ハリーポッターと頼れる天才従兄   作:夜幻

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第9話 初めての授業と、天才の魔法

ホグワーツで迎える最初の朝。

 

グリフィンドールの男子寮には、窓から差し込む柔らかな朝日と、寝起きの生徒たちの声が満ちていた。

 

「……んん……あと五分……」

 

ハリー・ポッターは枕に顔を埋め、毛布を頭まで引き上げた。

 

その隣のベッドでは、ロン・ウィーズリーがすでに起きていた。制服のローブを片手に持ち、寝ぼけたハリーを見ている。

 

「おい、ハリー。起きろよ。今日から授業だぞ」

 

「うーん……授業……?」

 

「そうだよ。魔法の授業!」

 

「……魔法!」

 

ハリーは勢いよく跳ね起きた。

 

「そうだった! 今日から魔法を習うんだ!」

 

勢い余って毛布が床へ落ちる。

 

ロンは腹を抱えて笑った。

 

「お前、さっきまで起きたくないって言ってたじゃないか!」

 

「だって、夢の中でも授業を受けてたんだもん! 魔法薬の材料を混ぜてたら、鍋から虹が出てきて……!」

 

「どんな夢だよ!」

 

「すごくきれいだったんだ!」

 

ハリーは目を輝かせながら説明しようとしたが、ふと窓の外を見て、慌ててベッドから降りた。

 

「いけない! レオ兄さんと朝ごはんを食べる約束をしてたんだ!」

 

「お前、レオ兄貴と約束してたのか?」

 

「うん! 朝食のあと、時間があったら図書館の場所も教えてくれるって!」

 

ロンは制服を着ながら、少し感心したように頷いた。

 

「レオ兄貴、面倒見がいいんだな」

 

「うん! すっごく優しいよ!」

 

ハリーは勢いよくシャツのボタンを留めた。

 

ところが、焦りすぎたせいで、途中からボタンを一つずつずらしてしまった。

 

「……あれ?」

 

ロンが振り向いた。

 

「ハリー、お前、服が変だぞ」

 

「えっ!? うそ!」

 

ハリーは自分の胸元を見下ろし、顔を真っ赤にした。

 

「うわあっ! 間違えた!」

 

「ははははっ! ちょっと待てよ、直してやるから!」

 

「笑わないでよ、ロン!」

 

「無理だって! お前、急ぎすぎなんだよ!」

 

二人の笑い声が、朝の男子寮に響いた。

 

朝食を終えたハリーたちは、教室へ向かう前にレイブンクローの生徒たちが集まる場所を訪ねた。

 

レオはすでに支度を済ませ、鞄を肩にかけて待っていた。

 

「おはよう、二人とも」

 

「レオ兄さん! おはよう!」

 

ハリーは駆け寄り、勢いよく手を振った。

 

「今日から授業だよ! 僕、すごく楽しみ!」

 

「顔を見ればわかるよ」

 

レオは笑いながら、ハリーのローブの襟を整えた。

 

「でも、廊下は走らないようにね。初日から先生に注意されたら、もったいないから」

 

「うっ……わかった!」

 

ハリーはぴたりと足を止めた。

 

ロンが横から口を挟む。

 

「レオ兄貴って、ハリーのことになると本当に世話焼きだな」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ。さっきも着替えを急いでたし、放っておいたら階段を三段飛ばしで上りそうだぞ」

 

「ロンまで!」

 

ハリーは頬を膨らませた。

 

「僕だって、ちゃんとできるもん!」

 

「うん。知ってるよ、ハリー」

 

レオは否定せず、優しく頷いた。

 

「だから、焦らずにやれば大丈夫」

 

その言葉に、ハリーの表情がぱっと明るくなる。

 

「うん!」

 

ロンは二人を交互に見て、肩をすくめた。

 

「……なんか、俺まで安心してきた」

 

三人は笑いながら、教室へ向かった。

 

最初の授業は、呪文学だった。

 

教室には小さな羽根が並べられ、机の上には杖が置かれている。窓の外から鳥のさえずりが聞こえ、教室には木と羊皮紙の匂いが漂っていた。

 

フリットウィック先生は教壇の上から生徒たちを見渡した。

 

