ボッコボコにしてやんよ!! 作:おいらだぜ!
おいらはボコだぜ!
人間として生まれて、苗字も名前もあるけど縮めてボコって呼ばれてるぜ!!ジョジョみてぇだな!!
前世でガールズ&パンツァーというアニメを見ていたという記憶もあるけど、特に意味は無かったぜ!!
――――だって、気付いたらもう自分が高校を卒業していたから(震え声)
こういう時って主人公であるみほちゃんとか黒森峰女学園のまほちゃんとかと一緒に無双するもんだろ?
あるいは頼れるOGとして味方するのもいいよな!師匠面とかしてみたいもんだよな!!
―――入学したのがベルウォール学園だったので、戦車ありませんでした!!!
休日に戦車に乗れるわけでもなし、そもそも黒森峰女学園の10連覇が始まってもなかったぜ!!
そもそも学校自体が荒れに荒れてるから大変だぜ!
―――いつも集団で絡んで来たアイツらまじ許さんからな、まあボコボコにしてやったけど。
おいら別にリアルぼこになりたかったわけじゃねぇぜ!リアルファイトって危険なんだぜ!
最終的に全員舎弟にしてやったけど、最後まで戦車に関わることなんてなかったぜ!!
そんなわけで学力的に大学へ進学は諦めたぜ!というか推薦枠が戦車道経験者に有利すぎるぜ!!
途方に暮れていた時、久々に夕暮れの地上を歩いていた時、それはあったんだぜ。
「……ボコ、だぜ」
ボロボロのまま置かれていたクマのぬいぐるみだ、誰かの忘れ物かもしれないけどここまでボロボロのぬいぐるみだし捨てられていたんだろう。
生傷の絶えない生活をしていたから治療キットも裁縫セットも揃えている、せっかくだからコイツをボコに改造してやろう。
公園で汚れを洗い流し、破れたり解れている部分をワザと荒っぽく縫い直し、包帯や三角巾と絆創膏を付けて出来上がりだ!
公園のベンチに置いて乾かしていると、ふとこっちを見ている女の子がいる事に気付いた。
一人寂しく、今にも泣きそうな顔をしているが瞳は輝いている。
「こんにちは、君もぬいぐるみに興味があるのか?」
「う、うん。なんかかわいいなって」
こいつ正気か?やっぱりガルパン世界にはボコ好きが何人かいるんだな!!
ちなみに喋り方は大人しくしてるぞ、いきなりおいらとか言ったらビックリされるのは慣れてるからな!!
「君、一人で遊んでたのか?」
「お母さんの用事で一緒に来たの、だけど退屈だったから……」
「成程、冒険をしていたわけだ」
「うん!」
迷子になる奴やんけ、というか確定だなコレ。いや宿泊場所が分かっていれば大丈夫か?
とは言え知り合いもいないような場所で一人は寂しいよな……?
「そうか、もし君に時間があればちょっと遊びに付き合ってくれるか?」
「うん、いいよ!!」
素直だねぇ……ちょっと腕白がすぎないか?おいらちょっと心配になっちまうよ。
ちょっと生乾きだが仮ボコを顔の高さに持ち上げて、ちょっと声を調整して―――。
「おいら、ボコだぜ!」
「……ぼこ?」
「おうおう!声が小さいぞ!そんなんじゃ元気がどっかに行っちまうぞ!!」
ちょっとしたままごとみたいなもんだ、それでも対話を通して理解は進み、時間というものはあっという間に過ぎていった。
「「やってやる、やってやる、や~ってやーるぜ♪」」
「美穂!!」
駆けてくる一人の女の子、お姉ちゃんかな?というかこの慌て様はやっぱり迷子じゃねぇか!!
「すいません、妹がご迷惑をおかけしたようで……」
「ごめんなさい……」
「おいらも退屈だったからな!いいってもんよ!」
せっかくだからお近づきの印にボコを妹ちゃんに押し付ける、ちょっと生乾きなのは許してくれよな!
