ラブコメ世界のかませ友人キャラに転生して、ヤンデレヒロインにかました結果www 作:ねこスマ
冷子の前髪がバッサリと切られ素顔があらわになった、やや垂れ目の青い瞳、左目の近くに泣きボクロが一つある。
紛れもない井戸冷子の顔だ
厳密には激似のコスプレイヤーって感じだが。
前髪が乱雑に切られたぱっつんで、後ろ髪も長すぎて髪型が変に見えるが、美容室で髪を整えたらヒロインに並ぶ美貌になるのは間違いない。
(下手したら明日からクラスの人気者だなぁ、こりゃ)
「私の顔……変じゃないです…か?」
そして俺はあくまで友人として冷子と話したいと言って口を開いてくれた。
これはかなり良い原作改変ではないか?
依存しない形での初めての友人、原作は闇堕ちって感じだったが、光堕ちして普通の生徒として戻るまであるぞ。
「顔めっちゃ可愛いじゃんッ!!」
「………ほんとうに?」
「でも美容室にはすぐ行った方がいいな、今から電話かけてもどこかは空いてるでしょ」
「……………」
「井戸さんどした?」
「お、お店に電話するの……怖くて……」
「あー、じゃあ適当に俺が近場の美容室に連絡しようか?」
「はい…ありがとうございます……」
「お金ある?ないなら貸すけど」
「お金は大丈夫です……」
「じゃあ5時から6時で空いてるところ適当に探すわ」
・・・
冷子と駅前の美容室に一緒に向かっていた、移動中最初に言ったとおり過去についてや重い話は一切していない。
「野口くんは……どうして私にずっと話しかけてくれたんですか?」
「隠された顔がワンチャン美女だったりしないかぁって期待を込めてた、結果ビンゴ」
「その……私の顔が醜くかったら……」
「友達に顔の良し悪しは求めないって、まぁ俺も女友達は井戸さんが初めてだけど」
「………私が初めて」
これで冷子はクラスにも馴染めるようになるだろうし原作の憂いは無くなった。
駅から徒歩10分程度の美容室に着いて、俺が扉を開いた。
「すみません、5時半に予約していた井戸なんですけど。この子喋るのが少し苦手なんで、あまり話しかけないでもらえると助かります」
「…………ぅ」
「あーはい、わかりました、大丈夫ですよ」
俺は財布から一万円を取って井戸さんに手渡した。
「これ井戸さんが勇気出したご祝儀、明日から他のクラスメイトとも仲良くしてね」
「ぁ……そんな……」
「じゃあ俺、緋色のとこ行くから、また明日」
「ェ…………………?」
(ふぅ…あとはマジでラブコメ世界を楽しむだけじゃん!明日は聖地巡礼しよ)
・・・
「勝兄遅かったね」
「悪い悪い、ちょっと友達と話し込んでて」
「あっそ、なんか機嫌良いじゃん」
「まぁな〜、飯はファミレスでいいんだよな?」
「うん」
7時手前に蒼の家に着いて緋色を外食に誘った。緋色は毎日夕食を作っているが、一人の時にわざわざご飯を作るのは面倒とのことだった。
自転車で近くのファミレスに向かう、俺のお小遣いは月5000円のため、原作野口だったらこんなに奢ることは不可能だったな。
ファミレスに到着し、注文したメニューがテーブルに置かれた。
「緋色に一つ謝りたくてさ」
魚介パスタを頬張っている緋色がフォークの手を止める。
「え、怖…急になに?」
「俺が緋色に告白しただろ?よく考えたら幼馴染の兄貴分が告白してくるってすげぇ気持ち悪かっただろうなって」
「別にもういいよ……私も気にしないことにしたし、こうやって利用してあげてるんだから」
緋色は何でもない表情でそう言った、俺も原作野口が緋色に告白したのは知っていたからって調子に乗り過ぎたか?
