流星街の異邦人 ― その魂は二度目の人生を歩む 作:アイエオ
午後六時二十七分。
ザバン市北東部、丘陵地帯。
赤い塔の影を追って辿り着いた石造りの建物。
その入口には、一枚の金属板が取り付けられていた。
『第一次試験・第二関門』
俺は、その文字を見つめながら、頭の中でこれまでの道のりを整理していた。
試験開始から、およそ三時間。
地下迷宮を抜け、赤い塔へ到達し、塔に仕掛けられた謎を解いた。
そして今、第二関門の入口に立っている。
……やっぱり、あの塔が最終目的地じゃなかったか。
予想はしていた。
そもそも、第一次試験の制限時間は二十四時間。
それに対して、ここまでに要した時間は三時間ほどだ。
もちろん、試験が早く終わること自体は不自然ではない。
だが、ガルドがあれほど念入りに危険性を説明したことを考えると、もう少し何かあるとは思っていた。
「ねえ、アオ」
隣から、リリアの声がした。
「どうした?」
「これ、入っていいんだよね?」
少女は、石造りの建物を見上げていた。
外壁には苔が生え、ところどころに亀裂が走っている。
入口の両側には古い石柱が立ち、その上には鳥を模した彫刻が置かれていた。
建物自体は、それほど大きくない。
横幅は二十メートルほど。
高さは三階建ての住宅程度だろう。
ただし、窓が一つもない。
……地下へ続いている可能性もあるな。
俺は、入口へ視線を向けた。
扉は厚い鉄製。
取っ手の周囲には新しい擦り傷があり、蝶番にも油が差されている。
古い建物を、最近になって整備したらしい。
「入ってみよう」
「うん!」
俺は、扉の取っ手へ手をかけた。
軽く押す。
……ギィィ。
重い音を立てて、扉が開いた。
その先には、薄暗い通路が続いていた。
俺は、足を踏み入れる前に周囲を確認した。
床には、何人かが通った形跡がある。
靴跡の新しさから考えて、つい最近のものだ。
……先に来た受験者がいるな。
俺は、リリアへ視線を向けた。
「中に誰かいるかもしれない。気をつけて」
「わかった」
少女は、少し緊張した表情で頷いた。
俺たちは、建物の内部へ入った。
◇
通路の先には、広い円形の部屋があった。
天井は高く、壁には六つの扉が並んでいる。
部屋の中央には石造りの台座。
その上には、一枚の紙が置かれていた。
俺は、周囲を見回した。
……六つの扉、か。
それぞれの扉には、異なる印が刻まれている。
剣。
盾。
天秤。
鍵。
炎。
そして、鳥。
俺は、静かに目を細めた。
……いかにも、何かありそうだな。
リリアが、台座へ近づいた。
「アオ、これ!」
俺も、隣へ移動した。
紙には、次の文章が書かれていた。
『ここより先、六つの道あり』
『進むべき道は、一つではない』
『ただし、すべての道が同じ場所へ続くとは限らない』
『選択には、必ず代償が伴う』
俺は、紙を読み終えた。
……選択には代償、か。
嫌な言葉だ。
リリアは、六つの扉を見回していた。
「どれを選べばいいんだろう?」
「……まずは、調べよう」
俺は、台座の周囲を確認した。
床には、六つの扉へ向かう線が刻まれている。
そして、それぞれの線の途中には、小さな文字があった。
俺は、順番に読んでいった。
『剣を選ぶ者は、力を示せ』
『盾を選ぶ者は、耐え抜け』
『天秤を選ぶ者は、価値を量れ』
『鍵を選ぶ者は、知恵を示せ』
『炎を選ぶ者は、恐怖を越えよ』
『鳥を選ぶ者は、自由を求めよ』
……なるほど。
六つの試練。
それぞれ、異なる能力を試す仕組みか。
俺は、少しだけ考えた。
剣なら戦闘。
盾なら耐久。
天秤なら判断。
鍵なら謎解き。
炎なら精神力。
鳥なら……何だろうな。
自由を求めよ。
抽象的すぎる。
俺は、静かに息を吐いた。
……どれを選ぶべきか。
自分一人なら、剣を選ぶのが手っ取り早い。
相手がどれほど強くても、念を使えば大抵の問題には対処できるだろう。
だが、今回はリリアもいる。
彼女は、まだ念を知らない。
身体能力も、一般的な十二歳の少女と比べれば優れている程度だ。
危険な戦闘へ巻き込む必要はない。
俺は、六つの扉を見回した。
……鍵か、天秤か。
そのあたりが無難だろう。
そう考えていたときだった。
「……アオ」
リリアが、小さな声で呼びかけてきた。
「ん?」
「これ、変じゃない?」
少女は、鳥の印が刻まれた扉を指差していた。
俺は、視線を向けた。
……ん?
