原神の世界に通えるようになったので、モンドを拠点に異世界生活を楽しみます   作:ところてんの

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AIに本文の作成を任せているため、修正しきれていない部分があるかもしれません。ご了承ください。


第25話「軽策荘の休日」

 日曜日。

 

 前回は璃月港を中心に歩き、万民堂で香菱の料理を食べたり、不卜廬で白朮さんや七七と話したりした。

 

 今日は港を離れて、少し違う場所を見てみようと思う。

 

「今日は軽策荘に行ってみるか」

 

 山や畑に囲まれた村で、港町とはまた違った暮らしが見られるはずだ。

 

 ゲームで何度も訪れた場所だけど、実際に歩けば、画面の中では意識していなかったものにも気づけるかもしれない。

 

 俺はシステムを操作し、解放済みのワープポイントへ移動した。

 

 視界が切り替わる。

 

 次の瞬間、山々と緑に囲まれた景色が目の前に広がった。

 

「おお……」

 

 思わず声が漏れた。

 

 遠くには山が幾重にも連なり、斜面には畑が広がっている。木々の間を縫うように道が続き、その先には家々が見えた。

 

 軽策荘。

 

 知っている景色のはずなのに、風に揺れる草や葉の音、土の匂いまで感じられると、また違った印象を受ける。

 

 ワープポイントを使えば、移動そのものは一瞬だ。けれど、せっかく来たのだから、村までの道のりも楽しみたい。

 

「さて、のんびり歩きますか」

 

 俺は荷物を確認してから、村へ向かって歩き始めた。

 

 道の脇には草木が生い茂り、風が吹くたびに葉がさらさらと揺れる。鳥の鳴き声も聞こえた。

 

 璃月港では、人の話し声や商人の呼び込み、荷車が石畳を通る音が絶えなかった。ここでは自然の音がよく耳に入ってくる。

 

 同じ璃月でも、場所が変わると空気まで違って感じるものだ。

 

 しばらく進むと、道の先から人の声が聞こえてきた。

 

「そっちはもう終わったかい?」

 

「あと少しです。こっちの畝を整えたら終わります」

 

 声のするほうへ目を向けると、畑で作業をしている人たちがいた。一人は鍬で土を耕し、もう一人は畝の形を整えている。少し離れたところでは、若い男性が籠を運んでいた。

 

 それぞれが手を動かしながら、必要なときには声をかけ合っている。

 

 誰かに見せるための景色ではなく、ここで暮らす人たちのいつもの朝なのだろう。

 

「こういうところで暮らしているんだなあ」

 

 俺は道の端で足を止め、しばらく畑を眺めた。

 

 農作業について、俺に詳しい知識があるわけではない。土を整え、水をやり、雑草を取り、育った作物を収穫する。大まかな流れなら分かるけれど、実際には作物ごとに世話の仕方も違うだろう。

 

 天候を気にかけ、育ち具合を確かめ、収穫したものを運び、保存する。自然が相手だから、予定どおりにいかないこともあるはずだ。

 

 会社勤めの俺には、想像することしかできない。

 

 せっかく訪れたのだから、少し話を聞いてみよう。俺は近くで作業していた年配の女性に声をかけた。

 

「こんにちは」

 

 女性は手を止め、こちらを振り返った。

 

「あら、こんにちは。旅の人かい?」

 

「はい。璃月港から来ました。軽策荘を見て回りたくて」

 

「そうかい。遠くからご苦労さまだね」

 

「今日はゆっくり歩いてみようと思っているんです」

 

 女性は手にしていた道具を脇に置き、畑を見渡した。

 

「今は畑の手入れをしているところさ。作物の様子を見ながら土を整えたり、余計な草を取ったりね」

 

「収穫する時期じゃなくても、やることは多いんですね」

 

「そうだね。作物は放っておけば育つってものでもないからね。毎日様子を見てやらないと」

 

 女性が笑ったところで、少し離れた場所にいた男性が声をかけてきた。

 

「おばさん、こっちの道具はどこに戻せばいい?」

 

「物置に置いておくれ。次に使う人が困らないように、土を落としてからね」

 

「分かった」

 

 男性は道具についた土を払ってから、村のほうへ歩いていった。

 

 使った道具を片づけるところまでが仕事なのだ。次に使う人のことも考えなければならない。

 

「毎日、いろいろと大変そうですね」

 

「大変なこともあるよ。でも、育っていくのを見るのは楽しいものさ。手をかけたからって、必ず思いどおりになるわけじゃないけどね」

 

