…私、こういうものです」
そして麟太郎は制服の裏から名刺入れを取り出した。彼は社会人なので常に名刺を持っているのだ。そして名刺を怪盗団の面々に渡していく。
「名刺?」
「あ、これはどうも」
「九十九相談室?」
「九十九麟太郎…麟…太郎?」
「あっ…」
ここで麟太郎は今の自分の格好が何なのかを思い出した。今彼はヒロの用意した秀尽学園の女子制服を着ていた。彼はこのままだと変態だと思われてしまうと焦り始めた。すでに手遅れかもしれないが。
「もしかして、男なのか!?」
「その見た目で!?」
「口調が男らしいとは思ったが…」
怪盗団またしても驚愕。麟太郎はその場で正座をすると流れるように美しい土下座をした。
「どうか学校には言わないで下さい…」
「待て待て待て!?」
「い、言わないから!?」
今度は怪盗団が焦る番だった。特に金髪の少年とクォーターの少女は見ようによっては不良である。そして眼鏡の少年は冤罪なのだが保護観察処分を受けた前科持ち。
一見ただの美少女にしか見えない麟太郎が目立たない路地でこのメンバーに囲まれて土下座をしている姿を誰かに見られれば、余計に彼等の立場は悪くなってしまう。眼鏡の少年は麟太郎をすぐに立たせた。
「で、なんで九十九さんは女子の格好をしてるんだ?」
眼鏡の少年が麟太郎の格好について尋ねた。
「麟太郎、呼び捨てでいいよ。この服はヒロが選んだんだよ」
「可愛いですよね?あ、私も呼び捨てでいいですよ?」
「確かに似合ってるけど…もしかして秀尽の生徒じゃない?」
クォーターの少女は麟太郎が生徒ではない事に気が付いた。
「あ、うん。なんか城が見えたんで忍び込んで情報収集した」
「お前もナビ持ってんのか?」
金髪の少年が自分達と同じナビで城に入ってきたのかを尋ねる。
「あなた方がパレスに入るのに使っているナビの事ですよね?いえ、ありませんよ。だけど私達、普通では無いので見えます」
「お前らが入り口開くまで入れなかったけどな」
怪盗団の面々には麟太郎達に訊きたい事がまだまだあったが、それよりも先にヒロが口を開いた。
「そういえば皆さんの名前は?」
「そうだったな…ワガハイは《モルガナ》。猫じゃないからな」
「《雨宮蓮》、よろしく」
「私は《高巻杏》」
「俺は《坂本竜司》」
「なるほどなー。あのパレス?では蓮がジョーカー、で杏がパンサー、竜司がスカルにー、猫がモナだったよな?」
「だから猫じゃねーし!」
「ごめんごめん、モルガナ」
そして自己紹介が終わると何処か不安げな表情の竜司が思い出した様に呟いた。
「にしても鴨志田の野郎がどうなるのか…マジで退学なの、とか…」
「あ、お前ら退学にされそうだったのか。まあ大丈夫じゃね?何せ俺の熱いスピリットをぶつけてやったからな!きっと改心してるぜ!」
「…ここの生徒じゃ無いからって適当な事言ってないか、お前?」
麟太郎は不安を取っ払うように言ったが、それでは竜司の不安は解消されなかったようだ。
「いえ、私も手応えは感じました。きっと大丈夫ですよ。果報は寝て待てと言います。焦っても仕方ありませんよ?」
「今は待つしかない」
竜司の不安に対してただ待つことしか今はできないとヒロと蓮は言った。
そして怪盗団の視線がまた再び麟太郎達に集まる。まだまだ質問したい事が沢山あるというのが雰囲気から伝わってくるが、麟太郎はそれに待ったをかけた。
「おっと、流石に帰ろうぜ?お前らまだ俺達に聞きたい事あるだろうけど疲れてんだろ?また今度、ゆっくり話す機会があった時に教えてやる」
「何かあれば名刺に連絡先がありますのでよろしくお願いしますね」
麟太郎とヒロはそれだけ言うと帰って行った。
「なんか凄え奴らだったな…」
「…本当にな」
「…そうだな。俺達も帰ろうか」
「…そうだね、帰ろ」
二人に遅れて怪盗団も皆それぞれ帰って行った。
5/2(月)