「皆さん、おはようございます! 今日はいよいよ、魔法の基本を学びますよ!」

 

生徒たちの間に期待のざわめきが広がる。

 

「魔法は、ただ杖を振れば使えるというものではありません。正しい発音、正しい動き、そして集中力が必要です。では、まずは杖の動かし方から練習しましょう!」

 

先生が手本を見せた。

 

「ウィンガーディアム・レビオーサ!」

 

羽根がふわりと浮かび、教室の中をゆっくりと漂った。

 

「わあっ!」

 

ハリーは思わず身を乗り出した。

 

「浮いた! 本当に浮いてる!」

 

「今のが浮遊呪文です。皆さんも、まずは杖の動きを練習しましょう。手首をこう動かして……そう、滑らかに!」

 

ハリーは杖を握り、真剣な顔で手首を動かした。

 

「こうかな……? えっと、ウィンガーディアム……」

 

「レヴィオーサよ」

 

隣の席から、ハーマイオニーが小声で訂正した。

 

「『レビオーサ』じゃなくて、『レヴィオーサ』。発音が大切なの」

 

「そうなんだ! ありがとう、ハーマイオニー!」

 

ハリーが素直に礼を言うと、ハーマイオニーは一瞬きょとんとした。

 

「えっ……あ、どういたしまして!」

 

彼女は嬉しそうに笑ったが、すぐに姿勢を正して杖を握り直した。

 

「私、もう少し練習しておくわ。最初の授業で成功させたいもの!」

 

「うん! 僕も頑張る!」

 

ハリーは羽根に向かって杖を振った。

 

「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」

 

羽根はぴくりとも動かなかった。

 

「……あれ?」

 

もう一度。

 

「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」

 

羽根の先端が、ほんの少しだけ震えた。

 

「おっ! 動いた!」

 

「今のは風で揺れただけじゃないか?」

 

ロンが隣から覗き込む。

 

「ええっ!? そうなの!?」

 

「冗談だよ!」

 

「ロン!」

 

ハリーが抗議すると、ロンは笑って手を振った。

 

「悪い悪い! でも、ちゃんと練習すればできるって!」

 

ハリーは羽根を見つめ、再び杖を構えた。

 

「よし、もう一回!」

 

一方、ハーマイオニーはすでに羽根を机から数センチ浮かせていた。

 

「できた……!」

 

彼女は目を輝かせた。

 

「やった! ちゃんと浮いたわ!」

 

その喜びようは、本人が思っていた以上に大きかったらしい。ハーマイオニーは思わず両手を握りしめ、ぴょんと跳ねかけてから、周囲の視線に気づいて慌てて座り直した。

 

「こ、これは基本的な呪文だもの! できて当然よ!」

 

そう言いながらも、頬は嬉しそうに緩んでいた。

 

レオは少し離れた席で、その様子を見ていた。

 

彼の机の上にも羽根が置かれている。

 

レオは杖を持ち上げると、特に力を込める様子もなく、自然な動きで手首を返した。

 

「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」

 

羽根が浮かんだ。

 

それだけではなかった。

 

羽根はゆっくりと回転し、教室の中を滑るように進む。窓辺まで移動すると、そこから机の上へ戻り、まるで見えない指先に導かれているかのように、元の位置へぴたりと着地した。

 

教室が静まり返った。

 

「……え?」

 

ハリーは口を開けたまま固まった。

 

ロンも、杖を握った姿勢のまま動かない。

 

「レオ兄貴……今、何をしたんだ?」

 

「浮遊呪文を使っただけだよ」

 

レオは不思議そうに答えた。

 

「ただ浮かせるだけじゃなくて、動きも少し調整したんだ」

 

「少しって……!」

 

ロンが声を上げた。

 

「羽根が勝手に飛んで戻ってきたぞ!?」

 

「勝手じゃないよ。僕が動きを決めたんだ」

 

「それがすごいんだって!」

 

ロンの声が裏返った。

 

ハーマイオニーも、目を大きく見開いてレオを見つめていた。

 

「い、今の……呪文を途中で変えたんですか?」

 

「うん。基本の構造はそのままで、魔力の流れを少し調整したんだ」

 

「そんなことができるんですか!?」

 

ハーマイオニーは勢いよく立ち上がった。

 