扉自体は、他のものと変わらない。
だが、よく見ると。
……取っ手がないな。
俺は、目を細めた。
他の五つには、金属製の取っ手が付いている。
しかし、鳥の扉だけには何もない。
俺は、扉へ近づいた。
表面は、滑らかな石材で造られている。
押しても、引いても動かない。
……開け方が違うのか。
俺は、鳥の印を観察した。
翼を広げた鳥。
その下には、小さな文字が刻まれている。
『閉ざされた道を、道と思うな』
俺は、静かに考えた。
……なるほど。
扉を開けること自体が間違いなのか?
俺は、周囲を見回した。
六つの扉。
六つの試練。
そして、中央の台座。
……何か、引っかかるな。
そのとき。
部屋の奥から、低い声が響いた。
「……ほう」
俺は、顔を上げた。
六つの扉のうち、天秤の印が刻まれた扉。
その横にある壁の一部が、ゆっくりと開いていた。
そして、そこから一人の男が現れた。
灰色の短髪。
鋭い目。
鍛え上げられた身体。
……ガルド。
第一次試験の試験官だった。
◇
「ずいぶん早い到着だな」
ガルドは、俺たちを見ながら言った。
俺は、軽く会釈した。
「……どうも」
「受験番号、一番と二番か」
ガルドは、口元へ笑みを浮かべた。
「最初に会場へ到着した二人が、ここでも先頭とはな」
俺は、少しだけ考えた。
……先頭?
ということは。
俺たちが、最初の到着者なのか。
意外だな。
地下通路には、先に入った受験者の足跡があった。
赤い塔にも、何人かいた。
だが、ここには誰もいない。
……途中で別の道へ進んだか。
あるいは、まだ仕掛けを解いているのか。
俺は、ガルドへ視線を向けた。
「……ここが、目的地ですか?」
ガルドは、笑った。
「どう思う?」
……質問を質問で返すなよ。
俺は、内心で苦笑した。
だが、顔には出さない。
「……少なくとも、試験の一部だとは思います」
「ほう」
「ただ、ここが最終地点かどうかは、まだわかりません」
ガルドは、しばらく俺を見つめた。
そして、低く笑った。
「……悪くない答えだ」
俺は、静かに息を吐いた。
……さて。
何を考えている?
ガルドは、六つの扉へ視線を向けた。
「この部屋は、第一次試験の最終関門だ」
俺は、目を細めた。
……最終関門。
やはり、ここで終わるらしい。
だが。
ガルドは、続けた。
「ただし、ここを通過できるかどうかは、お前たち次第だ」
リリアが、少し緊張した表情になった。
俺は、静かに頷いた。
「……どうすればいいんですか?」
ガルドは、六つの扉を指差した。
「好きな道を選べ」
俺は、静かに考えた。
……それだけ?
