TSした俺は爆乳美少女 ~爆乳お姉さんたちに愛される百合ハーレム迷宮譚~ 作:TS百合好き
「……さて、それじゃあ次の問題だね!」
姿見の前からリオナに支えられてベッドへ戻り、ようやく一息ついたところで、ミアさんが明るい声を上げた。
「……次の問題?」
「うん。レインの服!」
言われて視線を落とすと、胸元を覆っているのは大きな布だけだった。迷宮で着ていた衣服は今の身体に合わず、これでは部屋の外へ出ることさえできない。
「そうだよね。とりあえず、何か着られるものを探さないと……」
「それがねぇ。眠ってる間に宿の寝間着を何着か合わせてみたんだけど、どれも駄目だったの。身長に合わせると胸が入らないし、胸に合わせると肩や腰がぶかぶかになっちゃって」
「……そんなに?」
「そんなに、だよ。それに、ちゃんと身体に合う下着も必要だからね」
「…………したぎ」
思わず呟いてしまった。そうか。女の子になったということは、身につける下着まで変えなければならないのか。
「……俺、女物の下着を着るの?」
「そりゃそうだよ! 特に胸は、ちゃんと支えないと駄目なんだから。その大きさで何も着けずに歩き回ったら大変だよ?」
ミアさん自身も豊かな胸の持ち主だけに、その言葉には妙な説得力があった。立ち上がるだけで重心が狂う今の俺には、確かに必要なものなのだろう。分かってはいるが、男として十九年生きてきた身には、そう簡単に割り切れない。
……それにしても、まさか知り合いの美女に自分の下着の相談をする日が来るとは。
そこで、ふと別の記憶が頭をよぎった。
(……あれ? そういえばミアさんって……)
桃色の髪に、人懐っこい笑顔。世話好きな宿屋の看板娘。今日、ギルドでセレナさんに会ったことで蘇った、前世の美少女ゲーム『爆乳迷宮ハーレム』の記憶と重なる。
(……ミアさんも、あのゲームのミアちゃんじゃないか!?)
以前から顔馴染みだったせいか、今まで気づかなかった。セレナさんだけでも驚いたのに、ミアさんまでゲームに登場していた女性とそっくりだなんて。いったい、あのゲームとこの世界にはどんな関係があるのだろう。
「……レイン? どうかした?」
「あっ、いや! 何でもないよ!」
慌てて笑って誤魔化す。前世の俺ならゲームのヒロインに下着の相談ができる状況を喜んだかもしれないが、まさか自分が女の子になって当事者になるとは思わなかった。嬉しいどころか、恥ずかしさしかない。
「それじゃ、まずは採寸しようか。今のレインがどんなサイズなのか分からないと、服も用意できないし」
「……そ、そうだね」
「大丈夫。私とリオナだけだし、嫌なことはしないから。どうしても恥ずかしかったら、後でもいいよ?」
優しく尋ねられ、俺は少し迷った末に首を振った。明日は教会へ行くつもりだし、いつまでも布を巻きつけた格好でいるわけにはいかない。
「……お願いします、ミアさん」
「うん、任せて!」
ミアさんは裁縫道具の箱から巻き尺を取り出し、リオナにも手伝ってもらいながら測定を始めた。
まず、身長は百五十四センチ。
「……二十四センチも縮んだのか、俺」
「女の子なら、そこまで珍しい身長じゃないよ?」
「いや、そういう問題じゃないんだけどなぁ……」
続いてウエストは五十五センチ、ヒップは百五センチ。小柄な身体に対して、何とも極端な数字が並んでいく。男だった頃とはまるで違う体型なのだと、改めて突きつけられた気分だった。
「じゃあ、最後は胸ね。苦しかったら言ってね?」
「……う、うん」
ミアさんが巻き尺を胸元へ回すと、隣のリオナまで興味深そうに覗き込んできた。……いや、そんな真剣に見られると余計に恥ずかしいんだけど。
「……えっと」
目盛りを確かめたミアさんが、ぴたりと動きを止めた。
「……ミアさん?」
「……百五十センチ」
「…………は?」
「胸囲。百五十センチだよ」
俺は黙り込んだ。
百五十センチ。さっき測った身長と、たった四センチしか違わない。
「……それ、ほとんど身長と同じじゃない?」
「……そうだね」
「……うそだろ」
自分の胸元へ視線を落とす。普通の服が入らないのも、動くたびに重さが気になるのも、これなら納得できる……いや、できない。そもそも何をどうしたら、こんな身体になるんだ。
「……現実よ、レイン」
リオナが何とも言えない表情で告げてくる。分かっているつもりでも、数字にされると衝撃が違った。
「大きいこと自体が悪いわけじゃないけどね。私だって服選びには苦労するし、レインの場合は特に大変そう」
ミアさんは胸の下側も測って数値を書き留めると、難しい顔で首を傾げた。