 女性の言葉には、長く畑仕事を続けてきた人ならではの実感があった。

 

 手をかけても、すべてが思いどおりになるわけではない。それでも世話を続ける。簡単なことではないだろう。

 

「話を聞かせてくれて、ありがとうございます」

 

「いいんだよ。せっかく来たんだから、村を見て回るといい。景色もきれいだからね」

 

「はい。そうさせてもらいます」

 

 お礼を言って、その場を離れた。

 

 短い会話だったけれど、話を聞けてよかった。畑を眺めるだけでも楽しいが、そこで働く人の言葉を聞くと、目に入る景色にも暮らしの気配が感じられる。

 

 目の前の畑は、ただの風景ではない。誰かが毎日手をかけ、生活を支えている場所なのだ。

 

 道の先では、二人の住民が収穫した作物を仕分けていた。籠の中には、いくつもの野菜が入っている。

 

「これはこっちの籠にまとめよう。あとで運びやすいからね」

 

「分かった。こっちは傷がないものだけにしておけばいい?」

 

「ああ。傷があるものは分けておこう。全部同じようには扱えないからね」

 

 二人は作物の状態を確かめながら、手際よく仕分けていた。少し離れたところでは、別の男性が籠を背負い、家々のあるほうへ運んでいる。

 

 収穫したものを選り分け、必要な場所へ届ける。食卓に並ぶまでにも、いくつもの作業があるのだろう。

 

 俺は邪魔にならないよう道の端を通り、籠を運んでいる男性に会釈した。

 

「こんにちは」

 

「おや、旅の人かい。こんにちは」

 

「たくさん運ぶんですね」

 

「今日はこれくらいさ。収穫が多い日は、何度も往復することになるよ」

 

「それは大変ですね」

 

「慣れた仕事だからね。まあ、重いものは無理せず分けて運ぶのが一番さ」

 

 男性はそう言って、再び歩き始めた。

 

 確かに、重い荷物を一度に運ぼうとしても、効率がいいとは限らない。途中で落としたり、体を痛めたりすれば、かえって手間が増えてしまう。

 

 長く続けてきた仕事だからこそ、無理をしないための工夫も身についているのだろう。

 

 村へ進むにつれて、木造の家々が近づいてきた。家の前では道具を手入れする人がいて、軒先には籠や農具が置かれている。洗濯物を干している家もあれば、収穫したものを仕分けている人もいた。

 

 家の前に腰を下ろし、農具についた土を落としている年配の男性もいる。そのそばでは、若い女性が道具の持ち方を教わっていた。

 

「ここを持つと、余計な力を入れなくて済むんだよ」

 

「こうですか?」

 

「そうそう。慣れないうちは、力任せにやらないほうがいい」

 

 女性は教わったとおりに道具を持ち直し、何度か動かしてみた。

 

「なるほど。さっきより扱いやすいです」

 

「最初からうまくできなくてもいいんだ。少しずつ覚えていけばいいさ」

 

 そんな会話が聞こえてきた。

 

 俺は通り過ぎながら、自然と口元を緩めた。やり方を教えたり、教わったりしながら、村の暮らしは続いている。農作業の知識だけでなく、道具の使い方や作業の進め方も、こうして次の人へ伝わっていくのだろう。

 

 住民とすれ違えば、軽く挨拶を交わす。相手も気軽に返してくれた。

 

 特別なことは何もない。それでも、よそ者の俺を自然に受け入れてくれる雰囲気が心地よかった。

 

 璃月港では、店や市場を見ていると、つい商品や値段に目が向く。自分でも商売をしているから、どんなものが売られ、どんな人が買い物をしているのか気になるのだ。

 

 でも、今日は商売のことを考えなくてもいい。

 

 ただ歩いて、景色を眺め、村の人たちの暮らしを知る。そんな過ごし方も悪くない。

 

 村の中を進んでいくと、少し開けた場所に出た。そこからは山の斜面に沿って広がる畑と、その向こうに続く緑が見渡せる。

 

 段々になった土地には作物が植えられ、遠くには竹林が広がっていた。風が吹くたびに竹の葉がさらさらと音を立てる。

 

「うわ……これはいいな」

 

 俺は思わず足を止めた。

 

 璃月港の海もきれいだったけれど、こちらの景色も負けていない。海の広がりとは違い、山や畑が重なり合う風景には、落ち着いた魅力がある。

 

 ゲームで地形を知っていたつもりでも、風の通り方や葉の音、遠くから聞こえる人の声までは、実際にここへ来なければ味わえない。

 

