【ラブライブ!×イデオン】サンライズ50周年記念『伝説ラブライブ!』~ソロシップと呼ばれたロケバスと因果の地平~ 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
吹雪が狂ったように吹き荒れる、崩壊した野外ステージ。
足元に積もった白い雪は、激しい揉み合いと終わりのない流血の跡で、不気味な斑点模様に染まり上がっていた。
「死ねぇぇぇぇっ! 矢澤にこぉぉぉぉっ!!」
海未先輩の絶叫が、荒れる雪の夜空を叩き割る。
彼女の手には、本家の誇りであり象徴だった模造の日本刀が固く握りしめられていた。
振り下ろされた冷たい鉄の刃が、にこ先輩の掲げた錆びた鉄パイプと激しい金属音を立てて激突する!
ガギィィィン――!!
火花が闇の中に散り、二人の身体が衝撃で大きく弾け飛んだ。
「ハハハハッ! 何が『死ね』よ、正義の味方さん!!」
にこ先輩が血を吐き捨て、泥と血に汚れた唇を獣のように吊り上げた。
「あたしたちを殺したところで、あんたたちの奪われた誇りも、消え去った『μ's』の正統性も、何一つ戻ってこないのよ! あんたたちもあたしたちと同じ、すべてを失った罪人に成り下がったんだから!!」
「だとしても……あなたたちだけは、絶対に道連れにする……っ!!」
絵里先輩が絶叫し、手にしていた壊れた照明機材の重い金属支柱を振り回して、再び飛び込んできた。
もはや、そこには伝統芸能の品格も、スクールアイドルの眩しい輝きも、生徒会としての理知も存在しない。
残されていたのは、お互いの存在そのものを憎悪し、否定し、刺し違えるためだけの純粋な狂気(イデ)だった。
「やめて……やめてよ先輩たちぃぃぁぁっ!!」
私は泣き叫びながら、二人を押し隔てるように泥の中へ飛び込んだ。
だが、絵里先輩の振り下ろした金属支柱が、私の肩口を容赦なく殴打した。
ガツッ――!!
骨が軋む不快な衝撃音とともに、私は雪の上へと激しく転倒した。
視界が鮮血で赤く染まり、口の中から鉄の味が大きく広がる。
「穂乃果ちゃん……っ!」
うつろな目をして動かないはずの真姫ちゃんが、雪に倒れた私を見て悲鳴を上げた。
「真姫ちゃん……逃げて、そこから……っ!」
「嫌……嫌よ! 私……私、もう一人になるのは嫌ぁぁぁっ!!」
精神の破綻を来していた真姫ちゃんが、錯乱したように叫びながら、落ちていたナイフを拾い上げ、ことり先輩へと突進した。
愛されたいという渇望。見捨てられることへの底なしの恐怖。
その抑圧された感情が、土壇場で暴力的な衝動となって爆発したのだ。
「来ないで……っ! 近寄らないでよ、不潔な泥棒たち!」
ことり先輩が叫び、手にしていたナイフを恐怖に震えながらもがむしゃらに振り回す!
ザシュッ――!!
湿った肉を深く切り裂く、耐え難い音が響いた。
「あ……がっ……!?」
真姫ちゃんの細い胸元から、鮮やかな赤い血が白い雪の上へと盛大に吹き荒れた。
「真姫ちゃぁぁぁぁぁっ!!」
私の裂帛の悲鳴が、夜空へ空しく響き渡る。
真姫ちゃんは自分の胸から流れ続ける温かい血を見つめ、まるで糸の切れた人形のように、ゆっくりと膝から崩れ落ちていった。
「あ……あは……私……誰かの……一番に……なれたかな……」
それが、真姫ちゃんの最期の言葉だった。
名跡の重圧に押し潰され、車上生活の闇の中で身体を差し出し、最後は仲間の愛憎の渦の中で命を散らした。
「真姫……? 嘘でしょ……真姫ぃぃぃっ!!」
にこ先輩が狂乱し、自らの安全も顧みずにことり先輩へと襲いかかった!
鉄パイプがことり先輩の側頭部を直撃し、鈍い打撃音が響く。
「きゃあああああっ!?」
ことり先輩が血を吹き流しながら崩れ落ち、激しい痙攣を起こし始めた。
「殺してやる……殺してやるわよ全員! あたしの仲間を、あたしの『μ's』を壊した奴ら全員、あたしの手で引き裂いてやるぅぅぅっ!!」
にこ先輩の髪は乱れ、顔面は自分の血と相手の血で真っ赤に染まっていた。
その姿は、かつて宇宙一を目指したアイドルなどではない。
愛憎と不快な執着を吸い尽くし、すべてを破滅へ導く死神そのものだった。
「矢澤ぁぁぁぁっ!!」
海未先輩が激高し、鉄の刃を容赦なく突き出した!
ドスッ――!!
生々しい音とともに、鮮血が吹き飛ぶ。
刃は、にこ先輩の脇腹を深く、致命的に貫いていた。
「ぐはっ……!?」
「これで……終わりです……! 一門の害悪、ここで絶えなさい!!」
「ふ……ふふっ……あはははははっ!」
貫かれながらも、にこ先輩は高笑いをやめなかった。
彼女は自分の腹を刺し通す刃を自らの手で固く握り締め、海未先輩の顔を引き寄せると、その血塗られた唇で海未先輩の耳元に冷たく囁いた。
「残念ね……海未……。あたしが死んでも……あんたたちの人生も……全部終わったのよ……」
にこ先輩の手元で、花陽から託された端末の非常自爆プログラムが起動した。
カチッ――。
「なっ……!?」
ドガァァァァン――!!
ステージの電源設備に残されていた全エネルギーが暴走を起こし、巨大な爆発が二人の身体を完全に包み込んだ!
パートナーを失った絶望の中で、少女たちの愛憎の物語は、ひとつの絶対的な終焉へと到達しようとしていた――。
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