「あっ、ご、ごめんなさい! 先生、今のは授業の範囲内なんでしょうか? それとも、上級の技術なんですか? 呪文の構造を変えるとき、どこまでなら安全に調整できるんですか?」

 

質問が止まらない。

 

フリットウィック先生は、驚きと喜びの混じった顔でレオを見つめた。

 

「すばらしい! 実にすばらしいですよ、ミスター・スキャマンダー! その年齢で、呪文の制御にそこまでの工夫を加えられるとは!」

 

「ありがとうございます、先生」

 

レオは照れくさそうに微笑んだ。

 

「ただ、まだ試せることはあると思います。今日は基本を学ぶ授業ですから、ほかの生徒たちの練習を邪魔しないようにしますね」

 

「ええ、もちろんです! ですが、今の動きはぜひ記録しておきたいですね!」

 

フリットウィック先生は嬉しそうに手を叩いた。

 

ハリーは、誇らしさを隠せない顔でレオを見ていた。

 

「レオ兄さん、すごい!」

 

「ありがとう、ハリー。でも、君もちゃんと練習しているじゃないか」

 

「僕の羽根、まだ机から動かないよ!」

 

「最初はそれでいいんだよ。呪文を覚えて、杖の動きを身につけて、少しずつできることを増やしていこう」

 

レオはハリーの机に置かれた羽根を指さした。

 

「さっき、先端が揺れたでしょう? あれは、魔力が伝わり始めたのかもしれない」

 

「本当!?」

 

ハリーの顔がぱっと明るくなった。

 

「じゃあ、僕もできるようになるんだ!」

 

「もちろん。練習を続ければね」

 

「よーし! 絶対に浮かせるぞ!」

 

ハリーは再び杖を構えた。

 

その姿を見て、ハーマイオニーも自分の机へ向き直った。彼女は羽根と杖を交互に見て、真剣な顔で考え込んでいる。

 

(呪文の構造を変える……。ただ教科書の通りに覚えるだけじゃなくて、仕組みを理解することが大切なのね)

 

けれど、考えれば考えるほど、先ほどのレオの微笑みが頭に浮かんでしまう。

 

(だ、だめ! 集中しなくちゃ!)

 

ハーマイオニーは自分の頬を軽く叩き、姿勢を正した。

 

「よしっ! 次はもっと正確にやるわ!」

 

その声は、教室の後ろまで響いた。

 

次の授業は変身術だった。

 

教室に入ると、机の上には小さな木のブロックが置かれていた。マクゴナガル先生は教壇に立ち、厳しい眼差しで生徒たちを見渡す。

 

「変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中でも、特に集中力と正確さが求められる分野です。対象の性質を理解せずに、ただ形だけを変えようとしてはいけません」

 

生徒たちは静かに耳を傾けた。

 

「今日の課題は、この木のブロックを針へ変えることです。最初から完璧にできるとは思わないでください。まずは、変身の基本を理解することが大切です」

 

ハリーはブロックを見つめた。

 

「これが針になるの……?」

 

「そうよ。変身術の基本ね」

 

ハーマイオニーが小声で答えた。

 

「物質の形状だけでなく、性質も変化させる必要があるはずだわ。簡単ではないけれど、手順を正確に守れば……」

 

「ハーマイオニー、もうわかってるの?」

 

「教科書を読んだのよ!」

 

彼女は得意げに答えた。

 

「あなたたちも、授業の前に予習しておくべきだったわね」

 

「うっ……。ごめん」

 

ハリーは素直に謝った。

 

「でも、これから覚えるよ!」

 

「そ、そう。それならいいけれど……」

 

ハーマイオニーは、ハリーがあまりにもあっさり認めたので、少し拍子抜けしたような顔をした。

 

そのとき、レオがブロックを手に取った。

 

木目を確かめるように指先でなぞり、表面を軽く叩く。

 

「対象の性質を理解する、か……」

 

彼は小さく呟いた。

 

マクゴナガル先生がレオに目を向けた。

 

「ミスター・スキャマンダー。何か気づいたことがありますか?」

 

「はい、先生。このブロックは、表面と内部で木目の向きが違っています。変身後の形状を安定させるなら、表面だけでなく、内部の構造も意識したほうがよさそうです」

 