ガルドは、さらに続けた。
「それぞれの道には、異なる試練が用意されている」
俺は、頷いた。
「……なるほど」
「どれを選ぶかは自由だ。途中で引き返すこともできる」
ガルドは、口元へ笑みを浮かべた。
「ただし、一度選んだ道を放棄した場合、その道へ再び入ることはできない」
……なるほど。
つまり、挑戦できる回数には限りがある。
六つの道。
最大六回。
だが、時間は有限だ。
俺は、静かに考えた。
……さて。
どれを選ぶか。
そのとき。
リリアが、小さな声で言った。
「……アオ」
「ん?」
「私、鍵の道がいいと思う」
俺は、少女を見た。
「理由は?」
「戦うのは、ちょっと怖いし……」
リリアは、少しだけ考えた。
「でも、考える問題なら、二人でできるかなって」
俺は、静かに頷いた。
……確かに。
妥当な判断だ。
俺は、鍵の印が刻まれた扉へ視線を向けた。
そして、ガルドへ尋ねた。
「……二人で、同じ道へ入ってもいいんですか?」
ガルドは、頷いた。
「構わん。ただし、試練の内容によっては、協力が不利になる場合もある」
俺は、静かに息を吐いた。
……なるほど。
協力が必ずしも正解ではない。
そういうことか。
俺は、リリアへ視線を向けた。
「……じゃあ、鍵の道にしよう」
「うん!」
少女は、嬉しそうに頷いた。
俺たちは、鍵の印が刻まれた扉へ向かった。
◇
扉を開けると、その先には小さな部屋があった。
中央には、木製の机。
その上には、三つの箱が並んでいる。
赤い箱。
青い箱。
そして、黒い箱。
俺は、静かに目を細めた。
……なるほど。
謎解きか。
机の上には、一枚の紙が置かれていた。
俺は、手に取った。
『三つの箱のうち、一つに出口の鍵がある』
『赤い箱の言葉は、必ず嘘』
『青い箱の言葉は、必ず真実』
『黒い箱の言葉は、真実とも嘘とも限らない』
『鍵のある箱を選べ』
俺は、静かに息を吐いた。
……なるほど。
論理問題か。
俺は、三つの箱を確認した。
それぞれ、蓋の上に文章が書かれている。
赤い箱。
『鍵は、青い箱にある』
青い箱。
『鍵は、黒い箱にはない』
黒い箱。
『鍵は、この箱にある』
俺は、少しだけ考えた。
……さて。
赤い箱の言葉は、必ず嘘。
つまり、鍵は青い箱にはない。
青い箱の言葉は、必ず真実。
つまり、鍵は黒い箱にはない。
ならば。
……赤い箱か。
俺は、静かに頷いた。
だが。
リリアは、まだ真剣に考えていた。
「……うーん」
俺は、少女を見た。
「どう思う?」
「……赤かな」
俺は、少しだけ笑った。
「理由は?」
「赤は嘘なんでしょ? だから、青にはない」
「うん」
「それで、青は本当のことを言うから、黒にもない」
「……そうだな」
「じゃあ、赤しか残らない!」
俺は、頷いた。
「……同じ考えだ」
リリアは、ほっとしたように笑った。
俺は、赤い箱へ手を伸ばした。
そして、蓋を開けた。
中には。
一本の鍵が入っていた。
「やった!」
リリアが、声を上げた。
俺は、鍵を手に取った。
……正解か。
だが。
これで終わりとは限らない。
俺は、部屋の奥へ視線を向けた。
そこには、もう一枚の扉があった。
鍵穴が付いている。
俺は、静かに頷いた。
「……行こう」
「うん!」
俺たちは、扉へ向かった。
◇
鍵を差し込む。
……カチリ。
扉が開いた。
その先には、細長い通路が続いていた。
俺は、懐中電灯を取り出した。
そして、前方を照らす。
……なるほど。
普通の通路か。
だが。
俺は、すぐに違和感を覚えた。
……静かすぎる。
足音が、妙に響く。
壁には、何もない。
天井にも、照明がない。
そして。
床が、わずかに傾いている。
俺は、静かに目を細めた。
……仕掛けか?
リリアが、隣から声をかけてきた。
「……アオ?」
「……少し待って」
俺は、しゃがみ込んだ。
床へ手を触れる。
……石材。
だが、ところどころに継ぎ目がある。
俺は、静かに考えた。
……落とし穴?