この日は秀尽学園は理事会のある日である。鴨志田が改心しなかった場合この日が蓮達の退学が決まる日だ。本日は体育館で朝礼があり、ハンプティ・ダンプティのような姿の太り過ぎな校長が先日の飛び降り事件についてのスピーチを行っていた。
その途中、何処か消沈した表情の鴨志田が現れ、壇上に突然上がった。突如現れた鴨志田の姿に生徒達が騒めき出す。
「私は教師としてあるまじきことを繰り返してまいりました…」
そして鴨志田は自身の行なってきた体罰とセクハラが事実であると認め、自分がどれだけ愚かな事をしてきたかを語った後、壇上で土下座をした。さらに鴨志田は教師を辞任して自首する事を宣言した後、朝礼は強制的に終了となった。
そのような慌しい出来事のあった秀尽学園の合間の自由時間。蓮と竜司が中庭を歩いていると見知った顔を見掛けた。
「いやぁー上手く行ったみたいだな!」
「麟太郎?」
「お前、何でいんだよ!?」
そこに居たのは女子制服を着た麟太郎。SNSで蓮達から今日が退学までのタイムリミットになっていると聞いていた麟太郎は校内に忍び込んでいたのだ。
「ちょっと改心の結果が気になってな?大丈夫だとは思っていたが、流石にこの目で確かめた方がいいかなと思って。…ちなみに今日、ヒロは学外にいる」
「所でお前、何してんだ?」
「見てわからんのか?モルガナで遊んでる。…ハピハピハッピーハッピー*2」
「や、やめろ〜!?」
蓮と別行動をとっていたモルガナは学園内を散歩中、運悪く麟太郎に捕まり暇つぶしの玩具にされていた。
「え…!?」
「た、助けてくれ杏殿…!」
そこに丁度、杏もやって来た。
「やめてあげたら?」
杏に言われて麟太郎は素直にモルガナを離した。
「た、助かった…」
「何しに来たの?」
モルガナは麟太郎から素早く離れた。杏が何故麟太郎がこの場に来たのかの理由を尋ねた。
「改心の結果をこの目で見ておきたかったんだ。…それにしても飛び降りしたの、杏の親友だったんだってな?よく殺さずに許せたな」
「私はただ志帆の事を謝らせればそれで良かったから…」
「あと、竜司は足を壊されたって?」
「知ってたのかよ」
「いや話には聞いてたけど本当にとんでもないゲス野郎だったな。改心できて良かったよ」
麟太郎は以前よりも学校内の事情についてより詳しくなっており、杏と竜司が鴨志田によって相当の被害を被った事も知っていた。しかし、彼等は逆に麟太郎の事は知らない。
視線が麟太郎に集まる。麟太郎ばかりがこちらの事情に詳しく、自分達は未だに殆ど彼の事を知らない事を若干不公平に感じていたのだ。
「なあお前は俺達の事は知ってるみたいだけどよー」
「お前は何者なんだ?」
「そうだな、丁度怪盗団も揃ったしいい機会かな?今ヒロいないけど。じゃあ1から説明しよう!俺は…」
目の前の美少年の正体が気になる竜司と蓮。それに対し嬉々として自分語りをしようとする麟太郎であったが…
「あっ、君は…!」
「…?」
自分について麟太郎が語ろうとした時、突然声を掛けられる。声のする方向を向けばそこに居たのは三島由輝。
三島は麟太郎の事を知っている様だ。カモシダパレスで彼の認知存在を撃ち殺した記憶はあるが現実で会っていただろうか。麟太郎は暫く考え込んでから思い出す。
「ああ、あの時の」
「覚えててくれた…!あ、あの時はありがとう!」
色々情報収集をしていた時に見掛けた顔だった事を思い出す。まだ鴨志田の横暴が目立っていた頃、三島が廊下で蹲っていた所に手を貸した記憶があった。
「どういたしまして?」
「お俺、三島由輝って言います…!君は…?」
「え?九十九り…ん……」
「リ、リンさんって言うんですね!…す、素敵な名前ですね!」
名前を言いかけたが不味いと感じた麟太郎は咄嗟に言い淀んだ。そのせいで三島は麟太郎の名前をリンと認識してしまったようだ。
「あ、ごめん!俺用事があるんだ!リンさん、あの時のお礼はいつか必ず…!」
そして何処か表情の明るくなった三島は去って行った。
「知り合いか?」