 観光客として訪れているだけの俺でも、なんとなく肩の力が抜ける気がした。

 

 少し離れたところに、腰を下ろせそうな場所があった。俺はそこまで歩き、荷物を足元に置いて休むことにした。

 

「ふう……」

 

 腰を下ろして、水を一口飲む。

 

 景色を眺めながらのんびり歩いてきたけれど、そろそろ昼食も気になってきた。

 

「もう少し休んだら、何か食べに行くか」

 

 水筒をしまい、目の前の景色をもう一度眺める。

 

 村のほうから、人々の声がかすかに聞こえてきた。誰かが呼びかける声や、道具を動かす音。その合間に鳥の鳴き声が混じる。

 

 街のような喧騒はないが、静まり返っているわけでもない。人が暮らす場所には、その場所なりの音がある。

 

 俺はしばらく、その音を聞きながら休んだ。

 

 やがて腹が鳴りそうになり、腰を上げる。

 

「そろそろ何か食べたいな」

 

 昼食にはちょうどいい時間だ。せっかく軽策荘まで来たのだから、村で食べられるものも味わってみたい。

 

 俺は村の中心に向かって歩き始めた。

 

 道沿いに進むと、食事を用意しているらしい場所が見えてきた。近くでは住民が話をしていて、温かな料理の香りが漂ってくる。

 

 俺は店先で少し立ち止まり、食事ができるか尋ねてみた。

 

「すみません。ここで食事をいただくことはできますか?」

 

 対応してくれた人は、俺の顔を見て頷いた。

 

「もちろんだよ。旅の人かい?」

 

「はい。璃月港から、軽策荘を見に来たんです」

 

「それなら、ゆっくりしていきな。大したものじゃないけど、腹を満たすくらいならできるよ」

 

「ありがとうございます。じゃあ、お願いします」

 

 案内された場所で待っていると、ほどなくして料理が運ばれてきた。

 

 派手な盛りつけではないが、湯気と一緒に素材の香りが立ち上っている。俺は手を合わせてから、一口食べた。

 

「……うん、おいしい」

 

 口に広がる素朴な味わいに、自然と頬が緩んだ。

 

 万民堂で食べた料理とは、また違う。港の店では料理人の工夫や活気を感じたけれど、こちらの食事には、土地で採れたものを生かした親しみやすさがある。

 

 使われている食材や調理の仕方も違うのかもしれない。同じ璃月でも、港町と農村では食卓に並ぶものが少しずつ違うのだろう。

 

 もちろん、一度の食事で村の食文化を分かったつもりになるわけにはいかない。それでも、その土地で暮らしている人たちの食事を味わえるのは、旅の楽しみのひとつだ。

 

 俺は料理をゆっくり味わった。

 

 さっき見た畑で作物を育てる人がいて、それを収穫する人がいて、運ぶ人がいる。そして、こうして料理を作る人がいる。

 

 普段はスーパーで食材を買い、家で簡単な料理を作るだけだ。食材がどこから来たのか、誰が育てたのかを意識する機会は、あまり多くない。

 

 今日は畑の様子を見て、作業している人たちと話をした。そのせいか、目の前の料理も、いつもより少し違って感じられた。

 

 食事を終えると、俺は代金を支払い、店の人にお礼を言った。

 

「ごちそうさまでした。おいしかったです」

 

「それはよかった。また来なよ」

 

「はい。ありがとうございます」

 

 店を出ると、午後の日差しが道を照らしていた。風が吹くたびに木々が揺れ、葉の影が地面を動いていく。

 

 せっかく来たのだから、もう少し見て回ろう。

 

 歩いていると、竹林へ続く道が目に入った。俺はそちらへ向かってみることにした。

 

 道の両側には竹が立ち並び、葉の間から光が差し込んでいる。竹林の中は村の中心よりも静かで、風が通ると竹同士が触れ合い、軽い音を立てた。

 

 足元には落ち葉が積もり、歩くたびにかすかな音がする。

 

 俺は歩みを緩め、周囲を見渡した。

 

 こういう場所を歩くのは久しぶりだ。日本でも自然の多い場所へ出かけることはできるけれど、仕事をしていると、休日は家で休むだけで終わってしまうこともある。

 

 異世界へ来られるようになってから、休日の過ごし方が変わった。

 

 土日に旅行へ出かけるようなものだけど、行き先がテイワットというのは、考えてみればとんでもない話だ。それでも、ここで過ごしている時間は、俺にとって現実の休日に変わりない。

