やはり比企谷八幡の掃除の仕方は間違っている。   作:眠り羊

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未だに城廻めぐりは諦めていない。

由比ヶ浜がいつもの椅子に座る

「どうぞ」

と居住まいを正した後、雪ノ下が声を掛けた

「失礼しま~す」

かわいらしい声とともに扉が開く

現生徒会会長の一色いろはと、前生徒会会長の城廻めぐりが順に入って来た

「いろはちゃんやっはろー、めぐり先輩こんにちは」

「あ、結衣先輩こんにちは~」

と微笑みながら由比ヶ浜に小さく振り振り手を振る、流石一色どこでもあざとさを忘れない

「由比ヶ浜さん、雪ノ下さん・・・えーっと・・・比企谷君!こんにちは」

めぐり先輩が笑顔で挨拶をする。俺の名前がちょっと危なかった気がするが、めぐりんパワーで癒されたので問題無い

なんで私覚えてたよ?偉い?みたいなキラキラした笑顔でこっち見るの?心がぴょんぴょんしてあーもう本当に癒されるんじゃ~

「こんにちは」

「うっす」

見ると一色が俺と雪ノ下にも手を振っていた・・・

何お前声に反応するとかダンシグフラワーの生まれ変わりかなんかなの?

こういう場合は手を振り返すものなのかどうかわからないので放っておいた、雪ノ下もスルーしてるしあってるんじゃないかな・・・

一色は反応が無いのでぷくっと頬を膨らませていた、はいはいあざといあざとい

「それで、今日はまた生徒会で何か問題でもありましたか?」

雪ノ下がめぐり先輩の顔を見て言った。するとめぐり先輩は首を振り顔の前で手をパタパタ動かし違う違うというポーズをとる

「あ、今回はそういうことじゃなくってー」

一色が頬を膨らませるのを止めて奉仕部へ来た説明を始める

俺や雪ノ下にそのあざとさを見せても無駄だと分かってるんだから、やめればいいのに

でも考えてみればいつも被っているものをいきなり脱ぐ方が面倒くさいのかもなぁ、

いやていうか仮面被りっぱなしとか面倒くさい以前に超汗臭いな

「ほら、今日って前々から学外清掃をするって決まってたじゃないですかー?」と笑顔で小首を傾げる。

やっぱりいちいちあざとい・・・いや、決まってたじゃないですかー?と言われてもそんな覚えは無いんだが。

ふと由比ヶ浜を見るとこちらを見て人さし指を顎に当て首を傾げる、由比ヶ浜も覚えが無いらしい。

そんな様子を見て雪ノ下が指をこめかみにもっていき溜息まじりに言った

「先週あたりから有志を募っていたと思うのだけれど」

「そうなんですよー、まぁ私が発案したわけじゃないんですがークラス担任から連絡されてるはずですよー」

私が案を出したわけじゃないんでどうでもいいんですがとありありと判る感じで言った

あれー?一色さん?微妙に仮面が外れかかってるみたいですけど大丈夫ですか?

「だめだよー?日頃近隣の方々にはお世話になってるし、それくらいは考えないと、ね?」

と苦笑しながらめぐり先輩が嗜めると、そうですよねニパーっと笑顔で答えていた、うむそれでこそ一色

「それで今回あまり人数が揃わなくってね、出来れば奉仕部も参加して貰えればと思ってね?」

ダメかなぁ?と不安そうな顔でめぐり先輩が続ける。

「それは奉仕部への依頼ということでしょうか?」

雪ノ下が問う

「依頼ってゆーことならやってくれるんですかー?」

笑顔で雪ノ下を横から覗きつつ一色が逆に問うと、冷静な表情で雪ノ下が言った。

「いいえ、残念ながらこの部は学校行事に従事する事を主旨とした部ではないので」

ですよねーと、やはり笑顔で納得した。どうやらこの返答は前もって予想されていたらしい。

「まぁぶっちゃけ人数の確保は生徒会役員が各部から数名ずつ募るというかたちで今動いているので、何とかなると思うんですよー」

強引な策だなそれ、でも各部から出して貰う事に決まったと言われればどの部も数名出すだろう。

「なら問題ねーじゃねーか、それともあれか?各部から数名出して貰うからうちも出せって言いに来たのか?」

絶対強制では無いのだろうからそれはパスだなーと考えていると

「いえそれもどうせ通らないだろうなーと思っていたので」

おおぅ、まるっと全てお見通しだったか、結構やるな一色いろは

「そう思っていたんですけど、平塚先生が「奉仕部への依頼としては通らないかもしれないが、比企谷個人になら小さな借しを作っておいたのでやってくれるだろう」と言われたので来ました。」