マクゴナガル先生の眉がわずかに上がった。

 

「よく気づきましたね。では、その考えを実際に試してみなさい」

 

「わかりました」

 

レオは杖を構えた。

 

「変身術は、対象の性質を理解することから始まる……」

 

彼はブロックを見つめ、静かに呪文を唱えた。

 

次の瞬間、木のブロックが細く伸びた。

 

表面の木目が滑らかに消え、銀色の光沢が現れる。数秒後、机の上には一本の針が置かれていた。

 

レオはそれを持ち上げ、光にかざした。

 

「……できました」

 

教室のあちこちから、驚きの声が上がった。

 

「もう完成したの!?」

 

「すごい……!」

 

マクゴナガル先生は針を確認し、慎重に頷いた。

 

「見事です。変身後の形状も安定しています。ですが、ミスター・スキャマンダー、ほかの生徒たちはまだ練習の途中です。今の技術を見せるのはよいことですが、彼らが自分の手で学ぶ時間も大切にしなさい」

 

「はい、先生。失礼しました」

 

レオは素直に頭を下げた。

 

その姿に、マクゴナガル先生の表情も少し和らいだ。

 

「あなたの才能は認めます。しかし、才能があることと、学ぶ必要がないことは違います。忘れないように」

 

「もちろんです。僕も、まだ学びたいことがたくさんありますから」

 

レオの返事は自然だった。

 

マクゴナガル先生は満足そうに頷き、教室全体へ向き直った。

 

「では、皆さんも始めなさい。焦らず、対象をよく観察すること」

 

ハリーは木のブロックを両手で挟み、真剣に見つめた。

 

「よし……。僕もやってみる!」

 

「頑張って、ハリー!」

 

ハーマイオニーが励ました。

 

ハリーは杖を構え、呪文を唱えた。

 

「……変われ!」

 

ブロックは、何も変わらなかった。

 

「……あれ?」

 

ロンが横で肩を震わせた。

 

「ハリー、それ、呪文じゃないだろ!」

 

「えっ!? そうなの!?」

 

「そうだよ!」

 

「うわあっ、間違えた!」

 

ハリーは顔を真っ赤にした。

 

「今のは練習! 練習だから!」

 

「はははっ! わかってるって!」

 

ロンが笑い、ハリーもつられて笑った。

 

ハーマイオニーは二人に呆れたような視線を向けたが、すぐに自分のブロックへ目を戻した。

 

「もう……。きちんと呪文を唱えなきゃだめよ!」

 

「はーい!」

 

ハリーは元気よく返事をした。

 

レオはその様子を見守りながら、口元を緩めた。

 

誰もが最初からできるわけではない。

 

失敗して、笑って、もう一度挑戦する。

 

ハリーには、それが自然にできていた。

 

そして、彼の周りには、失敗を笑い飛ばして一緒に頑張ってくれる友達がいる。

 

レオはそれが嬉しかった。

 

授業が終わる頃には、ハリーの木のブロックは、ようやく少しだけ細長くなっていた。

 

針には程遠い。

 

それでも、ハリーは満足そうに両手を握りしめた。

 

「見て、レオ兄さん! さっきより変わったよ!」

 

「本当だね。よく頑張ったね、ハリー」

 

「えへへ……!」

 

褒められたハリーは、嬉しそうに頬を緩めた。

 

ロンも自分のブロックを持ち上げる。

 

「俺のなんて、角がちょっと丸くなっただけだぞ!」

 

「それでも変化したんだから、進歩だよ!」

 

ハリーが励ますと、ロンは目を丸くした。

 

「……お前、そういうところ、すごいよな」

 

「えっ? 何が?」

 

「いや、なんでもない!」

 

ロンは照れくさそうに顔をそらした。

 

ハーマイオニーは、自分のブロックを見つめていた。彼女のブロックも、完全な針にはなっていない。表面の一部が金属のように変わっているだけだった。

 

「……悔しい」

 

ぽつりと呟く。

 

「ハーマイオニー?」

 

ハリーが覗き込んだ。

 

「私、予習してきたのに……。教科書の手順も、ちゃんと覚えていたのに……」

 

ハーマイオニーの眉がきゅっと寄った。悔しさが目元に滲み、唇が小さく震える。

 

