ラブコメ世界のかませ友人キャラに転生して、ヤンデレヒロインにかました結果www 作:ねこスマ
一年A組にはヒロインが三人いる。
能天気な不可能を可能にしちゃう系ピンク女子「乃々」
世界最新鋭のAI、IT企業『東辻情報改革技術』創業家のツンデレ令嬢「凛奈」
マンネリ化してきた中盤の物語にシリアスをひとつまみ「冷子」
入学早々デカ乳村さんが蒼とイチャイチャし始めたため、さっそくモブ男子勢のモチベは低下気味。俺のモチベ?そんなものに期待するくらいなら来世はいつも押し付けている蒼の二の腕に転生して乳村さんの虹村さんに野口inします。
『虹村さん考え直してみてほしい、確かに顔も性格も蒼に負けてはいるが!
『
『どういうことっすか、ワンチャンあるんすかッ!?二の腕はいつでも貸しますッ!!』
『人を見ていないっていうかぁ〜チグハグな感じ?それが治ったら良いかもねっ!!』
(こっわ、だから乃々じゃなくて虹村
凛奈は原色に近い黄色のツインテールで派手に目立つのだが、蒼がいない今は普通の生徒と変わらない静かな生活を教室で過ごしている。
『東辻さん!鋭い目つきに似合う顔の完璧なバランス比っ!!俺の恋人になってください!』
『フン、雑魚は話しかけてこないで』
『雑魚ェッッ……』
でたっ!凛奈の口癖『雑魚』
声の通る良い声優を起用してますなぁ、生の『雑魚』が聞けて満足です。
最後に冷子の見た目は相変わらずホラー映画顔負けの雰囲気を出している。
長い前髪で冷子の素顔を見たことがある人は誰もおらず、食事の時も鼻先が髪から少し露出する程度。気配の薄い冷子がトイレに行った時は女子の悲鳴が聞こえてきたりもする。
幸いイジメなどにはなっていない、まだ日付も浅く皆慣れない自分の生活のことで手一杯であるし、高校生にもなって陰湿なイジメ自体馬鹿らしくて
ただし冷子の近寄り難い除け者扱いがクラス内で確立していた。人は第一印象が大半っていうし、最低限の身だしなみと言葉に気をつけないと集団生活の中で弾かれても文句は言えない為、これは冷子の自業自得だろう。
そして俺が一方的に冷子と喋るということで、それが露呈しない雰囲気が出来上がっていた、クラスメイトからの変な男女という括りの視線。
__それは俺がトイレから帰ってくる間に偶然耳に入った。
『野口って人……一人でずっと井戸さんに喋りかけててヤバくない?』
『井戸さんも井戸さんで返事くらいすればいいのに……なんかあの二人不気味だよね』
(いや、その通り過ぎて反論できませんわ)
まぁ流石の野口メンタル、陰口になんとも思わないどころか、俺も納得してウンウンと心の中で頷いてしまった。
(野口って周りのことは全然気にしないんだよなぁ、てか気にしていたらナンパとかいう迷惑行為とかしてないだろうし)
あと冷子が喋れるようになるには蒼に心を開かないといけない。
冷子が何故あんな風になった理由を簡単に説明すると
1 冷子の容姿が良くて男子が告白
2 その男子の告白に嫉妬した女子達がイジメ開始
3 声キモい、顔キモい、声も顔も見せるなと罵られてトラウマに
控えめで心優しい性格だった冷子が絶望で自分の部屋を荒らした際に、大怪我をして頭のリミッターが外れる。そして原作で心開いた蒼ただ一人に執着するようになり、スマホの連絡先も蒼以外は登録しないという徹底振りだった。
だから俺は冷子と連絡先を交換していないし、俺も冷子の今の心情は全くと言っていい程わからない、だって言葉を交わせないんだから全部俺が適当に話しを進めているだけだ。俺が冷子の話し相手程度なのは分かるし、緋色に嫌がることをしたって俺の太ももを
転生したのが俺じゃなかったら冷子と親密になって救済したりする人もいるかもしれない、ただラブコメの唐突なシリアス展開が俺は嫌いだ。漫画の方も冷子の鬱描写はパラパラ読み飛ばしていたし、正直興味もなかった。だから辛気臭い雰囲気を早く解消したくて蒼と早々に話せる機会を作ったのである。
(俺は冷子の心を救わない、救うのは蒼だ。ただ陰口を言われて黙ってるのも漢じゃないし、友達として腹を割って話すくらいはいいか)
「井戸さん、放課後少し屋上で話せる?」
「…………」
俺の隣で弁当を食べ終わった冷子は静かに頷いた。
・・・
「高いところって気持ち良いよなぁ」
「…………」
学校で屋上が開放されてるっていかにも創作世界って感じがする。放課後は部活や下校で屋上には全く人がいないし冷子の声を聞くのに丁度いい。
「今まであえて聞いてこなかったけどさ、髪で顔を隠してたり、他の人と会話しないのは井戸さんなりの理由があるのは分かる」
「…………」
「正直に話すと、俺はその理由とか過去に何があったとかは全然興味ないわけよ、だから話さなくていいし、聞きたくもないかな」
「…………」
「もし心を救ってほしかったら他の人に頼ってくれ、ただ」
「…………」
「普通の友達として二人きりの時は喋ってくれないか?一人相撲の会話ばっかりで退屈しそうでさぁ」
「…………」
まぁ心通わせずに急に話そうとか言われても無理だよな、冷子は静かにただ黙って立っていた。
「OK、無理っすよねぇ、じゃあそろそろ緋色の様子を見に行かなきゃなんで帰りましょ」
ジィーーーーー
バツン
「え?」
「の……野口くん……待って……」
帰ろうとした時に背後から物音がして振り返ると、前髪をハサミで切ってその束を握っている冷子が素顔を晒していた。