「それと平塚先生は、「まぁ彼ならそんな借りがなくても手伝ってくれると思うがね」とも言ってましたよー」

ニコっと笑顔で言った。

いくらなんでもそれは買い被りすぎだ、出来れば何もやりたくない、将来仕事もしたくないまである

てか、え?貸し?そんなもん作ったか?あ・・・ピンと来てしまった

一色を見ると、思い浮かびましたね?という楽しそうな顔で俺に寄って来た

「せーんぱい、じゃー行きましょうか」

座ってる俺に目線を合わせるように中腰になると引っ張り立たせようとする

「いやまて、確かに目薬は貰ったが、そしてその時奉仕部活動がんばりたまえ、とも言われたが・・・」

あれって貸しなの?世の中世知辛すぎるだろ、大人ってずるい・・・

まぁ京都でラーメンも奢って貰ったし、口止め料と言われたがそんなのただの口実だしな、しょうがない覚悟を決めるか・・・

一色が俺の腕を両手で掴み脇に挟んで立たせようとする。

何これ綱引き大会なの?いやいや近いし色々柔らかいし良い香りが漂ってきて困りすぎるだろ

由比ヶ浜がそれを見て驚き?の声を上げた

「いろはちゃん?えー?えー?」

と、柔らかくパンと机に手を載せゆっくり雪ノ下が立ち上がる

ピタっと一色の動きが止まる

雪ノ下が少し考える素振りを見せる

「一色さん少し待って貰っていいかしら?」

一色は、少しやり過ぎちゃったかな?と俺に聞こえるか聞こえないかくらいの小声で呟いた

どうやら一色がいつものあざとらしさを発揮していたようだ、ふぅ危ない危ない、致命傷ですんで良かった・・・大丈夫まだ死んでない!

「とりあえず彼の手を離して貰っていい?」

由比ヶ浜もフンフン頷いている

「はーい」

と一色が手を離す、ホッとした・・・由比ヶ浜を見ると何故か由比ヶ浜もホッとしていた・・・何でシンクロしてるの?シンジとアスカなの?

「一つ疑問があるのだけれど・・・一色さんが来た理由は先程ので分かったのだけれど、城廻先輩は何故部室に来られたのですか?」

言われてみればそうだ、貸しがあるという事実を告げて俺を連れて行くだけなら一色だけでも出来るお使いだ

「えー、それは私がまだ信用されてないだけだと思うんですけどー」

シュンとしたポーズをとりつつ一色が言った

「え?ちがうちがう、そんなこと全然ないよ、一色さん一年生なのに良くやってると思うし、たまに危ない時もあるけどね」

と笑顔でめぐり先輩が答えた

そうですかー、とパッと一色が明るくなる

由比ヶ浜を見ると良い話だとうんうん頷いている

由比ヶ浜、素直すぎるだろ・・・俺はもうそのあざといくだりはお腹いっぱいだよ、うんうんと俺も頷いた

「やっぱり流石だね雪ノ下さんは」

「いえ、それくらいは誰でも考えると思いますので、それに城廻先輩の来た理由までは判らないですし」

全然考えて無かった部員が二名ほどいるんだが、なんならお前以外全員考えてないから、普通気にしないだろ・・・

困ったような顔でめぐり先輩は言った

「私はね、さっきも言った通りだよ、出来れば奉仕部も参加して貰えればと思って来たんだ」

それを聞いて雪ノ下が意外そうな顔になる

「先程人数は何とかなるとのことでしたが?」

そしてめぐり先輩は観念したかのように語り始めた

「これは単なる私の我侭なんだけどね、学校の行事にはなるべく生徒会はもちろん、奉仕部も参加して貰いたいと思ってるの」

「何故です?そんなに今の生徒会が頼りないですか?」

雪ノ下の言葉を聞き一色が目をうるうるさせる。・・・もうつっこみさえも面倒くさい

「いや不安は無くは無いけれど、さっきも言った通り一色さんを初め皆良くやってると思うから大丈夫だと思うよ」

今の言葉を聞く限り、生徒会はこの前のクリスマスイベント以降も上手く機能してるようだ

「そういうことじゃなくてね、本当に私的な事なんだけれど、比企谷くんには話したことあったよね?」

その言葉でズキリとした痛みと伴に思いだす・・・ああ、城廻先輩はまだ期待してたんだ・・・

めぐり先輩があの時と似たような話をする

「私が卒業した後学校に遊び来た時に、生徒会と奉仕部のみんなで、あの時比企谷君最低だったねとか、あの後比企谷君が最低な事したんですよーとか語り合いたいから」

あはははと笑顔でめぐり先輩は言った、つられて由比ヶ浜と一色が笑う

途中理不尽な扱いを受けた気をしたがそれは仕方の無い事だ、むしろ笑い話にしてくれただけありがたい

雪ノ下がチラリとこちらを覗いた、俺はきっと・・・罰の悪そうな顔をしていただろう

「分かりました、とりあえずは今回の依頼お受けします、良いかしら由比ヶ浜さん?」

比企谷君が奉仕部の代表だと思われると迷惑なのでと付け足した・・・何それ俺は一色より信用ないの?

「うん、私は全然おっけー」

めぐり先輩が癒される笑顔でお礼を言っていた

「ありがとう」

雪ノ下がぼーっとしてる俺に近づいてくる

「比企谷君は・・・元々了解をとる必要は無いわね」

全てがあなたのせいでは無いわ、それは自惚れというものよと小声で俺だけに聞こえるように言った

そんな事は分かっていた、めぐり先輩が別に俺を責めているわけじゃないのも分かっていた

でも、ならどうして俺はショックを受けていたのだろうか・・・

 

「先輩、じゃー先に行ってますね」

と声をかけ一色とめぐり先輩が部屋を出る

「さて、じゃー俺も」

と言って荷物を持って部室を出ようとした

由比ヶ浜が反応する

「あれ?ヒッキー荷物持ってどこ行くの?あーまさかサボり?」

雪ノ下は察しがついているようだ

「トイレでジャージに着替えてくるんだよ、何お前、俺の裸見たいの?このビッチめ」

「ビッチ言うなし!別にヒッキーの裸なんて・・・」

顔が真っ赤になってボーっとなる、いやそこで止めんなよ本当にビッチなの?雪ノ下がドン引きしてるぞ・・・

俺は部室から出ると、ボッチには相応しいであろう個室へ向かって行った

 

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