「いや、鴨志田について聞き込みをしてた時にちょっと。……助ける様な事したかな俺?」
「ねえあれって…」
「だな…」
「哀れな…」
三島の様子を見た他のメンバーは察した。三島が叶わぬ恋に落ちた事を。彼はいずれ残酷な真実を知るのだろうか。
麟太郎は咳払いをすると話を戻そうとした。
「それじゃあ改めて、俺は…あっ」
しかし、これからと言う所でチャイムが鳴る。
「…もうこんな時間か、仕方ない。お前らこれから授業か?また今度でな」
「残念だ」
仕方がないかと諦める蓮。
「じゃあ俺帰るから」
「いや帰んのかよ!?」
即座に帰る麟太郎に竜司はツッコんだ。
「まあここの生徒じゃないし。仕事もあるし。ヒロも外で待たせてるし。…あばよ!」
そう言うと麟太郎は去って行った。
「…行っちゃった」
「相変わらず嵐みたいな奴だな…」
5/5(木)
この日、怪盗団は鴨志田から頂戴したオタカラを換金(金メダルは3万円で売れた)し祝杯を上げる予定を立てていた。麟太郎は怪盗団から一歩引いた立場であると自覚していたが怪盗団は麟太郎も誘っていた。
打ち上げの場所は杏が決めた。麟太郎は杏から連絡を貰い、有り難く参加することにした。
麟太郎以外は既に渋谷駅で全員集合していたが、仕事があった為に麟太郎は少し遅れてあらかじめ杏に教えられていた場所に直接出向いていた。
「よっ!待った?」
「ご招待いただきありがとうございます」
「来たか」
「これで揃ったな!」
仕事があった為、麟太郎達は遅れてやってきた。彼ら以外の面々は皆既に揃っていた。
「しかし悪いな、俺達が途中でしゃしゃり出なければもうちょい良い店行けたんじゃないか?」
「ううん、気にしないで」
「それにしてもお前の格好…」
「スーツなのか…」
「随分と硬い格好だな」
「前から思ってたけど、ヒロも言葉使い硬いよ?もっと楽でいいのに」
今まで女子制服姿しか見た事がなかった為、蓮達は物珍しそうに麟太郎の格好を見ていた。
「社会人だからな。普段着がこれなんだよ。あとヒロは誰に対しても言葉が丁寧だから」
「麟太郎はスーツ以外服装のセンスが壊滅的なので…」
「そうなの?」
麟太郎達が席に着くと食事が始まる。彼らとの会話の中で怪盗団の活躍が生徒達に勇気を与えたことや《怪盗お願いチャンネル》とやらのサイトが出来上がっている事を知った。
そのような自分達の活躍が周囲にどのような影響を与えたのかが主な会話内容だったのだが、蓮は話題を方向転換させて麟太郎に話しかけた。
「麟太郎」
「なんだ?蓮」
「知り合ってからそれなりに時間は経ったが、結局お前達は何者なんだ?」
「なんだかんだでいまだにわかってねーしよ」
蓮はずっと気になっていた麟太郎達の素性について質問をした。それは竜司も大分気になっている事だった。
「そうだな、まだ詳しくは説明してねえし…自己紹介、始めますか!」
そして、麟太郎は自分達の事について語り始めた。
「よしわかった!何だかんだでずっと言いそびれていたが今日こそ1から説明しよう!俺の名前は九十九麟太郎、今年で18歳!」
「年上だったのか…」
「呼び捨てにしちゃってたけど、もしかして不味かった?」
「いや、呼び捨てでかまわん!」
「なら良かったわ。そっちの方が楽だし」
年上であった事を知り、呼び捨てにしていた事を不味かったのではと気にする杏。呼び捨てにしていいとわかると竜司は楽でいいと笑うのであった。そして麟太郎は話を続ける。
「んでもって普段は何でも屋みたいな事してる!どっかの店の手伝い、荷物運び、失せ物探し、浮気調査、悪人退治、悪霊退治、超常現象の調査!何でもやってる!」
「…途中からオカルトになってない?」
「ペルソナも同じだろう?」
「そう言われりゃそうかもな…そういやお前の力ってペルソナなのか?」
「違う、ナホビノだ!」
聞き覚えのないナホビノという言葉に怪盗団全員の頭の中には疑問符が浮かんでいた。
「なほ…何?」