「もっとできると思っていたのに……!」

 

レオが静かに声をかけた。

 

「ハーマイオニー。教科書を読んで、手順を理解していたのは立派なことだよ。でも、実際に魔法を使うと、思い通りにならないこともある。そこで何が起きたのかを確かめれば、次に進めると思う」

 

「……何が起きたのか」

 

ハーマイオニーは、はっとしたようにブロックを見た。

 

「そうね……。表面は変わったのに、内部まで変化が伝わらなかったのかもしれないわ」

 

「その可能性はあるね。もう一度、ブロックをよく観察してみようか」

 

「はい!」

 

ハーマイオニーは勢いよく頷いた。

 

それから、少しだけ恥ずかしそうに目を伏せた。

 

「……ありがとう、レオ」

 

「どういたしまして」

 

レオが笑う。

 

ハーマイオニーはその笑顔を見て、また顔を赤くした。

 

「そ、それじゃあ、私、もう少し練習してくるわ!」

 

「ああ、うん。頑張ってね」

 

「はいっ!」

 

彼女はブロックを抱えて、机へ戻っていった。

 

その背中を見送りながら、ロンが小声で呟く。

 

「レオ兄貴って、誰にでも優しいんだな」

 

「うん。レオ兄さんは、いつもそうだよ」

 

ハリーは誇らしげに頷いた。

 

「だから、僕もレオ兄さんみたいになりたいんだ!」

 

その言葉に、レオは一瞬だけ目を見開いた。

 

そして、ハリーの頭を優しく撫でた。

 

「ありがとう。でも、ハリーはハリーのままでいいんだよ」

 

「……僕のまま?」

 

「うん。君には君のいいところがあるからね」

 

ハリーは少し考えたあと、にっこり笑った。

 

「じゃあ、僕は僕のまま、いっぱい頑張る!」

 

「それが一番だね」

 

レオは嬉しそうに頷いた。

 

廊下の向こうから、次の授業を知らせる鐘の音が聞こえてきた。

 

ハリーは杖を握り直し、ロンと顔を見合わせる。

 

「次は何の授業だっけ?」

 

「ええと……魔法薬学だ!」

 

ロンが時間割を確認した。

 

「地下牢の教室だってさ」

 

「魔法薬! どんな薬を作るんだろう?」

 

ハリーの目が輝く。

 

ロンは少しだけ不安そうな顔をした。

 

「……鍋が爆発したりしないよな?」

 

「えっ!? 爆発するの!?」

 

「いや、知らないけど!」

 

「そ、それはちょっと怖いな……!」

 

ハリーは杖を握りしめながらも、すぐに笑顔を取り戻した。

 

「でも、レオ兄さんもいるし、きっと大丈夫だよね!」

 

「授業中は、先生の指示をよく聞くことだね」

 

レオは二人に言った。

 

「魔法薬学では、材料の量や手順が大切になる。わからないときは、勝手に進めず先生に確認しよう」

 

「わかった!」

 

ハリーとロンは声を揃えた。

 

ハーマイオニーも本を抱えて近づいてきた。

 

「魔法薬学なら、教科書に材料と手順が載っていたわ。授業前にもう一度確認しておきましょう!」

 

「ハーマイオニー、助かるよ!」

 

ハリーが笑うと、彼女は少し照れながらも、胸を張った。

 

「当然よ! 予習しておくのは大切なんだから!」

 

四人は次の教室へ向かって歩き出した。

 

窓の外では、ホグワーツの湖が朝日を受けてきらきらと輝いていた。

 

初めての授業は、驚きと失敗と、小さな成功の連続だった。

 

ハリーはまだ、思い通りに魔法を使うことができない。

 

ロンも、ハーマイオニーも、それぞれに得意なことと苦手なことがある。

 

そしてレオもまた、どれだけ才能に恵まれていても、学ぶことをやめるつもりはなかった。

 

「よーし! 次も頑張るぞ!」

 

ハリーの元気な声が廊下に響く。

 

「おう!」

 

ロンが答え、ハーマイオニーも力強く頷いた。

 

レオは三人の後ろ姿を見つめ、優しく微笑んだ。

 

ホグワーツでの毎日は、まだ始まったばかりだった。

 

 

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