「そんな、お人形まで……」
「お姉さん!お名前は!!」
「おいらはボコ!」
ものもらいには眼帯を、虫刺されで掻いた首には包帯、慣れぬ裁縫によって指には絆創膏。
ところどころ解れた制服と、傷だらけの姿に見合わぬ元気を漲らせて、オイラは少女に手渡した人形を指してこう告げる。
「そっちのボコられグマのボコも、よろしくな!!」
ボコられグマ、誰かは知らないけど名前が美穂で妹の子にボコを渡すなんてもう運命だよな。
おいらの進路は、決まったようなものだった。
おいら頑張った、すげー頑張ったよ。
縫製技術者向けの専門学校に通い、手作りのボコやボコ着ぐるみまでハンドメイドで造り上げた。
売れない芸人の様に営業をかけ、仕事を貰い、公民館の一室を借りて動画を撮影しながら個人サイトでボコられグマを販売した。
すっごくすごーく、オイラ頑張ったんだよ……。
―――ボコミュージアムを建設した奴って、すげー奴だったんだな!
だけど現実にボコボコにされてもめげなかった、理不尽な環境にボコボコにされながらも資金を蓄え!
毎日手作りボコの作成と着ぐるみで動画を作成の日々!
だけどボコの動画って何を作ればいいんだろう、そんな時は大体戦車道を参考にすればいいのさ!
戦車道には、人生の大切なすべての事がつまってるんだからな!!
コメントにボコボコにされながらブラッシュアップしていけばおいらも真のボコに近づくってもんだ!
今日も一日!やってやる、やってやる、やーってやるぜ!!!
おいら、頑張ったよ……。東奔西走なんのその、少しずつファンも増えて、少しずつ定期的に呼んでくれるお得意様も増えていったさ。
動画も今のところ好調で、コメントにも少し闇が紛れているがボコがボコボコにされる動画を見に来ているなんて一部のイレギュラーくらいだしな!
さて、新作の動画もコメントも再生数もそこそこだけどいい感じだぜ!
おいらもガルパン位面白い話をドンドン作らないとな!
やってやる、やってやる、やーってやるぜ!!!
「ボコー!がんばれー!!!」
「……がんばれー」
動画サイトにて個人製作の劇に夢中になっている子供がいた。
オススメに表示されて、なんとなく興味を惹かれて見始めてからは大ファンになっていた。
今日の動画はいつも通りにボコが国の兵士にボコボコにされる。
しかしボコボコにされながらも兵士の真意を聞いたボコは王様の下に直訴へ向かうのだ。
自由を愛する国は、実際は正義という思想で固められていた。
『正しくなければいけないのだ!』
『それこそ私情だろうが!!』
「……二人とも、それは面白いのかしら?」
「うん!面白いよ!!」
「えっと……はい」
久しぶりに時間が出来たので家族で夕食を取ろうと家に戻るとしほが家に戻ると、娘二人はなんとも不思議な動画を見ていた。
ボコボコにされながらも思いをぶつけて来るぬいぐるみのようなクマ、勧善懲悪の流れだろうか王が一方的に責められているかのようだ。
「お母さん」
「なぁに、みほ」
「王様がね、可哀そうなの。頑張ってるのに、怒られるのはひどいと思う」
「……そうね」
何れ西住流の名前を背負う者として、しほは王様の方に感情移入をしていた。
王が間違っていると思うのであれば、王を正すのではなく王が追い出した方が速いだろう。
「お母さんも毎日大変なの?」
「……ええ、そうね」
初級者が中級者に上がる頃に誰もが一度は天狗になる、その鼻っ面を折るのが上級者の仕事だ。
だけどもこれが一番疲れるのだ、不格好な癖に自身だけはいっちょ前、下手に挫けば腐るだけ。
しかし熱い鉄を打ってこその西住流だ。
撃てば必中、守りは固く、進む姿は乱れ無し、鉄の掟、鋼の心、それが西住流。
だけど、これだけは伝えておくべきだと思った。
「まほ、みほ」
「はい」
「なぁに、お母さん」
この言葉がいつか、嘘になる事を知っていても。
「やりたい事があれば、やって見なさい」
私達が、私自身が、娘達をボコの様に打ち据える事になろうとも
「やらずに後悔する事が、一番辛いのよ」
おいらボコだぜ!
何だか最近頑張りすぎてる気もするけど頑張ってるぜ!!
え、何?電話?西住流から?
……やっぱり疲れてるんだな。
だけど、戦わないおいらは、おいらじゃないだろぉ!!?
西住流に日和ってる奴いる?いねえよなぁ!!?西住流潰すゾ!!
そんな空元気のまま話は進み、交通費前払いの熊本行きの旅へ向かい。
「初めまして、西住流師範、西住しほです」
「初めまして、
何故かあの西住しほの前に案内されていた、おいら聞いてないって!!?