「ナホビノです。ナホビノというのは人間と合一する事で、知恵を取り戻した神の事です」
ヒロが簡潔にナホビノについて語った。簡潔すぎて皆の頭の中の疑問符は未だに消えなかったのだが。
「合一?知恵を取り戻す?」
「神?どういう事だ?」
「ごめん、何を言ってるのかさっぱり…」
「まあ、詳しく説明すると意味わかんねー上に複雑だからな。とりあえず俺とヒロが合体するとヤソマガツっていうスゲー神様になるって認識でOK!」
「ハァ?神様ァ?」
実は麟太郎自身もナホビノについては完全には理解できていなかった。本人自身ですらそんな理解力な為、ナホビノについて語っても皆サッパリという感想であった。特に最後の竜司の口調から大分懐疑的である事が察せられる。
「皆というか、特に竜司。信じてないな?言っとくがこの世界に神様は俺達以外にもいるんだぜ?例えばあのりせちーとか初代探偵王子と友達とかいう地方の天気キャスターがいるんだけど、ナホビノではなさそうだが多分神様だぜ?だって天気予報じゃなくて天気操作してんのよ。放送中に気分で天気変えてたし」
「…ホントなのかよ?」
「その人、知ってるかも。確か放送中に大胆な公開告白してた人じゃない?名前はちょっと忘れちゃったけど」
杏は麟太郎曰く、その正体が神様であるという天気キャスターの事を知っていたようだ。恋愛アルカナのペルソナを使っているせいかそういった恋愛関連の情報には敏感らしい。
「そうそうその人…いや、神様か。もしかしたらその告白された相手*3も普通じゃ無いかもな?何せ神様から告白されてるわけだし。友達のりせちーと初代探偵王子もなんかあるかもな?」
「まさかあのりせちーが神様って事!?」
「いや、そこまではわからん。あった事ないし。直接見ればわかるかもしれんが、画面越しだとなぁ」
あの有名人がまさか神様だったのかと早合点して驚く杏。それに麟太郎は流石にそこまではわからないと言う。そして補足するようにヒロが言った。
「私なら神ほどの力を持っているかは画面越しでもわかるのですが、特殊能力持ちの人間とかは直接見ないと流石にわからないので。あなた方がパレスの中でしかペルソナを使えないように、その他のペルソナ使いも現実では能力が使えず、特定条件下でしかその力を振るえなかったりするので…なので神では恐らくないと思いますけど、もしかしたら久慈川りせさんと白鐘直斗さんがペルソナ使いである可能性はあると思います。あの2人、テレビで見てると咄嗟の立ち振る舞いが戦いを知る人間の物なので」
「マジかよ…てかペルソナ使えるのって俺たち以外にもいんのかよ!?」
「しかもそんな有名人が…!?」
ペルソナ使いが自分達以外にも存在する事に驚く竜司。杏もテレビで見るような有名人がペルソナ使いである可能性に驚きを隠せなかった。
「その二人がペルソナ使いかどうかはあくまで可能性だ。だがお前ら以外にもいるのは間違いない。蓮みたいに複数のペルソナを使えるのはワイルドって言うらしいな。ペルソナ使いの中でも希少だと聞いてる」
麟太郎は蓮が複数のペルソナを切り替えられる《ワイルド》という特別なペルソナ使いであることを知っていた。
「俺の力の事も知っているのか」
「どこでそんな事知ったんだ?」
その様な知識を何処で仕入れているのかモルガナが尋ねた。
「色々やってるとな、そう言った裏事情にも自然と詳しくなる。公安には《シャドウワーカー》とか言う対シャドウ組織もある。そこの資料も昔にちらっと読んだよ。犬のペルソナ使いもいるんだってさ」
「そんな組織まであるのか…」
「へぇー、犬のペルソナ使いか。こいつみたいに喋れんのか?」
「一応言っとく。ワガハイは猫じゃねぇ!」
対シャドウ組織が存在する事実に驚く一同。犬のペルソナ使いが存在する事を知った竜司が揶揄う様にモルガナを猫扱いして彼を怒らせていた。
「あっ…!?」
「どうした?」
急に思い出した様に麟太郎は顔を青くした。