 

 歩けば疲れるし、腹も減る。景色を見て感動することもあれば、店の人との会話を楽しむこともある。

 

 特別な力があったとしても、日常の楽しみ方まで特別である必要はない。

 

 俺は竹林の中をもう少し歩き、木々の間から見える山の景色を眺めた。それから、来た道を戻ることにした。

 

 帰り道では、畑のそばで作業していた人たちに再び会った。午前中に話した女性も、まだ畑に出ている。

 

「こんにちは。さっきはありがとうございました」

 

「ああ、さっきの旅の人かい。村は楽しめたかい?」

 

「はい。景色もきれいですし、食事もおいしかったです」

 

「それならよかった」

 

 女性は手を止め、畑を見渡した。

 

「ここは何もない村だけど、こうして暮らすには悪くない場所だよ」

 

「そんなことないですよ。見ているだけでも楽しいです」

 

 俺は素直に答えた。

 

 観光客から見れば、何気ない畑や家並みも、普段の生活とは違う景色だ。それに、何もないということはない。

 

 ここには畑があり、家があり、働く人たちがいて、日々の生活がある。それを見られただけでも、来た意味はあったと思う。

 

「そう言ってもらえると嬉しいね。港のほうとは、ずいぶん違うだろう?」

 

「はい。璃月港は人も多いし、商売が盛んですよね。こっちは自然の中で暮らしている感じがします」

 

「港は港で便利だろうけど、こっちはこっちで、毎日やることがあるからね」

 

 女性は笑った。

 

「畑の様子を見て、家のことをして、必要なものがあれば買いに行く。そういう繰り返しさ」

 

「毎日の積み重ねですね」

 

「そういうことだね」

 

 俺は頷いた。

 

 派手な出来事はなくても、毎日の仕事を続けて生活を支えるのは簡単なことではない。会社員の俺も、平日は仕事をして給料をもらい、生活を続けている。

 

 暮らす場所も仕事の内容も違う。それでも、日々の積み重ねで生活が成り立っているという点では、共通するところがあるのかもしれない。

 

「お話しできてよかったです。そろそろ戻ろうと思います」

 

「気をつけて帰りなよ。またいつでもおいで」

 

「はい。ありがとうございます」

 

 女性に挨拶をして、俺は村を後にした。

 

 帰り道も急ぐ必要はない。歩きながら何度か立ち止まり、山の景色や畑を眺めた。

 

 午後になって光の当たり方が変わり、木々の影が道に長く伸びている。畑では住民たちが、変わらず作業を続けていた。

 

 俺が村を見て回っている間にも、彼らの一日は進んでいる。畑を整える人、収穫物を運ぶ人、家の前で道具を手入れする人。それぞれがいつもの仕事を続けていた。

 

 その光景が、妙に心に残った。

 

「いいところだったな」

 

 山に囲まれた景色も、畑で働く人たちの姿も、璃月港とは違った魅力があった。名所を見て回るだけでなく、そこで暮らす人たちの日常に触れられたのもよかった。

 

「また来よう」

 

 今度は季節が変わった頃に訪れてみるのもいいかもしれない。畑の様子も、山の色も、今日とは違って見えるだろう。

 

 そんなことを考えながら、俺はシステムを操作した。

 

 次の瞬間、景色が切り替わる。

 

 璃月港へ戻ってきた。

 

 周囲から人々の話し声が聞こえ、荷物を運ぶ人たちが忙しそうに行き交っている。山あいの静かな景色から戻ると、港町の賑わいがいっそう鮮明に感じられた。

 

 港には港の仕事があり、軽策荘には軽策荘の暮らしがある。どちらがよいというわけではない。それぞれに、その土地ならではの魅力があるのだ。

 

 俺は少し歩いたところで立ち止まり、港の向こうに広がる海を眺めた。日差しを受けた水面が、きらきらと輝いている。

 

「さて、今日はそろそろ帰るかな」

 

 明日は日本で仕事がある。帰れば、いつもの生活が待っている。

 

 平日は会社員として働き、休日にはテイワットを訪れる。これからも、そんな日々が続いていくだろう。

 

 でも、休日ごとに違う場所を訪ねていけば、まだ知らない景色や出会いが待っているはずだ。

 

 今日は軽策荘で、村の人たちの暮らしを少しだけ知ることができた。次に璃月を訪れるときは、また別の場所を歩いてみよう。

 

 俺は帰る準備を整え、システムを開いた。

 

 そして、日本へ戻った。




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