あるいは、可動式の床。
俺は、円を展開した。
半径十五メートル。
周囲の構造が、感覚へ流れ込んでくる。
……なるほど。
床の下に、空間がある。
しかも、通路の途中には、複数の可動部分が存在していた。
俺は、円を解除した。
……やっぱり、罠か。
俺は、静かに息を吐いた。
リリアへ視線を向ける。
「……床に仕掛けがあるみたいだ」
「……え?」
少女が、足元を見た。
俺は、続けた。
「……不用意に進まない方がいい」
リリアは、頷いた。
俺は、通路を観察した。
……さて。
どう突破する?
念を使えば、簡単だ。
だが、それでは試験の意図を無視することになる。
俺は、静かに考えた。
……何か、手掛かりがあるはずだ。
そのとき。
リリアが、小さな声で言った。
「……アオ」
「……ん?」
「床の色、違わない?」
俺は、目を細めた。
……ん?
確かに。
床の石材には、微妙な色の違いがある。
灰色。
薄い灰色。
そして、少し黒ずんだ石。
俺は、静かに観察した。
……なるほど。
一定の規則がある。
黒ずんだ石は、通路の中央に多い。
薄い灰色の石は、壁際に並んでいる。
俺は、静かに頷いた。
「……壁際を進もう」
「うん」
俺たちは、慎重に歩き始めた。
俺が先頭。
リリアが、その後ろ。
床の色を確認しながら、一歩ずつ進む。
……カツ。
……カツ。
足音が、通路へ響く。
途中、床がわずかに沈む場所があった。
俺は、すぐに足を引いた。
……危ないな。
だが、仕掛けは作動しなかった。
俺たちは、慎重に進んだ。
そして。
数分後。
通路の終わりへ辿り着いた。
俺は、静かに息を吐いた。
……抜けたか。
リリアも、ほっとしたように笑った。
「……よかったぁ」
俺は、少しだけ笑った。
「……まだ、終わりじゃないかもしれないけどな」
「……ええっ!?」
少女は、少しだけ肩を落とした。
俺は、苦笑した。
……まあ。
そろそろ、終わってほしいところだ。
◇
通路の先には、最後の部屋があった。
広さは、先ほどの円形の部屋と同じくらい。
中央には、一つの台座。
そして、その上には。
二枚の札が置かれていた。
俺は、静かに目を細めた。
……また、選択か。
台座には、短い文章が刻まれている。
『最後の問い』
『ここまで辿り着いた者よ』
『汝は、何を得るためにハンターを目指す?』
俺は、静かに息を吐いた。
……なるほど。
最初の列車で聞かれた質問に似ている。
レオン。
あの男との会話を思い出す。
自分にとって、何が大切か。
何を選ぶのか。
そして、その選択に責任を持てるか。
俺は、静かに考えた。
……何を得るために、か。
俺の答えは、変わらない。
自由。
自分の意思で、行く場所を決めること。
自分の意思で、誰を助けるか決めること。
そして、自分の意思で、生き方を選ぶこと。
流星街では、それが簡単ではなかった。
だからこそ。
俺は、ハンターを目指している。
俺は、台座の札を手に取った。
そこには、二つの選択肢が書かれていた。
『力』
『自由』
俺は、少しだけ笑った。
……わかりやすいな。
だが。
どちらも、間違いではない。
力を求める者もいる。
自由を求める者もいる。
どちらが正しいかは、その人間次第だ。
俺は、静かに息を吐いた。
そして。
『自由』
その札を選んだ。
すると。
台座の奥にある扉が、ゆっくりと開いた。
……ゴゴゴゴ。
俺は、目を細めた。
……なるほど。
正解、ということか。
だが。
リリアは、まだ札を見つめていた。
俺は、少女へ視線を向けた。
「……どうした?」
「……うーん」
リリアは、少しだけ考えた。
「……どっちも欲しいんだよね」
俺は、少しだけ笑った。
「……そうか」
「だって、強くなりたいし」
少女は、続けた。
「でも、世界中を旅したいし……」
俺は、静かに頷いた。
……なるほど。
確かに。