「守秘義務あるやつ喋っちまった……シャドウワーカー関連は不味い……」
「…どのくらい不味い?」
「ば、バレなきゃ大丈夫だ……お前ら、変な所でうっかり漏らすなよ……」
「不安にさせないで…」
不安になった麟太郎は念の為周囲の確認をしてからまた話し始めた。麟太郎の慌て様は皆に伝播し、特に杏はかなり不安になっていた。
「…てか大分話逸れちまったな。俺達の自己紹介だったのに。まあ、俺についてはもう良いか。んで、ヒロの紹介はまだだったな」
各々の注目がヒロの方へと集まる。
「ヒロは普通の人間ではないよな?」
「はい」
「あの時いきなり現れてたもんな…」
皆、ヒロは一見普通の人間の様ではあるが、皆普通ではない事はなんとなくわかっていた。そしてここから彼女が自己紹介を始めると思いきや、何故か麟太郎が話し始める。
「今からそいつも含めて説明してやんぜ!まずは俺との出会いからと言いたいところだが……しょーじきどういう経緯でヒロと出会ったのかよく憶えとらん!大体小学生くらいの時だったか?確かどっかで迷子になったんだよ。どう言った経緯で何処で迷子になったとかは忘れたんだがその時に出会ったんだ」
「…はぁ?」
「え、えーとヒロの方は麟太郎との出会い、憶えてるの?」
意気揚々と語り出した割には麟太郎の説明が全く説明になっていなかったので竜司が訳がわからんと言った顔で呆れ、杏はヒロなら上手く説明できるのではないかと考えてヒロの方に話の水を向けた。
「実は私もよく憶えていなくて…気づけば目の前に麟太郎がいました」
「どういう事だ?」
「本当に俺達どちらもその時の記憶が何故か曖昧なんだよな。いつの間にか見覚えのある場所に帰ってこれたと思ったらヒロが入っていたコイツを持ってた。だから、悪いけどこれ以上詳しいことは言えん」
結局ヒロに聞いても彼らの出会いはわからないまま。そして麟太郎はその出会いと共にこれを手に入れたとスーツの内側に隠した銃をこっそりと見せた。
「それからヒロの声が聞こえてたよね?」
「俺達が使ってるのはモデルガンだが…その銃はもしかして本物か?」
初めて見た時にヒロの声が聞こえていたその銃に杏が興味を向けた。蓮はまるで本物の様に精巧な造りのモデルガンを所持しているが、明らかにその銃がモデルガンとは思えない重厚な造りである事に気が付いていた。
「はい、本物ですよ。以前にも言いましたがこの銃は《超力魔銃》。そして私は国津神によって作られた神工知能。その銃に搭載された、AIとも言えます」
「AI…?」
「…もしかしてロボットなのか!?」
ヒロの見た目はどう見ても人間にしか見えない。ロボットであるのかと驚くモルガナであったが、麟太郎は頭を振った。
「いや、ヒロの体は《ドリーカドモン》だ」
麟太郎の口から聞き覚えの無いドリーカドモンという単語が出てきて怪盗団の頭の中にはまたしても疑問符が浮かんだ。
「ドリーカドモン?」
「人工生命体の素体になる何かだと。前に変な研究をしてた科学者から奪った。あのマッドサイエンティストはなんて名前だったか…」
「確かDr .スリル*4です。自分を天才と自称する妙な人物でしたがその技術は間違いなく本物でしたね…」
「なんだよ人工生命体とかDr .スリルとかって……漫画かよ……」
「本当にね…」
麟太郎達の話を聞く面々は驚きを通り越して呆れていた。ドリーカドモンを手に入れた経緯が詳しくはわからないが名も知らぬ天才が造った物だと知った竜司は漫画のようだと感じ、それに杏も同意していた。
「その言い方だとそのDr .スリルとかいう奴とは敵対していたんだろ?そのドリーカドモン?って奴の使い方なんて説明してくれなさそうだが…よく使い方がわかるな?」
奪ったという言い方に友好的ではないニュアンスを感じたモルガナが質問した。
「奪った後に体が欲しいなーと思って入ってみたら出来たんです」
「あの時は驚いたなぁ…」
麟太郎は初めてヒロが現実に実態を持って現れた時の事をしみじみと思い出していた。