「このくらいならいつでもいいぞ」
「勝兄ってバイトしてないよね?」
「してないっす、今はやってないカードが高く売れてお金はあんのよ」
「あぁーー、昔からカード買って集めてたねー」
「そういうこと、なんで高校の間は遊びに徹する!」
「ズル〜〜」
ファミレスからコンビニに寄って好きな物を買わせた後の帰り道に緋色が言った。
「あのさ、前の告白はなかったことにしてあげるから、今日泊まっていかない?」
・・・
「蒼兄のために買っておいた新品のやつだからコレ使って」
「おぉ、わざわざすまん」
「いいよ、言い出したのは私だし」
袋に入った新品の下着を受け取って俺は風呂場に向かった、母親には蒼の家に泊まってくると電話を入れておいた。
「脱いだやつは洗濯機に入れておいて、洗濯して乾燥機にかけるから」
「OKっす」
チャポン
__風呂に浸かりながら、今日は色々あったと天井を眺める。
緋色はしばらく家に一人だったし不安になってきたんだろうな、前世の俺が中学生の頃でも1週間近く理由も分からず一人だったら心細く感じただろう、女なら尚更。
それに緋色は俺にとって妹みたいな感じだ、家に二人で泊まったところで男女どうこう意識することはない、まぁ告白はしたんですけど。
あとは明日から冷子のビジュアルが解禁されてクラスは大騒ぎになるだろう、みんなの手のひらクルーが楽しみだ。
風呂から上がり、蒼の部屋着を借りてリビングに入ると緋色がリビング隣の部屋から出てきた。
「座敷に布団を敷いてるからそこで寝てね」
「ありがとな」
「じゃあ、私もお風呂に入ってくる」
「うっす」
・・・
俺はソファの上でボーっとTVを聞き流していた。前世にいた芸能人は一人もいないが、結局似たり寄ったりと言った印象だ。
「TV観てるけど、ドライヤーかけていい?」
「ん、全然いいぞ」
風呂から上がった緋色の水色のパジャマ姿、髪を結っていない姿を見るのは新鮮だった。今は濡れた髪をタオルで抑えながら鏡の前でドライヤーを掛けている。
「んしょ」
ドライヤーを掛け終わった緋色は俺の隣に座ってスマホを触り出した。
「緋色さぁ、1週間前の番組の内容とか覚えてる?」
「ん〜全然覚えてない、動物のやつとかだったら覚えてるけど」
「へぇー」
そこから特に会話はせず、すぐに内容を忘れそうな番組を緋色と一緒に観た。
宿題とかは俺が来る前に終わらせたんだろうな、緋色は成績良いし。
・・・
次の日の朝は緋色が作ってくれたご飯をゆっくり食べていたせいで、時間ギリギリになった。原作キャラの手料理を食べれるなんて貴重だからと、沢山おかわりして味わい過ぎた結果だ。
「おぉ、こりゃまた」
教室内の冷子の周りには女子が群がっており、男子もまた遠目で冷子に注目していた。
それはそうだろう、根暗女だと思っていた女子が突然『虹村』『東辻』のヒロイン級美女になって現れたんだから。
ガタッ!
俺が自分の席座った瞬間、冷子が気づいたのか周りの女子を無視して近づいてきた。
(うぉぉ……近くで見ると破壊力凄まじいな、髪型も原作と同じだし)
腰まで届く艶やかな黒の髪、前髪は額を覗かせるように分かれている。背中を覆う後ろ髪はさらりと流れ、毛先だけが緩やかな曲線を描いていた。
「……スンスン」
「ッ!?」
突然冷子が顔を近づけて俺の制服の臭いを嗅ぎ始めた、当然周りも困惑に包まれる。
「野口くんの匂いじゃない……」
「は……はい?」
「良い柔軟剤……それに女の臭い………」
【昨日女の子とお泊まりでもしましたか?】
その時の冷子の瞳にハイライトが一切なく、とてつもない圧のせいか、眼の中に何かが渦巻いているように感じた。
「………ヒェ」
一瞬頭が真っ白になったが、すぐに考えがよぎった。
あの…あのの、目は!顔は!蒼にする表情のはずだろうッ!?!?
俺がフラグを立ててしまったのか!?イケメンムーブで
それからざわついた教室を教師が宥め、始まったHRも全く俺の耳には入ってこなかった。