「既製品でぴったり合う服や下着を探すのは、たぶん無理かな。特注を引き受けてくれる職人さんに相談した方がいいと思う」
「……特注かぁ」
必要なのは分かるが、費用も馬鹿にならないだろう。そんな俺の隣で、リオナが何かを思い出したように顔を上げた。
「そういえば、魔法の衣服や装備を作ってる腕のいい職人さんがいるって聞いたことがあるわ。普通の仕立て屋じゃ難しい注文も受けてくれるらしいの」
「本当? それなら一度相談してみたいな」
「ええ。値段はそれなりにすると思うけど」
「……まずは最低限の服と下着だけでいいよ。元に戻れるかもしれないのに、いきなり高い防具まで揃えるのは早いだろうし」
「そうね。教会で何が分かるかも、まだ分からないもの」
ひとまず服の問題には見通しが立った。……と思ったところで、俺は大事なことを思い出した。
「……あっ! そうだ、宝物庫!」
「どうしたの、急に?」
「あの財宝、どうなった!? まさか全部置いてきたのか?」
「……置いてきたわよ。あんたを背負って帰るだけで精いっぱいだったんだから」
「……そ、そっか」
言われてみれば当然だった。リオナは意識を失った俺を背負い、魔物のいる迷宮を一人で抜けてきたのだ。財宝まで運ぶ余裕などあるはずがない。
「……ごめん。俺が倒れたせいで」
「何謝ってるのよ。宝物庫の場所も道順も分かってるんだから、あとで人を雇って回収すればいいでしょ? どうせ最初から二人じゃ運びきれない量だったんだし」
「……そうだな」
宝物庫には金貨や宝石、魔法の武具が山積みになっていた。元々何度かに分けて運び出すつもりだったし、ギルドに相談して信用できる探索者や運搬人を紹介してもらえばいい。もっとも、横取りされないよう、人選には慎重になる必要があるだろう。
「あと、俺の剣と盾も置いてきたんだよな?」
「ええ。あんたを運ぶのに邪魔だったから。でも、ちゃんと場所は覚えてるわ」
「助かる。それと……リオナの魔導銃も、絶対に回収しないとな」
「もちろんよ! あんなもの、もう二度と見つからないかもしれないんだから!」
途端に目を輝かせたリオナを見て、思わず笑ってしまった。あの魔導銃は今の技術では新しく製造できない、極めて希少な迷宮産の武器だ。無事に持ち帰れたとしても使い方を調べる必要はあるだろうが、射撃の得意なリオナにとっては夢のような戦利品に違いない。
「財宝が回収できれば、俺の服代も何とかなりそうだな。人を雇った費用を引いて、残りを二人で分けよう」
「そうね」
「リオナの取り分は、今までどおり孤児院への仕送りに使ってくれよ。俺の服代は俺の分から出すからさ」
「……あんたってば、自分がこんなことになってるのに、私の仕送りまで心配するのね」
「だって、そこは別の話だろ? 二人で見つけた財宝なんだから、公平に分けないと」
そう答えると、リオナは一瞬驚いたように目を丸くし、それから小さく笑った。
「……まったく。あんたを置いて財宝だけ持って帰るわけないじゃない。相棒なんだから、そんなの当たり前でしょ?」
「……うん。ありがとう、リオナ」
「だから、お礼なんていらないってば」
少し頬を赤くしてそっぽを向いたリオナを見て、ミアさんが楽しそうに微笑む。
「ふふっ。二人とも、本当に仲良しだねぇ」
「……べ、別に、そういうんじゃないわよ!」
「えー? 私は何も言ってないけど?」
「ミア!」
いつものように言い合う二人を見ていると、自然と笑みがこぼれた。身体が変わっても、こういう時間までなくなったわけではない。そのことが、今は何よりありがたかった。
◇ ◇ ◇
その後、ミアさんが用意してくれた温かいスープを飲みながら、俺たちはこれからの生活について相談することになった。
窓の外はすっかり暗くなり、通りには魔導灯が灯っている。迷宮から俺を背負って帰ったリオナも、ようやく椅子へ腰を下ろした。時折肩を回す姿を見ていると、今日どれほど無理をさせたのかが伝わってくる。
「……リオナ、相当疲れてるだろ? 今日はもう早く休んでくれよ」
「そうさせてもらうわ。でも、あんたが落ち着くまでは心配で休めないじゃない」
リオナはそう言って笑ったが、その顔にはまだ疲れが残っていた。明日は俺に付き合って教会へ行ってくれるというし、今夜くらいは早く休んでもらいたい。
「それでね、レイン。ひとつ提案があるんだけど……しばらく、うちに泊まらない?」
スープのおかわりを置きながら、ミアさんが尋ねてきた。
「……ここに?」
「うん。今までの宿って、男の人のお客さんが多いし、お風呂もないんでしょ? 今のレインだと、色々困ることがありそうだから」