「なんとなくでできんのかよ…」
「よくわからないのに使っているのか?」
あまりにも感覚的な実体化の方法に竜司は呆れたようにも疲れたようにも見える反応だった。蓮は敵対的だった相手が残したものをそんな雑な感覚で使っている事に心配しながら尋ねた。
「ああ。だけどスマホと同じさ。皆使ってるけど作り方とかはわからないだろう?」
「確かにそうか…ならどうやってあの時突然ヒロの身体は現れたんだ?」
スマホみたいな物だと麟太郎は言う。それに一応は納得して蓮が質問を重ねる。カモシダパレスから脱出した直後に突如としてヒロが召喚されたのが気になったようだ。しかしその質問に対しては何やら言いづらそうにしながら麟太郎は答えた。
「……まあ、そうだな。この銃に入ってる
麟太郎はヒロを呼び出すのに使っている《悪魔召喚プログラム》については話そうとはしなかった。その存在を広めてはいけないという予感がしていたからだ。
そしてこの悪魔召喚プログラム、電霊であるヒロをドリーカドモンと《悪魔合体》させて造魔として実体を持たせられるので便利に使っているが、実は出所がわかっていない。
ヒロ曰く、気が付いたら銃に組み込まれていたらしい。
現状悪魔召喚プログラムを扱っているのは麟太郎は自分以外見たことがない。そして今のところ麟太郎が呼び出す事のできるのはヒロだけである。しかし、他の悪魔は呼べなかったがヒロは実際に呼べているのだ。もしこのプログラムが広がり、他の誰かが本当に悪魔を呼んでしまう事態を麟太郎は危惧しているのだ。
これだけは絶対に話す訳にはいかないという麟太郎の意思が伝わったのか蓮は諦めて質問を変えてきた。
「…そういえば国津神がどうとかつまり…その銃、神様が造ったという事か?」
「ええ。正確に言えば大正の時代、大日本帝国陸軍が護国の理念を元に国津神の助けを借りて造られたものです」
「大正時代の陸軍と神様がそんな事を…そんなに古いものだとは…」
「隠された歴史という奴か…」
蓮は大正時代にその様な技術力がある事と軍人に手を貸していた神が存在していた事に驚きを隠せないでいた。そしてモルガナは歴史の裏側に実在していたロマンというものを感じていた。
その話を聞いていた竜司がヒロに向かって言った。
「タイショー時代?いつ頃かよくわかんねーけどヒロって今いくつよ?」
竜司の発言に杏とモルガナは非難的な目線を向けた。
「竜司…」
「な、何だよ?」
「女性に年齢を聞くなんて…だからモテないんだよ」
「んなっ…!?今モテるモテないは関係ないだろ!?」
モルガナが竜司を非難する。しかしヒロは嫌な顔をせず竜司の質問に答えた。
「確かに私は大正生まれですが…稼動年数は合計で十数年程度です。封印されていたので…」
「封印?」
「造られても使い手は今までいなかったのです。私が麟太郎に出会うまでは…」
「ああ。これは俺にしか使えない。だから俺はヒロと出会った時、運命を感じたよ」
「ええ。封印から目覚めた時、まだ幼かった麟太郎がいて…私も運命を感じました」
超力魔銃は麟太郎専用の武装であるそうだ。麟太郎もヒロもそれが持てる事を運命であると語った。
「運命かぁ、何だかロマンチックかも…」
「てか、ヒロって造られたんだよな?ナホビノ?だとかの話だとヒロは神様っていうことになるけど何か変じゃね?」
銃の話である為実際は物騒な話ではあるのだが、杏は男女の中的なものを二人の間に感じたのか若干羨ましそうに呟いた。そして、話の内容をなんとか飲み込もうとしていた竜司が思い返して疑問に思った事を尋ねてきた。
「いや、いろんな神話とか調べると産まれたというより造られたって方が考えてみりゃしっくりくる神様結構いるぜ?多分昔からそうやって造られてきたんだろうと俺は思ってる」
「…神様ってロボットみたいに造られるのもいるんだな」
「そういうもんだ」