どちらも、彼女にとって大切なのだろう。
俺は、少しだけ考えた。
そして。
「……どっちか一つを選ばなきゃいけないなら?」
リリアは、しばらく黙っていた。
そして。
小さく笑った。
「……自由かな」
俺は、頷いた。
「……どうして?」
「だって、自由じゃなかったら、旅できないもん!」
俺は、少しだけ笑った。
……そうだな。
単純だ。
だが、それでいい。
リリアは、『自由』の札を手に取った。
すると。
台座の奥にある扉が、さらに大きく開いた。
俺は、静かに頷いた。
「……行こう」
「うん!」
俺たちは、最後の扉へ向かった。
◇
扉の向こうには、広い空間があった。
天井には、明るい照明。
壁には、ハンター協会の紋章。
そして、中央には。
一人の男が立っていた。
……ガルド。
第一次試験の試験官だ。
俺は、静かに目を細めた。
ガルドは、腕を組んで俺たちを見ていた。
そして。
低い声で言った。
「……よく来たな」
俺は、軽く会釈した。
「……どうも」
ガルドは、口元へ笑みを浮かべた。
「鍵の道を選んだか」
俺は、頷いた。
「……はい」
「ほう」
ガルドは、少しだけ考えた。
そして。
「……なぜ、剣を選ばなかった?」
俺は、静かに息を吐いた。
……なるほど。
俺の実力を、ある程度見抜いているのか。
俺は、少しだけ考えた。
そして。
「……戦う必要がなかったからです」
そう答えた。
ガルドは、しばらく黙っていた。
そして。
低く笑った。
「……ははは」
俺は、静かに見つめた。
ガルドは、頷いた。
「……悪くない」
俺は、静かに息を吐いた。
……さて。
これで、終わりか?
ガルドは、俺たちを見回した。
そして。
低い声で告げた。
「受験番号一番、アオ」
「……はい」
「受験番号二番、リリア」
「はい!」
ガルドは、口元へ笑みを浮かべた。
そして。
「……両名、第一次試験合格だ」
俺は、静かに息を吐いた。
……終わったか。
リリアは、一瞬だけ固まった。
そして。
「……え?」
目を丸くした。
「……合格?」
ガルドは、頷いた。
「そうだ」
次の瞬間。
「やったああああ!!」
リリアが、大きな声を上げた。
俺は、思わず笑った。
……元気だな。
少女は、その場で何度も飛び跳ねている。
「アオ! 合格だって!」
「……ああ」
「やったね!」
「……そうだな」
俺は、静かに頷いた。
……第一次試験、突破。
ひとまず、目標は達成した。
だが。
ハンター試験は、まだ始まったばかりだ。
俺は、ガルドへ視線を向けた。
「……他の受験者は?」
ガルドは、腕を組んだ。
「まだ試験中だ」
俺は、頷いた。
「……なるほど」
「制限時間までは、ここで待機してもらう」
俺は、静かに息を吐いた。
……明日の午後三時十分まで、か。
まだ、かなり時間がある。
だが。
俺は、少しだけ笑った。
……まあ。
休めるなら、休んでおこう。
リリアは、まだ嬉しそうにしている。
俺は、その様子を眺めながら、静かに考えた。
……第一次試験。
思っていたより、探索と判断が重要だった。
戦闘は、ほとんど必要なかった。
だが。
それも、ハンターらしい試験なのかもしれない。
力だけでは、解決できない問題。
情報を集め。
道を選び。
そして、自分の意思で進む。
それが、今回の試験で求められていたものなのだろう。
俺は、静かに息を吐いた。
そして。
小さく笑った。
……さて。
次は、何が待っている?
ハンター試験、第二次試験。
その内容は、まだわからない。
だが。
俺は、少しだけ楽しみになっていた。
流星街を出てから、まだそれほど時間は経っていない。
それでも、すでに多くの出来事があった。
レオンとの出会い。
リリアとの旅。
そして、第一次試験。
俺は、静かに頷いた。
……悪くない。
こうして、自分の意思で道を選び、進んでいく。
それこそが、俺の望んでいた生き方なのだから。