「……確かに、そうだね」
俺が住んでいた安宿は男性客が多く、主人も常連客も男だった頃の俺を知っている。今の姿で戻れば大騒ぎになるだろうし、着替えや入浴のことを考えても、以前と同じようには暮らせそうにない。
「うちは女性のお客さんが多いし、鍵のかかる個室もあるからね。お風呂も使えるし、困ったことがあったら私も手伝えるよ?」
「ありがたいけど、ここの宿泊料金って……」
「ふふっ。いつもの安宿よりは高いけど、その分、安心して泊まってもらえると思うよ」
確かに設備は申し分ない。リオナの部屋も近いのだから、何かあったときに助けを求めやすいだろう。少々出費は増えるが、今の身体で安全に暮らすための費用だと思えば、惜しむべきではないのかもしれない。
「……じゃあ、しばらくお世話になってもいいかな。もちろん、宿代はちゃんと払うよ」
「もちろん! お客さんとして大歓迎だよ!」
「私も賛成。部屋が近い方が安心できるしね」
こうして、俺は当面ミアさんの宿屋で暮らすことになった。男だった頃はリオナに会いに来たり、食事をしたりするだけだった場所が、新しい生活の拠点になるとは思いもしなかった。
……できれば、あまり長居せず元の身体に戻りたいところだけど。
「それと、明日は教会に行くんだよね?」
「うん。まずは呪いの類いじゃないか、神官さんに診てもらおうと思ってる」
「だったら、朝までに私の服を少し調整してみるね。外套も貸すから、少なくとも教会までは行けるようにしなくちゃ」
「本当に、何から何までありがとう」
「もう、遠慮しなくていいんだってば。今は身体を大事にすることが先だよ?」
ミアさんが優しく笑う。女の子になったばかりの俺にとって、衣服一つ用意するのも簡単ではない。こんなときに頼れる人がいるのは、ありがたいことだった。
◇ ◇ ◇
食事を終えると、リオナもようやく自分の部屋へ戻ることになった。
「いい? 何かあったらすぐに呼ぶのよ。絶対に一人で無理しないこと!」
「分かってるって。今日はもう大人しく寝るよ」
「……本当でしょうね?」
「そんなに信用ない?」
「今日一日で十分すぎるほど心配させられたもの」
そう言われては反論できなかった。俺が苦笑して頷くと、リオナも少し安心したように微笑み、部屋を出ていく。ミアさんも寝具を整え、明日の朝また様子を見に来ると約束してから、静かに扉を閉めた。
一人になった客室へ、夜の静けさが戻ってくる。
「……はああぁ……」
ベッドへ横になり、深いため息をついた。朝はいつものようにリオナと迷宮へ向かい、隠し通路の先で強い魔物を倒し、宝物庫では大量の財宝を見つけた。そこまでは人生でも指折りの幸運な一日だったはずなのに、最後の最後で訳の分からない魔法陣に巻き込まれ、気づけば女の子になってしまっていた。
……本当に、どうしてこうなった。
掛布の下には、小さくなった手と細い腕。肩から流れる長い栗色の髪に、寝具越しでも分かる巨大な胸。頬をつねってみても普通に痛いし、口から漏れるため息まで聞き慣れない少女の声だ。
「……夢じゃないんだよなぁ」
明日、教会で診てもらえば、案外簡単に元へ戻れるかもしれない。だが、もし神聖術でも治せなかったらどうするのだろう。原因が分からなければ、いつまでこの姿で暮らすことになるのかも分からない。
……いや、まだ何も調べていないのに、悪い方ばかり考えても仕方ないか。
まずは教会へ行く。それで駄目なら魔術師に相談する。宝物庫の財宝を回収できれば、調査の費用だって用意できるだろう。元に戻れるまで時間がかかるなら、その間も探索者として生きていく方法を考えればいい。
身体は変わってしまったが、今まで積み重ねてきた経験まで消えたわけではない。リオナとの相棒関係も、ミアさんとの付き合いも、ちゃんと残っているのだ。
「……よし。明日から、できることを一つずつやっていこう」
小さく呟いて目を閉じる。しかし、寝返りを打とうとした途端、胸元の重みに引っ張られ、思わず動きを止めてしまった。
「……それにしても、何でこんなに大きいんだよ……」
この身体で走って、戦って、以前のように探索者を続ける。考えただけでも大変そうだが、装備を整えて訓練すれば、何とかなるかもしれない。
もっとも、できればその前に元の身体へ戻りたい。
そう願いながら、俺はゆっくりと眠りへ落ちていった。
――翌日、教会を訪れた俺は、この不可思議な変化がそう簡単には解決しないことを思い知らされる。そして、前世の記憶に残る一人の神官とも出会うことになるのだが……このときの俺は、まだそんなことなど知る由もなかった。