ふと麟太郎が時間を確認すると結構経っていた。彼は座っている椅子に体重を掛けて怠そうにする。そして、テーブルの上にある水を取ると飲み干した。
「あー!流石に喋り疲れた!シャドウワーカーみたいな言えないこと結構あるしこれで終わりで!」
「まだ気になるが…」
「OK。後で個別に答えられる事なら答えたる!」
恐らくまだ麟太郎が話していない事は多くあるのだろう。まだまだ聞きたい事が沢山あった蓮だったが、しかし麟太郎は今日はもうこれ以上自分達の事について話す気力が尽きてしまったらしい。そして話疲れた彼の代わりにヒロが口を開いた。
「ところであなた方は怪盗活動を今後も行うのでしょうか?」
それは麟太郎も気になっていた事だった。今後も活動を続けるのかどうか。それは命懸けの戦いを今後も続ける事と同じなのだ。だからなのか誰も即答まではしなかった。
だがそこからの会話から各々の想いにはこの世に蔓延る悪を許せない心がある事がわかった。竜司は身勝手なクソな大人を改心させたい。杏は前の自分に戻りたくないから困っている人を助けたい。モルガナは記憶を失っているようだが、怪盗活動を続ける事が自身の記憶を取り戻すことに繋がることを直感的に理解しているから。そして蓮は単純に人助けがしたい。
シャドウ達との命懸けの戦いが待っているというのに皆怪盗団を続けたいと考えていた。彼らの覚悟を知った麟太郎は何も言わなかったが心の中で感心をしていた。
「おしゃ!決まりだな!」
「リーダーって蓮で良いよね?」
「もちろん」
「リーダー決まってなかったのか?俺は最初から蓮だとばかり…」
「ワガハイを差し置いて…と言いたい所だが、杏殿の推奨だし、許可してやるか」
蓮はリーダーになる事を快く受け入れた。麟太郎は蓮が最初からリーダーだと思っていたので決まっていなかった事を心底意外な事のように呟く。
「そしたらさ、怪盗団の名前とか決めちゃう?」
竜司がそんな事を言いいだすと、そこから各々名前を考え始めた。しかし杏とモルガナが考えた名前は珍妙であり即座に却下が出された。
「それは無い…」
「もう、蓮が決めてくれ…」
珍妙な名付けに麟太郎と竜司は呆れる。結局怪盗団の名前決めは蓮に委ねられた。
「ザ・ファントム」
怪盗団の名前は《ザ・ファントム》に決まった。そして彼らは今後心を盗むターゲットをどのような相手にするかを相談し、『全会一致で決めた大物』を狙う取り決めとなり、この日から怪盗団は駆け出しだが本物の『怪盗団』となったのだった。
「ああそうだ。お前達が良ければ今後も怪盗団の活動、俺たちも手伝おうか?」
「いいのか?」
「私達も悪人は許せませんので」
「そうだな、戦い方とかも教えてやろうか?」
「ぜひ頼む」
麟太郎は怪盗団から一歩引いた立場から彼らを手伝う事に決めた。ナホビノの存在が怪盗団にどのような影響を与えるのか。今は誰にもわからなかった。
しかしこの後、彼らは想像を絶する大きな戦いに巻き込まれる事となるのである。
「んじゃ、コンゴトモヨロシク」
打ち上げ場所が参加人数増えた関係で原作より安い場所に変更。つまりシャアハゲと会っていません。
多分どっかで他のペルソナ使いとも会っているオリ主。本編前にオリ主がやってた仕事を描写する予定は今のところありません。どんな事してたかとか考えてないので。
オリヒロインは和洋折衷の服装を好みます。夏でも肌の露出は殆どしない。髪は多分オリ主の方が長い。
普段は超力魔銃の中で電霊。外で活動するときはドリーカドモンに入って活動。その時は造魔なのでマグネタイトもマガツヒも必要なし。
この小説の独自設定としてこのペルソナ世界にはマグネタイトもマガツヒもないので悪魔召喚プログラムで召喚できるのはそれらを必要としない造魔くらい。しかもドリーカドモンは現状Dr.スリル以上の天才でないと造れない貴重品。つまりこの世界の悪魔召喚プログラムはそれっぽい魔方陣を描くだけのジョークグッズみたいな扱いになっています。
……今のところは。